Quantcast
Channel: WebVANDA
Viewing all 628 articles
Browse latest View live

☆Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第7回:BIKE~THE COLLECTORS(~2010)

$
0
0

孤高とはまさにコレクターズにふさわしい言葉で、デビュー時から、モッズを愛し、姿かたち、音楽、そして精神までモッズだったので、デビューして30年間、核がぶれない。こういうバンドは他にはない。この日本でモッズ・シーンは一部のものでしかなく、ファンは熱狂的に支持してきたが、絶対量は増えない。そのため、コレクターズがメジャー・シーンに躍り出ることはなかった。しかし多くのバンドに今もリスペクトされているのは、その姿勢もあるが、何よりも加藤ひさしが書く曲の圧倒的なクオリティの高さにある。加藤はコレクターズの前に、バイクというバンドで7年活動し、ソノシートやカセットだけのリリースだったものの今は一挙に聴けるが、半数はコレクターズで使われた曲で、シンプルなギター、ベース、ドラムだけの演奏なのにクオリティは十分。バイクは1985年に解散、加藤の最大の理解者で絶対的な相方となるギターの古市コータローと新しいバンドのコレクターズを結成してからは、加藤の曲が思うサウンドで作れるようになる。そのためコレクターズから1986年からライブを開始、1987年にインディ・レーベルのMintから乏しい機材で録音された10インチのLP『ようこそお花畑とマッシュルーム王国へ』でデビューするのだが、ポップなキャッチーでメロディ、パワフルで明快な加藤のリード・ヴォーカルで、どの曲も一回聴いただけで覚えられてしまう。どの曲も価値がある奇跡のアルバムで、「ベスト・オブ・インディーズ・アルバム」があるとすれば、このアルバムがぶっちぎりで1位を取るだろう。なお、アルバムの中で人気の高い「Nick! Nick! Nick!」はジャケットにTaro’s Studioとレコーディング場所が書かれているが、これは元ブレイカーズでBrick’s Toneの篠原太郎さんの自宅のことで、篠原さんから聞いた話では、加藤さんの声量があまりに大きいので、住宅街のご近所中に鳴り響いていたそうだ。このインディのアルバムからは、同年にコレクターズはテイチク傘下のBAIDISから『僕はコレクター』でメジャーデビューを果たすが、ファーストからサードまでに全曲分散して再レコーディングされた。実は私はコレクターズで一番好きなのはこのMintからテイチクBAIDISでの4枚目と、日本コロムビアのTRIADへ移籍し、小西康陽がプロデュースした5枚目のアルバム、つまりMintを入れれば1987年から1991年までの6枚のアルバムの時代がこよなく好きなのだ。その中でもベストが1988年のセカンド・アルバム『虹色サーカス団』。1曲目の「カーニバルがやってくる」のリフ、ビートルズのようなこぶしを回したコーラス、間奏のシタール、エンディングの逆回転など、もうブリティッシュ・ロック好きなら涙者の1曲目。2曲目はインディ時代からの「虹色サーカス団」でよりソリッドなギターを響かせポップでかつロックなサウンドが最高だ。今までの「虹色キチガイサーカス団」の歌詞は「虹色おかしなサーカス団」にさりげなく変わっていた。やはりメジャー。インディ時代の「がんばれ G. I. Joe!」のサビでキラキラするピアノが入ってイメージが爽やかに。そして4枚目の『Picturesque Collectors' Land (幻想王国のコレクターズ)』も素晴らしい。1曲目の「マーブル・フラワー・ギャング団現わる!」の12弦のリフからイントロから耳がひきつけられ、サビの開放感にあるメロディとハーモニーにもう一瞬で夢中になってしまう。エンディングは『Revolver』風にサイケデリックで。続く「僕のプロペラ」は12弦ギターを効果的に使ったコレクターズの中でも最もキャッチーでポップなナンバーだ。歌詞の内容はとてセクシュアルだけど、こんな爽やかでダンサブルなロックナンバーはなかなか他に見当たらない。演奏力の面でベースのチョーキーとしはる、ドラムのリンゴ田巻に不満を持っていた加藤と古市は、レーベルを日本コロムビアTRAIDに移し、以降20数年のメンバーとなるドラムの阿部耕作、ベースの小里誠が加入、実力者が集まってサウンドが充実できる体制が整ったが、プロデュースをピチカートファイヴの小西康陽が担当したことからテイチク時代のポップでオシャレでひねりをきかせたコレクターズ・サウンドが保たれていた。ポップでスリリングな「See-Saw」のイントロのドラムやベースの高度な入り方は、新メンバーでないとできないテクニック。「ハレツするボク」も爽快なポップナンバーで、このセンスはテイチク時代のものだ。歌詞の内容はこれまたセクシュアルだったが。遡るとメジャー3枚目の『ぼくを苦悩させるさまざまな怪物たち』の「あの娘は電気磁石」のイントロのコード進行は、インディ時代からフーの『Tommy』の「Overture」だったりと、我々のマニア心をくすぐる「仕掛け」がたくさん施されていたが、コレクターズは体制が整ったところで、ロックバンドとしてのコレクターズを全面に出す方向転換をしたようだ。1枚ミニアルバムを挟んで新体制で吉田仁がプロデューサーについた1993年の『UFO CLUV』から、ギミックを落としたロックにサウンドを変え、シングルの「世界を止めて」はコレクターズ史上で最大級のヒットになった。ここからが皆さんの多くが知っているコレクターズになる。ただBAIDIS時代のようなブリティッシュ大好きな遊び心は、多くのトリビュート盤参加や、CDシングルのカップリングのカバーなどで果たしていた。2006年にコレクターズは友人たちに曲を書いてもらってアルバム『ロック教室』をリリースするが、ジャケがキンクスの『Schoolboys In Disgrace』で見ると5人組、おや?と思うとマーシー(真島昌利)がメンバーと一緒に入っている。ここでマーシーが提供した「スタール―スター」が、マーシーらしいポップでカッコいいロックンロールに仕上がっていて聴いていてテンションが上がりまくってしまった。そして翌年の傑作『東京虫BUGS』の「ツイスター」が「スタール―スター」のような開放感の溢れるロックンロールで嬉しかったことを思いだす。2000年以降、コレクターズは過去映像やクアトロマンスリーライブなど大量のDVDが各社から信じられないスピードでリリース、中にはVHSマガジン、エレキインストユニットや、あまりの量に降参して2010年のリリース以降は購入を止めている。映像リストはここにはないが映像は『All Mod Gear』以降とっくに放棄した。なお、これだけ初期のコレクターズを愛している私だが、フーやスモール・フェイセスなどのモッズから生まれたバンドや、キンクスなどの音楽が大好きなだけで、モッズではないし、その当時のネオ・モッズ、ネオGSには少しも興味がなかったので、ファッションやバイクなど、ユニオンジャックのジャケットの人はもちろん『さらば青春の光』から抜け出たような人達にも近づかなかった。自分はただただ、まだデビューしてほどない無名のコレクターズが大好きで、こんなポップでオシャレでマニアックでそしてロックな素敵なバンドになんでみんな注目しないのかと、1992年のVANDA4号ではすでにコレクターズのインタビューを行い、個人的にはCDを聴き、時々日清パワーステーションなどライブハウスへ行っていた。ライブハウスはいつも満席で、熱心なファンは当時から多かった。でもそういう華やかな場所よりも、自分は三軒茶屋にあった(今もあるのか?病気になる前の5年前くらいまでは10年間くらい店だけあってシャッターは閉まっていた)フジヤマというインディーズに特化したレコード屋に行って、その中でインディーズ時代のコレクターズが参加してたRadiateの『Dance!』とか『IKASU!』のインディーズLPを見つけて大喜びし、当時でもレアだったBIKEのソノシートが200円で売っていて、フジヤマのオヤジに「安すぎない?」と言ったら、「俺はどんなにプレミアムが付いたって定価でしか売らないよ」と気持ちのいいことをいってくれた。フジヤマにはVANDAのバックナンバーを委託で置いてもらい、洋楽の本に近いので売れないだろうとは思ったが「俺が生きている間はずっと置くから持ってきて」とこれまた男前の発言。ただし当時から「夏は日差しが強くて暑いから長期に閉める」とか、開いていると運がいい…という感じになってしまった。売り上げも期待していなかったので、結局1回も精算をしないままだった。そんな地元の三軒茶屋の変わったレコード店で、エサ箱をあさっているのが、僕にとってのコレクターズだった。

 

THE COLLECTORS(~2010

☆オリジナル・アルバム

1987 『ようこそお花畑とマッシュルーム王国へ』2012 Reissue(日本コロムビア)Mintレコードからリリースされたインディーズ時代のアルバム。曲目は「BoKuWa Collector」「Robot Factory」「Nick!Nick!Nick!」「Pramodel」「1・2・3・4・5・6・7 Day's A Week」「NiJiiRo Circus」「ToBiRa O TaTaiTe」「Wrigley's Chewing Gum」「YuMeMiRu KiMi To BoKu」「2065+「僕はコレクター(Radio Edit)」に、インディーズ時代のライブDVD8曲。アルバム収録曲は全てテイチクでのメジャーデビュー後に録音仕直され、アルバムの重要曲になっている傑作。なお、「Nick!Nick!Nick!」のみ収録が「Taro’s Studio」とジャケットにクレジットされているが、篠原太郎さんの自宅のこと。

1987 『僕はコレクター』2004 Reissue(インペリアル・レコード)2004年版のリイシューは「僕はコレクター(Re-Mix/Neo GS Strings Version)」「夢みる君と僕(Single Version)」「プ・ラ・モ・デ・ル(Re-Mix)」「Nick! Nick! Nick!(from Tokyo Mods Compilation "Dance")」「Too Much Romantic!(Live '90/Previously Unreleased)」「プ・ラ・モ・デ・ル(Live '87/Previously Unreleased)」「おかしな顔(ファニー・フェイス)(Live '87/Previously Unreleased) おかしな顔(ファニー・フェイス)(Live '87/Previously Unreleased)」「僕の時間機械(Live'87)」のレア・トラックした。

1988 『虹色サーカス団』2004 Reissue(インペリアル・レコード)2004年版のリイシューは「カーニバルがやって来る (Remix)」「太陽はひとりぼっち (Live '90)」「Spicks And Specks (Live '89)」「魔法のランプ (Live '88)」「2065 (Live '88)」の5曲追加。

1989 『ぼくを苦悩させるさまざまな怪物たち』2004 Reissue(インペリアル・レコード)2004年版のリイシューは「まぼろしのパレード (Live '90)」「ぼくはプリズナー345 (Live '90)」「ぼくを苦悩させるさまざまな怪物たちのオペラ (Live '89)」の3曲追加。

1990 『Picturesque Collector’s Land2004 Reissue(インペリアル・レコード)2004年版のリイシューは「マーブル・フラワー・ギャング団現わる! (Remix)」「Dear トリケラトプス (Remix)」「気狂いアップル (Live '90)」の3曲追加

1991 『Collector Number 52004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューはシングルのみの「Collector No.5」「シャドウマン - Konishi Yasuharu Remix -」の2曲追加

1993 『UFO Cluv2004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューは93年の「世界を止めて」のカップリングの「Summer Of Love(Live)」「きみの素敵な金時計(Live)」と92年のミニアルバム『愛ある世界』の曲で前半の計3曲「Nick ! Nick ! Nick !」「愛しのルネ-Walk Away Renee-」「恋はヒートウェーヴ-Love Is Like A)Heat Wave-」追加

1994 『Candyman2004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューは92年のミニアルバム『愛ある世界』の後半の3曲「Summer Of Love」「茂みの中の欲望 -Here We Go Round The Mulberry Bush-」「明治通りをよこぎって」追加

1995 『Free2004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューはシングル2曲「素晴らしき人生」「ミッドナイト・レインボー」追加

1996 『Mighty Blow2004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューは96年・97年のシングルカップリング曲と「勝どき橋まであと2km」「Sha-La-La-La-Lee」「晴れた空カントリーデイ」「いいことあるさ」「恋はLet's Go (Live Version)」「Space Alien (2000light Years Mix)」と会場でソノシートとして配っていた「Dancing In The Street」7曲追加

1997 『Here Today2004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューは97年・98年のシングルやカップリング曲「Boxing Time」「雲の影」「プリテンディング・マン」「Find The Way HomeStarshaker」「Do You Know?」6曲追加

1998 『Living Four Kicks-Complete Live(日本コロムビア)※ライブ・アルバム

1999 『Beat Symphonic2004 Reissue(日本コロムビア)2004年版のリイシューは98年の14枚目のシングル丸ごと3曲「Cash & Model GUN (Single Version)」「The Misfits' Manifesto」「Questions 67 And 68」追加

2001 『Supersonic Sunrise(日本コロムビア)

2002 『Glitter Tune(日本コロムビア)※ボーナストラックで01年のシングルのみの「Punk Of Hearts」収録

2005 『夜明けと未来と未来のカタチ』(日本コロムビア)

2005 『Biff Bang Pow(日本コロムビア)※全曲カバーのアルバム

2006 『ロック教室-The Rock’n’Roll Culture School(日本コロムビア)

2007 『東京虫BUGS(日本コロムビア)

2008 WELCOME TO FLOWER FIELDS LIVE SHOW 1986(Youth)※デビュー前の新宿ジャムの198611月の貴重なライブ音源。ただし音質はブート並み。「僕はコレクター」「アーリー・イン・ザ・モーニング」「TOO MUCH ROMANTIC!」「1234567DAYS A WEEK」「ロボット工場」「虹色サーカス団」「プ・ラ・モ・デ・ル」「夢見る君と僕」「リグレイ・チューインガム」「問題児」「僕は恐竜」「ニック!ニック!ニック!」「僕の時間機械(アンコール)」+当時のライブDVD13曲。

2009 『All We Need Is Live(Wondergirl Records)2000年代のライブ・アルバム。通販のみ。

2010 『青春ミラー』(日本コロムビア)

 

☆必要なコンピレーション

1987 『Attack OfMushroom People』(Mint)※「Boku Wa Collector」収録。同年の『ようこそお花畑とマッシュルーム王国へ』のヴァージョンと違って荒ら削りでシングル・ヴォーカル。

1987  Mint Sound's Christmas Album』(Mint)※「Christmas Song」収録

1995  The Collectors Complete Set The BAIDIS Years 』(インペリアル)※コンサート会場で配った89年「恋はヒートウェーブ」と90年の「明治通りをよこぎって」のソノシート(それぞれソノシートVersion)や、未発表の88年のビージーズのカバー「Baby Lemonade」と88年のシド・バレットのカバー「Spicks & Specks」、「Chewing Gum(Take2)」、さらにリミックスの「チョークでしるされた手紙 [Re-Mix]」「1.2.3.4.5.6.7 Days A Week [Re-Mix]」「僕はコレクター[Re-Mix]」など1987-90年のベスト&レアトラックス。

1995 『Gold Top The Best Of The Collectors』(日本コロムビア)※5th以降のベスト盤。「See-Saw」「カメレオン・ダイナマイト」「明治通りをよこぎって」の’95 Mix Version収録。

2002  The Collectors More Complete Set The BAIDIS Years 』(インペリアル)※87年のインディ盤オムニバスの『Tokyo Mods Compilation’DANCE’』に収録されていた「NICK! NICK! NICK!Tokyo Mods Compilation DANCE '87)」「僕の時間機械(Tokyo Mods Compilation DANCE' 87))」2曲と同年のインディオムニバスライブ盤『IKASU!Neo GS Go! Go! Live!!』の「僕はコレクター(IKASU!Neo GS Go! Go! Live!! '87)」「僕の時間機械(IKASU!Neo GS Go! Go! Live!! 87)」、未発表の「太陽が昇る前に(Take2)」、フーのカバー「Substitute」、スモール・フェイセスのカバー「Itchycoo Park」、「Too Much Romantic!(Live '89/Previously Unreleased)」、「がんばれGIJoe!(Live '89/Previously Unreleased)」「NICK! NICK! NICK!(Live '87/Previously Unreleased)」「僕の時間機械(Live '87/Previously Unreleased)」「ロケットマン(Previously Unreleased DEMO)」「彼女はワンダーガール(Previously Unreleased DEMO)」「ちびっこアドルフ(Previously Unreleased DEMO)」「消えろ!けむり野郎(Previously Unreleased DEMO)」を含む1987-90年のベスト&レアトラックス続編

2008 『Missing Tracks』(日本コロムビア)※まず様々なトリビュート盤の参加曲にはキンクスの「Do It Again」(02年『Kinky Boot-Tribute To The Kinks』収録)やジョージ・ハリスンの「What Is Life02年『Gentle Guitar Dreams』収録)、デビッド・ボウイの「Space Odyssey」(07年『Tribute To David Bowie』収録)、奥田民生の「花になる」(07年『奥田民生カバーズ』収録)、矢沢永吉の「ロックンロール・バイブル」(Eel Ale Brewer名義。01年の『Joyride 矢沢永吉スーパー・カバー・トラックス』収録)、アニソンの「マッハGo!Go!Go!」(08年『僕らのアニソン~ロックでトリビュート~』収録)、そして「Never Mind」(『Mods Mayday 25th』提供曲でBIKE時代の曲)、「Golden Stone」(06年『Tribute To Brian Jones』で、それぞれイメージしたオリジナル曲を提供。THE COLLECTORS×小島麻由美になっているが、小島はハーモニーしか担当していない。)がある。そして2003年の「クアトロマンスリーライブ」の3回全てに来たら「恋のイナキュレーション」「スクータリング・イン・プリマベラ」のCDシングル、2004年の「クアトロマンスリーライブ」には計3回来たら「みんな気をつけろ」「LET'S GET SCOOTERING」のCDシングルがプレゼントされた。その他シングルのみの「君がいなきゃ」(01年の『Punk Of Hearts』のカップリング)、フーの「So Sad About Us」のカバー、その他1992年のEP want love e.p. d.m.x.remix』収録の「SUMMER OF LOVE Sound Factory Mix)」「明治通りをよこぎって (Tokyo Mods Forever Mix)」「恋はヒートウェーヴ (Monaural Mix)」の3曲(4曲中1曲落ちた)、そして「恋することのすべて (Man & Woman Version)」と、レア・トラック、未発表トラックを満載した。

2009 VariousRock The Mix2』(ビクター)※松本素生&The Collectorsの「悲しい気持ち」収録。

2010 VariousThe Blue Hearts 25th Anniversary Tribute(徳間ジャパン)※「リンダリンダ」収録、ブルーハーツのカバーなので泣ける。

 

☆必要なシングル・EP

1992 「Summer Of Love(Extasy Mix)」…12インチの限定5000枚のEPwant love e.p. d.m.x.remix(CLW001)のみ収録。4曲中3曲は『Missing Tracks』に収録されたがこのミックスの未CD化。

2009 「青春・オン・ザ・ロード」(Zetima)…メロン記念日×The Collectors。カップリングはインストなのでCollectorsのみ。タワーレコードでの発売。

 

☆カラオケ ※同名の3インチCDシングルに収録

1995 「Good-bye(カラオケ)(日本コロムビア)

1995 「素晴らしき人生(カラオケ)」(日本コロムビア)

1996 「Glory Days(カラオケ)」(日本コロムビア)

1996 「いいことあるさ(カラオケ)」(日本コロムビア)

1997 「Tough(カラオケ)(日本コロムビア)

1997 「Gift(カラオケ)(日本コロムビア)

 

THE MAJESTIC FOURの作品(COLLECTORSの変名バンド)

1999 「Big Fat Cowboy HatSingle Version)」(Living Dining&Kitcken)※1曲のみのシングル。

2000 『Magic Fun Fair(Daiki)Wondergirl Recordsからもリリースされているが、Daiki盤ではシークレット・トラックで40数秒のインスト「The Majestic Four」が聴ける。

基本は6曲のミニ・アルバム。

 

EEL ALE BREWERの作品(加藤ひさしと古市コータローのユニット。なお必要なコンピレーションの2008年『Missing Tracks』に矢沢永吉の「ロックンロール・バイブル」のカバーが入っているのでそちらも参照のこと)

2003 VariousCarol Tribute』(ユニバーサル)※「0時5分の最終列車」収録。

2004 VariousX The Street』(ビクター)※「Let’s Go Garage」収録。

 

21ST CENTURY STARSの作品(加藤ひさしとRollyのユニット。最初の2枚以外はRolly中心でリード・ヴォーカルもRollyなのでコレクター向け)

1996 「21世紀のラヴァース」「泳ぐなネッシー」(日本コロムビア)※カップリングを変え違うレコード会社から同時にリリースされた。

1996 「21世紀のラヴァース」「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」(ソニー)※同上

2002  VariousKinky Boot-Tribute To The Kinks』(ビクター)※21st Century Stars featuring Rolly名義でキンクスのカバーの「キングコング」収録。

2004 VariousX The Street』(ビクター)※21st Century Stars featuring Rolly名義でGo-Bang’s「かっこイイダーリン」収録。

2010 『The Blue Hearts 25th Anniversary Tribute(徳間ジャパン)Rolly21stCentury Stars名義のブルーハーツのカバーの「パンクロック」収録

 

(作成:佐野邦彦)

 

THE BIKE(1979-1985)

COLLECTORSの前身(19811985)。加藤ひさしのバンドで高校の友人2人(ギター三村直輝、ドラム斉藤清。加藤はベース)との3人組。85年には中学の同級生のリンゴ田巻参加し、85年のみBIKESと名乗った。)

☆必要なコンピレーション

2007 『Alive Heritages』(Youth)※1-4曲目の「Too Much Romantic!」「恋のカレイドスコープ」「僕は問題児」「僕は恐竜」は855月リリースのソノシート『The Song For Dinosaur!/恐竜の歌』(Radiate Records)、5曲目の「みんな気をつけろ」は8512月リリースのカセットブック『Dear Face』(Radiate Records)より。6-11曲目の「だからボクらは...」「ネバーマインド」「恋のイナキュレーション」「僕の時間機械」「あの娘は電気磁石」「がんばれG.I. Joe('85)」は859月のEggmanでのコンサートで配られたカセット『One More Big Apple Pie』より。12-15曲目の「僕は大丈夫」「Too Shy Boy」「僕は労働者」「がんばれG.I. Joe('83)」は8310月リリースのソノシート『Gambare G.I. Joe!/がんばれG.I. Joe!』(Socks Records)より、16曲目の「ファラ・ヤ・ファラ」は831月リリースのデビュー・ソノシートA面(Socks Records)(B面はなぜか未収録)、17-18曲目の「絶望の詩」「プライベート・ショック!」は81年のデモで、Bikeのスタジオ・レコーディングをほとんど網羅した。後のCollectorsのナンバーが約半数。

2007 『Beat Wave』(Youth)※1-11曲目の「ロボット工場」「アーリー・イン・ザ・モーニング」「TOO MUCH ROMANTIC!」「プ・ラ・モ・デ・ル」「夢見る君と僕」「リグレイ・チューインガム」「僕は問題児」「僕は恐竜」「恋のカレイド・スコープ」「だからボクらは...」「僕の時間機械」はBike8512月の渋谷屋根裏の解散コンサート、12-19曲目の「ネバーマインド」「だからボクらは...」「僕は問題児」「僕は恐竜」「僕は大丈夫」「がんばれG.I. Joe!」「What Happen?」「恋のイナキュレーション」は8410月の新宿JAM20曲目の「TOO SHY BOY」は837月の渋谷屋根裏のライブ。全20曲で大半が後のCollectorsのナンバー。

2007 VariousNo Collectors No Life-Tribute To The Collectors』(Youth)※加藤ひさし、古市コータロー、リンゴ田巻の3人でBike名義の「僕はひどいパラノイア」を新録した。

 

☆必要なソノシート(未CD化)

1981 「誠実なるアドバイス(THE HONEST ADVICE)」(Socks Records)Bikeのファースト・ソノシートB面(作詞作曲:加藤弥の漢字名)。ちなみにA面は「ファラ・ヤ・ファラ!」(『Alive Heritages』収録)

 

☆必要なカセット(未CD化)

1985 『誰が殺したタマゴ男 The Bike Live At Egg-Man!』(Radiate Records)…198511日無料配布されたとあるので1984年のライブだろう。「僕は時報…アーリー・イン・ザ・モーニング」「Never Mind! Never Mind!」「夢見る君と僕」「僕は問題児」「僕は恐竜」「恋のカレードスコープ!」「がんばれG.I.Joe!」「ロボット工場」「Too Mach Romantic!」「What Happen?(時計の針を止めて!)」なので曲は上記のCDBeat Wave』で全部聴けるが、エッグマンのライブは無いので、全曲未CD化のまま。音質等は不明。

 

(作成:佐野邦彦)



☆吾妻ひでお『産直アズママガジン増刊 妄想アイドル図鑑 食道癌入門1P』が出版された。ナイショにしていましたが、吾妻先生は食道がんでオペが成功して、新刊が出せました。良かった!

$
0
0

吾妻ひでお先生が最新刊の『産直アズママガジン増刊 妄想アイドル図鑑 食道癌入門1P』を送ってくださった。え?食道癌入門?誰でも驚かれるだろう。そう、吾妻先生は食道癌だったのだ。手術前にお手紙をいただいて、手術はできるけどギリギリで早期じゃないし、抗がん剤で小さくしてから…と厳しい病状をお聞きしていた。私は、これは他言できないとずっと伏せていたが、このように手術が成功して先生のほうで、明るく?公表していただくと、私を含めファンは安心する。冒頭の1P「食道癌入門」がそれだ。先生の術前の抗がん剤の種類は自分のより厳しい副作用が出たようで、「抗がん剤の点滴、これがキツイ!吐気、胃痛、ふらつき、眩暈、小便もらす、大便ももらす」と吹き出しにあったが、大小を漏らすのはなかったのでこれは辛かったでしょう。ただ机の上の水にも苦しくて手が届かない…という地獄のような時間はあった時があるので、まあ抗がん剤はやった事がない方にはなかなか伝わらない。51回で終了してしまった自分は軽い方だ。そのあとのコマでは、点滴が終わると少し元気になり腫瘍も小さくなって食欲が出てきた…のコマでは、カップ焼きそばを食べている先生の姿があって、矢印で「病院食マズイので食べない」とあったが、先生、個室だったのかな。大部屋だと、4年前の国立東京医療センターで、カップヌードルとか、病院内レストランからカレーをテイクアウトして病室で食べていたのがたけど、部屋中、その匂いで充満してまあ大迷惑だった。確かに病院食はマズイので、自分も毎回「ご飯ですよ」「梅ごのみ」「なめたけ」「カップ納豆」を冷蔵庫に常備、これだけをオカズにして食べていた。納豆は匂いがするので食べたあとは消臭スプレーのひと吹きが必要。そしてその次のコマでは手術前の説明書を読んで、手術死亡率3.6%、普通の食事は出来ない、様々な合併症、5年生存率50%と出てきて、さらに次のコマで「なんか怖くなって手術を止める」と言いだした。が、アシスタントA(奥さん)に怒られてやっぱすることに…(そりゃそう。最初の方で手術しなかったら半年と医師に言われていた)そして最後のコマでは「そして退院、しかし食欲は無く、吐気は続きほとんど寝たきり、今は(6)少し身体も動かせるようになり、食事もできるようになった。」「まァ先のことは分かんないけどね」でふらふらしながら愛犬と散歩しているコマで終わる。その下には「食道癌の漫画、長編を描くつもりはありません。生死の問題なんで笑えないから」と書き添えられていて、これは絶対、本音だ。自分も時々病状について書く時もあるけど、悪い状態のことは書かない。小林麻央みたいにはなりたくないからね。本はあとがき1Pにあるとおりに「下書きは15年前くらいに描いたもので、ペンだけ最近(’17)入れました」というもので、本編27Pは初登場だがリメイク、時代的にルーズソックスが多かったり、絵が丸顔とか楽しめる。1Pごとキャラが変わりイラスト数点と設定が書いてあるのだが、実際のマンガのキャラも混じっていて「ミャアちゃん」2P、「ななこ」3P、「ポロン」1Pそして嬉しい事に『チョッキン』の絵美ちゃん1P、『翔べ翔べドンキー』の太陽夕子(本名、初めて知った)1Pがあって、これはファンにはたまらない。あとがきに病気のことはないが、手持ちの棒から垂れたひもの先にかわいいキャラの食道癌がぶらさがっているので、なんとなくほっとした。吾妻先生、我々はケセラセラですよ。添えられていたお手紙では、ふらつきながらも自転車に乗れるようなったそうで、行動範囲が広くなると気分が変わりストレス解消に良く免疫も上げてくれますしね。吾妻先生、またのんびり街角ウォッチングを続けて、のんびり好きなマンガを描いてください。

(佐野邦彦)
 

☆Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第8回:こども番組等の冨田勲(シンセサイザー除外)

$
0
0


ロック・バンドのレジェンドが続いていきなり冨田勲では驚かれたことだろう。ただし私は冨田を「世界のTOMITA」として名を知らしめた「シンセサイザーの冨田」にはまったく関心がない。1974年の『月の光』以降4枚連続全米で大ヒット、高い評価を受けたが、1枚もこのシンセのアルバムは持っていない。好きなのはその前の、子供番組、特に手塚治虫の「ジャングル大帝」「リボンの騎士」などアニメーションの音楽を担当していた「こども番組の主題歌・劇伴に惚れ込んでいるのだ。それは驚くべき転調やテンポ・チェンジを駆使しながら、ポップで開放感あふれる曲を冨田は書けるのだ。特に日本の作曲家ではほとんどいない高揚感のあるサウンドを作れる稀有なソングライター、アレンジャー、プロデューサーが冨田勲なのである。金管楽器の使い方は天才的で、ワーグナーにも匹敵する。そんな冨田の子供番組のデビューは1960NHKの人形劇「宇宙船シリカ」だ。短いテーマだが、何度も転調する高度な曲でビックリ。1962年は東映動画長編アニメの『アラビアンナイト・シンドバッドの冒険』で、エキゾチックな「行こうよみんなの歌」、そしてヒロインのサミール姫のためにはやはり転調を駆使した洒落た「ひとりぼっちの姫のうた」が印象に残る。1963年にはNHK人形劇の手塚原作の「銀河少年隊」の主題歌を書くが、歌の開放感が実に爽やかな傑作。NHKはテープを上書きして消していたのでフィルムがほとんど残ってなく、初期の坂本九が歌いテイクがあったというのに聴けないのが残念。翌1964年に初のTVアニメ主題歌の手塚の「ビッグX」。勇壮で単純な曲想なのだが、「立ち上がれビッグX」の一瞬のメロディが心地よく、ここを入れるか入れないかがセンスの良さになる。少し短編を挟み1965年には東映動画長編アニメの『ガリバーの宇宙旅行』を担当する。ここで書いた主題歌「ガリバー号マーチ」は、イントロの金管の高揚感、主題歌の開放感、全てが完璧な傑作である。そして冨田に特徴的なのが、実際に使われたサントラ(『東映動画アンソロジー-劇場編-』)より、ステレオで、フル・サイズで録音されたシングル・ヴァージョン(『アニメ主題歌メモリアル 1』の方が、出来がいいのが冨田の常識で、サントラ以外にシングルを探すことなる。このアニメは主題歌以外に3曲、坂本九が歌っていてもちろんDVDではオリジナルで見られるが、シングルは契約の関係でその内の1曲「遊園地の歌」は他の歌手だったものの、『東映動画アンソロジー-劇場編-』には別の歌手名で坂本九ヴァージョンをゲリラ的に入れてしまった。先の『アラビアンナイト…』も含め、東映動画長編アニメーションはCD10枚組の『東映動画長編アニメ音楽大全集』で、他の名作のOSTもたっぷり聴けるのに『ガリバーの宇宙旅行』のOSTだけは坂本九以外の曲も全てインストになっていて、この映画の音楽の権利関係が難しい事が伝わってくる。さて同年遂にTVアニメの『ジャングル大帝』が開始される。やはり出来がベストはシングル・ヴァージョン。手塚にとってこのマンガは代表作であり初めてのカラーTVアニメということで、予算をかけた。手塚は自分のアニメ主題歌を託すのは冨田勲と決めていて、少し前まで観光目的の海外旅行が許可されなかった外貨不足で貧乏国家の日本人にとって見た事もないアフリカ大陸の雄大さを感じさせるには冨田の音楽しかないだろうと判断した手塚は正しかった。主題歌はなんとクラシックのバリトン歌手によるハミングのヴァージョンと、歌詞の入ったヴァージョンで、決して子供は歌えない高度なもの。イントロの金管、ストリングスが転調を繰り返して、歌のパートへ持っていくまでが長いのだが、アニメーションの展開とあいまってそこにアフリカを感じる。そしてやはり歌が入ったフル・サイズのSingle Versionが最高だった。そして手塚はなんとプレスコと言うフィルムに合わせて冨田指揮のオーケストラのBGMが入るという、超豪華な手法で音楽を付けていた。ストーリーに合わせた挿入歌が素晴らしく「星になったママ」「たまごの赤ちゃん」「ライヤのうた」「レオのうた」など、『ジャングル大帝1965-1966』と『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』に歌20曲、BGM146曲がまとめられたほどの人気とクオリティを持っていた。同年には主題曲だけ手塚とは関係ない『戦え!オスパー』に提供したが、歌が当時のまさに典型的な日本人若手歌手の山田太郎だったので、冨田は彼に合わせてAパートなどはまさにポップな演歌風だったが、サビになると一気に伸びやかなメジャーに展開して心地よく、冨田らしさを見せた。まだCD化されていないが『名犬ラッシー』の主題歌「すすめ!ラッシー」も冨田らしい爽やかな佳曲だった。そして1967年にもうひとつの手塚治虫の代表作『リボンの騎士』の主題歌、挿入歌、BGMを全面的に担当する。TV用の主題歌は3ヴァージョンあり、歌詞だけでなくメロディも違っていたり、ナレーションが被ったり満足できるものはないが、やはりこれは王子編をもとにしたフル・サイズのSingle Version。「リボンの騎士(Single Version)」は星の数ほどあるアニメの主題歌で、これほどオシャレで高度な曲は他にはない。ヨーロピアンなセンスも感じられるし、曲は転調につぐ転調、テンポも変わり続け凄いとしかいいようがない。この「王子編」のメロディが一番良く、TVサイズではナレーション被りなので、いつもこのSingle Versionを聴いている。ただ冨田は後半のメロディが異なりキーが低い王女編が好きなのか、後の初めてのリボンの騎士のフルオーケストラのバックを付けた1994年の『新日本紀行・富田勲の音楽』収録のものは同じ前川陽子が歌ったのに王女編で残念だった。なおこの王子編は押尾コータローが『Love Strings』で、ギター1本で完全再現していて大好きなのだが、濱田高志氏経由で冨田氏本人に聴かせたら凄く気に入っていたというので、これは嬉しいところ。この作品の挿入歌も素晴らしく「チンクのうた」もいいが、なんといってもサファイヤとフランツがカーニバルで踊るシーンで使われた「ワルツ」がストリングスによる流麗で極上のワルツで、こんな素晴らしい曲が1BGMとは本当にもったいないと思った。BGMは『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』57トラック収められ、挿入歌は『リボンの騎士ミュージッククリップ』のみに9曲入っていた。そしていよいよ特撮の主題歌、BGMを担当する。『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』のつなぎ用に円谷プロではなく東映が作った、評価の低い『キャプテン・ウルトラ』だ。主題歌の冒頭は混沌とした金管とストリングスとしたからみから歌が始まり、どこまでも上昇していくようなメロディが唯一無二、こんな曲を書いて緊張感に満ちたサウンドを作れる作家は冨田しかいないと思わせる快作だ。OSTCD2枚組『キャプテン・ウルトラ・ミュージックファイル』には他の歌2曲やBGMが多く入っているがこの主題歌で十分。そして1968年にはいよいよ円谷プロの『マイティジャック』を担当する。主題歌「マイティジャックの歌」はイントロの金管によって一瞬で心を奪われ、その後のストリングスを使った転調で歌まで持っていくセンスが素晴らしい。この勇壮なテーマソングは冨田作品の中でもベスト10に入る1曲、他に2曲の歌があり、BGMは『マイティ・ジャック・ミュージックファイルVol.1Vol.2』で2枚にまとめられたが、これも主題歌に魅力が集約している。1969年は手塚アニメの主題歌、BGMを担当した最後の傑作『どろろ』である。主題歌がコミカルながら幽玄な雰囲気がありSingle Versionがベスト。他2曲の歌やBGM69曲は『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』に収録されたが、BGMはおどろおどろしているので主題歌のみでいいだろう。以降は同年のNHK人形劇『空中都市008』の主題歌など、手塚治虫の大人向け長編アニメ『新千夜一夜物語』の音楽、実際に使われたかは分からない『宇宙家族ロビンソン』の主題歌「宇宙船ジュピター2号」、そして70年の手塚治虫大人向け長編アニメ第二弾『クレオパトラ』の主題歌、最後は1973年の円谷プロのカルト作『恐怖劇場アンバランス』のBGMを担当するが、もうポップなものは少なく、『空中都市008』がギリギリだった。

冨田は当然、テレビ番組の主題歌を作曲している。特に有名なのが1969年からの「新日本紀行」のテーマ。日本人なら誰でも知ってるエキゾチックな名曲だ。同じくNHK1957年からの「今日の料理」、1967年からの「今日の健康」も誰でも知っている。「新日本紀行(旧テーマ)」「現代の映像」「教養特集」「わたしの人生」「日本の素顔」など1960年代中心のこれらのテーマはみな覚えやすいか、格調の高いストリングスで作られ『富田勲NHKテーマ音楽集(新装版)』に収録されている。NHKものはみなハイクオリティで、未CD化の1962年の森サカエが歌う「ふたつの橋」は見事なシャンソンだし、1970年の『70年代われらの世界』でシンプルなピアノとコーラスで東京少年少女合唱団によって歌われた「青い地球は誰のもの」は、1994年に冨田がドラマティックなハーモニーとオーケストレーションでリメイクし(ひばり児童合唱団)、冨田ソングの中でもベスト10に入る感動的なアレンジを施した新ヴァージョンが『新日本紀行 冨田勲の世界』に収められた。他局は1970年の「ダイコンの花」の竹脇無我が歌う穏やかなテーマソング、1973年『唖侍・鬼一法眼』で勝新太郎が歌う時代劇ムードに溢れた「孤独に追われて」があり、CD化されたものでは1969年『プロファイター』の高城丈二が歌う演歌調の「影を追う男」、1972年のチェリッシュが歌う転調を駆使したソフトロック系ナンバー『かあさんの四季』、1974年の『幡随院長兵衛 お待ちなせぇ』はチェイ光星(=チャーリー・コーセイ)が歌うバタ臭い「お若いのお待ちなせぇ」、同年の『座頭市物語』の主題歌で勝新太郎が歌うムード溢れる時代劇ソング「おてんとさん」があったが、『かあさんの四季』以外、NHKのレベルに達していない。

他では企画もので注目すべきものを紹介したい。

1965年に王の日本新記録の55本塁打を記念して作ったシングル盤が「白いボール」で、王貞治と本間千代子が交互に歌っている。王の歌が実に朴訥でヘタだが、冨田メロディでなんとか聴ける。『野球ソングス』に収録。未CD化の超レア盤が1970年の大阪万博の東芝館用に富田が作った12分を超えるロック大作、先着数百人のみに配られた非売品EP盤の「EXPO’70 東芝IHI館グローバル・ビジョンのためのマルチプル・サウンズ」(EXPO’’70 3-TP-4)(「Sounds Of  Global Vision Theatre In The Air」は読売日本交響楽団、チェイ光星、六文銭で録音され、最もCD化が希望される。同じくCD化が強く望まれるのが1971年リリースの西郷輝彦のLP『坂道の教会』だ。アルバム1枚を使って八坂裕子のナレーションの間に冨田書き下ろしの14曲の西郷の歌が入る。アルバム1枚でひとつのストーリーになっている意欲盤で傑作。同じコンセプトでは1973年リリースの朱里エイコの『パーティー』が、詩を八坂裕子、曲を富田が書き、朱里エイコがナレーションと歌を受け持ったアルバム1枚でひとつの話になっていた傑作で、こちらはCD化された。あと1985年の筑波科学万博の電力館用のシングル盤が、野宮真貴が歌う「すてきなラブ・パワー」。軽快なポップチューンの佳曲だったが未CD化のままである。付け加えると60年代のCMでソノシートが出ていたヴァイオレッツの「スズキスーパーミニの唄ファッションバイク」は、ベースランニングが見事な洒落たポップ・ナンバー、そして社歌だが1963年のダークダックスが歌う「三菱電機テーマソング」がワルツのリズムでいかにも冨田のセンスが隠されていた。冨田勲の音源はまだまだコレクティングが必要だが、一番こだわるアニメ―ション&特撮に過去カタログはほとんどないだろうからBGMがきちんと出ることを待つばかりだ。

 

 

★富田勲(こども番組とポップスのみ)

※シンセサイザーと劇場映画・大河ドラマは除外。★未CD化の曲

☆こども番組用

1960/10/362/3/27 『宇宙船シリカ』(NHK=竹田人形座)人形劇

(「宇宙船シリカ」…東京放送児童合唱団)…『オリジナル懐かしの人形劇テーマ大全1956-1982』(東芝EMI/9355)など

1962/6/16 『アラビアンナイト・シンドバッドの冒険』(東映動画)長編アニメ

(「行こうよみんなのうた」「シンドバッドの唄」…デニー白川、「ひとりぼっちの姫のうた」…真理ヨシコ、「いかりを上げろのうた」「重い積み荷のうた」…二期会、「トルコの王様のうた」…松岡ユキ、「不思議なギターのうた」…太宰久夫他BGM23曲)…『東映動画長編アニメ音楽大全集』(日本コロムビア/13501/10

(「シンドバッドの唄」…「行こうよみんなのうた」と「シンドバッドの唄」を合体させたものだがコーラスが入らない別テイク、「出航の唄」…「いかりを上げろの唄」の短縮版。コーラスが薄い別テイク)…『東映動画アンソロジー劇場版1958-1971』(日本クラウン/2014

1963/4/765/4/1 『銀河少年隊』(NHK=竹田人形座)人形劇

(「銀河少年隊」…上高田少年合唱団)…『オリジナル懐かしの人形劇テーマ大全1956-1982』(東芝EMI/9355)(★「ミスター・シックスのマーチ」…フールサンズ・セレナーダス)…ソノシート『銀河少年隊』(現代芸術社/現代フォノマンガ2)のみ収録

※なおDVD『空中都市008』(NHK/ASHB1117)のボーナストラックにフランスで見つかった映像が入ったが、ここでの主題歌は若干歌い方が違う別ヴァージョン。(一番初期の坂本九は未だ発見されていない)

1964/8/365/9/27 『ビッグX』(TBS=東京ムービー)TVアニメ

(「ビッグX(オープニングTVサイズ)」「ビッグX((エンディングTVサイズ)」「ビッグX((シングル・ヴァージョン)…手塚アニメの主題歌シングルで唯一途中にセリフなど入り出来が悪い」…上高田少年合唱団他BGM31トラック、計41分)…『ミュージッククリップ ビッグX』(東芝EMI/9892

(上記の「ビッグX(オープニングTVサイズ)」「ビッグX((エンディングTVサイズ)」他BGM14曲が入ったが、14分しかなく、大きく4つにチャプター付けされた上記の盤の内容に含まれていると思われる)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

1965/1/3  『新宝島』(CX=虫プロ)TVアニメ(単発)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

(「タイトル~出航」)

1965/3/20 『ガリバーの宇宙旅行』(東映動画)長編アニメ

(「ガリバー号マーチ(レコード)」…西六郷少年合唱団、「遊園地のうた(レコード)」…本間千代子、高橋元太郎)…『コロムビアアニメ原盤によるアニメ主題歌メモリアル』(日本コロムビア/30562

(「ガリバー号マーチ(劇場版)」…西六郷少年合唱団、「遊園地のうた(劇場版)」…坂本九。なおCDクレジットは「本間千代子、高橋元太郎」で、坂本九と気づいていながらゲリラ的に出したのではないか)…『東映動画アンソロジー劇場版1958-1971』(日本クラウン/2014

(歌は一切除外されBGM16トラック収録。「ガリバー号宇宙をいく」「希望の夜明け」など)…『東映動画長編アニメ音楽大全集』(日本コロムビア/13501/10

DVD『ガリバーの宇宙旅行』(東映/DSTD03146)では坂本九が歌う「地球の歌」とダニー飯田とパラダイスキングが歌う「ロボットたちの歌」も聴くことができる。

1965/4/466/3/31 『宇宙人ピピ』(NHK)アニメと合成

(「ピピのテーマソング」…中村メイコ, みすず児童合唱団、「ピピとなかよし」…中村メイコ フールサンズ・セレナダーズ)…『朝日ソノラマ主題歌コレクション2』(東芝EMI/25073/74

1965/10/666/9/28 『ジャングル大帝』(CX=虫プロ)TVアニメ

(「ジャングル大帝のテーマ(オープニング1)(ハミング)」「ジャングル大帝のテーマ(オープニング2)(歌詞あり)」…平野忠彦、「たまごの赤ちゃん」「レオのうた(エンディング)」…弘田三枝子、「星になったママ」…梓みちよ、「アイウエオ・マンボ1」「大掃除に行こう」「サル忍者」…MGAコーラスグループ、「ライヤのうた」…真理ヨシコ、「ぼくに力をおとうさん」「アイウエオ・マンボ2」…太田淑子、「うわさのタネ」…川久保潔、熊倉一雄、明石一、田村錦人、「私のベイビー」…スリー・グレイセス、「フンワカ・マーチ」…中山千夏、「ふくろうの子守唄」「ブラック・フォア」…デューク・エイセス、「ジャングル工事」…フランク赤木、「三匹の死神」…世良明芳、「オットーのお通り」…八奈見乗児、「ディックとボウ」「大先輩のお話」…熊倉一雄、川久保潔の他BGM88曲収録)…『ジャングル大帝1965-1966』(Emotion/9011CD4枚組。

(歌は上記盤から12曲しか収録されていないが、BGM60曲入り、上記盤とのダブりは2曲しかなく58曲はこれのみ収録)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

(「ジャングル大帝(シングル・ヴァージョン。内容的には文句なしにベスト)…三浦弘(=平野忠彦)」「レオのうた(シングル・ヴァージョン)」…弘田三枝子)…『昭和キッズTVシングルスVol.1』(コロムビア/32103/4

1966/10/567/3/29 『新ジャングル大帝進めレオ』(CX=虫プロ)TVアニメ

(エンディングの「レオのうた (2コーラス版)」…-弘田三枝子と、BGM17曲収録)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

(壮大なオープニングとエンディングのオーケストレーションが冨田の担当だが「新ジャングル大帝進めレオ」…ハッピー・ビーンズ収録。デューク・エイセス・ヴァージョンも収録されているが冨田は無関係。なお『ジャングル大帝1965-1966』の歌の中で、「オットーのお通り」「大先輩のお話」以外収録されているが音質が悪く、尺も短い曲がかなりある)…『ミュージッククリップ35 ジャングル大帝』(東芝EMI/10235

1965/12/1467/10/31 『戦え!オスパー』(NTV=日本放送映画社)TVアニメ

(「戦え!オスパー」…山田太郎…『21世紀に遺したいアニメソング大全 ミレニアムボックス』(東芝EMI/24381/86)、「ユミのうた」…山中みゆき…『朝日ソノラマ主題歌コレクション2』(東芝EMI/25073/74

19651966 『名犬ラッシー』(TBS)子供向けアメリカドラマ

(★「すすめラッシー」…杉並児童合唱団)…ソノシート『名犬ラッシーの大冒険』(コダマプレス/175)※1957/11/31958/3/30 ひばり児童合唱団(作詞:宮崎博史)もあり

1966/11/11 『展覧会の絵』(虫プロ)短編アニメ ※虫プロフェスティバル用

※作曲はムソルグスキー・冨田はアレンジ(「プロムナード」「キエフの大門」)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

1967/4/268/4/7 『リボンの騎士』(CX=虫プロ)TVアニメ

オープニング「リボンの騎士」のインスト版と歌入り王女編に加え、王女編インストは初登場、「リボンのマーチ」のTVサイズに加え、同尺の別ヴァージョンは初登場。他BGM57曲収録)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

(全てTVサイズで、「リボンの騎士王子編オープニング(ナレーション入り)「リボンのマーチ(TVサイズより30秒長いがレコードより1分短いヴァージョン)」…前川陽子と、歌入りの「囚人のうた」「チンクのうた」「使用人たちのうた」「うれしいたいかん式」「王子入場」「サファイヤのうた」「リボンの騎士はチャンピオン」9曲はこの盤のみ。オープニングの「リボンの騎士(王女編)」「リボンの騎士(インスト)」エンディングの「リボンのマーチ」」…前川陽子以外BGM19曲あるが、上記に含まれていると思われる)…『ミュージッククリップ28 リボンの騎士』(東芝EMI/10404

(「リボンの騎士(シングル・ヴァージョン。他のテイクを寄せ付けない圧倒的に優れたベストテイク)」「リボンのマーチ(シングル・ヴァージョン)」…両曲とも前川陽子)…『昭和キッズTVシングルスVol.2』(日本コロムビア/32105/6

1967/4/169/24 『キャプテン・ウルトラ』(TBS=東映)TV特撮

(「キャプテン・ウルトラ(TVサイズ)(レコード)(カラオケ)…ボーカルショップ、マイスタージンガー、上高田少年合唱団、「宇宙マーチ」(TVサイズ)(レコード)(カラオケ)…ボーカルショップ、「ハックとジョー(レコード)(カラオケ)」…熊倉一雄、川久保潔などBGM多数」…『キャプテン・ウルトラ・ミュージックファイル』(ウルトラヴァイヴ/1162/63

1968/4/66/29 『マイティジャック』(CX=円谷プロ)TV特撮

(「マイティジャックの歌」…フールサンズ合唱団、「進めマイティジャック」…上高田少年合唱団、フールサンズ合唱団、「MJの歌」…フールサンズ合唱団)…『懐かしの特撮ヒーロー大全2』(東芝EMI/8792)など下記にも分散収録

(「マイティジャック(TVサイズ)」など27BGM集。後半は宮内國郎の『戦え!マイティジャック』)…『テレビオリジナルBGMコレクション マイティジャック』(日本コロムビア/72239

(「メインタイトル~マイティジャックの歌(TVサイズ・ギター入りカラオケヴァージョン」「マイティジャックの歌(TVサイズ・エンディングヴァージョン・カラオケ」「マイティジャックの歌(TVサイズ)」「進めマイティジャック(カラオケ)」「雲海の銀翼」(アレンジを変え、ジャズタッチのものまで3テイクで1曲)、他BGMなど計24曲収録)…『マイティジャック ミュージックファイル』(バップ/81112

(「マイティジャックの歌(エンディング用TVサイズ歌詞1)」「マイティジャックの歌(2ッコーラス・カラオケ)」「マイティジャックの歌(TVサイズ・カラオケ)」「マイティジャックの歌(2コーラス・インストゥルメンタル・ハーモニカ入り)」「マイティジャックの歌(エンディング用TVサイズ歌詞1番)」「マイティジャックの歌(カラオケ)」「MJの歌(カラオケ)」他BGMなど計29曲収録)…『マイティジャック2 ミュージックファイル』(バップ/81113

1968/7/612/28 『戦え!マイティジャック』(CX=円谷プロ)TV特撮※富田作の前作からの主題歌群は使われたものの、BGMは『ウルトラマン』の宮内國郎に変更された。そのため貴重なのはオープニングの宮内の音楽が一瞬入り、また中間部にも少しSEが入る「オープニング~マイティジャックの歌TVサイズ(BGM入り)」が貴重と言えば貴重。その他の冨田作「マイティジャックの歌・TVサイズインストギター入」「進めマイティジャック-上高田少年合唱団、フールサンズ合唱団」「MJの歌-フールサンズ合唱団」は他の『マイティジャック』のCDで聴けるので価値はない。宮内のBGMが計13ブロックに分けて収録されたが冨田ではないので無関係)…(『戦え!マイティジャック ミュージックファイル』(バップ/81117

1969/4/69/28 『どろろ』(CX=虫プロ)TVアニメ

(「どろろ(TVサイズ)」…藤田淑子、「百鬼丸のうた(別ヴァージョン)」…葵公彦、「琵琶法師の唄」…滝口順平、「どろろ(2コーラスカラオケ)」、「オープニング メインテーマ1 (百鬼丸のテーマ)」、「メインテーマ2 (百鬼丸のテーマ)」、「百鬼丸のうた」他BGM69曲収録)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

(「どろろ」…藤田淑子、「百鬼丸のうた」…葵公彦)…『朝日ソノラマ主題歌コレクション4』(東芝EMI/25077/78

(「どろろ(TVサイズ)…藤田淑子」…『21世紀に遺したいアニメソング大全 ミレニアムボックス』(東芝EMI/24381/86

1969/4/770/4/6 『空中都市008』(NHK=竹田人形座)人形劇

(「空中都市008」…中山千夏)…『オリジナル懐かしの人形劇テーマ大全1956-1982』(東芝EMI/9355)、(★「私のふるさと」…松島トモ子、★「アラーム・ロボットのうた」…山崎唯★「バンジョーで踊ろう」)…『空中都市008』(キング/2016

1969/6/14 『新千夜一夜物語』(虫プロ=日本ヘラルド)長編アニメ

(「メイン・タイトル」「エンド・タイトル」「魅惑の夜」「いとしのミリアム」「奴隷泥棒」「ミリアムのテーマ」「カマーキムの金銀財宝」「木馬飛行」「女護ヶ島」「ロブロブ島」「食人鬼」「ロブロブ島対食人鬼」「ジャリスの恋」「ジャリスの竪琴」「美しき都」「ファンファーレ」「象のデキシー」「美女と猫」「踊る機械人形」「花と蝶」「シンドバッドの勝利」「雌ライオンの誘惑」「ジャリスの恋~再会」他冨田指揮のフールサンズ24+ヘルプフル・ソウル15曲で計39曲。)

(※上記が別ヴァージョン収録だったのはいずれもヘルプフル・ソウルだったので特別に記すが★「アルディンのテーマ」★「モーレツ男」の2曲は、前者はAlternate Version、後者はVocal Mix Versionに変わっていた。)LP『新千夜一夜物語』(ビクター/8150

196? 『宇宙家族ロビンソン』外国TV

(「宇宙船ジュピター2号」※ソノシート用の企画ものの歌)…『朝日ソノラマ主題歌コレクション2』(東芝EMI/25073/74

1970/9/15 『クレオパトラ』(虫プロ=日本ヘラルド)長編アニメ

(「クレオパトラの涙」…由紀さおり)…『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5CD5枚組

1973/1/84/2 『恐怖劇場アンバランス』(CX=円谷プロ)TV特撮

(BGM61トラック)…『恐怖劇場アンバランスオリジナルBGM集』(ウルトラヴァイヴ/1142

 

☆主要なTVテーマ曲 ※大河ドラマ、劇場版映画除く

1962/4/97/2 シングル盤★『ふたつの橋』(NHK)ドラマ/★『かわいた夜』(CX肌色の仮面)ドラマ…森サカエ(コロムビア/SA980)※「二つの橋」は1994年の『新日本紀行・富田勲の音楽』(BMGビクター/1525)で大浦みずきの歌でリメイクされている。

19691982/3 『新日本紀行』(NHK)…フールサンズ・セレナーダス

1963/10/71969『新日本紀行(旧テーマ)』

19641971 『現代の映像』(NHK)フールサンズ・セレナーダス

19561978 『教養特集』(NHK

1957/11/101965 『日本の素顔』(NHK

1971 『わたしの人生(オープニング)(エンディング)』(NHK

1957~ 『きょうの料理』(NHK

1967~ 『きょうの健康』(NHK

1967/4/768/10/11 『文五捕物控』(NHK

※『新日本紀行』から『文五捕物控』まで『富田勲NHKテーマ音楽集(新装版)』(日本コロムビア/85246)収録

1966/4/972/3/17 『よくみよう』(NHK教育)

(★「よくみよう」…天地総子)…ソノシート「NHKテーマ音楽」※歌が入っているものがオリジナル。

1969/1/53/30 『プロファイター』(NTV=宝塚)

(「影を追う男」…高城丈二)…『シネマスタアコレクション・アクションスター編』(ユニヴァーサル/6007)・同名シングル盤B面★「ブルーボサノバ」(ポリドール/SDR1410

1970/10/2212/24 『だいこんの花』(NET=ゴールデン劇場)TVドラマ

(★「だいこんの花」…竹脇無我/★「だいこんの花のテーマ」…フィリップス・シンフォニック・オーケストラ)…シングル盤(フィリップス/FS1240

1970-1975 『70年代われらの世界』(NHK教育)

(★「青い地球はだれのもの」…東京少年少女合唱団。※オリジナルはピアノの伴奏に少年合唱団の歌によるシンプルながらドラマティックなヴァージョンだった。シングル盤が出ていたがレコード番号等不明。このシングル盤を冨田は見つけられず、下記のライブを「オリジナル」としている)

1994 「青い地球は誰のもの」…ひばり児童合唱団。…『新日本紀行・富田勲の音楽』(BMGビクター/1525)※フルヴァージョンは、この感動的な大作のコーラスが終わるまでがSingle Editで、その後の小さく1分続く余韻のハーモニーが入ったものがこのフルヴァージョン。冨田作品でも最高峰の出来。

1994 CDシングル「★青い地球は誰のもの(Single Edit)」…ひばり児童合唱団「★青い地球は誰のもの(カラオケ)」…『新日本紀行 冨田勲の世界』)(BMGビクター/BVCD1)。このCDシングルのカラオケも価値が高い。)

2015「青い地球はだれのもの」…NHK東京放送児童合唱団による2003年の再録ライブを、「オリジナル」のかわりに収録した。2015年リリースの『NHKテーマ音楽集(新装版)』(DENON/COCO85246

1972/10/473/9/26 『かあさんの四季』(CX

(「かあさんの四季」…チェリッシュ)…『Our Time:Softrock Drivin’ Extra Tracks』(Solid/1054

1973/10/774/3/31 『唖侍・鬼一法眼』(NTV=勝プロ)TVドラマ

(★「孤独におわれて」…勝新太郎)…シングル盤(東芝EMI/TP2954

1974/4/510/4 『幡随院長兵衛 お待ちなせぇ』(毎日放送=東宝)

(「お若いのお待ちなせェ」…チェイ光星(=チャーリー・コーセイ))…『TV時代劇グレイテストヒット2』(テイチク/25489)(同名シングル盤B面★「泣いたらいいさ」…チェイ光星(東宝レコード/AT1056))

1974/10/375/4/17 『座頭市物語』(CX=勝プロ)TVドラマ

(「おてんとさん」…勝新太郎)…『テレビ時代劇主題歌コレクション』(キング/1038

1994 (「リボンの騎士」…歌:前川陽子、演奏:東京交響楽団。歌は「王女編」。…『新日本紀行・富田勲の音楽』(BMGビクター/1525

1994 (「ジャングル大帝」…演奏:東京交響楽団)…『新日本紀行・富田勲の音楽』(BMGビクター/1525

 

☆ポップスの企画もの

1957 「高原の駅で」…楠トシエ(『ABCホームソング大全』(Solid/1463-/64

1952年から20年間ABCで放送されたオリジナル曲を制作し、それを聴かせるラジオ番組より。

1964 「銀色のバレエ」…高石かつ枝『青春歌謡ゴーゴー①ティーン・ポップス大図鑑』

1965 「君の夢僕の夢」…山田太郎『山田太郎 ゴールデンベスト』(日本クラウン)

1965 「白いボール」…王貞治、本間千代子

※王の日本新記録の55本塁打を記念して作ったシングル盤。『野球ソングス』(日本コロムビア/36066)収録

1966 ★「ぼくの地球」…丹野伸/西六郷少年合唱団 NHK用。シングル盤が出ていた。

1970 ★ EP盤「EXPO’70 東芝IHI館グローバル・ビジョンのためのマルチプル・サウンズ」(EXPO’’70 3-TP-4

(「Sounds Of  Global Vision Theatre In The Air」…読売日本交響楽団、チェイ光星、六文銭、「Sounds Of Under Ground Park Of Light and Water」)…インスト。※大阪万博の東芝館用に富田が作った12分を超えるロック大作、先着数百人のみに配られた非売品で、最もCD化が希望される。

1971/7 ★『坂道の教会』…西郷輝彦(日本クラウン/7016

※アルバム1枚を使って八坂裕子の詩に、富田がメロディを付け、西郷輝彦が歌う。ナレーションの間に14曲の歌が入る。アルバム1枚でひとつのストーリーになっている意欲盤で傑作。CD化が望まれる。

1972.2 ★『駅-最後の四二一列車』…作・朗読:石坂浩二(ワーナー/8006

※石坂浩二のナレーションのバックのBGM

1972 『海軍特別攻撃隊 遺書』(クラウン/50002/3

23人の遺書に富田がクラウン・オーケストラによりBGMを付けたもの。

1973/5 『パーティー』…朱里エイコ(ワーナー/1086

※『坂道の教会』に引き続き、詩を八坂裕子、曲を富田が書き、朱里エイコがナレーションと歌を受け持ったアルバム1枚でひとつの話になっている。『坂道の教会』には曲名を付けていなかったが、本盤ではタイトルが付けられた。

(「はなやいだ夜」「アフリカ象とインド象」「カナッペ、フォアグラ、キャビア」「独りのとき なにかがおこる」「哀しい出逢い」「ディープ・パープルはどこ?」「オフィリアのように」「きまぐれ」「パーティーはおしまい」)

1973/10 「どこまでも駆けてゆきたい」…GARONHK「みんなのうた」用で、2006年の『GARO BOX』(GT Music/981/91)収録)

1985 シングル盤「★すてきなラブ・パワー」…野宮真貴/「★同(インストゥルメンタル」…RVC/85 ※筑波科学万博の電力館の為の書きおろし

2000 『21世紀の伝説史 長嶋茂雄』(メディアファクトリー/657

※長嶋茂雄をイメージして、富田が勇壮な曲を中心に20曲を書き下した。

 

☆サントラとは別録音のレコード

1966 『ジャングル大帝ヒットパレード』(日本コロムビア)TVと同じ歌手を出来るだけ起用し、ステレオで再録音したアルバム。「ジャングル大帝」と「レオのうた」はシングルで使われたシングル・ヴァージョン。「砂漠の嵐」は新曲。

(「ジャングル大帝」…三浦弘、「砂漠の嵐」…コロムビア合唱団、「フンワカワーマーチ」…中山千夏、「ジャングル工事」…弘田三枝子、「星になったママ」…真理ヨシコ、ふくろうの子守唄」「ブラック・フォア」…ボーカルショップ、「アイウエオ・マンボ」…弘田三枝子、「ライヤのうた」…真理ヨシコ、「サル忍者」…熊倉一雄、「三匹の死神」…世良明芳、「たまごの赤ちゃん」…弘田三枝子、「ディックとボウ」…川久保潔、熊倉一雄、「ぼくに力をおとうさん」「レオのうた」…弘田三枝子)

1966 『こどものための交響詩ジャングル大帝』(日本コロムビア/31629

※日本フィルハーモニー交響楽団と日本合唱協会によるオーケストラヴァージョン

 

☆主要な非売品CM

196? ★「スズキスーパーミニの唄ファッションバイク」…ヴァイオレッツ。ソノシートで鈴木自動車工業株式会社製

1963 ★「三菱電機テーマソング」…ダークダックス

196? ★コロムビアCMソング

1970 ★ホンダ1300クーペCM

1972 ★高島屋ローゼンタールCM

 

(作成:佐野邦彦)




☆Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第9回:荒井由実―松任谷由実

$
0
0

日本のミュージシャンで真の天才と確信しているのは3人だけだ。山下達郎、大滝詠一、そして今回特集する松任谷由実で、この3人の作曲センスは、他の日本のミュージシャンとは比較にならないほど凌駕していて、なおかつその才能が40年以上も維持されているという奇跡のミュージシャン達なのだ。ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー&キース・リチャーズ、ピート・タウンゼンド、レイ・デーヴィス、間に長い休みはあったがブライアン・ウィルソンもギリギリ入れておくとして、こういう海外のレジェンドと、この3人は実力で肩を並べられる。さてユーミンだ。荒井由実から松任谷由実に結婚で名前が変わるので、誰もが呼ぶユーミンでこれから統一させてもらう。ユーミンの凄いのは、1973年のデビューから2006年までの34年間、毎年、全曲オリジナルのアルバムを作り続けてきた創作意欲が凄すぎる。山下達郎はブレイクした1980年の『Ride On Time』がオリコン1位になって以来、賓作のために洋楽カバー集、ライブを除くと9作しかなく計10作で1位は8枚、2位が2枚だ。ところがユーミンにはアレンジャーに夫の松任谷正隆がいるという援軍がいる違いがあるが、1973年のデビューから最新作までライブを除いてなんとアルバムを39枚、内19枚が1位で残りも全てトップ10入りと言う圧倒的な成績を収めている。大滝詠一は山下よりさらに賓作で数字面では比較にならない。要はこの3人の中で、ヒットを生み出す力はユーミンが圧倒している。彼女の書く歌を聴いていて、どこからこのメロディが出てくるのか、どうしてこんな他のミュージシャンには考え付かないコードを選らべ、こういう展開に持って行けるのか、長く聴けば聴いているほど、ユーミンの尽きない才能に驚き続けている。ユーミンのデビューは1973年のアルバム『ひこうき雲』だが、個人的にはこのアルバムから1974年『MISSLIM(ミスリム)』、1975年の『COBALT HOUR』、1976年の『The 14th Moon(14番目の月)』というデビュー4作目までが一番好きだ。そう荒井由実だった時だ。この頃は、まだアレンジがシンプルで、エレクトリック・ピアノのバッキングが中心でメロディと曲作りの良さが最も直接感じられるからだ。『ひこうき雲』の「きっと言える」を最初に聴いた時に、こんな凄い曲を書ける天才がいたんだと瞬時に心を奪われた。転調に次ぐ転調、そしてさらにそれが上昇に次ぐ上昇で転調を繰り返し、キーは裏声まで上がったところでサックスの間奏で元へ戻す。今までどんな作曲家でもこんな斬新な曲を聴いた事が無かった。続く「ベルベットイースター」は、哀調に帯びた素敵な歌いだしが、ドラマティックなサビで「空がとっても低い 天使が降りてきそうなほどの 一番好きな季節 いつもと違う日曜日なの」の謎めいた歌詞と展開の見事さに心を奪われた。ユーミンの歌詞の能力はやはりこの3人の中では段違いで上で、普段歌詞に注意を払わない自分もユーミンの歌詞は耳に入る。大滝詠一と組む松本隆は、ユーミンとは逆の意味でどれだけリアリティのない世界を書くか興味があるが(笑)『MISSLIM(ミスリム)』では、やはり「やさしさに包まれたなら(Album Version)」だろう。『魔女の宅急便』でもう知らない人などいない超名曲だ。聴いただけで気持ちが優しくなり、目の前に木漏れ日が見えてくるようなこの爽やかさは、他に匹敵するのはグレン・キャンベルの「Gentle On My Mind」ぐらい。朝一で聴くとその日が幸せに思える1曲だ。「瞳を閉じて」は当時の「オールナイトニッポン」で長崎の離島の女子高生が校歌を作って欲しいという依頼にユーミンが応えて作ったもの。ゆったりとしたメロディと海と島の情景が感じられる歌詞。校歌という歌詞ではないので今や島全体の愛唱歌として島を去る船の中では必ずかかるというから素敵なエピソードだ。爽やかな「12月の雨」はコーラスが素晴らしい。調べると山下達郎を中心に大貫妙子、村松邦男の3人で、そうシュガー・ベイブなのだ。この時代はユーミン、山下、大滝はお互いのレコーディングに参加しているというのだから夢のよう。山下達郎はコーラスアレンジを自分にまかせることを条件に以降のアルバムのコーラスアレンジを担当、1979年の6枚目のアルバム『Olive』まで参加していた。そして1975年の『COBALT HOUR』は、サウンドがバラエティに富んだ作りになり、ユーミンの最初のヒットになるオールディーズタッチのダンスナンバー「ルージュの伝言」など、確実に進化していた。その中、前2作の雰囲気を残す快作がバラードの「卒業写真」だ。1976年には荒井由実としての最後のアルバム『The 14th Moon(14番目の月)』をリリースする。ここにはユーミンの曲の中でもベスト5に入る大傑作「中央フリーウェイ」が収録されている。この軽妙なメロディとサウンドの中に描かれている中央高速の風景「右に見える競馬場 左にビール工場 この道はまるで滑走路 夜空に続く」の部分は特に秀逸だ。ユーミンが住んでいた八王子、八王子に住んでいる多くの人達は、自分達の事を歌っているとみな思いながら車を走らせていたそうだ。この曲はユーミンがかまやつひろしのために書いた曲で、当時のユーミン、かまやつ+バックのティン・パン・アレイでのTV番組『セブンスターショー』では、かまやつがリード・ヴォーカルを取っていた。スパイダース・ファンの私だが、この曲はかまやつ用ではもったいない。その後かまやつはもうこの曲を歌わなかったのだが、賢明に手を引いたのだろう。ポップでビートも効いていて高揚感もある「天気雨」も傑作だ。この4枚目もサウンドはラテンもあるし、サウンドに厚みが増している。197612月にアレンジャーの松任谷正隆と結婚し、名前を松任谷由実にして、裏方に退く気持ちもあったそうだが、1978年の『孔雀』から活動を再開する。ここからはサウンドが荒井由実時代とは大きく変わり、曲によって自在なサウンドを付け、今も変わらないユーミン・サウンドの分岐点になったように思う。このアルバムには後に「孔雀―暁のシュプール」にリアレンジされたスキーを代表する曲。ユーミンらしいのは「ハルジョオンヒメジョオン」。この1978年から1983年までは年2枚新譜をリリースというもの凄い創作活動が始まった。同年の『流線形’80』では山下達郎のコーラスが「真冬のサーファー」で印象に残るが、曲はキャッチーでポップな「入江の午後3時」がベスト。しかしユーミンのアルバムは全てトップ10入りなのにシングルは1976年の「あの日に帰りたい」がいきなり1位になった後は、80位台とか、シングルリリースに熱心ではなかった。顕著なのは1980年の『SURF & SNOW』収録の「恋人はサンタクロース」をシングルカットしていないのだ!ポップなキャッチーなメロディとサウンド、ユーミンにしか書けない最高の歌詞の名曲で1位は確実のこの曲をアルバムのみにしておくとは…。この潮目が変わったのが1981年の『昨晩お会いしましょう』収録の「守ってあげたい」で角川映画の『狙われた学園』テーマソングでオリコン2位を獲得する。するとユーミンのもとには様々な主題歌やタイアップソングの依頼も舞い込み、このアルバムから1995年の『KATHMANDO』まで15年間17枚連続でアルバムチャート1位と言う黄金期を迎える。シングルも14曲も含めトップ10入りは確実と、レジェンドになった。今でも女性ミュージシャンの頂点に立つのはユーミンで、昨年のアルバム『宇宙図書館』が1位と、実力も人気も健在だ。

 

★荒井由実~松任谷由実

☆オリジナル・アルバム

1973 『ひこうき雲』(Express)※下記『Yumi Arai 1972-1976BOX収録。9位。

1974 『MISSLIM(ミスリム)』(Express)※下記『Yumi Arai 1972-1976BOX収録。8位。

1975 『COBALT HOUR』(Express)※下記『Yumi Arai 1972-1976BOX収録。2位。

1976 『The 14thMoon(14番目の月)』(Express)※下記『Yumi Arai 1972-1976BOX収録1位。

1978 『紅雀(べにすずめ)』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。2位。

1978 『流線形’80』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。4位。

1979 『OLIVE』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。5

1979 『悲しいほどお天気(The Gallery in My Heart)』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。6位。

1980 『時のないホテル』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。3位。

1980 『SURF & SNOW』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。7位。

1981 『水の中のASIAへ』(Express)(12インチEP)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。9位。

1981 『昨晩お会いしましょう』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1982 『PEARL PIERCE』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1983 『REINCARNATION』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1983 『VOYAGER』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1984 『NO SIDE』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1985 『DADIDA』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1986 『Yuming VISUALIVE DADIDA(Express)Live Album1位。

1986 『ALARM a la mode』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1987 『ダイアモンドダストが消えぬ間に』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1988 『Delight Slight Light KISS』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1989 『LOVE WARS』(Express)※下記『Yumi Matsutoya 1978-1989BOX収録。1位。

1990 『天国のドア(The Gates Of Heaven)』(Express1

1991 『Dawn Purple』(Express1

1992 『Teas And Reasons』(Express1

1993 『U-miz(ユー・ミッズ)』(Express1

1994 『THE DANCING SUN』(Express1

1995 『KATHMANDO(カトマンドゥ)』(Express1

1996 『Youmi Arai The Concert with old Frirnds(Express)Live Album5

1997 『Cowgirl Dreamin’』(Express1

1997 『スユアの波(WAVE OF THE ZUVUYA)』(Express2

1999 『FROZEN ROSES』(Express3

2001  acacia』(Express3

2002 『Winds Of Winter,Shades Of Summer』(Express2

2003 『Yuming Compositions:FACES』(Express)※全曲提供曲を含むセルフカバー。初回プレス限定で「オーシャン・ブルー(Blue Version)」収録。3位。

2004 『VIVA! 6×7』(Express)※「太陽の逃亡者」は田島貴男とのデュエット。5位。

2006 『A Girl In Summer』(Capitol3

2009 『そしてもう一度夢見るだろう』(Capitol)※「黄色いロールスロイス」は加藤和彦とのデュエット。4

2011 『Road Show』(Capitol2

2013 『POP CLASSICO』(Capitol2

2016 『宇宙図書館』(EMI Records Japan1

 

☆必要なベスト・アルバム

※ユーミンのベストアルバムの多くは

1998 『Neue Musik』(Express)※1984年のアルバム未収録シングル「VOYAGER~日付のない墓標」(20th)と、再結成したティン・パン・アレーとの新曲「groove in retro」「愛は…I can’t wait for you.anymore」、さらに初回プレス限定で松任谷正隆がピアノで参加しテンポが若干遅い「卒業写真(Special track)」収録。1位。

1999 『Yumi Matsutoya 1978-1989BOXExpress)※5枚目から21枚目までのアルバムCD17枚組。85位。

2001 『sweet,bitter sweetYUMING BALLAD BEST』(Express)※1977年のアルバム未収録シングル「潮風にちぎれて」(8th)と、1977年シングル「遠い旅路」(9 th)B面曲「ナビゲイター」収録。2001作となるが新曲の「One More Kiss」と初回プレス限定で小野リサがギター&コーラスを担当したボサ・ノヴァ・ヴァージョンの「あの日にかえりたい(acoustic version)」収録。1位。

2004 『Yumi Arai 1972-1976BOXExpress)※荒井由実時代の4枚目までのアルバムに7枚目までのシングル集を収録。アルバムとは別テイクのSingle Versionで収録されたのは1972年の1stシングル「返事はいらない(Single Version)」「空と海の輝きに向けて(Single Version)」と1974年の3rdシングル「やさしさに包まれたなら(Single Version)」だった。39位。

2007 『SEASONS COLOURS-秋冬選曲集-』(Express)※1980年のアルバム未収録シングル「星のルージュリアン」(16th)と初回プレス限定で「あの日にかえりたい(CM Version)」収録。3位。

2015 『日本の恋と、ユーミンと。(-GOLD DISC EDITION-)』(EMI Records Japan)※2012年にリリースされたGold…でない通常盤には、プロコル・ハルムのバッキングで共演した「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」が目玉だったが、100万枚出荷記念のために2015年リリースのこのヴァージョンには「気づかず過ぎた初恋(Extra Winter Version」も追加収録した。ただし通常版初回プレス限定のDVD(「翳りゆく部屋」のPV収録)はない。1位。

(参考:ベスト盤では1976 『YUMING BRAND』(Express1位、1977年 『ALBUM12位、2007 『SEASONS COLOURS-春夏選曲集-』(Express6位が他にある。)

 

☆必要なコンピレーション・アルバム

1987 『Yuming Singles 1972-1976』(アルファ)※1976年の7th「翳りゆく部屋(Single Mix)」収録。

1988 Various『抱きしめたい』(東芝EMI)※高中正義&松任谷由実の「ノルウェーの森」収録。

1997 『時をかける少女(オリジナル・サウンドトラック)』(アルファ)※「時のカンツォーネ(映画ヴァージョン)」「夢の中で~we are not alone,forever(映画ヴァージョン)」収録。

2004 『YOSUI TRIBUTE』(フォーライフ)※「とまどうペリカン」収録。井上陽水のカバー。

2011 『ISETAN Songs Collection 1972-1986(ソニー)1976年の伊勢丹のCMでは「避暑地の出来事」のサビの部分だけ3コーラス分「You are my sunshine」のタイトルで録音され、3コーラス目の歌詞はアルバムでは使われなかった。

2012 『紅色ほたる~永遠の夏休み~(オリジナル・サウンドトラック)』(EMIミュージックジャパン)※「愛と遠い日の未来へ(映画ヴァージョン)」収録。

 

☆シングルのみ(配信のみと曲とは言えないCMは除く)

1977 「消灯飛行」…8thシングル「潮風にちぎれて」(Express)のB面。アルバム未収録。

1977 「遠い旅路」…9thシングル。(Express)アルバム未収録。

1978  「入り江の午後3時(Single Mix)」/「静かなまぼろし(Single Mix)」…11thシングル。(ExpressSingle Mix[アルバム未収録。

1980 「ESPER(Single Version)/よそゆき顔で(Single Mix)」…14thシングル。(ExpressSingle VersionMixアルバム未収録。

1980 「白日夢・DAY DREAM」…15thシングル。(Express)アルバム未収録。

1983 「ダンデライオン~遅咲きのタンポポ(Single Mix/時をかける少女(Single Mix)」…19thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1985 「メトロポリスの片隅で(Single Mix/パジャマにレインコート(Single Mix)」…21thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1987 「SWEET DREAMS(Single Mix)/SATURDAY NIGHT ZOMBIES(Single Mix) 」…22thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1989 「ANNIVERSARY~無限にCALLING YOUSingle Mix/ホームワーク(Single Mix)」…23thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1993 「真夏の夜の夢(Single Mix/風のスケッチ」…24thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。「風にスケッチ」アルバム未収録。

1994 「Hello.my friend(Single Mix)/Good-bye friend(Single Mix)」…25thシングル。Single Mixアルバム未収録。

1994 「春よ、来い(Single Mix)」…26thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1995 「輪舞曲(ロンド)(Single Mix)/Midnight Scarecrow(Single Mix)」…27thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1996 「まちぶせ(Single Mix)」…28thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1996 「最後の嘘(Single Mix/忘れかけたあなたへのメリークリスマス(Single Mix)」…29thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

1997 「Sunny day Holiday(Single Mix)」…31thシングル。(ExpressSingle Mixアルバム未収録。

2000 「PARTNERSHIPSingle Version/So long long ago(Single Mix)」…33thシングル。(ExpressSingle Version, Mixアルバム未収録。

2005 「ついていくわ(Single Version/あなたに届くように(Single Version)」…37thシングル。(ExpressSingle Versionはアルバム収録のものと歌詞が違う。特に後者は父娘の歌がアルバムでは恋人の歌に変わっている

2006 「Smile Again(松任谷由実with Friends Of Love The Earth)」…38thシングル「虹の下のどしゃ降りで」のB面。(Capitol)ユーミンの単独のYuming Versionはアルバム『A Girl In Summer』にされたが、こちらはアジア4人のミュージシャンとのコラボ。後半に登場する。 

2007 「Au Nom de la Rose」…39thシングル「人魚姫の夢」のB面。(Capitol)松任谷正隆作曲のインスト。『そしてもう一度夢見るだろう』収録の「人魚姫の夢」はこのシングルよりエンディングが20秒程度長い。

2010 「ダンスのように抱き寄せたい(Single Mix)/バトンリレー(Single Mix)」…40thシングル。(CapitolSingle Mixアルバム未収録。

2012 「恋をリリース」…41thシングル(Capitol)。アルバム未収録。

 

☆必要な共演作品(配信のみは除く)

1985 「今だから/今だから(another version)」(松任谷由実・小田和正・財津和夫と共作)…松任谷由美・小田和正・財津和夫。未CD化。(Express/ファンハウス)

1988 Various『抱きしめたい』(東芝EMI)※高中正義&松任谷由実の「ノルウェーの森」収録。

1992 「愛のWAVE/浪漫の伝言」(松任谷由実・カールスモーキー石井と共作)…カールスモーキー石井&松任谷由美(東芝EMI/ソニー)

1993 「今、僕たちにできること」…オールナイトニッポン・パーソナリティ(ヴォーカルで一部参加)(ポニーキャニオン)

2000 「Millennium」(作詞・作曲:松任谷由実)…Yuming & Black Biscuts(東芝EMI/Express)※松任谷由実とBlack Biscutsの共演

2006 「Cappuccino」(作詞:松任谷由実)…Hiroshi Fujiwara feat.Eric Clapton(ビクター)※藤原ヒロシとエリック・クラプトンの伴奏で、ヴォーカルは松任谷由実。

2006 「STILL CRAZY for YOU」(作詞・作曲:松任谷由実)…クレイジー・キャッツwith TumingCapitol/東芝EMI)※谷啓と松任谷由実のデュエット。この曲はクレイジー・キャッツのベスト盤にも収録されているが、シングルの「STILL CRAZY for YOU(カラオケwith Yuming)」はこれのみ。

2006 「Knockin’ At The Door」…Friends Of Love The Earth Projectのシングル。(Aritimage)※シンガポール、中国、韓国4人のユニット。All Star、日本語、韓国語、英語のVersionが収録され、英語以外には日本語の女性ヴォーカルのパートがあるのでここで松任谷由実が歌っていると思われる。

2007 「ミュージック」(作詞:松任谷由実・寺岡呼人・ゆず・桜井和寿/作曲:松任谷由実)Golden Circle feat.寺岡呼人・松任谷由美・ゆず(トイズ・ファクトリー)※松任谷由  実と寺岡呼人・ゆずとのデュエット。

2008 「記念日」(作詞:呉田軽穂・Soulja/作曲:呉田軽穂)home(作詞・作曲:呉田軽穂・Soulja)SouljaMisslimDef Jam Japan)。※Misslimと呉田軽穂は松任谷由実のこと。Souljaと共演。

2009 「シャツを洗えば」(作詞に参加)…くるりとユーミン(宝島社)※書籍を付属にしたシングル。くるりと共演。

 

☆プロモ盤のみのミックス

1977 「潮風にちぎれて(Rough Mix)」(PRT1203)※7インチ。ラベルにRough Mixのスタンプが押してある。ヴォーカルが別テイクで、サビの後の「吹きすさぶ潮風に…」以降がダブル・トラックではなくシングルのまま。

1993 「紅雀~暁のシュプール」(PCDZ1203)※「紅雀」のフルヴァージョンでイントロが長くエンディングもコーラスが入るなど計40秒長い。1993年にアルペンスキー世界選手権盛岡雫石大会テーマソングとして配られた。

1995 「命の花(Full Version)」(PCD0560)※エンディングの熊谷幸子のコーラスがない。

2005 「ついていくわ(Rough Mix)」(PCD3089)※Full VersionSingleともAlbumとも歌詞が違う。

 

◎参考:シングルチャート(重要曲をシングルカットしない上に、未だにCD化されない曲や、一部のベスト盤アルバムのみで聴けるなど、シングル自体にはあまり重きを置いていない印象だ)

1972 「返事はいらない」1st1973 「きっと言える」2nd1974 「やさしさに包まれたなら」3rd。「12月の雨」4th1975 「ルージュの伝言」5th45位。1976「あの日に帰りたい」6th1位。「翳りゆく部屋」7th10位。1977 「潮風にちぎれて」8th31位。「遠い旅路」9th38位。1978 「ハルジョオンヒメジョオン」10th80位。「入り江の午後3時」11th88位。「埠頭を渡る風」12th71位。1979 「帰愁」13th89位。1980 「ESPER14th77位。「白昼夢・DAY BREAK15th44位。「星のルージュリアン」16th46位。1981 「守ってあげたい」17th2位。「夕闇をひとり」18th48位。1983 「ダンデライオン」19th9位。1984 「VOYAGER~日付のない墓標」20th9位。1985 「今だから」…松任谷由実・小田和正・財津和夫名義…1位。「メトロポリスの片隅で」21th8位。1987 「SWEET DREAMS22th7位。1989 「Anniversary~無限にCALLING YOU23th2位。1992 「愛のWAVE」…松任谷由実・カールスモーキー石井名義…1位。1993 「真夏の夜の夢」24th1位。1994 「Hello my friend25th1位。「春よ来い」26th1位。1995 「輪舞曲」27th2位。1996 「まちぶせ」28th5位。「最後の嘘」29th4位。1997 「告白」30th10位。「Sunny day Holiday31th10位。1999 「Lost Highway32th20位。2000 「PARTNERSHIP33th18位。2001 「幸せになるために」34th6位。「7TRUTH 7LIES ヴァージンロードの彼方で」35th16位。2003 「雪月花」36th59位。2005 「ついてゆくわ」37th13位。 2006 「虹の下のどしゃ降りで」38th22位。2007 「ミュージック」……Golden Circle feat.寺岡呼人・松任谷由美・ゆず名義。1位。「人魚姫の夢」39th19位。2010 「ダンスのように抱き寄せたい/バトンリレー」40th15位。2012 「恋をリリース」41th34位。

 

(作成:佐野邦彦)

 



☆Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第10回:大滝詠一(はっぴいえんど含む)

$
0
0


さて、いよいよオオトリの大滝詠一の全音源リストの紹介である。山下達郎・大滝詠一のどちらにしようかと思ったが、やはり実績からいっても今回が大滝、オーラスは山下が順当だろう。大滝に関してはナイアガラの信者が山ほどいて、様々な本も出ているので、リストは新鮮味に欠けるだろうが、音源コレクターの私なので、実際に聴いて違いがあるものを全て分かるようにリスト化した。レア盤かどうかは関係ない。大滝の場合、亡くなった後にレア盤のCD化が続き、今までのウルトラ・レア盤もみな聴けるようになったのは、嬉しい限り。アナログでしか聴けないものはごく僅かになった。私は「ナイアガラ派」ではなく「ロンバケ派」なので、大滝のソフトなヴェルヴェット・ヴォイス、大滝の書く転調を駆使した高度で美しいメロディ、そしてそれを膨らませせる極上のサウンド作り…「オリーブの午后」「ペパーミント・ブルー」を聴くと、日本のポップ・ミュージックの頂点はこれだ!と確信できる。ここで頂点を迎えた大滝は、フィル・スペクターをあやかったのか、以降、アルバムは作らず、シングル2枚リリースしただけでリタイアしてしまった。しかもそのシングルは長い大滝のキャリアの中で初めてオリコンのトップ10入りした2枚で、シングルチャート上で一番の成功を収め、まさに最盛期を選んで引退した大滝はレジェンドのままだ。以降は自分の音源を10年単位で整理してはAnniversary Editionを出して、リスナーはその細かな違いに驚愕し、そこに注目するとより楽しめるという無限ループにハマっていった。年に1回程度の「便り」だったが、十分だった。私は音源コレクターなのであの『Snow Time』も、大滝本人がプロモで限定200枚作ったLPを当時なんとか入手したが、リイシューされたのでもう処分してしまった今は無い。処分すれば他に大量のCDが入手できる。まだ資金不足の若い頃は、BeatlesBeach Boys以外は、CD化されればレア盤、プロモは処分していた。大滝詠一は何といっても『A Long Vacation』、これが最高の衝撃だった。まさに、完璧な自分の好みのサウンドとメロディ、そして歌声。『A Long Vacation』『Niagara Triangle Vol.2』『Each Time』の3枚は全ての邦楽の最へヴィ・ローテーション、私と違ってロックやポップスに興味のないクラシック好きの妻ももこの時期の大滝は絶賛している。これが自分の大滝のコアなので、他のナイアガラ・ファンと違って、真に好きなのは「ロンバケ」以降で、その前のアルバムでも「ロンバケ風」サウンドの曲やメロディアスな曲(「Blue Valentine’s Day」など)を追い求めるので、コアなナイアガラ・ファンの方とはあまり話が合わない。ナイアガラ時代の大滝の曲に対する細かい引き出しやこだわりは、自分も相当詳しい?音楽ファンなのでよくわかるが、こだわりの凄さはわかっても、『Let’s Ondo Again』みたいな音頭もの、伝統邦楽との融合は特に苦手。哀愁のエレキ・インストもいらないわー。それならスプートニクスを聴くし。「ナイアガラ音頭」を聴いた時も苦手だった。ここから発展したのがビギンの「オモトタケオ」シリーズなのだが、ビギンの曲の方がずっと好きだ。ということで大滝詠一マニアの中では自分は異端なのかもしれない。そのためか、全てコレクティングしているはっぴいえんども、他のナイアガラ・ファン程の思い入れがない。この時代のポップ&ロック・グループで、シュガー・ベイブが飛び切り好きで、はっぴいえんどは大滝がいるのでコレクティングしたが、ティン・パン・アレー、YMOは持っていない。細野晴臣や坂本龍一の作る曲には興味が持てないのだが、このあたりはナイアガラ・ファンには好きな人が多いようで、だからといって共通認識を持つ気はまったくない。ともかく大滝詠一は大好き。ナイアガラ時代やはっぴいえんど時代も好きな曲は多くあるのだが、このようにコンプリートを目指してコレクティングしてきた結果、「ロンバケ」以降の方が圧倒的に好きというだけだ。山下さんにインタビューした時に大滝の話は、褒め言葉になるだけなので話題にしなかったが、当時、飛ぶ鳥を落とす人気だった坂本龍一に興味が持てない自分はつい、どうですか?って聞いてしまったが、山下さんが「アレンジとかいいんだけど、曲がつまらない」と言ってくれた時には、思わず膝を叩きたくなってしまったほど。やっぱりねって感じで。それでは話がそれたので大滝詠一のコレクティングのガイドを紹介しよう。

 

★大滝 詠一

☆オリジナル・アルバム

※リストは、最初の1枚のアルバムの年代で管理し、その後に20周年版、30周年版、40周年版などと並べていく形式なので、実際のリリース年別ではない。<br />

1972 『大滝詠一(Special Edition)1997 Reissue(ソニー)※+10曲。ボーナストラックは「恋の汽車ポッポ [Single Version]」「それはぼくぢゃないよ [Single Version]」「空飛ぶくじら [Single Version]」「五月雨 [Single Version]」「空飛ぶくじら [Piano Intro Version]」「それはぼくぢゃないよ [Album Mix]」「びんぼう [Himadarake Version]」「ウララカ [Intro Drums Version]」「おもい [UNDUBBED VERSION: TAKE1&2]」「いかすぜ! この恋 [Casette Version]」。75位。ちなみに「恋の汽車ポッポ第1部」とはシングルのこと。

1975 『Niagara Moon(20th Anniversary Edition)1995 Reissue(ソニー)※ボーナストラックはスタジオライブの「福生ストラット(PartⅡ)」「あの娘に御用心」「楽しい夜更かし」「ハンド・クラッピング・ルンバ」「恋はメレンゲ」を収録。他『Debut』の「Niagara Moon」。77位。

1975 『Niagara Moon(30th Anniversary Edition)2005 Reissue(ソニー)※ボーナストラックは未発表ヴァージョンの「三文ソング(1st Version)」「三文ソング (2nd Version)」「論寒牛男」「ロックン・ロール・マーチ (Take 1) (Take 2)」「ハンド・クラッピング・ルンバ」「恋はメレンゲ」「福生ストラット (パートII)」「シャックリ・ママさん」「楽しい夜更し」「いつも夢中」「朝からゴキゲン」「ジダンダ (Unissued)」「夜の散歩道」「NIAGARA MOON」収録。

1975 『Niagara Moon(40th Anniversary Edition)2015 Reissue(ソニー)※アルバム自体が1995年に大滝がリミックスして曲順から大幅に編集し直したもののボツにした1995年リミックス『Niagara Moon ’95 Mix Version』が初登場。冒頭の「Niagara Moon」がない、「サイダー」が「Cider '75」だけ、「ロックン・ロール・マーチ」「恋はメレンゲ」「ハンド・クラッピング・ルンバ」「ナイアガラ・ムーンがまた輝けば」が別テイク、歌詞も一部違う「楽しい夜更かし」など別物だ。ディスク2には1977620日の「ナイアガラ・ファースト・ツアー」からライブの「ナイアガラ・ムーンがまた輝けば [Live]」「三文ソング [Live]」「論寒牛男 [Live]」「いつも夢中 [Live]」「楽しい夜更し [Live]」「シャックリ・ママさん [Live]」「ハンド・クラッピング・ルンバ [Live]」「福生ストラット (パートII) [Live]」の8曲、に加えこれも初登場の当時のアーリーミックスに大滝の軽い歌が入ったDemonstration Rough Mix Versionで「恋はメレンゲ<Demonstration Rough Mix version>」「三文ソング<Demonstration Rough Mix version>」「楽しい夜更し<Demonstration Rough Mix version>」「ハンド・クラッピング・ルンバ<Demonstration Rough Mix version>」「ジダンダ<Demonstration Rough Mix version>」「ロックン・ロール・マーチ<Demonstration Rough Mix version>」「シャックリ・ママさん<Demonstration Rough Mix version>」「夜の散歩道<Demonstration Rough Mix version>」「福生ストラット (パートII) <Demonstration Rough Mix version>」「論寒牛男 <Demonstration Rough Mix version>」「お先にどうぞ<Demonstration Rough Mix version>」と「Niagara Moon Strings <Demonstration Rough Mix version>」「Niagara Moon Strings Again <Demonstration Rough Mix version>」を収録。ストリングスは76224日に録音され坂本龍一初のストリングスアレンジ。かまやつひろしのために書いた「お先にどうぞ」のデモは初。

1976 大滝詠一:山下達郎:伊藤銀次『Niagara Triangle Vol.1(30th Anniversary Edition)2006 Reissue(ソニー)※ボーナス・トラックは3人が交互にリード・ヴォーカルを取る「幸せにさよなら(Single Version)Mono)」も収録。「ドリーミング・デイ(Single Version)(Mono)」、カラオケの「あなたが歌うナイアガラ音頭(Single Version)(Mono)」に、伊藤の「ココナッツホリデイ’76」はオリジナルと同じフェイド・アウトしない7分と長尺の伊藤の「ココナッツホリデイ’76」の長尺と、この曲のお囃子をほぼ収録したボーナスの「ココナッツホリデイ3日目」も収録。キーマンの大滝詠一だが、彼自身の歌は「夜明け前の浜辺」だけでインストの「Fussa Strut Part.2+布施の「ナイアガラ音頭」3曲が担当。ボーナスの「幸せにさよなら(Single Version)Mono)」はリードが交互なので大滝のパートも聴こえる。(オリジナルだと伊藤の歌)。29位。

1976 『Go! Go! Niagara (20th Anniversary Edition)1996 Reissue(ソニー)※。2006年版に収録されたオリジナルの1976年版、1986年版、そして1996年版との違いは下記の1986年版を参照のこと。96年版はボーナス・トラック4曲追加。「土曜の夜の恋人に(MONOSTEREO)」、「ニコニコ笑って(LIVE)」、「あの娘にご用心’78」「Cobra Twist( ’81 Mix)」。76

1976 『Go! Go! Niagara (1986 Remix)1986 Reissue(ソニー)※1986年リリースの『Niagara Black BookⅠ(Box Set)』のみ収録のものは、大滝の意向で大きく編集が違う。「Go!Go!Niagaraのテーマ~Dr.Kaplan’s Office」の86年版は冒頭の球場のSEをカット。「こんな時あの娘がいてくれたらなあ」の76年版は最後に「あのーサイドワン終わったんですけど」のナレーションが入るが曲は358秒までだった。96年版は短いのみ。86年版のみ410秒まで曲が続く。「ジングル:ベースボール」は86年版のみギターソロが続くため76年版・96年版より12秒長い。「ジングル:土曜の夜の恋人に」の86年版は最後の大滝の語りをカットしたので76年版・96年版より14秒短い。「針切り男」は96年版は76年版より23秒長く、86年版は逆に9秒長い。「Cobra Twist」の86年版のみ12秒長く続いてコーラスで終止する。「再びGo!Go!Niagaraのテーマ」は、96年版は76年版に比べ演奏が短く1分54秒短い。86年版も113秒短いが、最後に「あのー終わったんですけど」のナレーションが入っている。

1976 『Go! Go! Niagara (30th Anniversary Edition)2006 Reissue(ソニー)※オリジナルマスターの『'76オリジナルマスター(76年版)』丸ごとと、『'96リミックス(96年版)』を1枚にして、最後に「土曜の夜の恋人に(スペシャル・リミックス・ヴァージョン)」を加えたもの。

1977 『Niagara CM Special Vol.1』(コロムビア)※2011年の『Niagara CD BookⅠ(Box Set)』(ソニー)で丸ごとリイシュー。「Cider’73 B TypeC Type」「ジーガム(Audition)」「土曜の夜の恋人は(Mono Mix.Single Vocal)」「土曜の夜の恋人は(Version 2.Backing Track Stereo Mix Double Vocal)」はこれのみ。34トラック。31位。

1981 『Niagara CM Special Vol.1 2nd Issue』(CBSソニー)※1986年の『Niagara CD Book Ⅰ(Box Set)』(CBSソニー)で丸ごとリイシュー。前述の3トラック落としてMonoの「タマゴ」「スメランド」「MG5」「レモンのキッス」「ハウスプリン」「出前一丁」とStereoの「オシャレさん」「大関」「Big John A Type 15-30」「Big John B Type 15-30」を追加、当時は初登場だった。

1983  NIAGARA CM SPECIAL Special Issue(ソニー)※1と2から抜粋して、さらにその後の音源をプラスしたもの。抜粋でも別テイクに差しかえられているものもある。他でも聴けるが、ロンバケサウンドの「Cider ‘83」「出前一丁」「オシャレさん」、「CM Special Vol.2」などが聴きもの。

1995  Niagara CM Special(ソニー)※『NIAGARA CM SPECIAL Special Issue』とほぼ同じだが『Vol.1 2ndIssue』の「ドレッサーⅢ」が入るなど若干内容・曲順が違う。<br />

2007 『Niagara CM Special Vol.1 3rd Issue(30thAnniversary Edition)』(ソニー)※「Vol.1」の3rdということで「Vol.2」の1979年以降の作品は意識的に外して、「Vol.1」時代の未発表トラックを多く発掘して入れた。大滝が歌ったもののボツになった別テイクの「ハウスプリン(Demo)」、本CDの個人的なハイライトの「サイダー79(サンシャインガール)」はParadeの「Sunshine Girl」をアレンジしたものでなかなか爽やか。「ドレッサーⅢ」にはアン・ルイスのヴォーカル入りが収録できた。特に注目はFussa Demoとカテゴライズされたホームデモで「Cider 73 (A TYPE)」「Cider 73 (NO.1)」「Cider 73 (You & Me)」「Cider 73 (B TYPE)」「Cider 74 (ON DEMO)」「Cider 74 (FUSSA DEMO)」「サントリー・オールド」「スパイス・ソング」は十分楽しめ70トラック収録。

1983 『Niagara CM Special Vol.2』(CBSソニー)※2015年の『Niagara CD Book Ⅱ(Box Set)』で丸ごとCD化された。曲名はクレジットされていないが冒頭の9秒「NIAGARA CM Special Theme」と、「A面で恋をして」の3ヴァージョン「(Narration)」「(A Cappella)」「(Track Only)」、さらに『A Long Vacation』のCM用の「Spot Special」「Instrumental Special」の6トラックが初。

1977 『多羅尾伴内楽團Vol.1』※2011年の『Niagara CD BookⅠ(Box Set)』(ソニー)収録。全編エレキ・インストで多羅尾伴内楽団名義。

1978 『多羅尾伴内楽團Vol.2』※2011年の『Niagara CD Book Ⅰ(Box Set)』(ソニー)収録。オリジナルは波の音入り。ただし『Niagara Black VoxBox Set)』のLPのみ波の音をカット。

2007 『多羅尾伴内楽團Vol.1&Vol.2(30th Anniversary Edition)』(ソニー)※2イン1で、1987年の『Niagara Black BookBox Set)』の中のCDTarao Bannai Special』で登場した「サーフ・ライダー」と「霧の乙女号」に、「ブラック・サンド・ビーチ(Kayama Tribute Mix)」「霧の彼方へ(Speed-Up Version)」を追加した。

1977 シリア・ポール『夢で逢えたら』(ソニー)1997 Reissue ※オリジナル盤と同じミックスで、ボーナス・トラックに「夢で逢えたら(Single Version)「恋はメレンゲ(Single Version)」「夢で逢えたら(Mono Version)」「夢で逢えたら(Mono Instrumental Version)」に加え1986年の『Niagara Black Book(Box Set)』収録のミックスが違う「Walk With Me('87 Mix)」(※86の誤植?)とここのイントロのドラムが違っていた「The Very Thought Of You」の6曲を追加した。大滝はプロデュースと作曲を担当し、山下達郎もストリングス・アレンジ多数受け持った。なお前述の1986年の『Niagara Black Book(Box Set)』は、大滝の意向と、吉田保のリミックスによりエコーが多めにかかり、曲順も変えたが、同じスタッフで作ったのに『Niagara Black VoxBox Set)』のLPに入っていた「夢で逢えたら、もう一度」は何故かCD版ではカットされた。

1977 『Niagara Calendar(’78 Edition)2015 Reissue(ソニー)※2011年の『Niagara CD Book Ⅰ(Box Set)』がベスト。

1981 『Niagara Calendar(’81 Edition)2015 Reissue(ソニー)※2011年の『Niagara CD Book Ⅰ(Box Set)』がベスト。この81年版を96年にCD化した時のチャートが60位。<

このアルバムは1978年版(リリースが771225日なので78年版としているようだ)1981年版でまったく違うアレンジがされているので比較しながらまとめて記述する。『Niagara Calendar(30th Anniversary Edition)』は’78 Edition81 Editionの2イン1だが、収録時間の限界で’81 Editionのラストが短縮版になっているのでお勧めできない。まず「Blue Valentine’s Day」は、78年版はシングル・ヴァージョンに近く大滝の声がほぼノン・エコーで入るが81年版はエコーたっぷりで個人的にはこちらが好み。「五月雨」は78年版では雨音が入っているが81年版ではカット。ライチャス・ブラザースの「Just Once In My Life」を狙っただけあって81年版ではバックのリフが大きく強調されすぐに違いが分かる。最も異なるのは「青空のように」だ。78年版では冒頭に導入部のインスト部分があるが、81年版はすぐにサビからスタートする。バックも78年版はスチール・ギターが大きく入ったアレンジだが、81年版ではほとんど聴こえなくアレンジを変更、カスタネットを強調して「Wall Of Sound」ヴァージョンに変貌した。後半にはドラムのタム・ロールが登場する凝りよう。シングル・ヴァージョンに近いアレンジの81年版の方が正解。導入部がないのに全体は10秒長い。「泳げカナヅチ君」も78年版の波音を81年版では全面カットしているので波音分の尺が短い。続く「真夏の昼の夢」も78年版には波の音が入ってしまっているが、81年版では全面カット、そしてヴォーカルやサウンドに十分なエコーをかけて、これも81年版が正解だ。「座 読書」も78年版と81年版はイントロのドラムがまったく異なる。サウンドも81年版はヴォーカルがオン。「想い出は霧の中」は78年版ではバックのオルガンの音が目立つが、81年版ではヴォーカルをオンにしてオルガンはバッキングに埋め込んでいる。「クリスマス音頭」は81年版でより日本的な雰囲気を出すために三味線や合いの手を大きくミックスし、後のビギンの『オモトタケオ』サウンドの先駆けになっている。

1981 『Niagara Calendar(’86 Edition)1986 ReissueCBSソニー)※86年の『Niagara CD Book Ⅰ(Box Set)』(CBSソニー)ものは吉田保が81年版を元にリミックスし、全面的にエコーがかかり、特に「Blue Valentine’s Day」はドリーミーで全てのヴァージョンでこれがベストだ。うっとりとしてしまう。「五月雨」の深いエコーは最も「Wall Of Sound」になっていた。「青空のように」「真夏の昼の夢」はよりソフトなサウンディングに。「想い出は霧の中」は歌の2番からバッキングにマンドリンがよく聴こえるようにミックスされ、より哀愁サウンドに。なお「お正月」のエンディングに78年版、81年版のどちらにも入っていた「クリスマス音頭」と「お正月」のつなぎの除夜の鐘のような音2回はカットされていた。

1978 『Debut』(CBSソニー)※読者リクエストで選ばれた12曲を全曲新録、未発表トラック、ライブで作り直したもの。2011年『Niagara CD BookⅠ(Box Set)』で丸ごとリイシュー。

1987 『Debut Special』(CBSソニー)※『Debut』から曲を8曲削除、代わりに「空色のくれよん」「田舎道」「うららか~ハイカラ~ロンロン~サイダー」「Sheila~シャックリママさん~Love’s Made A Fool Of You」「指切り」のライブが追加され、「空飛ぶクジラ」(フェードインが長い)「水彩画の町」「乱れ髪」「外はいい天気だよ」はリミックスされたので『Debut』とはまったくの別物。1987年の『Niagara Black BookBox Set)』のみでリリース。

1978 『Let’s Ondo Again』(CBSソニー)※多羅尾伴内楽團の「峠の早駕籠」「337秒間世界一周」や宿霧十軒名義の「空飛ぶカナヅチくん」、Each Ohtaki名義の「烏賊酢是! 此乃鯉」の大滝4曲、残りは他アーティスト。2011年『Niagara CD BookⅠ(Box Set)』に収録。

1987 『Let’s Ondo Again Special』(CBSソニー)※『Let’s Ondo Again』から「峠の早駕籠」など6曲を別ミックスで入れ、加えて9曲を追加したので、もはや別物。『Niagara Black Book(Box Set)』に収録。「ナイアガラ音頭(Alternate-布谷文夫」「スリラー音頭 ~ ビート・イット音頭-片岡鶴太郎」「ビックリハウス音頭-デーボ」「Let's Ondo Again~クリスマス音頭-アミーゴ布谷& 横田基地Guys」など初。

1981 『Niagara Fall Stars』(CBSソニー)※レア・トラック集で、「心のときめき」は別テイクで自然終止、「霧の彼方に」はテンポアップした軽いミックス、「いつも通り」はオーバーダブ前のVersion2など既存も曲も少しずつ違う。『Niagara CD Book(Box Set)』で聴けるがこのオリジナル盤の曲目では未CD化。(BOXのものは曲目の違う2nd Issue

1981 『A Long Vacation(20th Anniversary Edition)2001 Reissue(ソニー)※ボーナストラックに1981年にリリースされた『Sing Along V.A.C.A.T.I.O.N』(「さらばシベリア鉄道」無し)(CBSソニー)もカップリング。インストだがリード・メロディが入っているのでカラオケではない企画もの。『Niagara CD Book(Box Set)』にも収録済み。2位。

1981 『A Long Vacation(30th Anniversary Edition)2011 Reissue(ソニー)※20thの『Sing Along V.A.C.A.T.I.O.N』は楽器のリード・メロディが入っていて興ざめだったが、30thでは『A Long Vacation Tracks』として「さらばシベリア鉄道」も入った完全カラオケがカップリングされた。さらに「君は天然色(Original Basic Track)」もプラスされこれのみ。

1981 『Sing Along V.A.C.A.T.I.O.N』(CBSソニー)※リード・メロディ入りのカラオケで「さらばシベリア鉄道」はなし。『Niagara CD Book(Box Set)』などに丸ごと収録。52位。

1981 『Niagara Vox(Box Set)』(CBSソニー)※LP9枚組。前述の『Niagara Fall Stars』から3曲外れ4曲足した2nd Issue。そして、本ボックスのみの『More Niagara Fall Stars』『More More Niagara Fall Stars』に10曲を超える未発表ヴァージョンを収録したが、2015 の『Niagara CD Book(Box Set)(ソニー)CD化された。『Niagara Calendar』は81年版を採用。

1982 大滝詠一:佐野元春:杉真理『Niagara Triangle Vol.2(20th Anniversary Edition)2002 Reissue(ソニー)※オリジナル盤での大滝の曲は「オリーブの午后」「A面で恋をして」「白い港」「Water Color」「ハートじかけのオレンジ」の5曲。アルバムは『Niagara CD Book Ⅱ(Box Set)』、ボーナス・トラックのエンディングSE無しの「ハートじかけのオレンジ(Single Version)」と、「Rock'n'Roll 退屈男」は『Best Always』に含まれているが、「A面で恋をして(CM Version)」の最後にシンセ・ドラムのマシンガン音を一回入れた。2位。

1982 大滝詠一:佐野元春:杉真理『Niagara Triangle Vol.2(30th Anniversary Edition)2012 Reissue(ソニー)※ボーナス・トラックはオリジナル盤プラス『Niagara Triangle Vol.2 Tracks』として全曲のカラオケと、「A面で恋をして」(カラオケ)に関してはコーラスあり、コーラスなしの2ヴァージョンが収録された。

1982 『Niagara Song Book(CBSソニー)※大滝詠一プロデュース、井上鑑アレンジで作られたストリングス・インスト・アルバム。Niagara Fall Of Sound Orchestra名義。1989年リリースのCD(ソニー/27DH5302)の「夢で逢えたら」のみLong Version(サビの後のAメロが1回多い。よって26秒長い)だった。以降は使われていないが、これは1985年の『B-each Time L-ong』のラストのオーケストラだけの「夢で逢えたら」がイントロに32秒のオリジナルのメロディの導入部が付いて、以降は前述のLong Versionとなるので、『B-each Time L-ong』があれば足りるということになる。11位。

1982 『Niagara Song Book 30th Edition2013 Reissue(ソニー)※『Niagara Song Book』にプラスして「幸せな結末」と「恋するふたり」のストリングス・ヴァージョンが収められた。なお、後者は新たにイントロにストリングスが加えられたヴァージョンでここでしか聴けない。Niagara Fall Of Sound Orchestra名義

1984 『Each Time(CBSソニー)

オリジナルは9曲仕様。「魔法の瞳」は後のリイシューは30th Anniversary Version以外330語のサビ以降歌詞が加筆された521秒ヴァージョンだが、オリジナルはこの453秒ヴァージョン。「木の葉のスケッチ」はフェイド・アウトするヴァージョン(※『Snow Time』ではアコーディオンのイントロがプラスされたヴァージョンも登場した)。「夏のペーパーバック」も後にイントロのベースのないヴァージョンが使われたが、イントロの楽器が多いこの盤がオリジナル。最も違うのは「レイクサイド・ストーリー」で2回のリフレインでフェイド・アウト気味に絞った後またフェードインして完奏する、俗称「大エンディング・ヴァージョン」であり、オリジナル盤と同じものは『Niagara CD Book Ⅱ(Box Set)』で聴くことができる。その前は最も初期の品番35DH78だけこのヴァージョンが収録され、それ以外のCD4回のリフレイン後にフェイド・アウトするロング・ヴァージョンに差し替えられている。このヴァージョンは537秒まであり、長さ的には最長ヴァージョンである。1位。

1986 『Complete Each Time』(ソニー)※『Each Time』に「Bachelor Girl」と「フィヨルドの少女」が追加され11曲仕様になった。「魔法の瞳」は歌詞が加筆されたロング・ヴァージョン、「木の葉のスケッチ」はフェイド・アウトしない完奏ヴァージョン、「夏のペーパーバック」はイントロにベースがなく違い楽器の少ないヴァージョン(このヴァージョンは『B-each Time L-ong』にも収録)、「恋のナックルボール」は最後にSEが再度現れ大滝の呟きがかすかに入るヴァージョンでこのアルバムのみ、「1969年のドラッグレース」はエンディングの強弱の回数が少なくギター音が少し長く入ったヴァージョンに変更された。これらは1984年の33cm45回転シングル6枚のボックス『Each Time Single Vox(Single Box Set)(CBSソニー)で披露されていたものだった。そして「レイクサイド・ストーリー」は、3回のリフレインで522秒にフェイド・アウトする本盤のみのヴァージョンに差し替えられた。これらは『Niagara CD Book Ⅱ(Box Set)』の『Complete Each Time Single Vox』にまとめられている。14位。

1984 『Each Time(20th Anniversary Edition)2004 Reissue(ソニー)※基本的に「Bachelor Girl」と「フィヨルドの少女」が追加された1986年リリースの『Complete Each Time』(ソニー)の11曲に、ボーナス・トラックとして初登場の「恋のナックルボール(1stRecording Version)」が入り、「マルチスコープ(=ゆらりろ)」「Cider’83」もプラスされた。この4曲は『Niagara Song Book Ⅱ(Box Set)』にも収録されているが、「マルチスコープ」の冒頭に子供の声が入るのはこの盤のみ。「魔法の瞳」は『Complete Each Time』に収録された歌詞が加筆されたロング・ヴァージョンだが、「木の葉のスケッチ」「夏のペーパーバック」「恋のナックルボール」は1984年版『Each Time』に戻る。しかし「レイクサイド・ストーリー」はここでもフェイド・アウトするヴァージョンだが、2回のリフレイン後の57秒で終わってしまう後述の『Snow Time』収録のものと同じ最短ヴァージョンになってしまった。

1984 『Each Time(30th Anniversary Edition)2014 Reissue(ソニー)※11曲仕様で、前述の11曲盤と全て曲順が違うが、これがFinalと題されたので決定盤と言える。ディスク2には全曲の完全カラオケが収録されたが、歌入りとカラオケでは別ヴァージョンを使っている場合がある。「夏のペーパーバック」は『Complete Each Time』のイントロにベースのないヴァージョンを採用、ただしカラオケはベース入りのヴァージョンとなる。「木の葉のスケッチ」はオリジナルのフェイド・アウトするヴァージョンだが、カラオケは『Complete Each Time』の完奏するヴァージョンが使われた。「魔法の鏡」は、オリジナルのサビの挿入がない453秒に戻った。「1969年のドラッグレース」はエンディングのギターが長い『Complete Each Time』以降のヴァージョン。「恋のナックルボール」は通常ヴァージョン。「レイクサイド・ストーリー」は『Each TimeCD4回のリフレイン後でフェイド・アウトする537秒の最長ヴァージョンが再び採用された。しかしカラオケは『Each Time』のオリジナルの2回のリフレインの後にエンディングが現れ完奏する「大エンディングヴァージョン」が復活する。さらにこのヴァージョンだがオリジナルは2回目のリフレインがフェイド・アウト気味に音を絞るがここでは絞らずエンディングへ持っていく初登場のミックスである。

1984 『Niagara Song Book 2(CBSソニー)※大滝詠一プロデュース、井上鑑アレンジで作られたストリングス・インスト・アルバム第2弾。Niagara Fall Of Sound Orchestra名義。この1984年のCD(35DH111)での『レイクサイド・ストーリー』はファイド・アウトしないで大エンディング・ヴァージョン仕様になっていて20秒長く、「魔法の瞳」のサビの後に木管のAメロとブリッジパートが多く入り58秒も長かったが、以降のCDではこの2ヴァージョンは登場していない。20位。

1984 『Niagara Song Book 2 1989 Reissue(ソニー)の盤のみ、「ガラス壜の中の船」「夏のペーパーバック(Reprise)」が外され、「Bachelor Girl」「白い港」に差し替えられた。ただこの2曲や、変更されたフェイド・アウトする「レイクサイド・ストーリー」や短い「魔法の瞳」など全て『Niagara CD Book Ⅱ』内に収録された。

1984 『Niagara Black VoxBox Set)』(CBSソニー)※シリア・ポール『夢で逢えたら』、『多羅尾伴内楽團Vol.1』『多羅尾伴内楽團Vol.2』『Debut』『Let’s Ondo Again』のLP5枚のボックス。エコーが多めにかけられている。『多羅尾伴内楽團Vol.2』に波の音が入っていない。『Niagara Black Book(Box Set)』にもセレクトされて入ったが『多羅尾伴内楽團Vol.2』の★「In The Still Of The Night」★「ジャワの夜は更けて(Java)」★「魅惑の宵(Some Enchanted Evening) 」★「Paradise Lost」の波無しは本ボックスのLPのみ。また『夢で逢えたら』も曲順を変え全曲は入っているが、『Niagara CD Book(Box Set)』のものはストリングスのみの★「夢で逢えたら、もう一度」(吉田保リミックス版)がカットされた。★未CD

1985 『B-each Time L-ong』(CBSソニー)※『A Long Vacation』『Each Time』から抜粋した曲を、Niagara Fall Of Sound Orchestraでつないだ企画もの。『Niagara CD Book Ⅱ(Box Set)』に収録された。2位。

1985 『Snow Time1996 Reissue(ソニー)※大滝がプライベートで作ったアルバムだが、評判となり1996年に正式リリースされた。半分大滝、半分インストだったが、大滝では森進一に書いた曲の英語カバー「夏のリビエラ」が何といっても目玉。またオフィシャル化の際、「木の葉のスケッチ」がアコーディオンのイントロから始まる未発表ヴァージョンになった。そして元はインスト曲が不足していたため『Niagara Song Book 2』の「レイクサイド・ストーリー」が収められていたが、「Yokan(渡辺満里奈に書いた「うれしい予感」)」のインストに差し替えられた。なお、インストサイドの「Siberia」は『Sing Along Vacation』に入らなかった代わりに録音されていたフィヨルド7名義で81年にリリースされた「哀愁のさらばシベリア鉄道(ギター・バージョン)」とは編集が違い、エンディングの高音のギターパートをそっくりカットして、その後のアドリブ・ギターを多く入れたもので別ヴァージョン。『Niagara CD Book Ⅱ(Box Set)』には「Yokan」を「レイクサイド・ストーリー」に戻したプロモと同じ選曲に変更され収録された。

1986 『Niagara CD Book(Box Set)(CBSソニー)※吉田保の別ミックスが貴重なシュガー・ベイブの『Songs』から『Niagara Calendar』までの6枚に、『Niagara Fall Stars 2nd Issue』(Version2は「霧の彼方に」、Version3は「ドリーミング・デイ」(いきなりピアノから始まり10秒短い別ミックス)「心のときめき」収録。他2曲は前述の『Niagara Vox(Box Set)』(CBSソニー)参照)と『Dawn In Niagara(ココナツバンクのライブや布谷文夫の未発表ヴァージョンなど収録。目玉はSugar Babeのデモ4曲だったが、『Songs30周年記念盤に収録された)8枚組。

1987 『Niagara Black Book(Box Set)(CBSソニー)※『Debut Special』、シリア・ポール『夢で逢えたら』、『Tarao Bannai Special』『Let’s Ondo Again Special』のCD4枚組。全体的にエコーを多く加えたリミックス。『Tarao Bannai Special』は『多羅尾伴内楽團Vol.1』『多羅尾伴内楽團Vol.2』の抜粋+ボーナス2曲(30th Editionでも聴ける)の構成で、『Niagara Black Vox(Box Set)』の『多羅尾伴内楽團Vol.2』は波のSE抜きだったので、「Ride The Wild Surf」「Beach Bound」「Black Sand Beach」「Moon Dawg」「Cruel Surf」「Surf Party」「Ajoen Ajoen心のときめきを」「The Surfer Moon」は波のSE無しである。また『夢で逢えたら』は曲順を変えたが、このCD版のみなぜかストリングスの「夢で逢えたら、もう一度」のみカットされた。『Debut Special』と『Let’s Ondo Again Special』は選曲がまったく違う。(前述)

1991 『大瀧詠一Song Book1/大瀧詠一作品集(1980-1985)』(CBSソニー)※大滝の書き下ろした曲を歌う太田裕美、山口百恵、松田聖子、ラッツ&スター、西田敏行などのナンバーに、大滝はこの盤のみ収録の「A面で恋をして(Instrumental)」(バンドの録音で、カラオケではない)など全17曲収録

2010 『大瀧詠一Song Book1/大瀧詠一作品集(1980-1998)』(ソニー)※大滝の最高作である松田聖子「風立ちぬ」渡辺満里奈の「しあわせの予感」や97年の大滝のシングル「幸せな結末」など21曲収録されたが、肝心な1991年版の「A面で恋をして(Instrumental)」が外されている。

1995 『大瀧詠一Song Book2/大瀧詠一作品集(1971-1988)』(ビクター)※大滝の曲を歌う沢田研二、森進一、小林旭、アン・ルイス、かまやつひろし、薬師丸ひろ子の曲などに大滝本人の「ゆらりろ=(マルチスコープ)」が入っている。その他17曲収録。<br />

2002 小泉今日子『KYON3』(ビクター)※大滝が小泉のために1988年に書いた「怪盗ルビィ(小泉今日子&大滝詠一デュエット・ヴァージョン)」収録。<br />

2011 『Niagara CD Book(Box Set)』(ソニー)※『Debut』や多羅尾伴内楽團の2枚、シリア・ポール、シュガー・ベイブ、『Let’s Ondo Again』まで含めNiagara時代のアルバム12枚をオリジナル・ミックスでリイシュー。『Niagara Calendar』は78年版と81年版で分けて収録してある。

2014 『Best Always』(ソニー)※ベスト盤で初登場の大滝詠一本人が歌う「夢で逢えたら」、大滝が歌い始め、歌う順番が違う初登場のナイアガラ・トライアングルの「幸せにさよなら(Alternate Single Version)」、初登場の「ナイアガラ・ムーン(イン・ザ・プールMix)」、バックにピアノを前面に出した「烏賊酢是!此之鯉」のニューミックス、歌とカラオケをつないだ1分の「Cider ‘83」は初登場。フェイド・アウトではなくドラムで終わる「A面で恋をして(Single Version)」にはアナログ時代の最後の溝に入っていたシンセ・ドラムのマシンガン音まで1フレーズ入れたのは初。Single Version初登場は、『Niagara Calendar81年版と大きく違わないが分離が良くカスタネットとコーラスがよく聴こえる「青空のように」と、78年版とほぼ同じでエコーが少ない「Blue Valentine’s Day」の2曲も初CD化だ。シングルのみの「幸せな結末」「Happy Endで始めよう」「恋するふたり」と竹内まりやの2003年のアルバム『Longtime Favorites』に入っていた竹内まりや&大滝詠一のデュオ「Something Stupid」も収録、あと目立った違いは無いが「君は天然色」(冒頭の音合わせ無し)「さらばシベリア鉄道」(早くフェイド・アウト)「恋するカレン」(ヴォーカルが若干オフ気味)のSingle Versionが収録された。その他カラオケで「ナイアガラ・ムーン」「幸せにさよなら」「夢で逢えたら」「ROCK’N’ROLL退屈男」「CM Special Vol.2」「Cider ‘83」「夏のリビエラ」「幸せな結末」「Happy Endで始めよう」「恋するふたり」が収録され貴重。2位。

2015 鈴木雅之『All The Best-Martini Dictionary-(初回限定盤)』※197912月のシャネルズのライブに飛び入りした大滝がシャネルズをバックに「クリスマス音頭」「Who Put The BombIn The Bomp Bomp Bomp)」を歌う。

2015 『Niagara CD Book(Box Set)(ソニー)CD12枚組。1981年の『A Long Vacation』は幻に終わった12インチシングル5枚組仕様の『A Long Vacation Single Vox』で。同年のリード・メロディが入ったカラオケ『Sing Along V.A.C.A.T.I.O.N』、1982年の『Niagara Triangle Vol.2』はそのまま。1984年の『Each Time』は当初のCDとオリジナルの形でリリースされ、「レイクサイド・ストーリー」はフェイド・アウトの後にエンディング部分が入って完奏する「大エンディングヴァージョン」で復活した。同年にリリースされた12インチシングル5枚組はプラス4曲加えて『Complete Each Time Single Vox』として登場。「魔法の瞳」は330秒後に新たにサビ(「ブルーの夜明けまで…」以降の30秒)が加わったロング・ヴァージョン、「夏のペーパーバック」はイントロにベースの入らないシンプルなヴァージョン、「木の葉のスケッチ」はエンディングまで入った長いヴァージョンになった。「1969年のドラッグレース」はエンディングのギター音が長く伸びるヴァージョン、「恋のナックルボール」は曲が終わった後小さくSEと大滝の会話が入ると僅かに違い、「レイクサイド・ストーリー」はフェイド・アウトされたヴァージョン(その他の曲は1986年の『Complete Each Time』のCDと同じだが、このヴァージョンは30thで登場したファイド・アウトが最も長く最長)である。加えられた「Bachelor Girl」と「フィヨルドの少女」は通常のヴァージョン、Niagara Fall Of Sound Orchestraの「Bachelor Girl(Instrumental Version)」は1989年仕様の『Niagara Song Book 2』のみ収録されていたもの。「哀愁のフィヨルドの少女」は『Snow Time』で登場したインストの「Fiord」。その1986年にプロモのみでリリースされた『Snow Time』は、1996年にCD選書でリリースされたものではB面部分に1曲エレキ・インストが無かったので、Niagara Fall Of Sound Orchestraの「レイクサイド・ストーリー」(1989年以降のフェイド・アウトするもの)を外し、渡辺満里奈のシングルに書いた「うれしい予感」をインストにした「Yokan」を入れたが、本ボックスでは元に戻った。ただし本ボックスの『Snow Time』はCD選書ヴァージョンでしか聴けないアコーディオンが冒頭に加わった「木の葉のスケッチ」をそのまま残してくれた。そして外された「Yokan」は本ボックスの『Niagara Rarities Special』に収録されている。初CD化のディスクは1982年リリースの『Niagara CM Special Vol.2』で、曲名はクレジットされていないが冒頭の9秒だけの「NIAGARA CM Special Theme」と、「A面で恋をして」の3ヴァージョン「A面で恋をして(Narration)」「A面で恋をして(A Cappella)」「A面で恋をして(Track Only)」、さらに『A Long Vacation』のCM用の「Spot Special」「Instrumental Special」の6トラックが初CD化。1989年の『B-each Time Lon-g』はオリジナル仕様。Niagara Fall Of Sound Orchestra による1982年の『Niagara Song Book』と1984年の『Niagara Song Book 2』だが、曲名はオリジナルの形になったが、前者は1989年の仕様の「夢で逢えたら」のロング・ヴァージョンは元に戻され、後者は1984年仕様の『レイクサイド・ストーリー』の大エンディング・ヴァージョン仕様や、別ヴァージョンの「魔法の瞳」は使われなかった。ただし、後者の1989年版の2曲の差し替えについては先に紹介した「Bachelor Girl」に加え、もう1曲の「白い港」も『Niagara Rarities Special』に収められた。本ボックスの目玉「『Niagara Rarities Special』のレア・トラックは、初登場の「恋するふたり(Title Back Version)」で、ドラマの中で使われた約半分の長さのまったく異なるヴァージョン。2007年の「恋するふたり(7inch Version)」は、CDと違ってフェイド・アウトのあとにダンドビドゥのスキャットが入って完奏する別ヴァージョンだ。「幸せな結末(7inch Version)」の違いは不明。最もレアなのは1984年のプロモシングル収録の「ペパーミント・ブルー(Promotion Version)」と、同じ年の12インチシングルのみのプロモ収録の「夏のペーパーバック(Promotion Version)」と「真夏の昼の夢(Promotion Version)」の3曲。「ペパーミント・ブルー(Promotion Version)」のイントロは『Niagara Song Book 2』のイントロのストリングスに一見似ているが、歌が始まる30秒の直前までリズムまったく入らずストリングスのみで演奏も違う。その後は通常の「ペパーミント・ブルー」。「夏のペーパーバック(Promotion Version)」はNiagara Fall Of Sound Orchestraのヴァージョンの253秒から38秒までの間に大滝の歌うヴァージョンを入れ込んだもの。「真夏の昼の夢(Promotion Version)」はもっと凝っていてNiagara Fall Of Sound Orchestraのヴァージョンの後の242秒から、はじめはア・カペラで、その後にストリングスに合わせて歌っていて、倍の長さになっている。その他では1981年にFiord7名義でシングルリリースされた「哀愁のさらばシベリア鉄道(Organ Version)」も収録され初CD化。ただしこのシングルのもう片方の「哀愁のさらばシベリア鉄道(Guitar Version)」は、『Snow Time』の「Siberia」の訳だが、「Siberia」は最後の高音でのギターパートをそっくりカットしてその後のアドリブ・ギターを入れている編集なので、9秒短い。なお「恋するふたり(Strings Version)」はイントロ・エレピ・ヴァージョンの方で、2013年にリリースされたNiagara Fall Of Sound Orchestraの『Niagara Song Book 30th Edition』収録の「恋する二人」はイントロにストリングス被せた新ヴァージョンは入らなかったので手離さぬよう。(「幸せな結末」の方は収録された)そしてNiagara時代のコンピ集『Niagara Fall Stars’  81 Remix Special』には1981年にリリースされたLP BoxNiagara Vox』の『Niagara Fall Stars 2nd Issue』『More Niagara Fall Stars』『More More Niagara Fall Star』からVersion2の「すてきなメロディ」(7秒長い)Yuki Ya Kon-Kon」*「Fussa Strut Part2(最後まで歌が入っていて全くの別テイク。10秒長い)「あの娘に御用心」(アップテンポのラテンアレンジでまったくの別テイク。ドゥワップのアルバムのものより1分半短い)「恋はメレンゲ」(ドラムのパターンから違いアップテンポでアコーディオンを大きくミックスした軽快な完全別テイク。10秒長い) Mandshurian Beat」(バックを抑えめにギター音をよく響かせ哀調サウンドになっている)「霧の乙女号」*「Ride The Wild Surf」*やVersion3の「いつも通り」(Version2よりバックのミックスが僅かに大きい)「Cobra Twist」(エンディングに笛の音が入る)「Down Town」(ヴォーカルが若干オフ気味)「The Surfer Moon」*が収録されていた。なお*マークの多羅尾伴内楽團のテイクに顕著な差はない。

2015 『佐橋佳幸の仕事』(GT Music)※1997年に13年ぶりのシングルの為行われた幻の「ナイアガラ・リハビリ・セッション」からエルヴィスのカバーの「陽気に行こうぜ~恋にしびれて」を収録。『Debut Again』収録のものより冒頭のスタジオのやり取りが30秒多い。

2016 『DEBUT AGAIN(初回限定盤)(ソニー)※大滝詠一が他アーティストに提供した曲のデモ等を集めたセルフ・カバー集に、オマケとして1997年の再活動開始期にソニーでのリハビリ・セッションを初回限定でプラスしたアルバムだ。冒頭の1985年に小林旭のために書いた「熱き心に」がまずこの盤のハイライトの1曲。1994年に渡辺満里奈が歌った「うれしい予感」は、キーがオリジナルなので非常に低い。ミニアルバムでは222秒から35秒に登場する大サビの入っていない、シングル・ヴァージョンを使っている。1998年の「怪盗ルビイ」は2002年リリースの『Kyon3』に、小泉今日子と大滝の細かいつなぎ合わせのデュエット・ヴァージョンが収録されていたが、こちらは初登場の大滝のソロ・ヴァージョン。ラッツ&スターに提供した「星空のサーカス」と「Tシャツと口紅」はさすが男性用、キーが合うのでバックコーラスも完璧、自家薬篭中の出来。薬師丸ひろ子に提供した1983年の「探偵物語」「すこしだけやさしく」は、大滝が同年724日に西武球場で行ったコンサート「オールナイトニッポン・スーパーフェス’83」用に作ったオケで録音したソロで、アレンジから全く違う。前者は、ほぼオーケストラをバックにした薬師丸に比べ大滝はピアノのイントロからオーケストラが入りビートも感じられるアレンジで仕上げている。ただ大滝のソロ作品として見ると歌謡曲っぽさが強い曲想だ。後者の大滝ヴァージョンはカスタネットが加わりより大滝らしいサウンドになっていた。次は『Snow Time』で既に披露済みの「夏のリビエラ」。そして曲の魅力度ではこのアルバムの目玉である「風立ちぬ」の大滝ヴァージョンが登場する。使用したのは松田聖子に提供した1981年の123日に渋谷公会堂で行われた「ヘッドフォンコンサート」のライブ音源だった。キーを変えバッキングは新しく作られたが、基本的なアレンジは松田聖子ヴァージョンで、「探偵物語」ほどの違いはない。この音源にはブートで一部に出回っている松田聖子と同じキーで歌うデモヴァージョンがあり、そちらが収録されると思っていたが、よりキーが低く、歌声が地味だったので使われなかったのか。このブートには大滝本人が歌う「冬の妖精」のデモも入っていたがこれも収録されていない。最後は特典でしか聴けなかった「夢で逢えたら(Strings Mix)」が収録された。ハープシコードからスタート、その後はストリングスのバッキングなのでドリーミーな仕上がりでラストに相応しい。そしてオマケのディスク2。1997年に大滝がソロ活動再開をするためにソニーのスタジオで2ヶ月に渡って続いた「リハビリ・セッション」からの音源が続く。1928年のジミー・オースティンのカバー“My Blue Heaven”のカバー「私の天竺」で、中間に“Home On The Range”を入れるセンス、まさにナイアガラだ。続く「陽気に行こうぜ~恋にしびれて」(2015松村2世登場!version)は、ご存じエルヴィス・プレスリーのカバー・メドレーで、昨年リリースされた『佐橋佳幸の仕事1983-2015』に収録されたものから冒頭の30秒のスタジオでのやり取りをカットしたものだ。その後はカントリーのロジャー・ミラーとジョージ・ジョーンズのカバーのメドレー「Tall Tall TreesNothing Can Stop Me」と軽快なカバーが続いた。「うれしい予感」のB(扱い)で、植木等が歌った「針切じいさんのロケン・ロール」の大滝によるセルフ・カバー。このディスク2に回されたのは、オリジナルが1958年のノヴェルティ曲でそこにさくらももこが歌詞を付けたものだからで。大滝が歌うとまさにナイアガラ。3位。

2017 『Niagara 45rpm Vox』(ソニー)※大滝詠一のアナログシングル9+音源CD1枚の『Niagara 45rpm Vox』がリリースされて、大滝の音源リイシューがほぼ完成した。特に素晴らしいのはアナログだけで組まずにその音源のCDを付けた事。さてまず貴重なプロモ4枚の違いから。大滝詠一楽団名義の「ブルー・バレンタイン・デイ (インストゥルメンタル)」は、イントロにわざとスクラッチノイズが2回入り、「今日は」の歌いだしの部分のギターがリード用に入っている。A面は「ブルー・バレンタイン・デイ」のシングル・ヴァージョンで、モノはこれだけ。ただし大きな違いはない。同じく大滝詠一楽団名義の「青空のように (インストゥルメンタル)」はシングル・ヴァージョンのカラオケだが、カスタネットが『Niagara Calendar81年版並みに大きく入っている。エンディングはシングルより5秒短く「ランララララー」にからむ大滝のコーラスがあまり聴こえない。A面は「青空のように」のシングル・ヴァージョンで、モノはこれだけ。これも大きな違いはない多羅尾伴内楽團名義の「サーファー・ムーン (The Surfer Moon)Promo Version」はイントロのベースの音が大きくミックスされ印象が大きく違う。オリジナルの『多羅尾伴内楽團 Vol.2』の波の音はない。A面の「心のときめき (Ajoen Ajoen)Promo Version」もオリジナルの『多羅尾伴内楽團Vol.2』の波の音が無く、頭に一瞬入るドラムではなく、イントロに5秒のドラムのソロが入る。このイントロのドラムは『Niagara Black Vox』『NIAGARA FALL STARS』などと同じだが、エンディングは1秒ちょっとでフェイドアウト、ほとんど聴こえない『Niagara Black Vox』、11秒ドラムが続く『NIAGARA FALL STARS』とエンディングが違う。なお『Niagara Black Vox』収録のものに波の音はない。最後はモンスター名義の「ピンク・レディ(Promo Version)」だが、『LET'S ONDO AGAIN』は頭に15秒の「Oh my darling…」のイントロがあり240秒で曲が終わる。最後にワウのような声が被り256秒から34秒まで小さく駕籠かきの掛け声が聞こえる。そして『Let's Ondo Again Special』にはさらにイントロの2526秒のブレイクにピーポーのような声が入っているが、このプロモには15秒までのイントロをカット、前述のイントロのブレイクはシングルでは1011秒になるがピーポーの声がなく、エンディングのあとのワウのような声もない。カップリングの多羅尾伴内楽團名義の「峠の早駕籠(Promo Version)」シングルの駕籠かきの掛け声が4秒で演奏が始まるが、『LET'S ONDO AGAIN』は掛け声が17秒、『Let's Ondo Again Special』は20秒から始まる。ちなみに『Let's Ondo Again Special』は演奏が始まって3秒後の掛け声のようなSEが大きく、15秒後の「ピッ」という声がこちらでは「ピピッ」と2回になっていた。続いてレギュラー盤。「お花見メレンゲ(Single Version)」が決定的にアルバムと違うのは大滝のヴォーカルがシングル・トラックであること。そしてヴォーカルは『NIAGARA CALENDAR '78』よりオンであり聴きやすく『NIAGARA CALENDAR '81』の演奏のオーバーダブは無い。加えてモノである。A面は「ブルー・バレンタイン・デイ」のシングル・ヴァージョン。「Cobra twistSingle Version) 」は、『GO! GO! NIAGARA』よりヴォーカルが若干オン気味で、時に最後の「Hey Little Cobra,Don’t You Know You’re Gonna Shut’em Down」のコーラスが大きくはっきりミックスされている所が違う。そのあとのリフレインは11回ではなく10回でフェイドアウトする。加えてこれもモノ。なお『NIAGARA FALL STARS '81 Remix Special』は最後のリフレインに変なオルガンのような音がオーバーダブされ30秒以上長く無駄に完奏している。他でも81年のミックスはフェイドアウトするものでも変なオルガン入り。A面は「青空のように」のシングル・ヴァージョン。多羅尾伴内楽團のシングル「霧の彼方へ(Mr. Moto)」は『NIAGARA FALL STARS Vol.1 2nd Issue』のテイクよりキーもピッチも低く、イントロのギターのエフェクトもなく堂々とした仕上がり。(エフェクトは『NIAGARA FALL STARS '81 Remix Special』の方がもっと大きい)このシングル・ヴァージョンは『多羅尾伴内楽團Vol.1』にB面の「悲しき北風(The Last Leaf)」と一緒に収録されている。あと残りの2枚、「幸せにさよなら」と「ナイアガラ音頭」シングル・ヴァージョンAB面は『NIAGARA TRIANGLE Vol. 1 30th Anniversary Edition』に収録済み。

 

☆シングルのみ

1981 「哀愁のさらばシベリア鉄道(Guitar Version)」フィヨルド7(ソニー)※大滝変名のインスト。エンディングが違い9秒短い。カップリングは「哀愁のさらばシベリア鉄道(Organ Version)」。Guitar Versionのみ★未CD化。

1981 「A面で恋をして(Single Version)」(ソニー)※最後の無音溝にマシンガンの音が入っているので、オート・ピック・アップでないとエンドレスでシンセドラムのマシンガン音を繰り替えすようになっている。『Best Always』のCD収録のものは1回分、マシンガン音を入れるようになった。そのため未CD化とは言えない。

 

(◎はっぴいえんど時代の音源)

☆オリジナル・アルバム

2004 『はっぴいえんどBOX』(エイベックス・イオ)※3枚のスタジオ録音アルバム『はっぴいえんど』(70年)『風街ろまん』(71)、『HAPPY END』(72年)にアルバム未収録音源(未発表多数)12曲、そして数多くのライブ・アルバムに分散して収録されていたものに未発表をプラスした70~73年のライブ音源47曲(はっぴえんどの前身のヴァレンタイン・ブルーの70113日の「Bluebird」ライブ含む)、同時期のバックで演奏した14曲も収録された。さらに85615日の「All Together Now」のイベントで再結成された時のライブ4曲「12月の雨の日」「風をあつめて」「花いちもんめ」「さよならアメリカさよならニッポン」も収録された究極のボックス・セット

 

☆『はっぴいえんどBOX』未収録ライブ<

1999 松本隆『風街図鑑』(ソニー)※72825日名古屋勤労会館での「ちぎれ雲」のライブ収録。

2009 『はっぴいえんどLive On Stage(エレック/URC復刻プロジェクト2009(ポニーキャニオン)71414日「加橋かつみコンサート」での「いらいら」「しんしんしん」「12月の雨の日」「抱きしめたい」「はいからはくち」5曲、同821日「ロック・アウト・ロック・コンサート」での「春らんまん」「空いろのくれよん」「ももんが」「かくれんぼ」「はいからはくち」5曲収録。

2014 『岡林信康ロック・コンサート』(FUJI)※70109日のライブ「12月の雨の日」「かくれんぼ」2曲収録。他、岡林のバック8曲担当。

2014 『岡林信康コンサート』(FUJI)※70121日のライブ「かくれんぼ」「はいからはくち」2曲収録。

 

◎参考チャート・イン・シングル

81 君は天然色…36位、恋するカレン…66位、A面で恋をして…14位、85 フィヨルドの少女…31位、87 幸せな結末…2位、03 恋するふたり…7位 

 

 (作成:佐野邦彦)


 



☆Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第11回:山下達郎(SUGAR BABE含む)

$
0
0
自分は長い間邦楽を聴いていなかった。このガイドの第6回で、リアルタイムで期待したGAROが僅か1年で商業化して堕落したのを見て、1973年に邦楽を捨ててしまった。これが大失敗で、私の最も好きな邦楽のレジェンド3人、最終回を飾る今回の山下達郎、大滝詠一、荒井由実をリアルタイムで聴けなかったのだ。大学時代の友人が、BeatlesやBeach Boysを熱心に勧める自分を見て、「お前なら絶対この3人が好きになる」と教えてくれたのがレジェンド3人だったのだ。ちょうど1981年だ。山下達郎は「Ride On Time」で大ブレイクを果たしたばかり、大滝詠一は『A Long Vacation』で、今まではマニア受けでとどまっていたが一気に脱皮というか、それまでの目立たない幼虫がオオムラサキどころかモルフォ蝶に羽化してしまい、日本では例がない極上の進化を果たす。そしてもう荒井由実は松任谷由実になっていたが、同年の『昨晩お会いしましょう』から「守ってあげたい」のメガ・ヒットが生まれていた。ユーミンは既にブレイクしていたが、山下達郎はくすぶったまま、大滝詠一は売れないのでナイアガラを日本コロムビアから契約を切られてしまっていた。その時にこの2人がその秘めたる力を発揮して同時期に大ブレイクを果たすのだからまさに奇跡。ただ山下達郎はずっと優れた楽曲を作り続けていたのに、チャンスがなかっただけだった。山下本人がただ1回だけTVに出演した日立マクセルのカセットUDのCMで「Ride On Time」のア・カペラが聴こえてきた時に、誰だ、これは?というみな驚愕し、そして今まで過去のシングル3枚はノンチャートだったのが3位、過去のアルバム5枚は20位が最高だったのに1位と大ブレイクとなった。大滝詠一は前作の『Niagara Calendar』がノンチャートで前述のようにナイアガラのレーベル契約が切られ、大滝はそれまでの「趣味趣味音楽」をやめて、蓄積したポップスの知識と生かし、そして持ち前の作曲センスで極上の曲が並んだ『A Long Vacation』を新レーベルのソニーからリリースすると2位、このアルバムは超ロングセラーの大ヒットを続け、大滝の快進撃がスタートする。書き添えておくとユーミンは、曲的には荒井由実時代の4枚の冴えが1978年の松任谷由実になったからちょっとなくなり、アルバム7枚はトップ10に入るだけだった。しかし1981年のアルバム『昨晩お会いしましょう』が1位、シングル「守ってあげたい」が2位になっててからは黄金時代に突入、アルバムは1995年まで17枚連続1位という超大ブレイクを果たしてしまう。この3人のブレイク時期が1981年という同じ年というのが本当に不思議としか言いようがない。さあここからは敬愛する山下達郎についてだ。山下に関しては次作が肝心だった。1982年になってリリースされた『For You』は、1曲目の「Sparkle」のギターカッティングがスピーカーから響いただけで成功を確信できた。そしてこのアルバムの「Loveland  Island」が歌とサウンドがあまりに爽やかで、ジャケットの鈴木英人のイラストと相まって眩いばかりの仕上がりだった。アルバムはもちろん1位で以降のアルバムも1位を続けていく。しかし前に書いたように山下達郎は「Ride On Time」以前から、同じクオリティの曲を生み出しており、今でも山下達郎で一番好きな曲は1979年のアルバム『Moonglow』収録曲で、シングル・カットされた「愛を描いて-Let’s Kiss The Sun-」だ。開放感、ビート、そして素晴らしいハーモニーと、まさに自分が山下達郎に求める全てがこの曲にある。アルバムも1983年の『Melodies』と並んで同率1位なのが1977年のセカンド・アルバム『Spacy』である。このアルバムの冒頭の「Love Space」を聴いて、激しくロールするドラムのイントロから、山下の中でファルセットを使わない最高のキーまで使って歌う高揚感のあるメロディーの歌に瞬時に心を奪われた。この最も上のキーは私はどうやっても素では歌えないまさにプロのキー。その後の心を休める「翼に乗せて」へのつながりも上手い。そしてなんともムードたっぷりの「Umbrella」。こんな洒落た展開の曲が作れるなんて天才だと思った。次作『Go Ahaed!』では後にシングルになる「2000トンの雨」はフィル・スペクターのWall Of Soundをモチーフにした魅力的なナンバーだった。そして、山下がソロになる前の、1975年にリリースされたSUGAR BABEの『Songs』も聴いた。冒頭の山下作の「Show」「Down Town」を聴いて、自分が邦楽を聴くのをやめた年のたった2年後に、こんな洗練されたポップ・ミュージックが生み出されていたことに唖然とするばかり。SUGAR BABEは、はっぴいえんどやティン・パン・アレーという大滝詠一や松任谷正隆が作ったバンドとはレベルが段違いだった。『For You』が出るまで、過去のアルバムがどれだけハイ・クオリティなのか十分勉強できたので、以降は、もう期待と共に安心して次作を待てた。そうして1983年には名作『Melodies』がリリースされる。シングル・カットされなかったが、ほぼ全編ファルセットで歌いながらパワフルで、ポップで、キャッチーな「悲しみのJODY」に度肝を抜かれた。イントロのドラムは最高のオープニングだ。そしてシングルになったこの頃の山下達郎のイメージそのもののハーモニーを全開にしたポップな「高気圧ガール」も素晴らしい。さらにこの頃にはまだビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』が名作などという今の共通認識がない時に、このサウンドで作られたグレン・キャンベルの「Guess I’m Dumb」を完コピしたのには驚かされる。そしてアルバムの最後には、リリース当時はただのアルバム曲だった「クリスマス・イブ」という山下を代表する名曲がアルバムの最後に入っていた。翌1984年には全曲英語のサントラ『The Theme From Big Wave』がリリースされる。ワクワク感のあるテーマソングもいいが、やはりBruce & Terryの「Don’t Run Away」をオマージュした「Only With You」がハイスペックでいい。そして全ビーチ・ボーイズ・ファンが涙した「Please Let Me Wonder」「Darlin’」のカバーだ。選曲といい、そのサウンド、ハーモニーといい、今まで日本人でここまで出来るミュージシャンはいなかった。山下達郎は、自分達と同じベクトルがあり、そして最も洋楽に対してリスペクトを持ち、最も再現できるミュージシャンなんだと確信する。シングルでは1985年に「風の回廊(コリドー)」がリリースされる。まずベースラインから音が足されていくこの曲は、山下の作曲のセンスの良さが溢れた快作で、徐々に盛り上がってア・カペラになる展開が素晴らしい。さらに好きなのが、私の山下作品トップ5に必ず入れる「土曜日の恋人」だ。この曲のイントロを聴いて泣けた。このイントロはゲイリー・ルイス&・ザ・プレイボーイズの「We’ll Work It Out」という曲のイントロと同じなのだが、この曲がただのアルバム収録曲で、曲を書いたのがピーター・アデルとゲイリー・ゲルド、後の「Happy Together」などを書く優れたコンポーザーなのだが、この2人が書いた中でも傑作で、スナッフ・ギャレットとレオン・ラッセルという才人がサウンド作りを行ったので、アルバム曲ながら知る人ぞ知る名曲になった。日本でほとんど知られていない曲をイントロに取り上げるセンス、そして転調を効果的に使い、全体的にスナッフ・ギャレットを超えるキラキラ輝くサウンドを作り上げたのは見事としか言いようがない。この2曲が入ったアルバム『Pocket Music』が1986年にリリースされたあと、山下「僕は夏はインドア派で家にいる」と言っていたのに、嫌っていた「夏だ!海だ!達郎だ!」のイメージの依頼があってそれに応えたおそらく最後のシングル、「踊ろよ、フィッシュ」を1987年にリリースする。そしてこの曲の弾むリズム、信じられないような転調を駆使した、山下の中でも指折りの傑作に仕上げてくれた。自分にとって最もワクワクしていたのはこのシングルまでだった。次のシングルは「Get Back In Love」という大バラードで、はるかに大きなヒットになった。以降、山下はバラード系も多くなり、全体的に落ち着いた今のタツローサウンドになっている。もちろん、それはそれで好きなのだが、私はブライアン・ウィルソンが作曲・プロデュースをしたもののヒットはまったくしなかったキャステルズの「I Do」なんていう超マニアックな曲をシングルのカップリングに入れてくる山下が大好きである。今なおこういうミュージシャンは他になく、邦楽の最終回は山下達郎、彼しかいない。



★山下 達郎(SUGAR BABE含む)

☆オリジナル・アルバム

1972 『Add Some Music To Your Day』(自主制作盤)1992 Reissue(Wild Honey)※学生時代の自主制作盤。全曲カバーで山下達郎は9曲リードを取った。

1975 Sugar Babe『SONGS』(CBSソニー)1986 Reissue※山下達郎作は「Show」、「Down Town」、「今日はなんだか」、「雨は手のひらにいっぱい」、「過ぎ去りし日々”60’s Dreams”」、「Sugar」、「すてきなメロディー」(大貫妙子と共作)の7曲。86年の大滝詠一の『Niagara CD BookⅠ(Box Set)』で初CD化されたが、吉田保が大幅にリミックスしてヴォーカルもバッキングもエコーたっぷりで他のリイシューとは明らかに違う。「Sugar」で山下のヴォーカルがオンで、エンディングのおふざけの笑い声は聴こえなく処理された。

1975 Sugar Babe『SONGS』(East West)1994 Reissue※やっとオリジナルのリイシューに、プラスデモの「Show(Demo)」、「夏の終わりに(Demo)」、「指切り(Demo)」(大滝詠一作)、「パレード(Demo)」のデモと1976年荻窪ロフトのラストライブから3月31日の「すてきなメロディー」、4月1日の「今日は何だか」と「愛は幻」(大貫妙子作)のライブ3曲を収録。

1975 Sugar Babe『SONGS(30th Anniversary Edition)』(ソニー)2005 Reissue※1994年版のデモがもう1回4曲入ったが「夏の終わりに(Demo Remix)」はリミックス。他は1974年4月池袋シアターグリーンの「想い(Live)」(小宮やすゆう作)、「いつも通り(Live)」(大貫妙子作)のライブ2曲、「ためいきばかり(Diff.Mix Version)」(村松邦雄作)、「Sugar(Wild Mix Version)」がプラスされ、「Down Town(Different Karaoke)」は最後のクラビネットがなく13秒短い別ミックス。アルバム自体は大滝詠一のリマスター。

1975 Sugar Babe:『SONGS(40th Anniversary Edition)』(ワーナー)2015 Reissue※ディスク1はリマスターで、ボーナスは1976年4月1日ラストライブの「パレード(Live)」、「こぬか雨(Live)」(伊藤銀次・山下達郎作)、「雨は手のひらにいっぱい(Live)」、1976年1月28日のライブの「Windy Lady(Live)」「Down Town(Live)」「愛は幻(Live)」「今日はなんだか(Live)」、ディスク2はリミックスで、「すてきなメロディー(Alternate Version)」で消されていた間奏のカズーが復活、2009年の『Tatsuro from Niagara』で既に大滝が復活させていたが、こちらは僅かにスムーズに吹いていない違いがある。の「Sugar」は演奏スタートが一拍早くなっていた。ボーナス・トラックには大貫妙子のピアノが消されず残っていた「今日はなんだか(Original Piano Version)」と、1975年7月17日のラジオ番組のエアチェック「Down Town(Live)」、1975年9月12日中野公会堂のライブ「風の世界(Live)」(大貫妙子作)、そしてカラオケで「Show(Karaoke)」「Down Town(Karaoke)」「蜃気楼の街(Karaoke)」「いつも通り(Karaoke)」「雨は手のひらにいっぱい(Karaoke)」の5曲が入り、40周年版の「Down Town」のカラオケはクラビネットが異なり長さも完全版だ。アルバム自体は山下達郎がリマスター&リミックスの両方を担当した。「Sugar」のリミックスでは最後のおふざけの笑い声が小さくミックスされるなどリマスターと違いがある。本リイシューは6位。

1976 山下達郎:大滝詠一:伊藤銀次『Niagara Triangle Vol.1(30th Anniversary Edition)』2006 Reissue(ソニー)※アルバムでは山下達郎が「ドリーミング・デイ」「パレード」「遠すぎた別れ」「フライング・キッド」の4曲を担当する。ボーナス・トラックでは3人が交互にリード・ヴォーカルを取る「幸せにさよなら(Single Version)」、イントロの一部がカットされエンディングも短い「ドリーミング・デイ(Single Version)」など3曲、モノ・ヴァージョンで追加された。29位。

1976 『Circus Town(Remaster)』2002 Reissue(BMGジャパン)※ボーナスはカラオケの「Circus Town(Karaoke)」「Windy Lady(Karaoke)」。50位。CDのリイシューは27位。

1977 『Spacy(Remaster)』2002 Reissue(BMGジャパン)※ボーナスはアレンジが違う「アンブレラ(Alternate Version)」+カラオケの「Love Space(Karaoke)」+「Solid Slider(Edit)」の3曲。59位。CDのリイシューは29位。

1978 『It’s A Poppin’ Time(Remaster)』2002 Reissue(BMGジャパン)※1978年3月8日・9日ピットインでのライブ。ボーナスは収録時間の関係で入れられなかった「Love Space(Live)」「You Better Run(Live)」を収録。1978年のライブ・アルバム。CDのリイシューが28位。

1978 『Go Ahead!(Remaster)』2002 Reissue(BMGジャパン)※ボーナスは「潮騒(English Version)」+カラオケの「2000トンの雨(Karaoke)」「潮騒(Karaoke)」。75位。CDリイシューは25位。

1979 『Moonglow(Remaster)』2002 Reissue(BMGジャパン)※81年のライブ「永遠のFull Moon(Live)」、出来が気に入らず82年に再録音した「Funky Flushin'(1982 Version)」+カラオケの「夜の翼(Karaoke)」。20位。CDリイシュー26位。

1980 『Ride On Time(Remaster)』2002 Reissue(BMGジャパン)※ボーナスは「Ride On Time(Single Version)」「InterludeⅠ」「InterludeⅡ」「My Sugar Babe(TV Instrumental Version)」。1位。CDリイシューは20位。

1980 『On The Street Corner(Remaster)』2000 Reissue(Moon)※ボーナスは「Gee」「Close Your Eyes(All Tatsuro Version)」。なお「Most Of All」は1986年のReissueでオリジナルマスターの劣化により再レコーディングされている。そのため未CD化のまま。13位。1986年版は5位。2000年版は20位。

1982 『For You(Remaster)』(イースト・ウェスト)2002 Reissue(BMGジャパン)※ボーナスで「あまく危険な香り」「あまく危険な香り(TV Instrumental Version1)」「あまく危険な香り(TV Instrumental Version2)」「Every Night」。1位。CDリイシューは16位。

1983 『Melodies(30th Anniversary Edition)』2013 Reissue(ワーナー)※ボーナスで「Sounds With Coke Theme」(Jody Inst. Version)「高気圧ガール(Long Version)」「Blue Midnight(1st Mix)」「クリスマス・イブ(Key In D)」「悲しみのJody(Reprise)」。1位。

1984 『Big Wave(30th Anniversary Edition)』2014 Reissue(ワーナー)※ボーナスで「This Could Be The Night(Alternate)」、「I Love You(A Cappella) (120min.)」、「I Love You(A Cappella) (30min.)」、「Only With You(Karaoke)」「Please Let Me Wonder(Karaoke)」、「Breakdance」、「Only With You(Guitar Instrumental)」。2位。

1986 『Pocket Music』(Alfa Moon)※なお、1991年に吉田保による全面リミックスしたニューヴァージョンの『Pocket Music』(Wea Japan)はボーナス・トラックに「My Baby Queen」をプラス、「土曜日の恋人」はイントロとか地味で10秒短いアルバム・ヴァージョンから華やかなシングル・ヴァージョンに変えリリースした。「MERMAID」は1986年版と、1991年版は大きく違い、1991年版は10秒以降からキーボードがオーバーダブされている。1位。

1986 『On The Street Corner 2(Remaster)』2000 Reissue(Moon)※ボーナスで「Heavy Makes You Happy」「Will You Love Me Tomorrow」。3位。

1988 『僕の中の少年』(Alfa Moon)※「踊ろよフィッシュ」はエンディングのア・カペラのブレイクのなく、歌詞の一部も違うアルバム・ヴァージョン。1位。

1989 『Joy』(Alfa Moon)※1981年~89年に収録した22曲のライブ・アルバム。3位

1991 『Artisan』(MMG)1位。

1993 『Season’s Greetings(20th Anniversary Edition)』2013 Reissue(ワーナー)※ボーナスで「White Christmas(Happy Xmas Show! Version)」「We Wish You A Merry Christmas」「Jingle Bell Rock(Live)」「O Little One Sweet」「Jingle Bell Rock(Happy Xmas Show! Version)」「It’s All In The Game(Live)」「Joy To The World」収録

1998 『Cozy』(ワーナー)1位

1999 『On The Street Corner 3』(ワーナー)4位

2002 『Rarities(初回限定盤)』(ワーナー)※「ベスト盤」とカテゴライズする人もいるが、アルバム未収録シングル+未発表トラックなので新作扱いにする。まずシングルのみの「Blow('98 Remix)」、「君の声に恋してる」、「好・き・好・き・Sweet Kiss」、「潮騒(Live Version)(Remix)」、「モーニング・シャイン」、「First Luck」、「I Do」、「ヘロン(Guitar Instrumental)」、「Juvenileのテーマ~瞳の中のRainbow~」、「スプリンクラー(Long  Version)」、「いつか晴れた日に(Stand Alone Version)」に加え、1988年の「Misty Mauve」、1998年の「Happy Happy Greeting(Original Demo Version)」、2002年の「Love Goes On(その瞳は女神)」に「Time Wait For Love」の未発表トラックをプラスした。初回限定盤には『Original Karaoke Collection』として「Get Back In Love(Karaoke)」「さよなら夏の日(Karaoke)」「蒼氓(Karaoke)」「パレード(Karaoke)」「Endless Game(Karaoke)」のカラオケがプラスされた。1位。

2005 『Sonorite』(ワーナー)2位

2011 『Ray Of Hope』(ワーナー)※初回限定盤は『Joy 1.5』のタイトルで1985年~94年のライブ7曲(1985年の「素敵な午後は(Live)」「The Theme From Big Wave(Live)」、1986年の「Only With You(Live)」、1992年の「アトムの子(Live)、1994年の「二人の夏(Live)」「こぬか雨(Live)」「砂の女(Live)」)のボーナス・ディスクを付けた。1位。



☆必要なコンピレーション(特典の非売品含む) 

※新作に等しい存在のコンピのみオリコンチャートを記載した。

1978 Various『Pacific』(CBS/ソニー)※ほぼインストの「ノスタルジア・アイランド」「キスカ」収録。

1979 Various『限りなき透明に近いブルー(Soundtrack)』(キティ)※「Groovin'」収録。『Cozy』収録のものとは別ヴァージョン。

1984 『山下達郎CM全集Vol.1』(1st Selection)※コンサートのツアーパンフに付けられた画期的な山下達郎が作って歌うCMの名曲集。17㎝45回転EPで12曲収録、74年の「三ツ矢フルーツソーダ」「不二家ハートチョコレート」75年の「ナショナルまきまきカール」「いちじく浣腸」76年の「三ツ矢サイダー」77年「資生堂フェリーク’MARIE’」78年「TORIO FM時報」79年「コカコーラ」「ハウスみぞれっ子&シャービック」80年「Ride On Time(日立マクセルUD)」81年「Loveland Island(Suntory Beer)」83年「I Love You(Suntory Gift)」を収録。今でも1981年のSuntory Beer「Loveland Island」のCMはこのアナログ盤のみ。EP単独では売られていない。未CD化。

1986 『Come Along』(RVC)※1976年~78年の英語のナレーション入りRCA時代のコンピだが、「愛を描いて」の後に「Dream Of You」というア・カペラの短いジングルが入った。

1995 『Treasures』(ワーナー)※Moon時代の最初のベスト盤だが、シングルオンリーの「スプリンクラー(Edit)」「ジャングル・スウィング」、最後にFishのブレイクが入ってアドリヴ・ヴォーカルが続く「踊ろよフィッシュ(Alternate Single Version)」のシングル用未発表別ヴァージョン、「世界の果てまで」を含む。1位。

1996 『山下達郎CM全集Vol.1』(2nd Edition)(Wild Honey)※ファン・クラブ通販で販売されている前述のVol.1の改訂版。1st Selectionに74年「三愛バーゲンフェスティヴァル」78年「ハウスみぞれっ子」79年「JAL沖縄(Let’s Kiss The Sun)」※エンディングが「オキナワー」。82年の「サウンズ・ウィズ・コーク テーマ(悲しみのJody)」※インスト。「三ツ矢サイダー('94 年Live Version)」の5曲がプラスされたが、80年「Ride On Time(日立マクセルUD)」81年「Loveland Island(Suntory Beer)」の2曲がカット(「Ride On Time」はVol.2行き)された15曲仕様。

1997 『Greatest Hits! Of Tatsuro Yamashita』(BMGジャパン)※オリジナルは1982年にRVCからリリースされ2位にランクされた。この権利を訴訟で戻したため、BMGジャパンでは『For You』プロモート用に700枚作ったピクチャーレコードのみ収録された、山下本人が13曲をつなぎ合わせて9分にした編集曲「9 Minutes Of Tatsuro Yamashita」をボーナストラックに収録した。音源的にはレアではない。

2000 『On The Street Corner 0』(CD Version)(ワーナー)※2000年版『On The Street Corner 1』『On The Street Corner 2』と1999年リリースの『On The Street Corner 3』のCD3枚購入特典の非売品。カラオケの「You Belong To Me(Karaoke)」「Blue Velvet(Karaoke)」「So Much In Love(Karaoke)」「Chapel Of Dreams(Karaoke)」「Stand By Me(Karaoke)」「Angel(Karaoke)」とライブの「Amapola(Live)」「I Love You(Live)」「Love Can Go The Distance(Live)」収録。非売品のCD。

2000 『On The Street Corner 0』(LP Version)(ワーナー)※2000年版『On The Street Corner 1』『On The Street Corner 2』と1999年リリースの『On The Street Corner 3』のLP3枚購入特典の非売品。「I Only Have Eyes For You(Live)」「So Much In Love(Live)」「おやすみロージー(All A Cappella Version Live)」「She's Gone(With The Wind)」(Rehearsal Version)「The Opening For Performance 98-99(Fragile) 」「The Opening For Performance 91-92(飛遊人)」「The Opening For Performance 84-85」収録。非売品のLP。未CD化。

2000 竹内まりや『Souvenir』(ワーナー)※「Let It Me Be」竹内まりや&山下達郎

2001 『山下達郎CM全集Vol.2』(Wild Honey)※ファン・クラブ通販で販売されているVol.1の後編。17曲収録。74年「資生堂 バスボン」75年「ラグノオ シュガーレス・ケーキ」※ほぼインスト。76年「資生堂 店頭BGM「南の島」」「資生堂 MG5」「不二家 ハートチョコレート (バレンタイン編)」76年「資生堂 店頭BGM「HOT HOT」」※インスト。78年「資生堂 FRESURE」※インスト。80年「日立マクセル UD(秋編)「RIDE ON TIME」」85年「HONDA INTEGRA 「風の回廊」」90年「東芝 Rupo「HYPER BOY」」93年「ららぽーとスキードーム SSAWS '93「湾岸スキーヤー」」95年「IBM Aptiva」96年「ミスタードーナツ「ドーナツ・ソング」」98年「SANYO FRAGILE「FRAGILE」」98年「SANYO Burberrys BLUE LABEL」※ほぼインスト。99年「NTT Communications「LOVE CAN GO THE DISTANCE」」に最後はお馴染みの84年からNHKFM「サウンドストリート」、今はJ-WAVE「サンデーソングブック」のオープニングで使われている「ONLY WITH YOU (Instrumental)」。

2002 『Special Bonus Disc』(BMGファンハウス)※『The RCA/Air Years LP Box 1976-1982』に封入されたボーナス・ディスク。このLPでしか聴けない曲は「言えなかった言葉を(New York Version)」、「My Sugar Babe(TV Titleback)」、「Ride On Time Different Version (Demo)」、「Sunshine-愛の金色(Live Version)」(80年5月3日中野サンプラザ)、「愛を描いて-Let’s Kiss The Sun(Live Version)」(80年8月2日葉山マリーナのライブ)で全11曲。なおボックスには『Circus Town』から『For You』までの8枚のLPも収録されている。単品では売っていない。未CD化。

2003 竹内まりや『Longtime Favorites』(ワーナー)※「Walk Right Back」竹内まりや&山下達郎

2009 『Tatsuro from Niagara』(ソニー)※ナイアガラ・トライアングルの本CD用のボーナスで初登場の「幸せにさよなら(山下ヴォーカル・バージョン)」。リード・ヴォーカルを、サビ以外全て山下が担当して貴重。あとシュガー・ベイブの「Sugar(オリジナル・バージョン)」は最初のNGテイクで、冒頭からジャングル・ノイズのような声が大きく、最後もリフが大きく続き、おふざけの笑い声の部分が聴こえず唐突に終わる。もうひとつ「すてきなメロディー」(幻カズー入り)とあるが、当時のレコーディングでエンジニアの大滝が間違えて間奏のカズーを消してしまったので復活させている。2015年の『SONGS(40th Anniversary Edition)』のものに比べ復活したカズーが僅かにスムーズだ。

2012 『Opus~All Time Best 1972-2012~(初回限定盤)』(ワーナー)※RCAからワーナーへ、レーベルを越えたベスト盤。「「愛を教えて」はこの盤が初登場の曲。初回限定盤にはボーナス・ディスクとして「硝子の少年」「酔いしれてDeja Vu」「Guilty」のデモ、RCA LP BoxボーナスLPに入っていた「Every Night(2012 New Remastr)」「夜のシルエット(Blue Horizon Different Lyrics)、」、「希望という名の光(2012 Acoustic Version)」など初登場音源3 曲、初CD化2曲がプラスされている。1位。

2014 大滝詠一『Best Always』(ソニー)※『Niagara Triangle Vol.1』(1976年)の「幸せにさよなら(Alternate Single Version)」は山下・大滝・伊藤の3人が歌うシングル・ヴァージョンだが、本盤の別テイクは大滝がトップで歌い順番が違う。なお、頭にスタジオチャット入りの「幸せにさよなら」のカラオケも収録されている。

2015 『佐橋佳幸の仕事』(GT Music)※「氷のマニキュア(2015REMIX)」収録。佐橋のギターソロが目一杯目立つミックスになっている



☆必要なシングル(※ただのカラオケは別項でまとめた)

1985 「MERMAID(Single Version)」(Moon)※A面は「土曜日の恋人」。イントロから歌へ続くリズム・セクションのミキシングが小さいなど、1986年版のアルバム・ヴァージョンは後でリミックスされたもの。

1985 「潮騒(Live Version)(Single Version)」(Moon)※A面は「風の回廊」。リミックス前はこれのみで未CD化。『Rarities』のリミックスはヴォーカルがオン過ぎで、バックのコーラス、演奏が小さくミックスされているのに比べ、こちらのシングルの方が、臨場感があって聴きやすい。

1987 「踊ろよ、フィッシュ(Single Version)」(Moon)※未CD化。『僕の中の少年』のアルバム・ヴァージョンは、歌詞が一部違う(踊ろよBaby→おくれよBaby、くれるねBaby)そしてシングルにはエンディング部分は演奏が続くだけで、プロモ・シングルはステレオ・モノ共にア・カペラのブレイクがある。後にこのア・カペラ・ブレイク入りのシングル・ヴァージョンは『Treasures』『Opus』に入ったが、サウンドが遥かに華やかなミックスに変更された。

1993 「Magic Touch(Single Version)」(MMG)※『Cozy』収録とはミックス違い。Singleの方が7秒長い。

1993 「Medley:Bella Notte~Have Yourself A Merry Little Christmas」(MMG)※「ジャングル・スウィング」のカップリングで『Season's Greetings』から編集で組み合わされた。音源としては聴ける。

1994 「Down Town(Original Single Version)」(イースト・ウェスト)※シュガー・ベイブの最初のシングルだが、1993年のシュガー・ベイブの「パレード’82(リミックス・ヴァージョン。オリジナルの短縮版)」のシングルのカップリングで収録。マスターがないので限りなくオリジナルのシングルに近づけた。要はモノラルに近いリミックス。

1995 「世界の果てまで(Single Version)」(イースト・ウェスト)※『Treasure』収録はリミックス。ほぼ差異は感じられない。

1996 「愛の灯~Stand In The Light」(山下達郎&メリッサ・マンチェンスター)「愛の灯~Stand In The Light(Original Karaoke Duet With Tats)」(イースト・ウェスト)※メリッサ・マンチェスターとのデュオ・シングル。カップリングに山下のパートの入ったカラオケが収録された。

1996 「Dreaming Girl(Single Version)」(イースト・ウェスト)※『Cozy』収録はリミックスで7秒長い。

1992 「Blow」(イースト・ウェスト)※1992年に『アトムの子』とだけカップリングで出たCDシングルは、1999年に型番変更で再リリースされた「Blow(’98 Remix)」とミックスが違い、フェイドアウトも7秒短い。『Rarities』は「Blow(’98 Remix)」を使用。

2003 「フェニックス(Single Version)」「2000トンの雨(Movie End Title)」「フェニックス(TV Opening)」(ワーナー)※メインは「2000トンの雨(2003 New Vocal Remix)」。

2005 「太陽のえくぼ(Single Version)」(ワーナー)※『Sonorite』収録はアルバム・ヴァージョンで30秒長い。

2005  「風の回廊(Live Version)」(ワーナー)※「白いアンブレラ」のCDシングルに収録。

2008 「Angel Of The Light」(ワーナー)※「ずっと一緒さ」のCDシングルに収録。Single Versionとクレジットされているがアルバム収録はない。

2009 「ミューズ」「アトムの子('09 Live Version)」(ワーナー)※「僕らの夏の夢」のCDシングルに収録。

2010 「Happy Gathering Day」(ワーナー)※「希望という名の光」のCDシングルに収録。<

2011 「ついておいで('09 Live Version)」(ワーナー)※「街物語」のCDシングルに収録。

2011 「高気圧ガール('09 Live Version)」(ワーナー)※「愛してるって言えなくたって」のCDシングルに収録。

2013 「光と君へのレクイエム」「コンポジション」(ワーナー)※「光と君へのレクイエム」のCDシングルに収録。

2014 「The Christmas Song~Have Yourself A Merry Little Christmas」…(竹内まりや→山下達郎のメドレー)はこれのみ。「Christmas Eve(Acoustic Live Version)」「Christmas Eve(English Version)」は毎年リリースされるCDシングルでカラオケと共にレギュラー化している。(ワーナー)※「Christmas Eve(2014 Version)」のCDシングルのみ。

2016 「Cheer Up!The Summer」「Can’t Take My Eyes Off You~君の瞳に恋してる(Live)」(ワーナー)※「Cheer Up!The Summer」のCDシングルに収録。



☆Merry Christmas From Tatsuro Yamashitaのみで聴ける曲<

※1992年より毎年、山下達郎オフィシャル・ファン・クラブ会員に送られるクリスマスCDで、2016年12月現在、他では聴けないものを紹介する。

1995年及び1999年「Jingle Bell Rock(Alternate Version)」、1997年「When You Wish Upon A Star(Alternate Version)」、1998年「The Christmas Song」、2001年「過ぎ去りし日々 60s Dream(Live Version)」、2002年「I'm In The Mood For Love」、2003年「What's Goin' On(Live Version)」、2006年「Oh Pretty Woman(Live Version)」、2007年「Remember Me Baby(Live Version)」「Only The Lonely」、2008年「モーニング・シャイン(Live Version)」、2009年「Donut Song(Live Version)」、2010年「Happy Happy Greetings(Live Version)」、2011年「潮騒(Live Version)」、2012年「今日はなんだか(Live Version)」、2013年「Windy Lady(Live Version)」「砂の女(Live Version)」「Bomber(Live Version)」、2014年「ピンクシャドウ(Live Version)」、2015年「Down Town(Live Version:Sugar Babe)」、「パレード(Live Version:Sugar Babe)」、2016年「ターナーの機関車(Live Version)」、「Paper Doll(Live Version)」



☆シングルのみのカラオケ(山下達郎のCDシングルには1995年以降カラオケが付けられている。シングル盤とタイトルと一致した時は未記載、複数曲収録時はシングル盤のタイトル名を(  )内に入れた。)

1995:「世界の果てまで」、1996:「愛の灯~Stand In The Light」、「Dreaming Girl」、1998:「ヘロン」、「いつか晴れた日に」、1999:「Blow」「アトムの子」(「アトムの子/Blow」)、「Love Can Go The Distance」、2000:「Juvenileのテーマ~瞳の中のRainbow」、「Christmas Eve」、2001:「君の声に恋してる」「So Much In Love(2001 Remix)」:(「君の声に恋してる」)、2002:「Loveland Island」「Your Eyes」:(「Loveland Island」)、2003:「Ride On Time」「あまく危険な香り」:(「Ride On Time」)、「2000トンの雨」「フェニックス」:(「2000トンの雨(2003 New Vocal Remix)」)、2004:「忘れないで」「ラッキー・ガールに花束を」:(「忘れないで」)、2005: 「Forever Mine」「Midas Touch」:(「Forever Mine」)、「太陽のえくぼ」、「白いアンブレラ」「ラッキーガールに花束を」(前述と同じもの):(「白いアンブレラ」)、2008:「ずっと一緒さ」「バラ色の人生~ラヴィアンローズ」:(「ずっと一緒さ」)、2009: 「僕らの夏の夢」「ミューズ」:(「僕らの夏の夢」)、2010:「希望という名の光」「Happy Gathering Day」:(「希望という名の光」)、「街物語」、2011:「愛してるって言えなくたって」、2013:「光と君へのレクイエム」「コンポジション」:(「光と君へのレクイエム」)、2016「Cheer Up!The Summer」



☆山下達郎の提供曲集

2004 『The Works Of Tatsuro Yamashita Vol.1』(Wild Honey)※山下達郎ファンクラブの会員用の販売CDで、1979~1984年に山下が曲を書きアレンジまでしたものが7曲、作曲が8曲の計15曲で、フランク永井、アン・ルイス、池田典代、円道一成、桜田淳子、岩崎宏美、センチメンタル・シティ・ロマンス、村松邦男、尾藤イサオ、ダディ竹千代&東京おとぼけCats、ミュージカル「ハムレット」よりが収録。例によって日本の他のレコード会社は時間だけかけて最終的に許諾を出さず、KINKI KIDSの「硝子の少年」「ジェットコースターロマンス」や近藤真彦「ハイティーンブギ」などジャニーズ系全滅で肝心な曲が多く入っていない。ナイアガラ・ファンと違って山下ファンは提供曲にはあまり興味がない人が多いので、このディスクはファンクラブ用のマニア向けになっている。



オマケ〇シングルリリースリスト

◎SUGAR BABE

75 「DownTown」「いつも通り」(エレック)、82 「パレード」「ダウンタウン」(CBSソニー)、94 「Down Town(Original Single Version)」29位「パレード」(East West)…これのみCDシングル。シングルマスターは存在しないので限りなくオリジナルのシングル・ヴァージョンに近づけた。ほぼモノラルということ。

◎ナイアガラ・トライアングル

76 「幸せにさよなら(Single Version)」※伊藤銀次作。山下も交互に歌う。「ドリーミング・デイ(Single Version)」(日本コロムビア)

◎山下達郎

※レーベル…「あまく危険な香り」までRVC。「高気圧ガール」からALFA MOON、「Endless Gameから」MOON MMG、「世界の果てまで」からMOON East West Japan、「ヘロン」からワーナー。なお2002年の「Loveland Island」03年の「Ride On Time」のみBMGファンハウス。

79 「Let’s Dance Baby」「Bomber」、「愛を描いて-Let’s Kiss The Sun-」「潮騒」、「永遠のFull Moon」「Funky Flushin’」、80 「Ride On Time(Single Version)」3位「Rainy Walk」、「My Sugar Babe」90位「Daydream」、82 「あまく危険な香り」12位「Music Book」、83 「高気圧ガール」17位「Darlin’」、「スプリンクラー(Single Version)」34位「Please Let Me Wonder」、「クリスマス・イブ」1位(※89年・90年)「White Christmas」なお現在は「Christmas Eve(English Version)」「Christmas Eve(Acoustic Live Version)」「Christmas Eve(Karaoke)」がプラスされた。84 「The Theme From Big Wave」「I Love You Part Ⅰ」「I Love You Part Ⅱ」、85 「風の回廊」12位「潮騒(Live Version)」、「土曜日の恋人」22位「Mermaid」、87 「踊ろよ、フィッシュ」19位「You Make Me Feel Brand New」、88 「Get Back In Love(Single Version)」6位「First Luck」、89 「新・東京ラプソディー」「The Girl In White」、「おやすみロージー」22位「素敵な午後は(Live)」、90 「Endless Game」5位「The Theme From Big Wave(Live)」、91 「さよなら夏の日」12位「モーニング・シャイン」、「ターナーの汽罐車」30位「Only With You(Live)」、92 「アトムの子」18位「Blow」※99年から「アトムの子」88位「Blow(’98 Remix)」「アトムの子(Karaoke)」「Blow(Karaoke)」、93 「Magic Touch(Single Version)」17位「I Do」、「ジャングル・スウィング」22位「Medley:Bella Notte~Have Yourself A Very Merry Christmas」、95 「世界の果てまで」24位「二人の夏(Live)」※以降はタイトル曲のカラオケも入るので記述省略。96 「愛の灯~Stand In The Light」23位…メリサ・マンチェスターとのデュオ。「愛の灯~Stand In The Light(Original Karaoke Duet With Tats)」、「Dreaming Girl」24位「砂の女(Live)」、98 「ヘロン」10位「ヘロンGuitar Instrumental」、

「いつか晴れた日に」15位「好・き・好・き・Sweet Kiss」「いつか晴れた日に(Stand Alone Version)」、99 「Love Can Go The Distance」18位「When You Wish Upon A Star」※カラオケは両方。00 「Juvenileのテーマ~瞳の中のRainbow」20位「アトムの子(Live)」、01 「君の声に恋してる」15位「So Much In Love(New Vocal Remix)」※以降カラオケは両方。02 「Loveland Island」26位「Your Eyes」、03 「Ride On The(Single Version)」13位「あまく危険な香り」「Ride On Time(ア・カペラ・ショート・ヴァージョン)」※、「2000トンの雨(2003 New Vocal Remix)」「フェニックス(Single Version)」「2000トンの雨(Movie End Title)」「フェニックス(TV Opening)」、04 「忘れないで」14位「ラッキー・ガールに花束を」、「Forever Mine」8位「Midas Touch」、05 「太陽のえくぼ」29位※B面なし、「白いアンブレラ」「ラッキー・ガールに花束を」「風の回廊(Live)」※カラオケは「風の回廊」以外の2曲。08 「ずっと一緒さ」3位「バラ色の人生~ラヴィアンローズ」「Angel Of The Light」※カラオケは「Angel Of The Light」以外の2曲。09 「僕らの夏の夢」8位「ミューズ」「アトムの子('09 Live Version)」※カラオケは「アトムの子(09年Live)」の2曲、10 「希望という名の光」9位「Happy Gathering Day」、「街物語」13位「ついておいで('09 Live Version)」※以降カラオケはA面のみ、11 「愛してるって言えなくたって」15位「高気圧ガール('09 Live Version)」、13 「光と君のレクイエム」10位「コンポジション」、16 「Cheer Up!The Summer」8位「Can’t Take My Eyes Off You~君の瞳に恋してる(Live)」

(作成:佐野邦彦)



RYUTist 『柳都芸妓』(PENGUIN DISC/PGDC-0005)

$
0
0


昨年セカンド・アルバム『日本海夕日ライン』をこちらで紹介した女性4人組アイドル・グループ、RYUTist(りゅーてぃすと)が、8月1日にサード・アルバム『柳都芸妓(りゅうとげいぎ)』をリリースした。
前作同様に所謂アイドル・アルバムとは一線を画しており、音楽通をも唸らせるソングライティングとサウンドは健在で、筆者も音源を入手してから常に聴き込んでいる程だ。
前作以上にギター・ポップやソフトロックの要素が高いので大いにより多くの音楽通にお勧めしたい。

まずRYUTistのプロフィールであるが、詳しくは前作のレビューを参照して頂くとして、現メンバーは五十嵐夢羽、宇野友恵、佐藤乃々子、横山実郁の4名から構成されている。
グループ名の由来と本作のタイトルにもなっている「柳都」とは、かつて堀がはりめぐらされた新潟市の別称である。その堀端に植えられた柳の下を芸妓達が通るという、古町ならではの古風で美しい風景を舞台としたコンセプト・アルバムといえばいいだろう。
本作で楽曲提供したミュージシャンは、前作からの参加者も多く、今年2月にフォース・アルバムをリリースしたThe Pen Friend Clubの平川雄一をはじめ、so niceの鎌倉克行、カンケこと柏崎三十郎、鈴木恵TRIOやEXTENSION58の鈴木恵、職業作家の永井ルイやKOJI obaこと大場康司のクレジットが確認出来る。
また新たに婦人倶楽部(佐渡ヶ島の謎の主婦グループ)のプロデュースや「カメラ=万年筆」としての活動でも知られるムッシュレモンこと佐藤望、新潟のビッグバンドTHE MANDUMSのバルカン坂爪が参加しているのも興味深い。 以上の楽曲提供者達が、自身のリリース作品と等しいクオリティーをキープしてRYUTistのアルバムを表現の場として切磋琢磨している姿勢は高い評価に値するのである。

ではアルバム収録曲を解説していこう。
冒頭の「柳の都」は永井ルイのソングライティングとアレンジによる、4人のスキャットをフューチャーしたソフトロック系の小曲。60年代後半のイタリアン映画のサントラをも彷彿させて筆者好みである。全ての演奏とコーラス・アレンジも永井が一人で担当している。
続く「夢見る花小路」は本作のリード・トラックとして、新たに参加した佐藤望がソングライティングとアレンジを手掛けている。
曲の構成とアレンジ共に完成度が非常に高く、バース1のコード進行はThe Groopの「The Jet Song (When The Weekend’s Over)」辺りに通じる、期待感を増長させる導入部として効果的だ。全てのパートに無駄はなく、間奏のストリングス・アレンジ(シンセ)も含めよく計算されていると思う。
近年では元シンバルズ~TWEEDEESの沖井礼二の作風にも近いのではないだろうか。ドラムは井上拓己、ベースは相川翔悟、ギターには君島大空が参加し、その他キーボードとプログラミングを佐藤が担当している。
また本作全体を通してだが、RYUTist4人の歌唱力やハーモニーは前作より磨かれており、きちんとディレクションされているのが一聴して分かるので聴き比べて欲しい。

   

「想い出はプロローグ」は鎌倉克行の作曲でリズム・アレンジはシティポップ系グループ“カンバス”の小川タカシ、ホーン・アレンジは鈴木恵がそれぞれ担当している。so nice鎌倉の作曲とはいえ、サウンドは所謂80年代英国ギター・ポップのフィールが強く、4管のホーン隊が入ることでファンカラティーナの匂いもする。リズム・セクションはベースの菱川浩太郎以外全て小川なのでカンバス組という訳だ。
ギター・アルペジオのイントロではじまる、鈴木恵の作曲、アレンジによる「サンディー」でもギター・ポップ・フィールは維持されつつ、曲調には60年代のブリル・ビルディング系のマナーを感じる。ミュート・トランペットのオブリやギター・ソロのトーンも効果的だ。

本作中最も異色なのが、「古町ブギウギ通り」だろう。ソングライティングとアレンジはバルカン坂爪が担当し、彼が所属するTHE MANDUMSが演奏している。しかしジャンプ・ブルース・バンドのサウンドをも許容するRYUTistのプロダクションには恐れ入った。
バルカン坂爪はもう一曲「涙のイエスタデイ」も提供しているが、こちらはフィリーソウルが入った80年代シティポップのサウンドで、EPOが歌っていてもおかしくない。何よりこの多幸感は替えが効かないね。
「NEO古町小唄」はカンケこと柏崎三十郎の作曲、アレンジで、前作同様ノベルティ・タイプの曲で攻めている。ここでも彼が敬愛する大瀧詠一の作曲、プロデュースした「アンアン小唄」(山田邦子Ver)がオマージュされていて微笑ましい。

WebVANDAではお馴染みの平川雄一のソングライティングによる「わたしのこみち」は、本誌読者は聴かずにはいられないと思う。アレンジは平川とThe Pen Friend Club名義で演奏にもメンバーがほぼ参加している。Gary Lewis And The Playboysの「Count Me In」を彷彿とさせる曲調にお得意のビーチ・ボーイズ風コーラスが乗るという贅沢なサウンドだ。
構成も凝っていて、リズムが抜けるコーラス・パートで平川によるマンドリンは10ccの「Don't Hang Up」を思わせる。ドラムの祥雲貴行のプレイもベストじゃないかな。
続く「恋してマーマレード」は永井ルイのソングライティングとアレンジで、お馴染みのモータウン三連リズムで飛ばし行く。イントロにホールトーン・スケール、ストリングス・アレンジ(シンセ)にはマックス・スタイナーの「A Summer Place」の匂いがして、単なるダンス・ミュージックとは一線を画す。
ラストの「口笛吹いて」 は大場康司の作曲とアレンジだが、冒頭の「柳の都」とのブックエンドを意識したスキャットと、フルートのリフに寄り添うコーラスが美しいイントロで始まる。基本的にこの曲もダンス・ミュージックではあるが、RYUTist4人のハーモニーによって普遍的なポップスに昇華されているのが感動的だ。

最後に繰り返しになるが、本作『柳都芸妓』は数多あるアイドル・アルバムとは一線を画しており、本誌読者をはじめとする音楽通をも唸らせるソングライティングとサウンドを誇っているので、興味を持ったポップス・ファンは是非入手して聴いて欲しい。
(ウチタカヒデ)


BEACH BOYS 『Spirit of America / Boogie Woodie』 (Capitol Custom)

$
0
0

筆者の20年来の友人がビーチ・ボーイズのレア・アイテム・コレクターをしており、最近63年のプロモ・7インチ盤『Spirit of America / Boogie Woodie』をピクチャースリーブ込みで入手した。
同盤は弊誌編集の『The Beach Boys Complete Revised Edition』(2012年12月 VANDA編/シンコーミュージック刊)の14頁と164頁で盤レーベルのみ掲載されていたが、ピクチャースリーブは未掲載であった。
ここでは解説を交え紹介しよう。


1963年11月アメリカ史上において当時のケネディ大統領暗殺という重大な出来事があった暗殺一週間前に、ロサンジェルスのSouth Bay地区にレコードチェーンの支店がオープンした。
Music City創業者はGlenn Wallichs 、Capitol Recordの創業者の一人である。
Music Cityは、当時の小規模な家族経営的なレコードストアの概念を覆し、現代のレコードストアのフォーマットの元となった。(※1)
South Bay Music Cityの店舗から東に車でひとっ走りしたらManhattan beach(※2)に出る。また当該店舗から北上すればHawthorn地区にたどり着く。ここはWilson兄弟の実家がある地区である。

このようにBeach Boysにとっては慣れ親しんだ環境で開店したMusic Cityは、開店イベントとして地元のラジオ局KFWB(※3)のDJがMCを務め、当日この盤が来店者に無料で配られていた。
これらの背景から、Capitolがらみで地元の人気者であるBeach Boysにちなむ何かを開店に合わせて企画したのだろう。
そしてCapitol Customレーベル(※4)から、開店時の来店客へノベルティとして制作されることとなったと思われる。
一年後同種のリリースがBeatlesでもMusic City KFW Beatlesで行われている。
本盤は以上のことからリリースが数日間しかない、という点で自ずとレア度が高まることとなる。
盤自体が少ないものの時折見かけることはあるが、さらにレア度が高い理由は、リリース時ピクチャースリーブ(※5)付きであり、現在中古市場に出回っているのは盤のみが多い。
今回幸運にしてピクチャースリーブ付きを入手したので公開させていただく。
Music Cityはその後Tower Recordなどのライバルの台頭やディスカウントストアに押されて、80年代に廃業し、跡地はショッピングモールとなっている。


※1:アーティス別にインデックス陳列、レコード棚、試聴までできた上、新品にはシュリンクラップしていた。
※2:Surfin’ USAで、All over Manhattanと謳われている部分である。
※3:KFWBはWarner Brothersの創業者のWarner兄弟の1人が設立した、ロックンロールを早くから放送し、60年代中期KRLAに取って代わられるまで人気放送局だった。こじつけだがK-Warner Four Brothersと呼ぶ人もいるそうだ。
※4:Capitol Custom Services Departmentのもと東西のスタジオでマスタリングなどが専門-1953年から1973まで存在した。
※5:I Was There KFWB Day とあるだけで写真なし。

(text by -Masked Flopper- / 編集:ウチタカヒデ)


☆Favorite Composer 全音源コレクティング第1回:ROGER NICHOLS(~1983)

$
0
0

自分にとって最も好みの曲を書くコンポーザーが3人いる。それがロジャー・ニコルス、テディ・ランダッツォ、そしてトニー・マコウレイの3人だ。この中でテディ・ランダッツォは19641968年の期限付きで、その前後に興味はやい。他の2人にも旬があり、1980年以降の音源には曲作りの冴えが乏しく感じられるためコレクティングの対象から外している。この中で最も実績があるのはトニー・マコウレイなので、たった3回だが最後は当然彼として、第1回はロジャー・ニコルスでスタートしよう。ただこのコーナー、自力でリストがまとめられば増やしていく予定。ロジャー・ニコルスの作品リストを年代順に並べていくと1967年に処女作のデモを作っておりハーブ・アルパート用に書いた曲やトランペットのアメリアッチ風のインストにはまだ「らしさ」がない。やはり歌が入り、ハーモニーが付くと曲は一変、魅力あふれたソフト・ロック系のナンバーになる・ロジャー・ニコルス・トリオやロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ(どちらも以下SCOFと省略)でレコードに収録、そしてデモを取った1967年の「Just Beyond Your Smile」や「Just What I've Been Looking For」の独特の哀調とリズムの取り方に高度な才能を感じるが、同年の未発表で終わったロジャー・ニコルスとマレイマクレオドに仲間のパレードのスモーキー・ロバーズで録音したデモ「Wait And See」は転調の見事さなどセンスの良さが溢れていた。そして1968年はもう才能全開である。SCOFで」スタッカートの魔力を発揮した「Don’t Take Your Time」、まさに華麗という言葉がふさわしいゴージャスなメロディとアレンジの「Can I Go」、そして静けさの中からサビに向けて信じられない美しいメロディを展開させる「I Can See Only You」とアルバム用の優れた曲を連発する。さらに凄いのはSCOFのシングル用の「Let’s Ride」と「The Drifter」の2曲だ。この2曲はロジャー・ニコルスの書いた曲でもトップを争うほどの名曲で、前者のメロディとベース・ランニングのコラボライト、後者はその浮き浮きするようなメロディとブリッジ、サビの展開が全て完璧な個人的にはこの「The Drifter」はロジャー・ニコルスのベスト・ナンバーだ。そのためブリッジのメロディを削ったハーパース・ビザールのヴァージョンなどとても許せる代物ではない。そしてサンダウナーズの「Always You」が哀調を帯びながらビートもあり開放感があって出来がいい。特にオーケストラから入るアルバムヴァージョンがおススメ。1968年から先の「The Drifter」「Let’s Ride」などロジャー・ニコルスの曲の数多くの作詞担当しするポール・ウィリアムスのグループであるホーリー・マッケラル用に書いた「Bitter Honey」も心惹かれるAメロから、リフレインまで文句の付けようのない出来。クロディーヌ・ロンジェの「It’s Hard To Say Goodbye」もはかなげな彼女のハスキーヴォイスに合わせたとても綺麗なチューンだ。そしてこれも個人的に好きなのが、「スターウォーズ」ばりの勇壮なオーケストレーションが魅力のオーケストラによるインストナンバー、ジョン・アンドリュース・タータグリアの「Poto Flavus」がいい。デモで終わってしまったSOFCの「The Beady Bunch」は、人気TVの主題歌のデモだと思うが、牧歌的で素敵なメロディをもっていた。このように1968年はまさにロジャー・ニコルスの才能が一気に弾けた年だと言えよう。1969年にはロジャー・ニコルスの曲の中でも洒落たアコギのイントロから美しいメロディ、うっとりとさせられるリフレインでベストナンバーのひとつ、スリー・ドッグ・ナイトの大ヒット「Out In The Country」が登場する。そしていよいよロジャー・ニコルスの最大のヒットで代表曲であるカーペンターズの「Weve Only Just Begun」が登場する。冒頭の余韻のように残るメロディ、そしてゆったりと曲が展開し、流麗なリフレインへ移る「The Drifter」と並ぶ完璧なナンバーだ。作られたのはこの年だが1972年にヘヴン・バウンド・ウィズ・トニー・スコッティがこれ以上ない完璧なハーモニーによって名作に仕上げた「I Kept On Loving You」が素晴らしいし、マリアン・ラブが歌ったバラード「Watching You」もきれいなメロディが印象的な小品。そしてまだブレイク前にロジャー・ニコルス&ポール・ウィリアムスの2人でデモLPを作ってレコード会社へ売り込んだこの年に作られそのデモ『We’ve Only Just Begun』だが今はCD化され、どれも名作だが、ここから多くの曲は1970年のポール・ウィリアムスのソロ『Someday Man』でヴァージョン・アップされ、バンドとストリングスのバッキングで歌われた。印象的なべースのリフに載せて曲の緩急が見事な「Someday Man」と、デモはピアノだったが、ここではアコースティック・ギターに乗せた美しいバラードの「Time」が素晴らしい。アルバム全体、素晴らしいバラードが並ぶが、長くなるので紹介はデモも含めアルバム単位でとどめておこう。他では飛翔感が感じられるShiloh Morningの「Talk It Over In The Morning」がいい。1971年で特筆しておきたいのは本命盤の方ではなく、ホリーズにグラハム・ナッシュの代わりに加入してテリー・シルベスターがカバーした「Traveling Boy」で、テリーのソフトなリード・ヴォーカルと文句なしのハーモニーによって名作になった。この年からヒットした有名曲は散見するものの発表曲数が年数曲と激減、個人的には1972年のスティーブ・ローレンスの牧歌的でロジャー・ニコルスらしい暖かいメロディが魅力的な「I’m Gonna Find Her」だ。1975年のポール・アンカの「Times Of Your Life」の大ヒット以降は、この曲もCM曲だったこともあるが、主たる活躍の場はCMの世界になる。

 

ROGER NICHOLS DISCOGRAPHY(1983)

1967 Everything’s Cool(Roger Nichols…以下R)Roger Nichols Instrumental DemoRoger Nichols Treasury(JVCケンウッド-ビクターエンタテインメント(VICP/65430-1)以下※表記する。CD,LP重複収録は表記しない。

1967 Straight Ahead(R) Roger Nichols Instrumental Demo

1967 Treasure Of San Miguel」(Inst.(R)Herb Alpert & The Tijuana BrassSound Like』(A&M/124)②…Roger Nichols Instrumental Demo

1967 Just Beyond Your Smile(-Tony Usher)Roger Nichols & The Small Circle Of Friends(以下SCOF)Demo※ ②1968Roger Nichols Trio(A&M/849) ③…Sunshine CompanyHappy Is The Sunshine Company』(Imperial/12359

1967 Just What I’ve Been Looking For(-Smokey Roberds) SCOF Demo※ ④1968Vogues(Reprise/0663)

1967 Wait And See(-Smokey Roberds)Roger NicholsMurray MacLeod & Smokey Roberds Demo

1967 I Wish I Knew(-Hal Levy)Linda Ball Demo※ 注:Judith Durhamの同名曲は誤表記でRoger Nicholsの曲ではない。

1968 「Can I Go(-Tony Usher)SCOFA&M/876) ②…CollageCollage』(Smash/6701

1968 It’s Hard To Say Goodbye」(-Paul Williams)…Roger Nichols Demo※ ②…Claudine LongetLove Is Blue』(A&M/4142

1968 Don’t Take Your Time」(-Tony Usher)…SCOFA&M/926) ②1969MatchMatch(RCA-Viacor/4206)

1968 Love So Fine(-Tony Usher)SCOFRoger NicholsThe Small Circle Of Friends』(A&M/4139)②…Four King CousinsIntroducing…』(Capitol/2990)③1972CarnivalThe Carnival』(World Pacific/21894

1968 I Can See Only You(-Roberds-Margolin) SCOFA&M/926) ②Al MartinoWake Up To Me Angel』(Capitol/2983

1968 Let’s Ride」(-Paul Williams)…SCOFA&M/946)②199760年代の未発表トラック)…MontanasYou’ve Got To Be Loved』(Sequel/994

1968 Trust」(-Paul Williams)…SCOFA&M/946)②1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)③Two Of EachPye/17792

1968 The Drifter」(-Paul Williams)…SCOFA&M/1029)②1969Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025) 1971Steve LawrenceRCA/74-0237)④SessionsPaul WilliamsSomeday Man(Deluxe Expanded Edition)』(Rhino/CRNOW222010 Release注:1968Harpers BizarreThe Secret Life Of Harpers Bizarre』のものはサビをカットしているので不完全版として扱う

1968 Always You(-Tony Asher)SundownersCaptain Nemo』(Decca/75036) ②…Sundowners(Single Version)(Decca/32171) ③…American BreedThe Lonely Side Of The City』(Acta/38008)④…Linda Ball(Jerden/816)

1968 I Fell」(-Paul Williams)…Four King CousinsIntroducing…』(Capitol/2990

1968 Only Me」(-Paul Williams)…First EditionThe First Edition』(Reprise/6302

1968 Poto Flavus」(Inst.(R)John Andrews TartagliaThe Tartaglia Theorem』(Capitol/166

1968 Bitter Honey」(-Paul Williams)…Holy MackerelThe Holy Mackerel』(Reprise/6311) ②Four Fuller BrothersDecca/32450

1968 To Put Up With You」(-Paul Williams)…Holy MackerelReprise/0768)②…American BreedThe Lonely Side Of The City』(Acta/38008)③Sunshine CompanySunshine And Shadow』(Imperial/12399)④…Sandpipers(A&M/4147)1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)⑥InstrumentalPaul WilliamsSomeday Man(Deluxe Expanded Edition)』(Rhino/CRNOW222010 Release

1968 The Brady Bunch(-Paul Williams) SCOF Demo

1968 Trippin’ at The Mardi Gras(R) Roger Nichols Instrumental Demo

1968 She’s Too Good To Me(-Paul Williams) Jose FelicianoSouled(RCA-Victor/4045) ②1969Allan Scott(Tower/5164) 1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401

1968 Crocker National Bank(-Paul Williams)Roger Nichols & Paul Williams CM

1968 The Tomboy(-Paul Williams)Paul Williams DemoRoger Nichols TreasuryLP)』(ウルトラヴァイヴ(SOLID/1020)のみ

1969 Out In The Country(-Paul Williams) Three Dog Night(Dunhill/4250) ②Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025) ③※

1969 Someday Man(-Paul Williams) Monkees(Colgems/5004) Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025) ③1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)④…Instrumental&⑤…SessionsPaul WilliamsSomeday Man(Deluxe Expanded Edition)』(Rhino/CRNOW222010 Release

1969 Morning I’ll Be Moving On(-Paul Williams) MatchMatch(RCA-Viacor/4206) 1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)③⑤InstrumentalPaul WilliamsSomeday Man(Deluxe Expanded Edition)』(Rhino/CRNOW222010 Release

1969We've Only Just Begun」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1970Carpenters(A&M/1217) 1970Mark LindseySilverbird』(Columbia/30111)④1972Claudine Longet(Bernaby/30377)

1969 Time」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401

1969 I Kept On Loving You」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1970CarpentersA&M/1183)③1972Heaven Bound With Tony ScottiHeaven Bound With Tony Scotti』(A&M/4817

1969 「When Love Is Near」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)③1971Original Caste(Bell/211)

1969 After All」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)

1969 So Many People」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)③1970David Canary(Beverly Hills/29)

1969 Somebody Waiting」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1971Eydie GormeTonight I’ll Say A Prayer』(RSA/4304)③1971Instrumental OST(Underscore)

1969 Let Me Be The One」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1971CarpentersCarpenters』(A&M/3502)③1971Paul WilliamsJust An Old Fashioned Love Song(A&M/4323)Petula Clark(WB1885)1975Johnny Mathis(Comubia/33420)

1969 Do You Really Have A Heart」(-Paul Williams)…Roger Nichols & Paul Williams DemoWe’ve Only Just Begun(Almo/Irving/8025)1970Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401

1969 「Watching You(-Smokey Roberds)Mariane LoveA Groovy Kind Of Love』(Capitol/2898

196? The Time Has Come」(-Paul Williams)…SchottSchott』(Nocturne/904

1970 I Know You」(-Paul Williams)…Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401)②1971Sergio Mendes & Brasil ‘77Pais Tropival』(A&M/4315

1970 Roan Pony」(-Paul Williams)…Paul WilliamsSomeday Man』(Reprise/6401

1970 Talk It Over In The Morning-Paul Williams)…Paul Williams※ ②…Shiloh MorningShiloh Morning』(TRO/51053)③Jack Jones(RCA-Victor/45-0475)Engelbert HumperdinckAnother Time Another Place』(London/71048

1970 Seasons(R)Pete JollySeasons』(A&M/3303

1970 Let Him Be King」(-Paul Williams)…Paul Williams Demo

1970 Watching Out For You」(-Paul Williams)…Paul Williams Demo

1971 Traverlin’ Boy」(-Paul Williams)…Paul Williams Demo※ ②PunchPunch』(A&M/4307)③1976Terry SylvesterI Believe』(Polydor/2383394

1971 Rainy Days And Mondays」(-Paul Williams)…CarpentersA&M/1260)②1972Paul WilliamsRainy Days And Mondays』(A&M/3606

1971 「I Won’t Last Day Without You(-Paul Williams) Paul Williams Demo※ ②1973……Jack JonesTogether』(RCAALP1-0139)③1974CarpentersA&M/1521

1971 「Twenty Miles From Home(-Paul Williams)Engelbert HumperdinckAnother Time Another Place』(London/71048

1971 「Mother Lode(-Paul Williams) Paul Williams Demo

1971 「I Never Had It So Good(-Paul Williams) Paul WilliamsJust An Fashioned Old Love Song』(A&M/4327)②1974Jack JonesHarbour』(RCAALP1-0408

1972 「I’m Gonna Find Her(-Paul Williams) Steve LawrenceThis Is Steve & Eydie Vol.2』(RCA/6050

1972 「Footprints On The Moon(-Paul Williams) Paul Williams Demo

1972 「Love’s A River Flowing(-John Bettis) John Bettis Demo

1973 「I’m Coming To The Best Part Of My Life(-John Bettis)Cass EliotDon’t Call Me Mama Anymore』(RCA-Victor/APL1-0303

1973 「Have You Heard The News」(-Paul Williams)…森山良子『Ryoko Moriyama In London』(Philips/8064)②…Vikki CarrLive At The Greek Theatre』(Columbia/32656

1973 「Some Things Never Change(-John Bettis) …森山良子『Ryoko Moriyama In London』(Philips/8064

1973 「Always On My Mind(-John Bettis) John Bettis Demo

1973 「It Started Again」(Gerry Goffin)…Randy Marr Demo

1973 「Write A Song To Someone」(Gerry Goffin)…Randy Marr OST

Early 70s Bankamericard」(R)「Bankamericard(30s TV Commercial)」(R)…Istrumental CM

Mid 70s Hertz-It’s A Good Feeling」(R)…Instrumental CM

1974 「A Song For Herb」(R)…Herb Alpert & The Tijuana BrassYou Smile-The Song Begins』(A&M/211)②…Roger Nichols Instrumental DemoRoger Nichols TreasuryLP)』(ウルトラヴァイヴ(SOLID/1020)のみ

1974 「Good Mornin' Captain(Demo For Captain Kangaroo)」(R)…Tom & John Bahler OST

1974 「Kodak-Times Of Your LifeOriginal Demo)」…Istrumental CM

1974 「Mastercharge」(R)「Mastercharge (30s TV Commercial)」(R)…Istrumental CM

1975 「Times Of Your Life」(-Billy Lane)…Paul Anka(United Artists/737)

1975 「Just Being Alive」(-John Allen)…John Bahler

1976 「No Love Today(-Will Jennings)Michelle Philips:OSTMother,Jugs & Speed(A&M/4590)

1976 「Dodge Trucks」(R)…Gene Morford CM

1976 「Kodak-Born and Bred」(R)…Michael Dees CM

1977 「I'll Think About You(-John Allen)Roger Nichols Demo

1977 「Take A Look(-John Allen)Murray MacLeod Demo

1977 「Why'd You Wait So Long(-John Allen)Murray MacLeod Demo

1979 「Hart To Hart(Original Theme For Hart To Hart)」(R)…Instrumental OST

1979  Neascafe-One World Of Nescafe(-Bill Lane)Carol Chase CMNascafe CM Collection』(King

1979  Neascafe-One World Of Nescafe(Disco Version)(-Bill Lane)Carol Chase CM

1979 「Kodak-When You Got What It Takes」(-Bill Lane)…Kasey Cisyk CM

1980 「Looks Like It's You and Me Again(-Will Jennings)Carol Chase Demo

1980 「When All The Love Songs Have Been Written(-Steve Kalinich)Unknown Demo

1980 「Games People Play(Title Theme For TV Sports Show)」(R)…Instrumental OST

1980 「Ford-Main Event(60s)」(R)…Instrumental CM

1980 「Ford-A World Of Better Ideas」(R)…Instrumental CM

1980 「Georgia Pacific(60s)」(R)…Instrumental CM

1980 「Georgia Pacific(Film Underscore)」(R)…Instrumental CM

1980 「The Drifter(There’s No Place Like Hilton)(-Paul Williams)Michael Dees CM

1980 「There’s No Place Like Hilton(-Norman Gimble)Michael Dees CM

1980 「Wells Fargo(Christmas Version)(R)Instrumental CM

1980 「Western Airlines-Great Planes Of The West(R)Instrumental CM

1980 「Western Airlines-Western Star(R)Instrumental CM

1980 「Western Airlines-Western Way To Fly(60s TV Commercial)(R)Instrumental CM

1981 「When You’ve Got What It Takes(-Billy Lane)CarpentersMade In America』(A&M/3723

1981 「Now(-Dean Pitchford)Kasey Cisyk OST※ ②1983CarpentersVoice Of The Heart』(A&M/4954

1981 「Chateau La Salle(R)Instrumental CM

1981 「Del Monte(60s TV Commercial)(R)Instrumental CM

1981 「Hilton Hotels-Hilton Has It All(-Norman Gimble)Unknown CM

1981 「Hilton Hotels-You Can Reach Me At The Hilton(-Norman Gimble)Unknown CM

1981 「Travelin’」(R)…Roger Nichols Instrumental DemoRoger Nichols TreasuryLP)』(ウルトラヴァイヴ(SOLID/1020)のみ

1982 「I’m Comin’ Home(-Paul Williams)Stan Farber Demo

1983 「The Pictures Of You」(-Davitt Sigerson)…Michael Dees

1983 「Mercedes(R)Instrumental CM

 

(作成:佐野邦彦)

 


☆Favorite Composer 全音源コレクティング第2回:TEDDY RANDAZZO(1964~1968)

$
0
0

さて、この1964年~1968年にテディ・ランダッツォが作曲、そしてプロデュースまでした曲は、そのほとんどが他に例を見ない傑作である。もう1回聴いてこのテディ・ダンダッツォ・マジックにハマってしまうと、抜け出せない。自分のように徹底的に集めてしまう「同士」も多い。このテディは、バリー・マンの「The Way Of A Clown」を歌ってヒットさせた歌手である。そしてニール・セダカを筆頭に、バリー・マン、テディ・ランダッツォという才能あるシンガーは、自分で曲を書くシンガーソングライターになっていく。彼らはビートルズの出現により、今までのアメリカン・ポップスのぬるま湯が通用しなくなった時に、作風を変えて、転調を使い、新しいビートを取り入れ。特に持ち前の作曲センスをレベル・アップできた人間だけが生き延びた。先の3人は生き延びた3人で、ニール・セダカは自ら1970年にシンガーソングライターとして大ブレイク、バリー・マンは作曲家として膨大なヒットを生み出し、60年代から90年代になっても大作曲家として誰もが知る存在もなった。(シンガーソングライターとしても細々活動して素晴らしい作品を残したが、これは「Favorite Musician全音源コレクティング第19回」で紹介済み)トニー・マコウレイは初めから作曲兼プロデューサーで、デビューがビートルズ以降で、最初から時代に合わせ、そしてリードした曲を書けたので全英トップ2038曲ものヒットを送り込めたのである。その中、テディ・ランダッツォはミニ・バリーマンとも言え、この5年間、ソロ・シングルも出しながら、主体は作曲家兼プロデューサーとして活躍した。ただしテディは1963年までの曲はアメリカン・ポップス臭の強いオールディーズであり、1969年になると、転調や緩急を駆使したテディ・ランダッツォ・ワールドが消えてしまって、ソウルに傾倒、個人的には興味を失ってしまう。だからこのリストのテディの作品リストの年代は極めて短い。よってまずはこの時代にリリースされた①7枚のソロ・シングル②メインライターで一定期間全てを受け持ちヒットを生んだ黒人グループのリトル・アンソニー&ジ・インペリアルズとロイヤレッツ③単発で受けた主に黒人ミュージシャンのシングルの作曲兼プロデュース④単発だが作曲だけ受けたもの(その分、テディらしさは失われる)で分けて紹介していこう。まずは①のソロ・シングル。テディ自身はバリー・マンほど力を注いでいないのは歴然。1964年の「Lost Without You」は②のリトル・アンソニー…の方でも使っていて、ドラマティックな曲だがほぼ同じアレンジで2番手。タイトルの後ろに※を入れた曲はみなリトル・アンソニー…でも使っていて3曲もある。「You Don’t Need A Heart」は派手ではないがサビ前の何度も重ねる転調がテディしかできない芸当だ。イタリアのみのシングルでYou Tubeで聴けた「Non E Come Te」は、マイナー調のAメロがメジャーにまとまってサビへ一気に盛り上がるテディらしさ全開の傑作、レコードが欲しいが入手できない…。1966年の「You’re Not That Girl Anymore」※はテディらしいサビでの転調の展開や上昇するオーケストレーションがあるが曲がアルバム収録曲レベル。最も出来のいいのは「Trick Or Treat」※。弾けるようなアップのメロディが何重にも重なってハモって行き、曲全体が浮き浮きしたサウンドに満ちた傑作だ。67年の「Just One More Time」は気だるそうなロックを意識した曲想で失敗、1968年の「Girl On My Mind」はバブルガムタッチでこれも失敗だ。②続いてテディで最も成功したリトル・アンソニー&ジ・インペリアルズだ。最初は静かな美しさを湛えた「I'm On The Outside」が全米15位になって最初の成功をつかむ。そして同名のアルバムでは4曲担当、そこにもうひとつの名曲が。それが「Make It Easy On Yourself」で、山下達郎が『On The Street Corner2』でカバーした曲だが、同名でヒットしたバート・バカラックの曲があり、平気でみんな「ジェリー・バトラー、ウォーカー・ブラザースで大ヒットしたバート・バカラックのナンバー」と書いているが別の曲。山下達郎はバリー・マンと並んでテディ・ランダッツォのコレクターなのを知らないようだ。甘いな。そして1965年にはテディ独特の美しいメロディが収束しそうでそこで転調してサビで移っていきホーンで一気に盛り上げるという芸当が生み出され、その「Goin’ Out Of My Head」は6位という大ヒットとなる。続く「Hurt So Bad」もやはり収束しそうで転調していく華麗な曲作りで10位にランキング。テディ作にしては極めてオーソドックスな作りの「Take Me Back」は16位とヒットが続く。なおシングルはAメロがハモる。同名のアルバムは5曲を担当、ロイヤレッツも歌ったサビから始まる開放感に満ちた傑作「Never Again」も収録されていた。ただし期せずして競作となったこの曲はロイヤレッツの女性コーラスの方がより華麗。1966年からはヒットは少なくなるが曲のクオリティはさらに上がる。アルバム『Payin’ Our Dues』の「Better Use Your Head」は数あるこのグループの曲でも最高の出来だろう。テディ得意のAメロが、変わり目の度に転調していく曲作りが最高に決まった傑作中の傑作。ただしチャートは54位止まりに終わる。テディへの信頼度は上がり以降アルバム全体がテディの作品で統一されるようになる。シングルカットは92位止まりだがサビのホーンのコーラス、転調の盛り上がりがいい「It's Not The Same」や「Your Own Little World」は後半に力強く一音ずつ上昇して転調してサビとというテディマジックが快感だ。スプリームスの曲のようなハッピーな「Gonna Fix You Good」も新しいアプローチで、他にシングルからの2曲など名曲揃い。そして1967年には『Reflections』をリリース、グループ名からこの一時期「Little」が取れた。アルバムには夢を見ているように美しいメロディとハーモニー、サウンドで覆われた「My Love Is Rainbow」があまりに素晴らしいし、この路線で作られた「Lost In Love」も見事だ。キャッチーな力強いフックから始まる「Yesterday Has Gone」はトニー・マコウレイを少し意識したような意欲作。「Trick Or Treat」のカバーはあるし、次の③④で紹介したい曲があるので、ここで辞めておくがさらなる名曲の宝庫だ。次作1967年の『Movie Grabbers』は全て映画主題曲のカバーでテディのオリジナルはないが、いかにテディのプロデュースのセンスが凄いが思い知らされる。華麗、ゴージャス、そして斬新、フランシス・レイの「A Man And A Woman」など聴くとため息が漏れる。なお②の中でこのアルバムのみ未CD化。今まで紹介した4枚のアルバムはBGOから2in1CD化されている。この年のシングル「I’m Hypnotized」はテディのハーモニーのマジックを堪能させてくれる快作で、日本のReal MusicCDで聴ける。1968年のシングルは作風が変わり特筆すべきものがなかったが、このタイトルの範疇外の1969年のアルバム『Out Of Sight Out Of Mind』に4曲だけ収められたテディの曲の「I Look At You」はリフに載せて転調とコーラスで聴かせてくれる快作、同じく転調が決まった「You Bring Me Down」もいいので、例外で紹介させてもらおう。続いてテディが作曲・プロデュースで全面的に担当したのが黒人女性4人組のロイヤレッツだ。ファースト・アルバムはヒットした「It’s Gonna Take A Miracle」は緩急をつけ、転調を駆使したテディらしい快作で41位にランクされた。続く同路線の「I Want To Meet Him」も72位とスマッシュヒットしたため、ファースト・アルバム『It’s Gonna Take A Miracle』はこの2曲にプラス4曲がテディで、静かな歌いだしからサビで弓をためてひいたように一気に盛り上がる「Poor Boy」や「How Can You Face Me」がロイヤレッツらしいサウンドだ。1966年の次作『The Elegant Sound Of The Royalettes』は全曲テディの作曲・プロデュースで作られ、名曲の宝庫に仕上がった。アルバム内では③でも紹介するが、思い憂げなイントロからサビで転調、コーラス、ストリングスで一気に盛り上げるテディ・ランダッツォ・サウンドの美学が凝縮したのは「Getting Through To Me」だ。そしてピアノの印象的な「Don't Throw Me Away」も素晴らしい。不安定な感覚を持たせる歌いだしが、転調を重ねてドラマティックに仕上げていくのがテディの最も得意とするところ。「Lonely Girl」も転調でつないだあとにドラマティックなサビ、そして「Think Before You Act」のようにブリッジで単語ごとにスタッカートを付けたメロディに載せてサビへ持っていくなどテディの華麗なテクニックを集めた素晴らしい仕上がりのアルバムだった。2枚とも日本のCelesteCD化されている。さていよいよ③である。ここでは作曲・プロデュースでテディ・ランダッツォの美学が結集した最高の名曲を堪能できる。まず1965年にはジョージア・ギブスのシングル「Let Me Dream」だ。不安定な感じのAメロが急にビートが早急なブリッジのあとにその前のビートに戻りハープのブレイクのあとに華麗なオーケストラを登場させるともかくセンス溢れる最高のナンバー。どうしたらこうした構成の曲を考え付くのか。未CD化のままだ。ただ他にテディの曲が2曲収録されたアルバム『Call Me』の方が入手しやすい。そしてジニー・アーネルの「I’m Getting Mad」は歌いだしのメロディから安定感がなく、転調からさらに不安定になるが、そのあとに開放されたメロディになる構成が上手い。『Meet Ginny Arnell』のCDに他のテディナンバーと共に収録されている。ロイヤレッツのカバーよりも出来がいいのがアナベラ・フォックスの「Getting Through To Me」。ブリッジの弓のように溜めて一気に開放するサビのパーカッションとコーラス、オーケストラのコラボレーションがメリハリがさらに付いていてこれは傑作。残念ながら未CD化。さらにテディ節を使わないで盛り上がったのがジョン・アンドレアの「Come On In」。後半のサビは転調につぐ転調を重ねるメロディのテクニックで心をつかむ。バックもアコーディオンとそれを支えるストリングスで盛り上げる・1966年になるとまずは黒人グループのPorgy & The Monarchsの「If It’s For Real」だ。ゆったりと重量感のあるビートでムードたっぷりのAメロが、ブリッジからはテディ独特の上昇をしていきホーンの音と共に一気に開放される最高の1曲。ソウルのコンピCDSolid Soul 4 - Soul To Soul』に収録されている。オリジナルのシングルは非常に高額だ。同じく黒人の女性グループのパティ&ジ・エンブレムの「Let Him Go Little Heart」は、テディの最も得意とするブリッジをスタッカートで上昇させ、その後にストリングス・コーラスで一気に頂点へ持っていく快作だ。『Golden Classic』というCDに収録された。ロイヤレッツも歌っていた「Good For A Lifetime」はバリトン系の黒人歌手アル・ヒブラーのシングルが素晴らしい。テディ得意の一気に盛り上がるコーラスとストリングスの音圧が尋常ではない盛り上がり方で感動的だ。未CD化。同じくバリトン系のリッチー・アダムスの「Better Off Without You」もロイヤレッツより盛り上がりがあって出来がいい。これも未CD化。テディらしい曲作りではないがアップテンポのハワード・ガイトンの「I Watched You Slowly Slip Away」はメロディの快調な展開でひきつけられてしまう。このレコードも高額で未CD化。④ではテディのプロデュースをよく理解しているディフィニティブ・ロック・コーラルの「In The Mirror Of Your Mind」が華やかで、ロイヤレッツのヴァージョンより出来がいい。未CD化。こうやって書いていくとテディ・ランダッツォのこの時期の作品はみな紹介したくなる。まずはCD化されている②のCD4枚を聴けば、すぐにテディの虜になるだろう。

 

TEDDY RANDAZZO WORKS (1964-1968)

 Teddy Randazzo Production

RTeddy Randazzo PVictoria Pike BB.Barberis WB.Weinstein

SL.Stallman  HHarshman

Solo Singles(1964-1968)

1964 ○「Lost Without You(R-B)/Less Than Tomorrow(R-W)(DCP/1108)B面の「Less Than Tomorrow」のみ『Journey To Love』(IJC)のCD収録

1965 ○「You Don’t Need A Heart(R-H)/As Long As I LiveR)」(DCP/1134)

1965 ○「Non A Come Te(R-Pace)/Non Sei TuR-Mogol)」(United Artists/3094)Italia Only

1966 ○「You’re Not That Girl Anymore(R-May)/Soul(R-W-B)(DCP/1153)

1966 ○「Trick Or Treat(R-P)/I’m Losing You(R-P))(MGM/13648)

1967 ○「Just One More Time(R-P)/A World Without Love(R-P)(Verve/5050)

1968○「Girl On My Mind(No Credit)/Maggie’s Theme(No Credit)(Buddah/34)

Little Anthony & The Imperials(1964-1968)※一部1969年あり。

Teddy Randazzo作曲&プロデュースのみ紹介する。1966年途中から一時Anthony & The Imperialsに改名

☆オリジナル・アルバム

1964 ○『I’m On The Outside(DCP/6801)(I’m On The Outside (R-W)15/Make It Easy On Yourself(R-W-Wilbur Mershel)/Please Go(R-W-B)/Our Song(R-W-B))※『Reflections』と2イン1BGOからCD化。135

1965 ○『Goin’ Out Of My Head』(DCP/6808)(Goin’ Out Of My Head(R-W)6/Reputation(R-H)/Never Again(R-H)/Hurt So Bad(R-W-H)10/Take Me Back(Album Version)(R))※『Payin’ Our Dues』と2イン1でBGOからCD化。

1966 ○『Payin’ Our Dues(Veep/16513)(Better Use Your Head(R-P)/Call Me A Joker(R-Lambert)/Good For A Lifetime(R-W)/Cry My Eyes Out(R-H)/You Better Take It Easy Baby(R-P)/Hungry Heart(R-P)/It’s Not The Same(R-Kusik-Adams-P)/The Wonder Of It All(R-P)/Gonna Fix You Good(R-P)/Lost Without You(R-B)/You’re Not That Girl Anymore(R-May)/Your Own Little World(R-P-S))※『Goin’ Out Of My Head』と2イン1BGOからCD化。

1967 ○『Reflections(Veep/16514)(Don’t Tie Me DownR-P-Adams)/My Love Is Rainbow(R-P)/If I Remember To Forget(R)/Keep It Up(R-Adams)/Hold On To Someone(R-P)/Yesterday Has Gone(R-P)/Trick Or Treat(R-P)/ Lost In Love(R-P-Leka)/In The Mirrors Of Your Head(R-P)/I Love You(R-W)/Better Off Without You(R-P-Adams)) ※『I’m On The Outside』と2イン1BGOからCD化。

1967 ○『Movie Grabbers』(Veep/16516)※全て映画の主題歌でTeddyの曲は無いが、アレンジが秀逸なので掲載。

1967 ○『The Best Of Anthony & The Imperials Volume2(Veep/16519)

(「I’m Hypnotized(R-P-Seymore98)1967年のシングル

1969 『Out Of Sight Out Of Mind』(United Artists/6720)○(I Look At You(R)/You Bring Me Down(R-P-Richards)/Love That Lies(R)/The Ride(R-P-Gartman))※4曲だけ担当。対象外の年だがこのアルバムの曲はTeddyらしさがあり例外的に紹介。

(シングルのみ)

1965 ○Take Me BackSingle Version(R)15/DCP/1136)※『The Best Of Little Anthony & The Imperials』(EMI)のCDに収録。

1966 ○Down On LoveR-P/It’s Not The SameB面(Veep/1248

1967 ○Where There’s A Will There’s A Way To Forget You(R-P-B.Hall)/Don’t Tie Me DownB面(Veep/1255

1968 ○「What Greater Love(R-P-R.Adams)/In The Back Of My Heart(R-P)」(Veep/1283

The Royalettes(1965-1966) Teddy Randazzo作曲&プロデュースのみ紹介する。2枚ともCelesteで日本のみCD

1965 ○『It’s Gonna Take A Miracle』(MGM/4332)(It’s Gonna Take A MiracleR-W-S)…41/Poor Boy(R-W)/You Bring Me Down(R-W)/I Want To Meet Him(R-W-S)72/How Can You Face Me(R)/Never Again(R-H)

1966 ○『The Elegant Sound Of The Royalettes』)(MGM/90725)(Baby Are You Putting Me On(R-H-Gentry)/Love Without An End(R-W)/Getting Through To Me(R-W)/It’s Big Mistake(R-W-T.May)/Don’t Throw Me Away(R-W-S)/Lonely Girl(R-W-S)/It’s Better Not To Know(R-P)/Think Before You Act(R-W-S)/Let Me Know When It’s Over(R-W)/Forever More(R-Kusik)/The Rest Of My Life(R)/I Can’t Stop Running Away(R-W)

★その他アーティストのSingles1965-1968)※Teddy Randazzo作曲&プロデュースのみ紹介。一部1971年まであり。

1965 Ginny Arnell:I’m Getting Mad(R-B-S)(MGM/13403)※『Meet The Ginny Arnell(Poker)CDに収録

1965 Ginny Arnell:A Little Bit Of Love Can Hurt(R-S-W)/(MGM/13362)※同上CDに収録

1965Georgia Gibbs:Let Me Dream(R-S-B.Wilding)/In Time(R-B-B.Wilding)(Bell/635)

1965 Rita Pavone:Right Now(R-Wilbur Mashel) (RCA-Victor/47-8612)

1965 Annabelle Fox:Getting ’Through To Me(R-W)/Too Good To Be Forgotten(R-Ruth Allison)(Satin/400)

1965 Linda Carr:Baby Are You Putting Me On(R-Hart-Gentry)/ The Girl From One-A And The Boy From OneR-Meshel-W)」(DCP/1138

1965Derek Martin:「You Better Go(R-W-S)/You Know(R-W)(Roulette/4631)

1965 John Andrea:Come On In(R-W-S)/My Fool Of A Heart(R-Sol Meshel)(MGM/13378)

1965 Tony Orlando:Think Before You Act(R-W-S)(Acto45-6376)

1966 The MGM Singing Strings:The Old And The New(R-Lou Stallman)/Lara's Theme (MGM/13448)※オーケストラ

1966 Teddy Randazzo:Sweet And Sour(Alessandro Mentrasti)The Mechanical ManBent Bolt And The Nuts名義のB面(MGM/13635)※オーケストラ

1966 Patty & The Emblems:Let Him Go Little Heart(R-P)Kapp/791)※『Patty & The Emblems』(Collectable)のCD収録

1966 Joey Powers :I Love YouR-W)(MGM/13421

1966 Annabelle Fox:Lonely Girl(R-W-S)/Humor Me(R-P)(Satin/402)※「Lonely Girl」のみコンピの『Girls Will Be Girls』(West Side)のCD収録

1966 ○Richie Adams:Better Off Without You(R-P-Adams)(MGM/13629)

1966 ○Al Hibbler:Good For A Lifetine(R-W)Satin/401

1966Howard Guyton:I Watched You Slowly Slip Away(R-Pegues-Lambert)/I Got My Own Thing Going(R-Guyton-Martin)」(Verve/10386

1966 Porgy And The Monarchs:If It’s For Real(R-Kusik)/That Girl(R-Kusik)」(Musicor/1179)※「If It’s For Real」はコンピの『Solid Soul 4 - Soul To Soul』(Solid Soul)、「That Girl」はコンピの『Manhattan Soul Vulume2』(Kent)のCD収録

1966 Linda Carr:A Heart Without Love(R-W-Carr)/Should I Be Happy For You Baby(R-W)(DCP/1151)

1966  John d'Andrea:This Morning(R-W-S)(MGM/13572)

1967 Teddy Randazzo & His Orch.:Per Un Pugno Di DollariMorricone)/Take Me BackR))(MGM/13682)※オーケストラ

1968 ○Steve Lawrence:Runaround(R)/I’m Falling Down(R-P)(Calendar/63-1005)

1968 ○Chad Munro:After All Is Said And Done(R-P-Richie Adams)/I’ve Never Really Been In Love Before(R-P-Richie Adams)」(Decca/32256

196? ○The Impact:Could You Love Me(R-P)MGM/13726)※あの「My World Fell Down」のB面。A面もTeddyのプロデュースだがTeddyらしさはない。

1971 ○The Vogues:Love SongR-P/We’re On Our Way(R-P)」(Bell/991

1971 ○The Vogues:I’ll Be With You(R)/Take Time To Tell Her(R-P)(Bell/45-127)

Teddy Randazzo作曲のみのSingles(-1968)

1965 Gayle Harris:Ain’t Gonna Let It Get Me Down(R-W-Hart)(DCP/1144)Produced by Don Costa

1965  4 Lads:I’m Not A Run Around(R-R.Joice)(United Artist/893) Pro.Teddyではない

1967 The Definitive Rock ChoraleIn The Mirrors Of Your Mind(R-P)(Philips/40386) Produced by Ellie Greenwich & Mike Rashhow

1967 Trini Lopez:Together(R-P)(Repeise/0618) Produced by Don Costa

1968  The  Kane Triplets :Buttercup DaysR-P)(United Artists/50466)※Pro.Teddyではない。

196? The SaintsI’ll Be With You(T)(Decca/732602) Pro.Teddyではない

 

196? Sandi And Salli:I Can’t Stop Running Away(R-W)Ranwood/832)※Pro.Teddyではない196?  The Skip Jacks :I’m Falling Down(R-P) (Sure2302) Pro.Teddyではない

 

★その他アルバム ※Teddy Randazzo作曲&プロデュースのみ紹介(1965-1971)

1965 Georgia Gibbs:Call Me(Bell/6000))(○シングルのLet Me Dream(R-S-B.Wilding)/In Time(R-B-B.Wilding)の他Big Wide World(R-W-B))※3曲担当

1966 ○OST:The Girl From U.N.C.L.E.』(MGM/4410)(Moving OnR/The Countess(R)…作曲は2曲)※Varese SarabandeからCD化されたが、オリジナルジャケットで大きくTeddy RandazzoのクレジットがあるのにCDではジャケットにない作曲者のJerry GoldsmithDave Grusinの名に入れ替えたクズCD

1969 Steve Lawrence:I’ve Gotta Be Me』(RCA Victor/4167)(○As Usual(R-P)/Rain In My Heart(R-P)/A World Wihout Love(R-P-Leka))※作曲は3曲、プロデュースは4曲担当

1971 Georgie Fame:Going Home』○Happiness (R-P)CBS/64350)※BGOCD

 (作成:佐野邦彦)

 

◎オマケ:1973年にLittle Anthony & The Imperialsの『On A New Street』(Avco/11012-596)で6曲、1975年にChi-Litesの『Half Of Love』でタイトル曲、1977年にJoe Simonの『A Bad Case Of Love(Spring1-6716)10曲、1978年にManhattansThere’s No Good In Goodbye』で2曲、1979年にStylisticsLove Spell』(Mercury/1-3753)で8曲を書き、プロデュースもしているが、1970年代のJimmy Webbと同じく作曲・プロデュース共に昔の冴えがなく、個人的には興味がない。また1963年より前のオールディーズ時代にはTeddy本人で22枚のシングルと3枚のアルバムもリリースされているが、単なるオールディーズでこれも興味がない。さらに下記のシングルは旬の時代だが、シンガーに合わせたのかテディらしさが感じられないので対象外とした。

1966 Derek Martin:Bumper To Bumper(R-W)/Don’t Resist(R-W)(Roulette/4670)

1967 Derek Martin:Breakaway(R-P-L.McCorkle)/Take Me Like I Am(R- P-L.McCorkle))(Roulette/4743)

1968 Derek Martin:Sly Girl(R-L.McNeil)/Soul Power(R-P)(Tuba/2010)

加えてAnthony & The Imperialsになった1968年にはTeddyの曲ではないBeautiful PeopleVeep/1275)と「The Flash Failur/The Gentle Rain」(Veep/1293)のシングルがあるがTeddyらしさは全く無しで対象外。ちなみに1969年のシングル「Anthem/Goodbye Goodtimes」(Veep/1303)もA面はTeddyの曲なのに、Teddyらしさゼロ。

 

(作成:佐野邦彦)

 

☆Favorite Composer 全音源コレクティング第3回:TONY MACAULAY(~1979)

$
0
0


トニー・マコウレイは実績、実力ともに第1回のロジャー・ニコルス、第2回のテディ・ランダッツォとはレベルが違うイギリスを代表する偉大なソングライターだ。全英トップ20ヒットを38曲も書き、他のソングライターもぶっちぎるこの数字、あのレノン=マッカートニーでも27曲なのだからその凄さが分かるだろう。

トニー・マコウレイのデビューは1966年、サンドラ・バリーのシングルで『Buttercups & Rainbows』のCDで聴けるが、どちらもメロディにメリハリがあり、サウンド作りはパワフルと、他のコンポーザー兼プロデューサーのデビューと違ってチープさは一切なかった。1967年はまずただ1回だけの共作だろう、ピーター・シェリーと組んでフォーキンスメンのシングルをリリース(マコウレイの場合、「作曲・プロデュースした」という意)する。両面とも浮遊感のあるポップ・サイケに近いサウンドでハーモニーも全開、こういう曲も作れると驚かされる。続くシングルは黒人ヴォーカリストを擁するファウンデショーンズを担当、デビューの「Baby Now That I’ve Found You」は、パワフルなバッキングとホーンに乗せ、キャッチーなサビを冒頭に持っていくマコウレイ得意の作り、彼曰く「頭の8小節が勝負だ」という言葉の通り、最もおいしいメロディを頭に持ってきて、ラジオのリスナーの心を瞬時につかんでレコード屋に走らせる。この曲はいきなり全英1位、全米11位という大成功をつかむ。そしてロング・ジョン・ボードレーの「Let The Heartaches Begin」は、オーソドックスな作りでサビに向けて盛り上げていくエキゾチックなナンバーだが、この曲も全英1位と大ヒット。それでアルバム用などに前者に3曲、後者に4曲書くが、大きく印象に残る曲ではなかった。その中、後にフライング・マシーンで成功を収める前身のピンカートンズ・アソ―テッド・カラーズのシングル用に「There’s Nobody I’d Sooner Love」など2曲を書いていた。1968年はファウンデショーンズの「Back On My Feet Again」は一番印象的なメロディを冒頭に配し全英18位のヒット。もっとビートを響かせたこれもマコウレイの得意とする弾むようなダンスナンバー「Build Me Up Buttercup」はイギリスではなくアメリカで5位と大ヒットする。さらに「Any Old Time」も全英48位と、ファウンデーションズで好成績が続いた。そして白人女性3人組のペーパードールスの「Something Here In My Heart」は、これもマコウレイ得意の一定の弾むビートに乗せてパワフルに歌わせるナンバーで全英11位と彼女らの最大のヒットになった。しかし出来がはるかにいいのが次のシングル「Someday」だった。冒頭から最高にキャッチーなサビのフックから登場、常にアップテンポで切れないビートに乗せた、マコウレイ・ナンバーの最高に気に入っている1曲だ。ただしヒットはしていない。このペーパードールスのアルバム収録曲ながら、翌年にジェファーソンがシングル化し、ジョン・シュローダーがトニー・マコウレイそのもののサウンドに仕上げた「Baby Take Me In Your Arms」も個人的にマコウレイの中で必ず選ぶ傑作である。このジェファーソンのヴァージョンは、雷鳴のようなドラムからいきなり最もキャッチーなフックから登場、歯切れのいいギターに乗せて一気に歌い上げる高揚感に満ちた傑作で、こちらは全米でヒットし、23位まで上がっている、ロング・ジョン・ボードレイはマリアッチ風のエキゾチックなメロディとトランペットが心地いい「Mexico」が全英15位にランクされた。マーマレードにはハーモニーを生かしたメロディアスな「Baby Make It Soon」を書き全英9位と成功が続いていく。ヒットはしない曲でもアレキサンダー・バターフィールドの「Just ‘Til Tomorrow」は、甘く切ないメロディと、漂う異国情緒が素晴らしい。曲には転調があるが、マコウレイは変幻自在なので転調の有無に頼らない。他にはデビッド・ガリックの「Rainbow」がサウンド・メロディが爽やかなで、いい小品だ。1969年にはグラハム・ナッシュが抜けたばかりのホリーズに飛び切りキャッチーな「Sorry Suzanne」を書き、全英3位を獲得する。やはり冒頭にキャッチーなフックを置いていた。そしてスコット・ウォーカーにアコースティック・ギターにストリングスの美しいバラード「Light Of Cincinnati」を書き、こちらは全英13位にランキングされた。そしてこの年もファウンデーションズに「In The Bad, Bad Old Days」を書き、マコウレイらしいユニゾンの最もキャッチーなフックから曲が始まり、アップテンポの快調なサウンドに乗せて一気に聴かせ全英8位のヒットとなる。個人的には1971年のトニー・バロウズのカバーが一番気に入っていて、この曲はマコウレイのベストセレクションに必ず入れる。さらにピンカートンズ・アソ―テッド・カラーズから名前を改名したフライング・マシーンに穏やかなバラード「Smile A Little Smile For Me」を書くと全英5位と、マコウレイの快進撃が続く。この年のファウンデーションズのアルバム収録曲だった「That Same Old Feeling」は、翌1970年にピケティウィッチがシングル化し、ポリー・ブラウンの爽やかな声でこのキャッチーなフックを持つ曲は一気にヒットチューンに様変わりし、全英5位のヒットになっている。トニー・マコウレイにはこのパターンが多い。ヒットはしなかったが内容が素晴らしい曲はサンディ・ショウの「Heaven Knows I'm Missing Him Now」で、冒頭のフックから爽やかな演奏と歌とコーラス、メロディも素晴らしく、なぜヒットしなかったのが、不思議だ。ゴードン・ウォラーの「You're Only Gonna Hurt Yourself」も穏やかながら盛り上がりがある佳曲だった、1970年にはマコウレイを代表する名曲、エジソン・ライトハウスの「Love Grows」が登場する。ベースのリフに乗せてこれぞヒットチューンと思わせる軽快なメロディが一部の隙もなく展開するすべてが完璧なヒット曲。歌い手にセッション・シンガーのトニー・バロウズを持ってきて、エジソン・ライトハウスと名乗らせてシングルカットすると瞬時に全英1位、全米5位の大ヒットになった。このヒットのご褒美でトニー・バロウズはソロで「Melanie Makes Me Smile」と「Every Little Move She Makes」の2枚のシングルと、エジソン・ライトハウスの2枚目のシングルを担当するが、イントロから音圧たっぷりのキャッチーなフックからスタートのする「Melanie Makes Me Smile」のみ全米87位とかろうじてランクインした。この年のヒットの最大の収穫はピケティウィッチの「(It’s Like ASad Old Kinda Movie」で、ボサ・タッチの浮遊感のある歌いだしからサビ、すべてが流麗な完璧な仕上がりで、数あるマコウレイのナンバーでもトップ5に入れたい傑作。チャートは全英15位にランクされている。マコウレイはソウル系のバンドの曲も得意で、ジョニー・ジョンソン&ザ・バンドワゴンの「Blame It On The Pony Express」は、ソウルフルなヴォーカルに負けない輪郭のはっきりしたメロディにストリングスをユニゾンで付け、全英7位のヒットに仕上げる。翌年同じタイプのファンタスティックの「Something Old, Something New」もフックでストリングスがなぞり全英9位。かと思えばアンディ・ウィリアムスのために穏やかなバラードの「Home Lovin’ Man」を提供、こちらは全英7位と自在だ。ホリーズに提供した「Gasoline Alley Bred」はもちろんホリーズのアレンジで全英14位にランクしている。その他でヒットはしなかったが名曲が数多くある。その中でもベストナンバーは最も魅かれるポップなメロディで全編が覆われたフライング・マシーンの「Marie Take A Chance」だ。そしてイントロのホーンから完璧な入り方をして、キャッチーなメロディがサビのリフレインに転調で移行する傑作がスウィートコーンの「Catch Me Catch Me」だった。この2曲の下のレベルになるがユニゾンの憶えやすいAメロが心地いいマッケンブルグ・ジンクの「Hard Working Woman」や、ダンサブルなビートに乗せたメロディが快調に突っ走るバリー・メイスンの「High Time」も聴きものだ。1971年にはフォーチュンズの「Here Comes That Rainy Day Feeling 」をロジャー・グリーナウェイ=ロジャー・クックという、イギリスを代表するソングライターと組んでこちらは全米で15位を獲得、この中でポップな曲を得意とするロジャー・グリーナウェイとのコンビはこれから多くのヒットを生んでいく。トニー・バロウズには3枚目のシングル「The Humming Song」を提供、哀調を少し帯びたポップ・チューンで出来は良いがヒットはしないまま。ピケティウィッチの「Bring A Little Light Into My World」もサビがキャッチーでいい曲だがヒットせず、クリス・ケリーの「Alison Please」はAメロから堂々たるメロディ・サウンドを持つ快作だったが、この年は不発が多かった。1972年になり、フィフス・ディメンションに極上のバラード「(Last NightI Didn’t Get So Sleep At All」を提供すると全米9位の大ヒットとなる。ヒットしないかった傑作はベン・トーマスの「I Know He Is My Brother Now」で、ボサ・タッチのお洒落な曲でマコウレイにしては珍しい作風だった。1973年にはニュー・シーカーズの「You Won't Find Another Fool Like Me」が牧歌的な雰囲気のフックからスタート、浮き浮きするような作りで全英1位の大ヒットとなる。ヒットしなかったのが不思議なのがジェームス・ダーレンの「Sad Eyed Romany Woman」で、ゴージャスで力強くそしてキャッチーなフックから始まる傑作だったがチャートにかからずじまい。他ではルルの堂々たる「Make Believe World」もなかなか良かった。1974年にはニュー・シーカーズのノスタルジックな雰囲気の「I Get A Little Sentimental Over You」をリリース、全英5位を獲得する。そしてドリフターズの「Kissin' In The Back Row Of The Movies」と「Down On The Beach Tonight」をロジャー・グリーナウェイと共作、明るくポップな曲でそれぞれ全英2位、全英7位と大きなヒットとなる。ヒットしない傑作はまずはサニーのアルバム『Doctor’s Order』に収録されていた「A Warm And Tender Romance」で、これだけお洒落で流麗な曲がアルバム曲なんて惜しいばかり。オリヴィア・ニュートン・ジョンの『Long Live Love』収録の「Angel Eyes」も美しく華麗なナンバーで、この2曲は本当にもったいない。他ではピーター・ヌーンの「Meet Me On The Corner Down At Joe's Cafe」がノスタルジックな香りを漂わせた軽快なナンバー、カール・ウェインの「San Diego」は完璧なメロディと歌で作られた快調な傑作、そしてニュー・シーカーズの「Sing Hallelujah」がマイナーからサビのメジャーの展開に開放感があり、傑作の宝庫の年でもあった。1975年にもドリフターズの「You're More Than A Number In My Little Red Book」がこのグループの過去2作のヒットらしい、ゆったり揺られるようなポップなサウンドで全英5位にランクされる。もう1曲の「Love Games」は33位止まりだった。ヒットはなかったがパールスの「Lead Us Not Into Temptation」はアップテンポのポップな快調な作品で、惜しい。面白いのはあのディアン・エディとのコラボでアルバム『Guitar Man』では8曲のトワンギーギターとマコウレイメロディの共演が聴ける。1976年にはマコウレイ最大の成功となる俳優のデビッド・ソウルのシングルを担当する。彼には美しいメロディのバラードを提供、「Don’t Give Up On Us」は全米・全米1位というメガ・ヒットになった。そしてマーマレードに「Falling Apart At The Seams」を書き、ポップなメロディと、極上のハーモニーが組み合わさった最高のナンバーで、全英8位のヒットになった。個人的にはマーマレードが収穫だ。ヒットにはならなかったが、ガイズン・ドールスの「If Only For The Good Times」とムーン・ブラザースの「Frankie Was A Revel」は、高揚感のあるAメロが印象的な快作だった。1977年もデビッド・ソウルのバラード、「Silver Lady」は少しファンキーなロック的要素があるが、「Silver Lady」と「Going In With My Eyes Open」はいずれも全英2位、「Let’s Have A Quite Night In」が全英8位にランクされている。しかしデビッド・ソウルのヒットよりも素晴らしいのはマーマレードのLPThe Only Light On My Horizon Now』、ここにはマコウレイ書き下ろしの4曲が入り、開放感にハーモニーに満ちた「Walking A Tightrope」と「You Steal A Limelight」、快調なビートが乗せたハーモニーがいい「The Rusty Hands Of Time」、静かなバラードでサビの盛り上がりとコーラスがいい「The Only Light On My Horizon Now」の全てが素晴らしく、これだけ充実した曲が集まったアルバムはない。さらにCD化された時には1976年に大ヒットした「Falling Apart At The Seams」も加え、タイトルも『Falling Apart At The Seams』に変えて最高の名盤になった。シングルではニュー・エディションの「Get A Little Sand Between Your Toes」が、メロディ作りにかつての高揚感のある上昇するメロディ展開があり、カッコいい仕上がり。ペギー・マーチの「You And I」もきれいなバラードでなかなか聴きごたえがあった。1978年にもまだデビッド・ソウルのヒットがあり、バラード系のミディアム・ナンバー「It Sure Brings Out The Love In Your Eyes」が全英12位にランクされる。しかしその他では目立つ曲はなかった。以降はソウル系のアーティストが多くなり、個人的な好みと離れてしまった。

 

TONY MACAULAY DISCOGRAPHY(1979)

1966 「Stop Theif(-John MacLeod…以下JM)Sandra Barry(Pye/17102)

1966 「I Won’t Try To Change Your Mind(-JM)Sandra Barry(Pye/17102)

1967 「It Looks Like The Daybreak(-Peter Sherry)4 Kinsmen(Decca/22671)

1967 「Forget About Him(-Peter Sherry)4 Kinsmen(Decca/22671)

1967 「Baby Now That I’ve Found You(-JM)UK1/US11Foundations (Pye/17366)

1967 「Come On Back To Me(-JM)Foundations (Pye/17366)

1967 「The Last One To Say Goodbye(-John Schroeder)Clinton Ford(Pye/17428)

1967 「Let The Heartaches Begin(-JM)UK1/US88Long John Baldry (Pye/17385)1969Foundations Digging The Foundations(Pye/18290)③…Ray FrushayParamount/0069

1967 「There’s Nobody I’d Sooner Love(-JM)Pinkerton’s Assorted Colours (Pye/17414)1968Paper Dolls (Pye/17547)1972Intensions(Pye/45123)

1967 「Look At Me Look At Me(-JM)Pinkerton’s Assorted Colours(Pye/17414)

1967 「Better By Far(-JM)Long John BaldryLet The Heartaches Begin (Pye/18208)1968Alexzander Butterfield (Pye/17576)1970Jimmy James(Pye/17886)

1967 「Long And Lonely Night(-JM)Long John BaldryLet The Heartaches Begin (Pye/18208)1969Long John Baldry (Pye/17664)

1967 「Since I Lost You Baby(-JM)Long John BaldryLet The Heartaches Begin (Pye/18208)

1967 「Wise To The Ways Of The World(-JM)Long John BaldryLet The Heartaches Begin (Pye/18208)1968Long John Baldry (Pye/17593)

1967 「Mr.Personality Man(-JM)Foundations From The Foundations(Pye/18206)

1967 「The Writings On The Wall(-JM)Foundations From The Foundations(Pye/18206)

1968 「Back On My Feet Again(-JM)UK18/US59Foundations (Pye/17417)

1968 「I Can Take Or Leave Your Loving(-JM) Foundations (Pye/17417)

1968 「Hold Back The Daybreak(-JM)Long John Baldry (Pye/17455)1970David Lincoln/Pye)

1968 「Since I Lost You Baby(-JM)Long John Baldry (Pye/17455)

1968 「Something Here In My Heart(-JM)UK11Paper Dolls (Pye/17456)

1968 「All The Time In The World(-JM)Paper Dolls (Pye/17456)

1968 「Any Old Time(You’re Only Lonely And Sad)(-JM)UK48Foundations (Pye/17503)②…Paper Dolls (Pye/17655)1970Generation Gap(Pye/17979)

1968 「Build Me Up Buttercup(-Michael D’Ado)UK60/US5Foundations (Uni/55101)

1968 「Rainbow(-JM)Gary Garrick (Pye/17509)

1968 「When I Reach The Top(-JM)Rockin’ Berries (Pye/17519)1969Generation Gap (Pye/17845)

1968 「My Life(Is In Your Hands)(-JM) Paper Dolls (Pye/17547)

1968 「My Baby Coming Home(-JM)New Formula (Pye/17552)1970Flying MachineDown To The Earth With Flying Machine (Pye/18328)

1968 「Burning In The Background On My Mind(-JM)New Formula (Pye/17552)1969Tina Tott(Pye/17823)

1968 「Mexico(-JM)UK15Long John Baldry (Pye/17563)

1968 「Just ‘Til Tomorrow(-JM)Alexzander Butterfield (Pye/17576)

1968 「Just For Tonight(-Barry Mason…以下BM)②…David Essex (Pye/17621)

1968 「Someday(-JM) Paper Dolls (Pye/17655)

1968 「Baby Take Me In Your Arms(-JM) Paper DollsPaper Dolls House (Pye/18226)1969…(US23JeffersonPye/71810)③1971Edison LighthouseAlready(Bell/92556)

1968 「Some Things Take A Little Time(-JM) Paper DollsPaper Dolls House (Pye/18226)②…Feminine Touch(Pye)

1969 「Baby Make It Soon(Tony Macaulay単独…TM)UK9Marmalade(CBS/4287)②…(US87Flying MachinePye/17722

1969 「That’s All Any Man Can Say(-JM)Tom JonesThis Is Tom Jones(Decca/5007)

1969 「Sorry Suzanne(-Geoff Stephens…以下GS)UK3/US56Hollies(Parlophone/5765)1971Grass Bottle(Avco Embassy/4526)

1969 「Light Of Cincinnati(-GS)UK13Scott Walker(Philips/1793)②…Long John BaldreyWait For Me』(Pye/18306

1969 「It’s Too Late Now(TM)UK21Long John Baldry (Pye/17664)

1969 「In The Bad Bad Old Days(-JM)UK8/US51Foundations (Pye/17702)1971Tony Burrows(Bell/45116)

1969 「Smile A Little Smile For Me(-GS)US5Flying Machine (Pye/17722)

1969 「My Little Chickadee(-JM)US99Foundations(Uni/55137)②…Geno Washington (Pye/17745)

1969 「Heaven Knows I’m Missing Him Now(-GS)Sandie Shaw (Pye/17821)

1969 「Take Away The Emptiness Too(-JM) Foundations Digging The Foundations(Pye/18290)②…Tina Tott(Pye/17823)1970PickettywitchPickettywitch(Pye/18367)

1969 「That Same Old Feeling(-JM) Foundations Digging The Foundations(Pye/18290)1970Pickettywitch(UK5/US67)Pye/17887)③…Fortunes(US62)(World Pacifc/77937)④…赤い鳥『Fly With The Red Birds』(Alfa/10085)④…Flying MachineDown To The Earth With Flying Machine (Pye/18328)

1969 「Sleep Tight Honey(-JM)Committee (Pye/17826)

1969 「Memories Of Melinda(-JM)Committee (Pye/17826)1970Flying MachineDown To The Earth With Flying Machine (Pye/18328)

1969 「When Brigadier McKenzie Comes To Town(TM) Long John BaldreyWait For Me』(Pye/18306

1969 「Marie Take A Chance(TM)Curtis Clem (United Artists/2263)1970Flying MachineDown To The Earth With Flying Machine (Pye/18328)

1970 「The Last Trace Of Loving Has Gone(TM)赤い鳥『Fly With The Red Birds』(Alfa/10085)

1970 「Boulevard Saint Michelle(-John Carter)赤い鳥『Fly With The Red Birds』(Alfa/10085)②…Arthur Wild(Circa)

1970 「Love Grows(Where My Rosemary Goes(-BM)UK1/US5Edison Lighthouse (Bell/1091)2001(※1970年録音)…JeffersonButtercups & Rainbow』(Sanctuary/347

1970 「Melanie Makes Me Smile(-BM)US87Tony Burrows (Bell/1103)

1970 「She Works In A Woman’s Way(-BM) Edison Lighthouse(Bell/1120)②…Men (Decca)

1970 「It’s Gonna Be A Lonely Summer(-BM) Edison Lighthouse(Bell/1120)

1970 「Every Little Move She Makes(-Roger Cook…以下RC-Roger Greenaway…以下RG) Tony Burrows (Bell/1124)1971White Plains(Deram/325)

1970 「I’ve Still Got My Heart,Jo(-RC-RG) Tony Burrows (Bell/1124)

1970 「Blame It On The Pony Express(-RC-RG)UK7Johnny Johnson & The Bandwagon (Bell/1128)1971Bobby ShermanGetting Together(Metromedia/1045)

1970 「Home Lovin’ Man(-RC-RG)UK7Andy Williams (CBS/5267)1971Edison LighthouseGreatest Hits』(Bell/58014)③1971Tony ChristieSo Deep Is The Night(MCA/50396)1972Tony Burrows(Bell/1235)1972White PlainsWhen You Are A King(Deram/1092)1977Carl Wayne(Target/125)

1970 「My Marie(-BM)UK31/US43Engelbert Humperdinck (Decca/13032)

1970 「High Time(-BM) Barry Mason (Uni/55257)

1970 「Woman In My Life(-Michael D’Ado) Engelbert HumperdinckSweetheart (London/71043)②…Arkade(Stateside/8045)③…Michael D’AdoD’Ado』(Uni/114

1970 「You’re Only Gonna Hurt Yourself(-Michael D’Ado) Gordon Waller(Bell/1106)

1970 「(It’s Like ASad Old Kind Movie(-JM)UK16Pickettywitch (Pye/17951)

1970 「Gasoline Alley Bred(-RC-RG)UK14Hollies(Parlophone/5862)②…Fortunes Freedom Come Freedom Go(Capitol/343)1971Johnny Johnson & His Bandwagon (Bell/1185)1971Blue MinkOur World(Philips/6208024)

1970 「Catch Me Catch Me(-GS)Sweetcorn(Pye)

1970 「You’re A Star(TM)Carl Wayne(Pye/45290)1974Tony Hatch OrchestraHit The Road To Themeland』(Pye/41029

1970 「Bluebird(TM)Carl Wayne(Pye/45290)

1970 「Broken-Hearted Me, Evil Hearted You(-JM) Flying MachineDown To The Earth With Flying Machine(Pye/18328)

1970 「Take Away The Emptiness Too(-JM) Flying MachineDown To The Earth With Flying Machine(Pye/18328)②…PickettywitchPickettywitch』(Pye/18357

1970 「Hard Working Woman(-John Carter)Meckenburg Zinc(Orange/205)

1971 「Something Old Something New(-RC-RG)UK9/US102Fantastics (Bell/1141)②…Susan Shirley(Philips/6006099)③…Paul Johnson(Cactus/52)

1971 「High And Dry(TM) Fantastics(Bell/1141)

1971 「The Humming Song(TM) Tony Burrows(Bell/1140)

1971 「Recollections(-Tony Burrows) Tony Burrows(Bell/1140)

1971 「Here Comes That Rainy Day Feeling Again(-RC-RG)US15Fortunes(Capitol/15671)1972Andy WilliamsYou’ve Got A Friend(CBS/64680)1972Sonny & SherAll I Ever Need Is You(Kapp/3660)

1971 「Sally Put Your Red Shoes On(-RC-RG) Johnny Johnson & His Bandwagon (Bell/1185)

1971 「Alison Please(-JM)Chris Kelly(CBS/5427)②…-Geno WashingtonPye

1971 「Step In The Right Direction(TM) Sylvia McNeill (Bell/1160)

1971 「Running Out Of Bridges To Cross(TM) Sylvia McNeill (Bell/1160)

1971 「A Little Thing Like Love(-Allan Clarke)HolliesDistant Light(Parlophone/10005)1972River(CBS/8317)

1971 「Time For Winning(-RC-RG) Blue MinkThe Rasing Moon(Philips/6006084)

1971 「Bring A Little Light Into My World(-JM)Pickettywitch(Pye/45096)

1971 「If I Get Home For On Christmas Day(TM)Elvis PresleyElvis Sing The Wonderful World Of Christmas(RCA/4579)

1971 「Oklahoma Sunday Morning(-Albert Hammond-Lee Hazlewood)Glen Campbell(Capitol/3254)1973Fantastics(Bell/1283)

1971  「Love Me Love The Life I Lead(-RG) Fantastics(Bell/1202) 1973Elvis PresleyElvis(RCA/1051)

1971 「Old Rags And Tatters(TM) Fantastics(Bell/1202)

1972 「The Rusty Hands Of Time(TM) John Goodison(Bell/45202)1973New SeekersThe New Seekers』(Polydor/3192207)③1977MarmaladeThe Only Light On My Horizon Now』(Target/501)※CDタイトルは『Falling Apart At The Seams』(See For Miles

1972 「(Last Night)I Didn’t Get So Sleep At All(TM)(US9)5thDimension(Bell/45195)1976Guy’n’DollsThe Good Life』(Magnet/5014)③1975Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1972 「Ballad Of Mae West(-RC-RG) Roger Greenaway(Bell/1233)

1972 「Gonna See Delaney Again(-RC-RG) Young And Renshaw(Bell/1257)

1972 「The Nearest Thing To Heaven(-Sulsh-Leathwood) Ben Thomas(Bell/1272)

1972 「I Know He Is My Brother Now(TM) Ben Thomas(Bell/1272)

1972 「Mama Was Right All Along(-Keith Potger…以下KP) Springfield Revival(Polydor/2058308)

1972 「You Chose A Fine Time(-RG) Andy Williams(CBS/8080)

1973 「You Won’t Find Another Fool Like Me(-GS)UK1New Seekers(Polydor/2058421)

1973 「Make Believe World(TM) Lulu (Chelsea/780121)

1973 「Letter To Lucille(TM) Tom Jones(UK31/US60)(Decca/13393)

1973 「Don’t Boogaloo The Night Away(TM) Hollywood Crestas(Bell/1323)

1973 「Come Back See For Yourself(-Gary Sulsh-Stuart Leathwood) Hollywood Crestas(Bell/1323)

1973 「Come Back Billie Jo(-Mitch Murray) Cliff Richard(EMI/2012)1975Tony Orland & DawnSkybird』(Arista/4059

1973 「Rhythm Of Your Heartbeat(-GS) Sonny & CherMama Was A Rock And Roll Singer Papa Used To Write All Her Songs(MCA/2012)

1973 「Sad Eyed Romany Woman(TM) James Darren(MGK/14467)

1973 「Sweet ChildWhen I Hear The Rain)」(TM) Fantastics(Bell/1283)

1973 「Goodbye God Bless You Baby(-RG) Tom Jones(Decca/13471)

1973 「You Know Darn Well(TM) Sonny & CherMama Was A Rock And Roll Singer Papa Used To Write All Her Songs(MCA/2012) /(MCA/1211)1977Guys’n’DollsTogether』(Magnet/5016

1973 「Lazy Hazy Feeling(TM) Scalliwag(Bell/1290)

1973 「Homemade Sunshine(-Gary Sulsh-Stuart Leathwood)Midnight Patrol(Bell/1332)1977New Edition(Epic/5236)

1973 「Songs We Sang Together(TM) Engelbert HumperdinckKing Of Hearts (Decca/5163)1974Carl Wayne(Polydor/2058461)

1974 「I Get A Little Sentimental Over You(-GS)UK5New Seekers(Polydor/2058349)

1974 「Kissin’ In The Back Row Of The Movies(-RG)UK2Drifters (Bell/1358)

1974 「Down On The Beach Tonight(-RG)UK7Drifters (Bell/1381)

1974 「Somebody Warm Like Me(TM)5th DimensionSoul & Inspirations』(Bell/1355)②…SunnyDoctor’s Order』(CBS/80219)③…New SeekersFarewell Album』(Polydor/2383293

1974 「A Warm And Tender Romance(-RG) SunnyDoctor’s Order』(CBS/80219

1974 「Oh My Jo(-RC-RG) SunnyDoctor’s Order』(CBS/80219)②1976Tony Burrows(Bus Stop/1039)③…New SeekersFarewell Album』(Polydor/2383293

1974 「Judy Played The Juke Box(-GS)Scott Fitzgerald(GTO/2099101)②…Crescent Street Stompers (20th Century/2176)

1974 「Lay It On Me(-GS) Scott Fitzgerald(GTO/2099101)

1974 「Angel Eyes(-KP) Olivia Newton-JohnLong Live Love』(EMI/3028

1974 「Meet Me On The Corner Down At Joe’s Cafe(-BM)(US101)Peter Noone (Casablanca/0106)

1974 「San Diego(TM) Carl Wayne(Polydor/2058461)

1974 「Sing Hallelujah(-KP)New SeekersFarewell Album』(Polydor/2383293

1974 「All Pull Together Kind Of World(-GS)New SeekersFarewell Album』(Polydor/2383293

1974 「Headline News(-RG) Sunny(CBS/2776)

1975 「Love Games(-RG)UK33Drifters (Bell/1396)

1975 「Harlem Child(-RG)DriftersLove Games(Bell/246)

1975 「I’ll Be You Music(TM)Sweet Dreams(Bradleys/7529)

1975 「Lead Us Not Into Temptation(-RG)Pearls(Private Stock/28)

1975 「Love Confusion(TM)Duane Eddy (GTO/101)

1975 「Love Is A Warm Emotion(TM)Duane Eddy (GTO/101)

1975 「Play Me Like You Play Your Guitar(-KP) Duane Eddy Guitar Man(GTO/2321102)

1975 「Blue Montana Sky(-BM)Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1975 「Rock’n’Roll Guitar Man(-KP)Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1975 「Night Prowler(-Duane Eddy)Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1975 「Son Of A Guitar Man(-Swern)Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1975 「Mark Of Zorro(TM)Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1975 「The Man With A Gold Guitar(-BM)Duane EddyGuitar Man(GTO/2321102)

1975 「Never Too Young To Rock(TM) Scott Fitzgerald(GTO/26)

1975 「Boogie Woogie Woman(-GS) Scott Fitzgerald(GTO/26)

1975 「It’s Only A Song Peggy Sue(TM)Alvin StardustRock With Alvin』(Magnet/5007

1976 「You're More Than A Number In My Little Red Book(-RG)UK5Drifters (Arista/78)

1976 「Another Lonely Weekend(-RG)DriftersThere Goes My First Love(Bell/260)

1976 「If Only For The Good Times(TM) Guy’n’DollsMagnet/70

1976 「If You Love Me-Let Me Go(TM) Guy’n’DollsMagnet/70

1976 「Queen Of The Mardi Gras(-GS)Tony ChristieMCA/231

1976 「Wall Of Silence(-GS)Tony ChristieMCA/231

1976 「Red Headed Lady(-RG)KennyPolydor/2058270

1976 「Don’t Give Up On Us(TM)(UK1/US1)David SoulPrivate Stock/84

1976 「Batman And Robin(-RG)Adam Batman WestTarget/111

1976 「The Story Of Batman(-RG)Adam Batman WestTarget/111

1976 「Frankie Was A Rebel(TM)Moone BrothersEMI Electrola/00698390

1976 「Another Fine Mess(-GS)Laurel & HardyUA/36107

1976 「The Stan And Ollie Serenade(-GS)Laurel & HardyUA/36107

1976 「Beklager Susann(-GS)Candy4 Melodier(Arctic/5612)

1976 「It’s Two Way Feeling(-BM)Our KidOur Kid(Polydor/2383423)

1976 「Falling Apart At The Seams(TM)(UK8)MarmaladeTarget/105

1977 「The Only Light On My Horizon Now(-GS)MarmaladeThe Only Light On My Horizon Now』(Target/501)※CDタイトルは『Falling Apart At The Seams』(See For Miles)②…HarvestPrivate Stock/45089)※タイトルの前に「You’re」が付いている③…Sha Na NaKarma Sutra/603

1977 「Walking A Tightrope(TM)MarmaladeThe Only Light On My Horizon Now』(Target/501)※CDタイトルは『Falling Apart At The Seams』(See For Miles

1977 「You Steal A Limelight(TM)Marmalade『『The Only Light On My Horizon Now』(Target/501)※CDタイトルは『Falling Apart At The Seams』(See For Miles

1977 「The Rusty Hands Of Time(TM)MarmaladeThe Only Light On My Horizon Now』(Target/501)※CDタイトルは『Falling Apart At The Seams』(See For Miles

1977 「If Looks Like I’m The Clown Again(TM) Drifters (Arista/124)

1977 「Get A Little Sand Between Your Toes(TM) New Edition(Epic/5236)

1977 「Put Some Words Together(TM) Dana(GTO/102)

1977 「Silver Lady(-GS)(UK1/US52)David SoulPrivate Stock/115

1977 「Let’s Have A Quiet Night In(TM)(UK8)David SoulPrivate Stock/130

1977 「Going In With My Eyes Open(TM)(UK2/US54)David SoulPrivate Stock/99)②…Top Of The PopsThe Top Of The Pops Vol.58』(Hallmark/980

1977 「Playing To An Audience Of One(TM)David SoulPlaying To An Audience Of One』(Private Stock/7001

1977 「Can’t We Just Sit Down And Talk It Over(TM)David SoulPlaying To An Audience Of One』(Private Stock/7001)②…Linda Lewis(RCA)③…Bill BrandonBill Brandon(Prelude/12149)

1977 「You And I(-Les Reed) Peggy March(Eleven/67)

1977 「A Little Give A Little Take(-RG) Carl Wayne(Target/125)

1978 「It’s A Better Than Good Time(TM)(UK59)Gladys Knight & The PipsBuddah/478

1978 「It Sure Brings Out The Love In Your Eyes(-GS)(UK12)David SoulPrivate Stock/137

1978 「The Best Of Strangers Now(-KP)Eddie KendricksArista/0346

1978 「Going Straight(-Clements)Ronnie BarkerEMI/2768

1978 「Don’t Give Me That(-Bill Hudson-Brett Hudson-Mark Hudson)Hudson BrothersThe Truth About Us』(Arista/4199

1978 「Looks Like I’m A Fool Again(TM)Hudson BrothersThe Truth About Us』(Arista/4199

1978 「The Truth About Us(TM)Hudson BrothersThe Truth About Us』(Arista/4199

1978 「What A Situation(-Bill Hudson-Brett Hudson-Mark Hudson)Hudson BrothersThe Truth About Us』(Arista/4199

1979 「I’m Still Caught Up With You(TM)Gladys Knight & The PipsMiss Gladys Night』(Buddah/5714

1979 「We Don’t Make Each Other Laugh Anymore(TM)Gladys Knight & The PipsMiss Gladys Night』(Buddah/5714

1979 「It’s A Better Than Good Time(Disco)(TM) Gladys Knight & The PipsMiss Gladys Night』(Buddah/5714

 

(作成:佐野邦彦)



☆Favorite Musician 全音源コレクティング第1回:Curt Boettcher Related Works Part1

$
0
0

カート・ベッチャーはコーラス・アレンジの天才である。独特で誰もカートの領域に近づけなかった。一方、ミレニウムやボールルームを中心となって作り、サンディ・サルスベリ―、リー・マロリー、マイケル・フェネリー、ミシェル・オマリーらの優秀なソングライターをメンバーにしたことで膨大なデモテープを残した。その中からいい曲をゲイリー・アッシャーはチョイスしてアレンジを加えサジタリアス(1st)でリリースする。そして特筆すべきはカートが1965年から5年間、Our Productionsのスタッフとして数多くのアーティストのプロデューサー、ヴォーカル・アレンジャーを担当、その中にはアソシエイションを大成功させ、トミー・ロウのアルバムではトミー・ロウの歌まで印象に残らなくするほどの凝りに凝ったコーラス・ワークを付け、1970年代にはブルース・ジョンストンと組んで、カリフォニアという現代の新しいトロピカル・ミュージックを生み出そうとし、アルバムを完成させながら長くオクラ入りになってしまった。そして1987年にはエイズのため43歳で夭折している。さてこの複雑なカートのワークスを、2回に分けて紹介しよう。まずは第1回は分かりやすいミレニウム、ボールルーム、サジタリアスと、カート・ベッチャーのソロ、カート以外のメンバーで最も才能があったサンディ・サルスベリ―のワークスを紹介しよう。

 

ミレニウムの『Begin』はソフトロックの最高峰に位置するアルバムとして昔も今も不動だ。この名盤を1曲ずつ紹介などというのは野暮、聴いた事があるのは常識だ。作曲が得意でなかったカートはがこのアルバムでは「I Just Want To Be Your Friend」がベストで他2曲が単独作品。そしてメンバーの中では最も遅く加入したマイケル・フェネリー=ジョーイ・スティックが「It’s You」など3曲、リー・マロリーも「I’m With You」など3曲が入ったのに最も作曲能力があるサンディ・サルスベリ―は明るくポップな「5AM」1曲のみというちょっと首をかしげたくなる選曲だった。最も感動的で堂々とした「There Is Nothing More To Say」はカートとマイケル・フェネリー=サンディ・サリスベリーの共作。このアルバム用のデモは数が多く、『Pieces』というコンピにはサンディ・サルスベリ―&ジョーイ・スティックの全体を覆うハーモニーが心地良い「I Just Don’t Know How To Say Goodbye」がいいし、『Begin』っぽいちょっと胸を張ったような堂々としたコード進行が耳に残る快作サンディ・サルスベリ―&リー・マロリーの「Can You See」はあるが、16曲もあったアルバムに入らなかったトラックはやはり質が少し低かった。

 

カート・ベッチャーとサンディ・サルスベリ―の出会いは古くボールルーム自体から一緒のメンバーであり、その作曲能力の高さを一番知っていた。しかし前述したようにミレニウムの『Begin』では1曲しか採用されず、カートのアルバムコンセプトと合わなかったのだろう。5人もソングライターがいたミレニウムでもシングルをリリースできたのは3人だけで最多はサンディだ。サンディの最初のシングルにカートは無関係だが、1967年のOur Photograph Recordsからのシングルで「All I Really Have Is A Memory」と「The Best Thing」で、どちらもサンディらしいポップな仕上がりで、「The Best Thing」の方が明るくコーラスが華やかでいい。カートとキース・オルセンのレーベルのトゥゲザーから1968年に3枚のシングルをリリースする。サンディ以外のメンバーのシングルはリリースしていないので、ここでカートがサンディの才能を高く評価していた事が分かる。1枚目はDo Unto Others」と「Cecily」。A面は快調なパワーポップ、B面はサンディらしさが出た優しい雰囲気の牧歌的なナンバー。2枚目は外部ライターの有名な「Come Softly」で、持ち前のコーラスワークを生かしてトロピカルに仕上げた。B面は「Once I Knew A Little Dog」はこれもサンディらしい優しい牧歌的な曲でコーラスワークとスチールドラムがいい。3枚目はビーチ・ボーイズの「With Me Tonight」を明るくアレンジした「On And On She Goes」で、B面の「Goody Goodbye」は転調を使ったバブルガムタッチのナンバーだった。その他のサンディがミレニウム系、ボールルーム系メンバーと録音とした膨大なデモテープは、ソフトロックの再評価の中で日英で同じタイトルなのに曲目が違うCDが連発、うんざりするほどリリースされ、もう整理がつかない有様なので、ここでは「Sandy Salisbury」名義でリリースされたCDの中で、これはとおススメする曲だけ紹介しておこう。「Baby Listen」は、ビートルズの「It’s Only Love」をちょっと思わせるAメロから、高揚感があるサビのメロディとサウンドが素晴らしい。ギターの弾き語りのようなシンプルな曲だが、コードとメロディが洒落ていて浮き浮きするお「A Little Bit Of Love」、サジタリアスのデモの中でも飛び切り出来が良かった「Lonely Girl」の、ここでは最もシンプルなデモが聴けるが、もともとメロディもハーモニーもいいのでこちらも十分だ。「Falling To Pieces」はギターの音色とキャッチーなリフレインとハーモニーで聴かせてしまう。ピアノをバックにした美しくゴージャスなメロディの傑作「Married To The Wind」、軽快なビートで最もキャッチーで開放的なメロディをサビに持ってきた「So Close To Heaven」など、基本的にミレニウムのナンバーで最もキャッチーなメロディを書く才能があったのがサンディだ。

 

ボールルームは、1966年にカートが作ったグループで、曲を作れるメンバーでミレニウムのマイケル・フェネリーとジョーイ・スティックの代わりに、ミシェル・オマリーがいるのがボールルーム。ただしシングル1枚のリリースしかなく、そのシングルもミレニウム色は皆無。ただしボールルーム時代に録音していた音源はまとめられ、サウンドはミレニウムに見事につながる。これらのデモからゲイリー・アッシャーは音源を持ち出して、サジタリアスの名前でリリースしていた。サジタリアスのファーストはそうして作られている。ボールルームの音源ではサンディの作った「Magic Time」が軽快で浮遊感があってまずとてもいい。カートとリー・マロリーの共作は多少地味だが、サビのコーラスのみの部分などいい。サンディの「I’ll Go Stronger」はやはりサンディらしくポップでハーモニーがいいし、同じくサンディの「A Time For Everything」爽やかだ。他では外部ライターの「Opus To A Friend」もハーモニーが見事。

 

サジタリアス名義はボールルームのCDに収録されているサンディ作の「Lonely Girl」が、軽快なサウンドとポップなメロディ、重なるコーラスとまさに最高のポップチューン。その他ではボビー・ヴィーがアルバム『Come Back When You Grow Up』で歌っていた外部ライター作の「Get The Message」もなかなかいい出来だ。サジタリアスはゲイリー・アッシャーがカート達のデモを持ち出して仕上げてサジタリアス名義でリリースしたのが『Present Tense』だった。この時にカートの作曲の才能が突如、開花し、冒頭の「Another Time」は、静けさの中に静謐な美しさを湛えたバラードで、カートの単独作と知って驚いた。続くカートとミシェル・オマリーの共作「Song To The Magic Frog」もハイトーンのリードとハーモニーが素晴らしく一気に引き込まれる。「Would You Like To Go」も爽やかないい出来だが、共作がカートとアソシエイションのゲイリー・アレキサンダーである点が面白い。そしてシングルカットしたヒットした「My World Fell Down」はカーター&ルイスの曲で、レコーディングにはブルース・ジョンストンやグレン・キャンベルなどが参加していたのは有名な話。このサジタリアスのボーナストラックにはチャド&ジェレミーのオケだけだが「Sister Marie」が入っていて、レコーディングには参加していたというカートの証言がある。この時期のレコーディングには知り合いのミュージシャンが自由に行きかっていて,カートいわく「ルネサンスのようだった」とのこと。凄い時代だったなと改めて思う。そしてこの後のデモはミレニウムのメンバーで固定される。ゲイリーはセカンドの『The Blue Marble』ではカートのデモを好きに調達できなかったようで、アッシャー自身の曲が多くなり、一気に暗く重苦しいサウンドになった。その中ではシングルのみ用のサンディの「Navajo Girl」がポップで明るくベストな出来だ。同じくシングルのみ用の「I Guess The Lord Must Be In New York City」はあの超名作アカデミー賞映画「真夜中のカーボーイ」を主題歌をニルソンの「Everybody’s Talkin’」と争った曲なのでメリハリがついた曲である。

 

カート・ベッチャーのソロ・ワークスだが、以前も書いたようにミレニウムとサジタリアスの時には奇跡のように名曲を書けたが、デビュー期と1970年以降はいい曲を書けていない。というか自信もないのか大半がオリジナルではない。ポップさがないのだ。そのため1973年リリースのソロThere’s An Innocent Face』や、同年に既に多くが制作されていた幻のセカンドソロ『Chicken Little Was Right』はともかく華がない。カートはコンポーザーではないなと改めて思う。60年代のカートのデモとCMを集めた『Misty Mirage』には元がいい「I Just Want To Be Your Friend」「Another Time」のデモはもちろんいいし、グループで使用しなかった「Baby,It’s Real」「Astral Cowboy」はカート本来の持ち味のサイケ色の強いものだった。リー・マロリーの「That’ The Way It's Gonna Be」粗削りなカートのデモも興味深い。しかし最も価値の高いのが、カートがBig Mouthなどというレーベルから当時シングルが出たという噂されるアソシエイションの自作の「Along Comes Mary」の粗削りなデモが入っていたことだ。その昔見た資料のシングルとこのデモが同じ曲とは書いていないが、個人的には「見つけた!」という気持ちでとても嬉しかった。他では60年代にカートは唯一のソロ・シングル「Share With Me」「Sometimes」を自らのレーベルのトゥゲザーからリリースしてここに収録されているが、サイケ色を帯びたものでポップな感覚は薄く、売りになる曲ではない。『Collections』というタイトルでも同内容プラスアルファでCDがリリースされたが、CM系はキラキラしたサウンドだったり、そつなくこなしていた。他にも色々なコンピにカート名義の60年代のデモが収録されていたが、その中で特筆しておきたいのはあのゲイリー・パクストンの依頼でカートは2曲プロデュースしていたが、2015年になってまとめられたCDHappy Lovin' Time - Sunshine Pop from the Garpax Vaults』の「Christina, In My Dreams」は、カートが離れた後にリリースされたセカンド・アルバムの『Timeless』、このアルバムはソフトロックの名盤として有名だが、その中のこの流麗なポップナンバーをカートもプロデュースしていたとは知らなかった。ただしカートの作ではない。

 

 MILLENNIUM

(Curt BoettcherSandy SalisburyLee MalloryMichele FennellyJoey Stic etc)。ミレニウムの場合、作曲者が多いので例外的に全曲クレジットする。

☆オリジナル・アルバム(//まで)

1968 『Begin2006 Reissue Version(ソニー)唯一のアルバムと唯一のアルバム未収録シングル(Just About The Same」とBlight)入り

PreludeEdger=Rhodes/To Claudia On TuesdayFennelly=Stec/I Just Want To Be Your FriendBoettcher/5 A.M.Salisbury/I’m With YouMallory/The IslandBoettcher/Sing To MeMallory/It’s YouFennelly=Stec/Some Sunny DayMallory/It Won’t Always Be The SameFennelly=Stec/The Know It AllBoettcher/Karmic Dream Sequence #1Boettcher=Mallory/There’s Nothing More To SayBoettcherSalisbury=Mallory/AnthemBoettcher=Salisbury=Mallory=Rhodes)//BlightFennelly/Just About The Same/Fennelly=Stec=Rhodes/I Just Want To Be Your Friend(Single Version)/5 A.M. (Single Version)/Prelude(Single Version)/ It Won’t Always Be The Same(Single Version)/ To Claudia On Tuesday(Single Version)/There’s Nothing More To Say(Single Version)

☆必要なコンピレーション

2000  The Millennium Continues』(Trattoria

All That I Am Is Me以外Millenniumらしさ無し

BreakdownFennelly/Such A Good Thing(MalloryStec)/All That I Am Is MeMallory/No Other LoveMallory

2000  『The Millennium Again(Poptones)

Wearing Levis(Curtの『Misty Mirage』と別の曲。サウンド的には完成版)。作曲はミレニウムの7

2001 『Magic TimeBox Set)』(Sundazed)

It Won't Always Be The Same(Instrumental)/There's Nothing More To Say(Instrumental)/To Claudia On Tuesday(Instrumental)

2008  Pieces(Sonic Past Music)67年・68年のデモ。The Millennium At LastBox Set)』にも収録。

Prelude/Edger=Rhodes/ To Claudia On ThursdayFennelly=Stec/Baby, It's Real(Boettcher=Fennelly=Salisbury)/It’s You(Fennelly=Stec)/ I Just Don't Know How To Say Goodbye(SalisburyStec)/ Good People(SalisburyStec)/Can You See(SalisburyMallory)/How Much I Love You(FennellyStec)/ The Blues Is Just A Good Woman Gone Bad(FennellyMallorySalisbury)/ Once Upon A TimeBoettcherMallory/Dying With You(Fennelly=Stec)/The WordMallory/Share With MeMallorySalisburyStecUsher/Sometime Or Another(FennellyStec)/ A Younger MeFennellyMallory/ I Need To Be By Your Side(FennellyStec)/ Sunshine Girl(FennellyStec)/ Suspended Animation(Boettcher=Mallory=Salisbury=Stec)/ The Ways I Love You(FennellyStec)/ The Hills Of Vermont(FennellyMallorySalisbry)/ It Won't Always Be The Same(FennellyStec)

2003 『The Voices Of Millennium』(Rev-OlaアルバムはMillenniumと言いながらSagittariusの『The Blue Marble』とSandy Salisburyのラフ・ミックスが大半。『The Blue Marble』は暗いサウンドなので、こちらの方がパワフルに聴こえていい。初登場はCome To Me BabyMagic IslandMalloryBoettcher)。Millenniumの『Pieces』収録ヴァージョンのShare With MeMallory=StecUsherSalisbry)のラフ・ミックス。『The Blue Marble』のラフ・ミックスはI Still Can See Your Face/Will You Ever See Me/The Blue Marble/Navajo GirlSalisburyUsher)。Sandy Salisburyのラフ・ミックスはMeasure Of A ManSalisbury/Together In The EndBoettcherSalisbury/Midnight Sun(UsherSalisbury)/Little Lost And FoundSalisbury

2012 『The Millennium At Last(Box Set)(ソニー)の中の『The Voices Of MillenniumRev-Ola盤に加えてKeep On Dreamin'。(There's Nothing More To Sayの原曲をアコースティックギターで歌うデモ)収録。(BoettcherFennellyMallorySalisbury

 

BALLROOM

※(Curt BoettcherSandy SalisburyLee MalloryMichele O’Malley)。楽曲の後ろのクレジットはBallroomのメンバーが書いたのみ記す。

必要なコンピレーション

1998  『Preparing For The Millennium』(Rev-Ola1967年の唯一のシングル収録。1966-1967

1967年の唯一のシングルSpinning, Spinning, SpinningBoettcher=Freidman)とBaby Please Don’t GoJ.Williams)を収録。他に You Turn Me Around/ Would You Like To Go(Sagittariusよりヴォーカルも演奏もオン)BoettcherAlexzander/Magic TimeSalisbury/ForeverBoettcherMallory/Love’s Fatal Way(Sagittariusと同じ)BoettcherNaylor/It’s A Sad World(ギターがバック)後のピアノのデモより50秒長い/Crazy Dreams/ /Musty Dusty(Sagittariusと同じ)BoettcherAlmer/I’ll Grow StrongerSalisbury/Another TimeDemo。『Magic Time』収録と同じヴァージョンだがさらにイントロにカウント入り)(Boettcher/If You Only Knew(Curtと同じテイク) Boettcher/The Keeper Of The GamesDemo/The IslandMillenniumVersionと違って後半のSEがなく完奏する)。また『Magic Time』収録のOriginal Versionよりも14秒長く後半のコーラスが違う。(Boettcher/Believe YouDemo)。『Magic Time』のものよりフェイドアウトが早い。(Boettcher/It’s A Sad World(Demo)ピアノのバック。Curtの『Chicken Little Was Right』と同じ。/I’m Not Living HereDemo)カウント入りだが『Magic Time』収録のものと違って後半のコーラスパートがなく10秒ほど早く終わる。(Boettcher/Sunshine Today。『Magic Time』収録のものより短くコーラス無し。(Boettcher

2001  『Magic TimeBox Set)』(Sundazed

Lead Me To Love/ A Time For Everything(Salisbury)/ Would You Like To Go (Instrumental) / Forever (Instrumental) / I'll Grow StrongerSalisbury/ You Turn Me Around/Magic Time(Instrumental) /It’s A Sad World(Instrumental)/ Spinning, Spinning, Spinning (Instrumental) / I'm Not Living HereDemo)。Preparing For The Millennium』のものと違って後半にSagittariusのヴァージョンにもない未聴のハーモニーパートが出てくる。/ Opus To A Friend(Mallory)/ Believe You(Demo)(Boettcher)Preparing For The Millennium』のものよりフェイドアウトが9秒長い。/ The Island (Original Version)。上記のPreparing For The Millennium』参照。『Begin』と別テイク。/ 5 AM (Original Version)。『Begin』よりハーモニーが少ない。/ Karmic Dream Sequence #1 (Original Version)。『Begin』収録のものよりコーラスが少なく2分前に完奏してしまう。『Begin』ではその後、琴などを使った演奏が続く。/Sun Arise/ Love's Fatal Way (Instrumental)/ Sunshine Today (Demo)Preparing For The Millennium』収録のものより32秒長くコーラス入り。

 

SAGITTARIUS

※カートらが録音していたデモを、ゲイリー・アッシャーが持ち帰ってサジタリアスの名前で発表したもの。そのため作曲者はBallroomのメンバー関係のみ記す。

☆オリジナル・アルバム

1968 『Present Tense1997 Reissue(Sundazed)

Another TimeBoettcher/ Song to the Magic Frog (Will You Ever Know)BoettcherO’Malley/ You Know I've Found a WayBoettcherMallory/ The Keeper of the GamesBoettcher/ Glass/ Would You like to GoBoettcherG.Alexzander/ My World Fell Down/ Hotel Indiscreet/ I'm Not Living HereBoettcher/Musty DustyBoettcher/The Truth Is Not Real// Artificial Light (Of All the Living Lies)/ Get the Message/ Mass # 586/Love’s Fatal Way(BoettcherNaylor) My World Fell Down (Single Version)/ Hotel Indiscreet Mono Single Version/Lonely GirlSalisbury/ The Keeper Of The Games (Demo)/Sister Marie(Instrumental)

1968  『Present Tense2006 Reissue(ソニー)

オリジナル・アルバム以降(//以降)のボーナス・トラックが違う。

My World Fell Down (Mono Single Version)/Hotel Indiscreet (Mono Single Version)/Another Time (Mono Single Version)/You Know I've Found A Way (Mono Single Version)/The Truth Is Not Real (Mono Single Version)/I'm Not Living Here (Mono Single Version)/The Keeper Of The Games (Mono Single Version)/Virgo/Libra/Pisces。なおラスト3曲はシングルB面用のインスト曲。

1969  The Blue Marble2001 Reissue(Dreamsville)

Curt Boettcherは外れており、Gary Usherのプロジェクト。「I Guess The Lord Must Be In New York City」「Navajo Girl」はアルバム未収録シングル。ほぼゲイリーのプロジェクトなので、カート関係の曲のみクレジットする。

In My Room/From You Unto UsBoettcher/Will You Ever See Me/Gladys/I Sing My SongO’Mallry=D.Adams/The Blue Marble(UsherMallory)/Lend Me A Smile/I Still Can See Your Face/I See In You/Cloud Talk// In My Room(Mono)/Navajo GirlSalisbury /I Guess The Lord Must Be In New York City/ I Still Can See Your Face(Mono)/Will You Ever See Me(Alternate Version)

2001 『The Magic Time(Box Set)』(SundazedSunshine Today (Alternate Instrumental Version)。ただしBallroomの曲であり、何故Sagittarius名義なのか不明。(Boettcher

 

 SANDY SALISBURY

下記を揃えないと全音源は入手できない。曲は順に記載し、後に収録された場合は省略した。サンディはほとんどが自作なので、共作の相手がいた場合、相手のみ明記する。

必要なコンピレーション

2000 『Do Unto Others(Dreamsville)68Togetherからのオフィシャル・シングル3(Do Unto Others(Boettcher)と「Cecily(Boettcher)Come Softly(

Troxel/Christophr/Ellis)と「Once I Knew A Little Dog(=Colley)、「On And On She Goes(Beach Boysの「With Me Tonight」のこと。B.Wilson/C.Wilson)と「Goody Goodbye」収録。

I Just Don't Know How To Say Goodbye=Stec/Spell On Me#2と同じ)/ The Hills Of Vermont(FennellyMallory)/ The Good Ol' Good Times /Baby Listen/ Sweet Sweet Cinnamon/ Every Minute Of My Life=McNeil/ I'll Do The Cryin'=Jones

2000 『Falling To Pieces』(Dreamsville)※日本盤

Lonely Girl(アコギをバックのDemo)

2002 『Falling To Pieces』(Rev-Ola)※イギリス盤。オフィシャル・シングル「All I Really Have Is A Memory」「The Best Thing1枚収録。なおジャケットには「Lonely Girl」と書いてあるが入っていない。

Love Divided By Two / All I Really Have Is A Memory/ Together In The End / Sweet Sweet Cinnamon/ Every Minute Of My Life/ Spell On Me #1(オルガン中心のバック)/The Best Thing/ Spell On Me #2(ギター中心のバック)/ Falling To Pieces / A Little Bit Of Love / Bring Me On Back Home Again(完奏する。US盤の『Everything For You』のはフェイドアウト)/ Butter Me Over With Cinnamon Sugar/Candy Kisses/ Tomorrow/ Here Comes That Feeling / Lonely Girl(アコギをバックのDemo)/ Back Where You Belong

2004 『Everything For You(Rev-Ola)イギリス盤

Do I Miss You/Invitation Forever/Midnight Sun/Married To The Wind=McNeil/Little Lost And Found/Everyone Should Be In Love/My Good Friend/Measure Of A Man/Love Me Love Me Not

2004  Everything For You(Dreamsville)日本盤

Love Is A Place For People To Fall In/ Over And Over Again/ Love Came To Strawberry Lane/Warm Of August(McNeil)/Let It Rain Let It Pour/ Leave It To Love/ Tender Loving Care/Happy Go Lonely Me/I’m In The Mood For Happy/Yesterday Today And Tomorrow/ Thank You For Loving Me=Jones/ Some Other Place Some Other Time/ I'm Moving On Back To You/Missouri Weeps/ Our Love Is An Unwritten Song /Misty Eyes And Smokey Place(=Colley)/ So Much Yourself/ Dealer/Content Am I/

2005 『Sandy(Rev-Ola)

Once I Knew A Little Dog(Instrumental)/If Roses Are Blue/

2006  Cathy』(Sonic Past Music

Maui/Hold Back/ Rag Doll Boy/Here We Go Again /The World Is Laughin' Now/ Sometime Some Other Place /Tale Of A Timeless Love/ Catchy

2007  Everything For You』(CD BabyUSこの編集盤は『The Millennium At Last(Box Set)』にも収録。

So Close To Heaven/ A Lot Of Love In Me/ My True Confession/ Pretty As A Picture/

2012  『The Millennium At Last(Box Set)(ソニー)の中の『Do Unto OthersDreamsville盤の『Sandy』のこと。さらにボーナス・トラックとしてSuper Day収録。

 

 CURT BOETTCHER

※カートはミレニウムの頃までは自作を作り、ミレニウムまではいい曲が書けるようになったが、その後のソロ・アルバムではもう書く気持ちが失せたようで大半が他人の作品になる。
 

オリジナル・アルバム

1973 There’s An Innocent Face 2002 Reissue(Sundazed)

I Love You More Each Day(=Gere=Burrel)/Such A Lady(Guisas=Naylor)/She’ll Stay With You(Gere)/Love You Yes I Do(NefkinBurrel)/Without HerGusias/Bobby CaliforniaGere/The Choice Is YoursM&T,Rooney/Malachi Star)(Pulver=Wachtel)/Lay DownGere/I’ve Been WrongGere/Wufferton FrogNetkinSchwimmer

 

必要なコンピレーション

2000 『Misty Mirage(Poptones)Millennium,Sagitarius,Lee Malloryなどの音源とは別録音。CurtTogether68年唯一のシングル「Share With Me」「Sometimes」収録。60年代の音源なのでこちらの方が聴きもの。

Tumbling TumbleweedNolan/ Baby It's RealBoettcherFennellySalisbury/ Misty Mirage/ SometimesBoettcherMallory/Share With MeUsherSalisburyMalloryStec/ That's The Way It's Gonna BeGibsonOchs/ Astral CowboyBoettcher/Another Time(最後の歌い方がファルセットのデモ(Boettcher/ Wearing Levi's (Acoustic) Boettcher/ I Just Want To Be Your FriendBoettcher/ You Know I've Found A WayBoettcher=Mallory//The Know It AllBoettcher/ Stretch Levi'sBoettcher/ Tumbling Tumbleweed (Instrumental) Boettcher/ Misty Mirage (Instrumental) Boettcher/ Astral Cowboy (Instrumental) Boettcher/ /Meanwhile Back In The World (Instrumental) Boettcher/ Dreamworld Fantasy No. 11 (Instrumental) Boettcher/ Baby It's Real (Instrumental)/Louise/ Rest In Peace/ Bank Americacard/ Crown Paper Towels/

2001 『Magic TimeBox Set)』(Sundazed

The Keeper Of The Games(Demo) Boettcher)。Ballroomの『Magic Time』収録と同じもの。/Dancing Dandelion(Demo) Boettcher/Sea Of Tears(Demo)(Boettcher= D.Holmberg)/Another Time(Demo) Boettcher)。基本的にBallroomの『Preparing For The Millennium』収録と同じもので最長ヴァージョン。

2003 Collections』(Sound CityMisty Mirage』がベースだが、Wearing Levi's (Acoustic)/ Stretch Levi's/ Bank Americacard/ Crown Paper Towels6曲のInstrumentalは入らず、その代わりにAnother Time(Demo)アコギバックの242秒のデモ。『Misty Mirage』にも収録のAnother Time(Alternate Demo Version) Boettcher)前者よりも20秒長いエンディングがファルセット。なお、Ballroomのものはこれとも別ヴァージョンながらさらに35秒長い。If You Only KnewBoettcher)はBallroomの『Preparing For The Millennium』と同じ。なおこの編集盤は『The Millennium At Last(Box Set)』にも『Another Time』のタイトルで収録。60年代の音源なので楽しめる。

2004  Chicken Little Was RightDreamsville※日本盤、未発表2ndアルバム。ただしボーナス・トラックのAlong Comes Mary(Almer)1966年にCurtが録音した貴重なデモ音源。本来のアルバムはI’ve Been Wrongまでの10曲だけで、2004年にはその10曲だけのCDSound Cityからリリースされている。

I Call You My Rainbow/Louise(Netkin)/Out Of The Dark Of The Night(Gare)/Astral Cowboy(ギターのDemo(Gavin)/Rest In Peace(Gusias)/Sunrise Mango(Scull)/Sunset Fallin’(Web/Garry)/We’re DyingBoettcher/You Make Me Fell So HighBoettcherBurrellNetkin/I’ve Been WrongBoettcher//Along Comes Mary(Demo(Almer)/Party People/ Show Me To Do/Bandits

2005  『Chicken Little Was Right』(Rev-Ola)※イギリス盤

Along Comes Mary(Demo)(イントロノイズがあり、最後まで完奏するので『Collections』ものより17秒長い)/Believe YouIt's A Sad WorldIf You OnlyKnew3曲ともBallroomの 『Preparing For The Millennium』と同じ)/ILouise(Alternate Mix)/Rest In Peace(Alternate Mix)(この2曲はアルバム収録曲とまったく同じ音源で、僅かにソフトにミックスされている程度。同じものといって過言ではない)

2012  『The Millennium At Last(Box Set)(ソニー)の中の『Chicken Little Was Light2004年のDreamsville盤よりボーナスの4曲(Along Comes Mary(Demo)Almer/Party People/ Show Me To Do/Bandits)カットされてしまったが、初登場のShe Got The Power収録。(Salisbury)

2015  Various:Happy Lovin’ Time Sunshine Pop From The Garpax Vaults(Big Beat/CDWIKD328)

Gary Paxtonの下で録音していた未発表の「Christina,In My Dreams」「Stay」収録。

 

(作成:佐野邦彦)


☆Favorite Musician 全音源コレクティング第2回:Curt Boettcher Related Works Part.2

$
0
0

ここからがカート・ベッチャーの最もコアなワークスだ。Part.1はみなCD化されているが、Part.2のシングル担当編は1965年、1966年、1967年、1969~1970年の大半がCD化されていない。アルバムでも未CD化のものが残されている。今回はそのコアな部分について詳細に紹介していこう。

 

1964~1966年 GoldebriarsSummer’s ChildrenCurt Boettcher Productions

1964年~1965年はカート本人が参加したゴールドブライアーズのアルバム2枚をリリースする。メンバーにはその後長くカートと一緒にコーラスで参加していくドティ・ホームバーグがいた。ファーストは、ハーモニーは美しいがポップな感覚はほぼないフォークそのもの。1965年のセカンドではハープシードなどを入れたカートも作曲に参加した「Sea Of Tears」からスタートし、ポップな曲が多くなってシングルカットした「Castle on The Corner」では、歌にただ機械的なハーモニーを付けるようなものではなく、複雑なコーラスワークを付けてカートらしさを発揮した。日本に住んでいたこともあるカートは「HAIKU」という曲を書いていたが、カートはポップな曲を書けるようになったのは後の話なのでこの時点ではつまらない曲だ。なお1964年暮れにはサード・アルバム用の曲も8曲録音していて2009年に日本でリリースされている。カートは別に女性シンガーとサマーズ・チルドレンというデュオを作り、1965年に「The Summer’s Long」「Everybody’s Been Talkin’」をリリース、A面はデュオにしてはポップできれいなハモリ出来はいい。B面はもっともビートに乗せたナンバーでキャス・エリオットの曲だった。1966年のセカンドはもうOur Productionsのカートのプロデュース名義になっていて「Milk And Honey」の方は少しエキゾチックな雰囲気のナンバー。「Too Young To Marry」はA面より少しキャッチーなリフレインを持つナンバーでトミー・ロウの曲だった。カートとずっとメンバーを共にすることになるリー・マロリーの1966年のシングル2枚はリーのCDに収録されたが、1966年の「That’s The Way It’s Gonna Be」は不安なビートに乗せて歌が始まると不協和音ギリギリに迫るサイケデリックなナンバーで、でもトータルでポップというとことが絶妙。「Many Are The Times」はゆったりとした曲想に、虚空からふっと現れるような幽玄なコーラスが素晴らしく、隣でレコーディングしていたブライアン・ウィルソンが驚いて飛び込んできたというエピソードがあるほど。こちらはリーのオリジナル。2枚目の「Take My Hand」は一転ポップな曲でカートのハーモニーも目立たない。「The Love Song」はリー作の曲のロック・ナンバーだった。

1966年のカートのベストのワークスはアソシエイションだ。ヴァリアントでくすぶっていた彼らのプロデュースを担当し、高度なハーモニーを学び実際に「Cherish」が1位、「Enter The Young」が7位になるなど成功を収めると学ぶことは学んだと1作でカートを離れてしまうが、案の定セカンドでは低迷する。同年にはユア・ギャングというグループのアルバムに、プロデュースのゲイリー・パクストンの依頼だと思うがアルバム『Your Gang』に「Tomorrow’s Dream」という牧歌的なインスト曲を提供していた。ゴールドブライアーズの同僚、ドティ・ホームバーグのために1966年にカートは4曲をプロデュースしていた。2002年になってSometimes Happy Times』のタイトルでようやくCD化されたがコーラスにCurt BoettcherSandy SalisburyLee MalloryMichele O’Malleyなどを揃え、「I Sing My Song」はサウンド・ハーモニーとも実に爽やかで曲はミシェル・オマリーの曲。「Sea Of Tears」はゴールドブライアーズのトップを飾ったカートのオリジナルだが若干スローで重いイメージにアレンジしていた。「Foolish Times」はカートのオリジナルで、爽やかだが単調な曲。他にもう1曲「It’s Not Worth It All Out」がありここまで準備していたのに惜しい。

 

1966年 Curt Boettcher Singles Productions

1966 カート・ベッチャーといえばOur Productionsのプロデューサーという時代が長く続く。その仕事で特に多くのシングルのプロデュースを担当、明らかにカートと分かるサウンドで作りあげ、これだけ特徴的なサウンドに染め上げるプロデューサーは数少ないといえるだろう。Action Unlimitedの「Thinking To Myself」はバッキングに小さく鳴り続ける同じキーのハイトーンのコーラスがいかにもカート。B面の「My Heart Cries Out」はカートの持ち味のポップ・サイケ色が少し強くなり、イントロと最後にサイケ風のSEが入る。バリトン系の声の地味な曲なので、SE,コーラスは曲中は控えめ。Candy Companyの「The Happies」はホーンを入れた牧歌的な曲で、カートらしさは皆無。B面の「Sugar Stone」になるとカートらしさを入れ込んできてバッキングに同じ音で鳴り続けるマリンバ、同じパターンのコーラスが続いてポップ・サイケになっていた。Lou Berrington & The African Campの「The Kwella」だがメロディはあるようなないような、語りの部分も多く、「The Kwella Stroll」はほぼ同じ作りで、中間部にテンポを落としたサイケなコーラスのパートが加わりよりポップ・サイケになっていた。Plastic Peopleの「It’s Not Right」は、ヴォーカルがしっかりしていてサウンドも十分なので、カートはこの軽快なナンバーにオーソドックスなアレンジしかしていない。B面の「This Life Of Mine」は単調な曲なので、メロディをなぞった楽器が鳴り続け、1SE風の電子音が聴こえる。曲全体はポップ・サイケ。Something Youngの「Oh Don’t Come Crying Back To Me」はメロディ自体がいいのでアコギとハンドクラップ、ハーモニーで普通の爽やかなソフトロック系ナンバーに仕上げた。「The Words I’m Seeking」も同じく正統派のアレンジで、コーラスがやや過剰気味についているのがカートらしいか。Bootiquesの「Mr.Man Of The World」と「Did You Get Your Fun」は曲自体がよくできているので、カートのコーラスワークでとても爽やかな仕上がりになっている。Jonathan Mooreの「London Bridge」は冒頭にロンドン橋落ちたのメロディが入り、あとはポップな歌がコーラスなしに進行する。B面の「I Didn’t Even Know」は珍しいカートの曲で、シンプルなメロディながらサウンドとコーラスは厚く、A面よりも気合が入っている。Lyme & Cybelleの「Song #7」は高音で鳴り続けるハーモニーと、最後はさらに厚くなったコーラスが重なるところがいかにもカート。「Write If You Get Work」は牧歌的な曲で、カートにしては控えめなコーラスでアレンジされている。

 

1967年 Curt Boettcher Singles Productions

1967  Oracleの「The Night We Fell In Love」は、私がスカパーのStar digioの月1回の番組『Radio VANDA』で10年間、最後までテーマソングにしたソフトロックの傑作中の傑作。キャッチーでポップなメロディ、ハイトーンのリード・ヴォーカルとハーモニー、ペダルで鳴り続ける鉄琴の音も効果的で、最高の1曲なのにカートの多くのシングルと同様にCD化されていない。同じ暗いメロディーを繰り返すサイケな「Don’ Say No」の方だけRhinoのコンピCDに収録されているのは、選者の趣味の悪さを感じるだけ。 Goodtimes Singersの「Come On Train」は、冒頭からメロディとは別のパターンのコーラスを付けまくり、不協和音ギリギリで攻めるこれぞカートというポップ・サイケそのもののナンバー。B面の「Let The Middleman Win」は逆に明るくポップな曲想を支えるサウンドで、後半にコーラスがどんどん厚くなりバックに食器の音なども入ってくるところが少しカートらしいか。Ray Whitleyの「Take Back Your Mind」は張りのあるリードだが、凝ったサウンドとバックに薄っすらとはいるコーラスでポップ・サイケに仕上がった。B面の「Here Today,Gone Tomorrow」も途中から入るコーラスでポップな雰囲気だけは出ている。Jacobson & Tansleyの「Dream With Me」はハンドクラップとカウンターのコーラスが印象的な曲でサビのハーモニーはいかにもカート。「I Knew You Back When Babe」はロックテイストの強い曲で、カートのハーモニーもオーソドックス。Brother Cainの「Better Times」は、カートのオリジナルだが珍しくキャッチーな曲なので、メロディの良さを生かすオーソドックスなメロデュースで作っている。

 

Tommy Roeなど1967~1968 Curt Boettcher Productions

1967年の音楽的な収穫はトミー・ロウだ。1966年のアルバム『Sweet Pea』にはSteve Clark For Our Productionsとだけあるのでこの当時のシングルB面も含めカートが関わっていた可能性はあるがサウンド的に可能性は低い。音楽的収穫は1967年の『It’s Now Winter’s Day』だ。このトミー・ロウというビッグ・ネームのアルバムを、カートのヴォーカル・アレンジにより自分のアルバムのように変えてしまったからだ。一曲の「Leave Her」のヘヴィなサンドに負けないコーラスの嵐は凄いの一語。「Moon Talk」の自在なパターンのハーモニー、美しいメロディの「Sweet Sounds」には後半に幾重にもコーラスを重ね、シングルの「It’s Now Winter’s Day」にも幽玄なコーラスを付けた。ハーモニーはCurt BoettcherSandy SalisburyLee MalloryMichale O’MalleyJim BellDotti Holmberg等の完璧なメンバー。しかしトミー・ロウはカートのヴォーカル・アレンジは自分のヴォーカルを阻害すると判断(賢明)、次作の『Phantasy』は同じOur ProductionsJim Bellを指名し、カートを外した。ただコーラスは同じメンバーがかなり残ったので検討している。サンディの書きおろしも2曲あったほどだ。同年にはジェームソン(Bobby Jameson)のアルバム『Color Him In』のプロデュースを12曲中10曲を担当。全面的にカートらしいハーモニーを入れこむが、その中ではポップな「Know Yourself」「Right By My Side」「Candy Colored Dragon」がいい。フライアー・タックのFriar Tuck And His Psychedelick Guitar』もカートが全面プロデュース、コーラスCurt BoettcherSandy SalisburyMichale O’MalleyJim BellDotti Holmberg等これもまた最強のメンバーを揃えたものの、このバンド自体、演奏が中心で歌はハーモニーのみ(たまにリード・ヴォーカルがあってもまともにメロディを歌わない)で、サイケデリック過ぎて宝の持ち腐れだった。

1968年にはカートでこのレコードでしか聴けないシングルはなかった。まずはエタニティーズ・チルドレンだ。前年の67年にA&Mから「Wait And See」と「Rumors」のシングルを担当、前者はハーシコードとハーモニーが上手く被ったポップサイケ、「Rumors」はまさに開放感とハーモニーが溢れるソフトロックでカートらしさは少ない。1968年は彼らのデビューアルバム『Eternity’s Children』をプロデュースする。アルバム全体を漂う少し陰鬱な雰囲気に、カートの幻想的なコーラスはピタリとはまる。特にヒットした「Mrs.Bluebird」は幾重にも重なるハーモニー、幽玄なギターなどポップ・サイケの傑作になった。アルバムには美しいボサノヴァの「My Happiness Day」もありバラエティにも富んでいる。ちなみにこのバンドのセカンドの『Timeless』ではプロデュースがゲイリー・パクストンに変わるが、バンドの持ち前のポップさが全開で、こちらはソフトロックの名盤中の名盤として知られる傑作に仕上がった。なおこの中の「Christina In My Dreams」という曲は、2015年になてゲイリー・パクストンの未発表音源集『Happy Lovin’ Times Sunshine Pop From The Garpax Vaults』の中でカートのプロデュースのテイクが披露された。テンポが遅くオルガンの暗い間奏などカートのがボツが正解。同年にはゴードン・アレクサンダーのGordon’s Buster』の3曲のプロデュースを担当、ロック色が強いがその中では「Windy Wednesday」がもっともカートのハーモニーも幻想的で色が出ていた。

 

19691970年 Curt Boettcher Singles Productionsなど

1969年のカートがプロデュースしたシングルは、カートとキース・オルセンの作ったトゥゲザーレーベルからリリースされたモーゼス・レイクの「Ooblake」は不気味なビートのリフに乗せて中間まではメロディがない語りのような歌により最もサイケな曲、「Moses」はR&B系のロック。Bards名義のCDThe Moses Lake Recordings』に収録されているが、他の曲にも参加しているかは不明。もう1枚ニューライフというバンドがミレニウムの名曲「There’s Nothing More To Say」の替え歌の「Canterbury Road」をリリースするが、ソウルフルな歌声でミレニウムらしさは皆無、プロデュースはサンディ・リンツァー、アレンジはチャーリー・カレロでカートは無関係だった。アルバムはサジアリアスなどで一緒だったミシェル・オマリーがミシェルの名前で『Saturn Rings』というソロ・アルバムをリリース、ミシェル以外にもカートの曲が4曲あるなど興味深いものだったが。カートは制作にはタッチでしていない。内容はアシッド・フォーク。

1970年のカートがプロデュースしたシングルは、マーク・リチャードソンのシングルでジミー・ウェッブ作の「I Keep It Hid」。ワルツのリズムの歌いだしがサビで堂々盛り上がるジミーらしいナンバーで、カートも実にオーソドックスにプロデュースしている。このGlobal Theatreというレーベルだがこの1枚しかなく、レコード番号も101なのでこの1枚しか出ていないのだろう・

アルバムは1971年にソングというバンドのアルバム『Song』をリリースするが、ロックバンドなんのでカート得意のコーラスはオーソドックスで特徴的なものはなかった。

 

19761978年 Bruce Johnstonとの『CaliforniaWorksそしてBeach Boysなど

ここからはカートが交流していたビーチ・ボーイズを脱退中のブルース・ジョンストンが作ったRCA-Equinoxプロダクションと以降の交流がカートの最後の華になる。初めはカリフォルニア・ミュージック、その後カルフォルニアに名前を変えた2年の共同作業を追っていこう。1974年にカリフォルニア・ミュージックで始めたこのRCA-Equinoxのプロジェクトは先の2枚のシングルが出ていて、1976年の3枚目をカートが担当した。何よりも素晴らしいのはリード・ヴォーカルをカートが担当した事だ。ハイトーンの美しいヴォーカルを歌わせたらカートの右に出るものはいない。ファルセットを使わないで酔わせてくれるのだ。「Jamaica Farewell」は、ラテンのビートのこの曲をファルセットで歌いハーモニーも素晴らしいエキゾチックな出来だった。カップリングの「California Music」はインスト。同年、グループ名はカリフォルニアになり、さらにラテンビートとハーモニーを効かせた「Music Music Music」のシングルをリリース、B面の「Happy In Hollywood」はトロピカルな雰囲気の素敵な曲で穏やかな気持ちになれる。続くシングルはカリフォルニアの最高傑作の「Just To Let You KnowI Love You So」で、穏やかな美しいメロディと極上のハーモニーが一体となったこれこそ理想の1曲。そしてこれらの曲を入れたアルバム『Passion Fruit』を1977年にリリースする予定で、録音も終わっていたがリリースされることはなかった。そのアルバムには追加曲でラテンの「Happy In Paradise」、激しいパーカッションの乗せて爽快に歌われるのが「Banana Boat Song」で、サビのコーラスが何重にもからみ、ドラマティックに転調し、これは極上の1曲。「Iko Iko」ももちろんラテンのビートで軽快にアレンジ、その後は夢見るような穏やかな「Come Softly To Me」、続いてなんとビートルズの「Words」をディスコビートに乗せて歌う。その後にドラマティックなバラード「Brand New Old Friends」が登場するが、ブルース・ジョンストンの曲で、このリード・ヴォーカルはブルース本人だろう。「We Can, Yes We Can」はハーモニーを重ねていく軽快なラテン・ナンバーだった。ここに前述のインスト曲の「California Music」のみ外した4曲がプラスされた。この大傑作アルバムだが、ディスコビートに傾倒していたカートと、穏やかな曲を望んでいた当時のプロデューサーの一人のゲイリー・アッシャーと意見が合わず、完成品はマイク・カーブへ持っていたが発売を拒否されお蔵入りになってします。しかし2000年になってPoptonesからようやくリリースされた。1978年にこのプロジェクトの後にRSOで同じカリフォルニア名義で作られたディスコの「I Can Hear Music」とB面の「Love's Supposed To Be That Way」もCDには収録され、今は全ての音源を聴く事ができる。

カートのディスコへの傾倒は、ブルース・ジョンストンが7年ぶりにビーチ・ボーイズに復帰したアルバム『L.A.』でかつての『Wild Honey』の「Here Comes The Night」をディスコヴァージョンにしてUS44位、UK37位のヒットになる。

70年代後半のカートのワークスは1977年のブルース・ジョンストンの『Going Public』では「Pipeline」のディスコミックス、1978年のニジェル・オルセンのアルバム『Nigel』(Bang/35792)で「Say Goodbye To Hollywood1曲のみプロデュース、1981年のマイク・ラブのアルバム『Looking Back With Love』のプロデュース、1977年のセイラーの『Checkpoint』、1979年のGeno WashingtonMy Money Your Money/Get Some Bad Tonight」(DJS1DJS18005)、「Baby Come Back/Caught In The Middle」(DJS18008)、「That’s Why Hollywood」(DJS20561)と、1981年のVoices In The Darkの『Five Track LP』(Martian/1716)があるが1枚ずつ紹介するレベルのレコードではないので、記述もカットする。

 

Curt Boettcher Related Works Part.2

 

GoldebriarsCurt BoettcherDotti Holmberg etc

1964 『The Goldebriars』(Epic/M/S24087/26087)※2006年ソニーでCD

Railroad Boy/He Was A Friend Of Mine/Come Walk Me Out/Alabama Bound/Pretty Girls And Rolling StonesBoettcher=Nelson=D&S.Holmberg/A Munblin' Word/Old Time Religion/Long Time Trabellin'/Shenandoah/No More Auction Block/Sing Out Terry O'DayBoettcher/Voyager's LamentBoettcher=Nelson=D&S.Holmberg//Shenandoah (Mono Single Version)/Pretty Girls And Rolling Stones (Mono Single Version)

 

1965 『Straight Ahead』(Epic/M/S24114/26114)※2006年ソニーでCD

Sea of TearsBoettcher=Goldstein/Macdougal Street/I've Got to Love Somebody/Jump Down/Sweet Potatoes/HAIKUBoettcher/No More Bomb/Queen of SHEBA/Joy, Joy, Joy/Castle on The Corner/Zum Gale Gale/Ride That Chariot//Love Somebody (Mono Single Version)/Castle On The Corner (Mono Single Version)/June Bride Baby(Mono Single Version)…シングルのみ/I'm Gonna Marry You (Mono Single Version)…シングルのみ

 

2006 『Climbing Stars』(Sony Music Direct/MHCP1136)※196412月に録音されていた未発表のサード・アルバム用音源9曲(上記のシングルのみ2曲含む)に、ファースト・セカンドのボツ曲8曲、さらにサード用の別テイク4曲で構成

Hush,Hush/Nothing Wrong with You That My Love Can't Cure/Licorice/Walkin' Down The Line/Last Two People on Earth/Tell It To The Wind/Nothing More to Look Forward to/I'm Gonna Marry You/June Bride Baby/Subshine Special/My SongBoettcher/We Shall Overvome/Linin' Track/Que Bonita/Salo Jane/NoahBoettcher/Freight Train Blues/Nothing More to Look Forward to(Alt.Ver)/Hush,Hush(Alt.Ver)/Tell It To The Wind(Alt.Ver)/I'm Gonna Marry You(Alt.Ver)

 

Summer’s ChildrenCurt Boettcher )※カートと女性のデュオ。カートが4曲全てプロデュース。2枚目はOur Productions


1966 Milk And HoneyBoettcher/Too Young To MarryDate/1508)※この2曲はBallroomの『Magic Time』のCDに両面収録。

 

Lee Mallory 2000年リリースの『That’s The Way It’s Gonna Be』(TYO)にカートがプロデュースしたシングル24曲全て収録。Our Productions


1966   Take My Hand/The Love SongMalloryNaylor(Valiant/761

 

◎その他1966年にOur Productionsでカートがプロデュースしたシングル集

1966 Action UnlimitedThinking To Myself/My Heart Cries OutParkway/115



1966 Plastic PeopleIt’s Not Right/This Life Of Mine(Kapp/789) ※両面ともJim Bellと共同プロデュース



1966 Jonathan MooreLondon Bridge /I Didn’t Even KnowMoore-Boettcher(Columbia/43658)B面のみ1993年にVariousOh, Split!』(Sony)に収録されCD化済。

1966  Lyme & Cybelle: Song #7/Write If You Get Work(White Whale/245)2004年にVariousIn The Garden: The White Whale Story』(Rev-Ola)で両面ともCD化。

 

Association

1966 『And Then Along Comes』(Valiant/S/M/25002/5002)…US5位。1999年にワーナーからCD

Enter The Young7/Your Own Love/Don’t Blame It On Me/Blistered/I’ll Be Your Man/Along Comes Mary/Cherish1/Standing Still/Message Of Our Love(BoettcherAlmer)/Round Again/Remember/Changes

シングル※2012年の『The Complete Warner Bros. & Valliant Single Collections』(NowSounds)等収録

1968 Just About The Same(Fennelly=Rhodes=Stec)/Look At Me Look At You(Warner Bros/7372)

 

Your Gang

1966 『Your Gang』(Mercury/M/S/21094/61094)※プロデュースはGary Paxton

Tomorrow’s Dream(Boettcher)

 

Dotti Holmberg

2002 『Sometimes Happy TimesSundazed/11114)※1966年~1970年に録音した未発表集。

1966年録音 I Sing My SongO’MalleyAdams/Sea Of Tears(Boettcher=Goldstein)/Foolish Times(Boettcher)/It’s Not Worth It All Outはカートがプロデュース、バックコーラスは(Curt BoettcherSandy SalisburyLee MalloryMichele O’Malley etc)。他では1967年録音のAnd We’re Oneはサンディ・サルスベリ―とドティ・ホームバーグの共作。

 

◎その他1967年にOur Productionsでカートがプロデュースしたシングル集

1967 OracleThe Night We Fell In Love/Don’ Say NoVerve/5075)※カートがKeith Olsenと作ったMee-Moo Production。出来の悪い方のB面のみなぜか2009年の『Where The Action Is』(Rhino)でCD

1967 Jacobson & TansleyDream With Me/I Knew You Back When BabeFilmways/106

1967 Brother CainBetter Times(Boettcher-Mallory)/A面は無関係(Acta/810

1967 Ray WhitleyTake Back Your Mind/Here Today,Gone Tomorrow(Columbia/43980)※両面ともJim Bellと共同プロデュース。A面のみ1993年にVariousOh, Split!』(Sony)に収録されCD化済。


 

Tommy Roe ※コーラスアレンジを受け持ち、メンバーはボールルーム、サジタリアス系。Our Productions

1966 『Sweet Pea』(ABC/575)…94位※プロデュースがSteve Clark/Our Productionsだけあるのでカートが関係している可能性あるというだけ。シングル3枚のAB面がOur Productionsで、このアルバムにはHooray For Hazel6/Sweet Pea8/Kick Me Charlie収録。1966年のHooray For HazelシングルB面のNeed Your Love(ABC/45-10852)Our Productionsのクレジットはないが同年のSweet PeaシングルB面のMuch More Love(ABC/45-10762)はこの同時期のシングルのみの曲なので、カート参加の可能性がある。

 

1967 「It's Now Winter's Day」(ABC/594)※CD2006年にFallout/FOCD2016159

※カートはVocal Arrangement。コーラスは(Curt BoettcherSandy SalisburyLee MalloryMichele O’MalleyJim BellDotti Holmberg etc)

Leave Her/Moon Talk/Aggravation/Golden Eyes/Misty Eyes/Have Pity On Me/Sing Along With Me91/Long Live Love/Nighttime/Cry On Crying Eyes/Sweet Sounds/It’s Now Winter’s Day23

 

1967 『Phantasy』(ABC/610)※CD2009年に『It’s Now Winter’s Day』と2in1で『Paisley Dreams』(Rev-Ola/269

Vocal ArrangementJim Bellに変更。コーラスはLee MallorySandy SalisburyDotti Holmbergなどだがカートの名前はない、

ちなみにThese Are The ChildrenGoodbye Yesterdayはサンディ・サルスベリ―の作詞・作曲。

 

Jameson

1967 『Color Him In』(Verve/6-5015

Jamie/Know Yourself/(Windows And Doors)/Right By My Side/Who’s Putting Who On/The New Age/Jenny/(Do You Believe In Yesterday)/I Love You More Than You Know/ See Dawn/Candy Colord Dragon/Places Times And The People)

 

Friar Tuck

1967 Friar Tuck And His Psychedelick GuitarMercury/61111)※CD2007年 Fallout/FOCD2038

Vocal Arrangementはカート。コーラスは(Curt BoettcherSandy SalisburyMichele O’MalleyJim BellDotti Holmberg etc)

Sweet Pea/Louis Louis/Work Song/Alley-Oop/All Monked Up/Ode To Mother Tuck/A Record Hi/Fendabenda Ha Ha Ha/A Bit Grey Lost/Where Did Your Mind Go

CD Bonus Track(by Flower Pot)

Mr.Zig Zag Man/Black Moto/Wantin’ Ain’t Getting’/Gentle People

 

Eternity’s Children

シングル

1967 Wait And See/Rumors(A&M/698)

アルバム

1968 『Eternity’s Children』(Tower/5123)※CDは上記シングルと共に2005年リリースの『From Us Unto You: The Original Singles』(Rev-Ola/CREV87)収録

Again Again/Rupert White/Flowers/My Happiness Day/Lifetime Day/Mrs.Bluebird69/Your World/You Know I’ve Find A Way(Boettcher)/Little Boy/Sunshine Among Us

 

Gordon Alexander

1968 Gordon’s BusterColumbia/9693)※3曲のプロデュースを担当。CD2011年にKismet/4015

Looking For The Sun/Windy Wednesday/Miss Mary

 

Michele ※Michele O’Malleyのソロ・アルバム

1969 『Saturn Rings』(ABC/684)※CD2006年にFallout/FOCD2003ProduceMike Deasyでカートの名前はない。

Would You Like To Go/Blind As You AreO’Malley/Songs To Magic FrogO’Malley/Fallen AngelO’Malley/Spinning Spinning SpinningBoettcherMallory/Know Yourself/Musty DustyO’Malley=Almer))/Lament Of The Astro Cowboy(Boettcher)/White Linen(JamesonO’Malley)/Misty Mirage(Boettcher)/Believe You(Boettcher)

 

◎その他1969年にカートが関係したシングル集

1969 Moses Lake:Ooblake/MosesTogether/113)※カートとKeith Olsenの共同プロデュース。CD2002The Bards:The Moses Lake Recordings』(Gear Fab/183

1969 New Wave:Canterbury Road (Christy=Boettcher=Mallory=Fennely)※メロディは「There’s Nothing More To Say/B面無関係(Epic/10538)※プロデュースはサンディ・リンツァーでカートは無関係

 

◎その他1970年にカートが関係したシングル集

1970 Mark RichardsonI Keep It Hid※カートとKeith Olsenの共同プロデュース。Jimmy Webbの曲/Lord Baltimore(Global Theatre/101)

 

Song

1971 『Song』(MGM/4714

10×10/Like We Were Before/Eat Fruit/Whenever I Think Of You/Banana High Moon/I’m Not Home/Wife/Sugar Lady/Meatgrinder/Medicine Man

 

California MusicCalifornia

1976 California MusicJamaica Farewell/California Music(RCA-Equinox/10572)

1976  CaliforniaMusic Music Music/Happy In Hollywood(Warner-Curb/8253)

1976  CaliforniaMusic Music Music(Disco Mix)(Warner-Curb/PRO642)12インチのプロモのみ

1976 Curt Becher & California:(Just To Let You KnowI Love You So/Happy  In HollywoodSingle Version(Warner-Curb/8307)

1978 CaliforniaI Can Hear Music/Love’s Supposed To Be That Way(RSO/901)

1978  CaliforniaI Can Hear Music(Special Disco Version)(RSO/PRO1001) 12インチのプロモのみ

2000 Various:『California Music & Disney Girls RCA-Equinox Collection(BMGビクター)

Jamaica Farewell(Single Version)/California Musicに加えカート以前のブルース・ジョンストンのワークスでカリフォルニア・ミュージックでリリースしたしたシングルDon’t Worry BabyTen Years HarmonyWhy Do Fools Fall In Love収録。

2001  California:『Passion Fruit』(TYO/46)※1977年の未発表アルバム

Happy In Paradise/Happy In Hollywood/Just To Let You KnowI Love You So/Jamaica Farewell(Boettcher Trad.)/Music Music Music/Banana Boat Song/Iko Iko/Come Softly To Me/The Word/Brand New Old Friends/Yes Can,Yes We Can(Boettcher=Batteaux)//Head Shampoo(Boettcher)Yes Can,Yes We Canの歌詞を変えたCM/Happy In HollywoodSingle Version/I Can Hear Music/Love’s Supposed To Be That Way/ I Can Hear Music(Special Disco Version)/ Music Music Music(Disco Mix)

2001 California:『California Music』(Poptones/5037

Will You Ever See Me(Version2)SagitarriusThe Blue Marble』より40秒長い。なぜかこの盤に収録されている。

 

Beach Boys ※カートは担当はこの『Wild Honey』収録曲の「Here Comes The Night」のDisco Versionを作成

1979 『L.A.』(Caribou/35752)…100/UK32位 ※CD化済

Here Comes The NightsUS44位、UK37

1979 「Here Comes The Night/Here Comes The Night(Instrumental)」(Caribou)12インチ・シングル。『L.A.』のものは8秒でシンセが入り、42秒でコーラス、35秒でカールの歌が始まるが、12インチではドラムが長く続き22秒でシンセ、58秒でコーラス、カールの歌は322秒と遅めになっている。ただし12インチのエンディングは盛り上がってオーケストラでピタッときれいに終わるが、『L.A.』のものはそのあとにシンセの余韻のようなリフが17秒近くあり最終的な尺は7秒長くなっているが、いらないエンディングだった。。B面はただのカラオケではなくカールの歌の部分にサックスのソロが入るなど、それだけで聴ける作りになっている。構成は『L.A.』のヴァージョンだが、演奏は136秒短くなっている。どちらも未CD化。

 

1976年以降は上記以外は目立つ仕事をしていない。タイトルのみ記す。

1976 Kathy Atwater:『L.A.Sound Track ‘76(K-West/43446) ※1曲のみ担当

San Fernanndo Valerie

1977 Bruce Johnston:『Going Public』(Columbia/33359)※1曲担当。CD化済

Pipeline

1977 Bruce Johnston:Pipelice(Special Disco Mix)(Columbia/2310567) CD化済

1977 Sailor:『Checkpoint』(Epic/82256CD化済

Stay With Me/Romance/Keep Off The Street At Night/Checkpoint Charlie/Joe's Piano/Down By The Docks/Put Your Mouth Where The Money Is/My Girl/Istanbul/Nothing Has Changed

1978 Nigel Olssen:Nigel』(Bang/35792)※1曲担当。CD化済

Say Goodbye To Hollywood

1979 Geno Washington:My Money Your Money」「Get Some Bad Tonight」(DJS/18005

1979 Geno Washington:Baby Come Back」「Caught In The Middle」(DJS/18008

1979 Geno Washington:That’s Why Hollywood」(DJS/20561

1981  Voices In The Dark:Five Track LP』(Martian/1716

Da Doo Ron Ron/Connection/All The Way/Yes I Wanna Dance Tonight/Why Not Get Serious

1981  Mike Love:Looking Back With Love』(The Boardwalk Entertainment/33242

Looking Back With Love/On And On And On/Runnin’ Around The World/Over And Over/Rockin’ Man In The Boat/Calendar Girl/Be My Baby/One Good Reason/Teach Me Tonight/Paradise Found

 
(作成:佐野邦彦)



 

 


 

 

☆Favorite Musician 全音源コレクティング第3回:Bruce Johnston Related Works

$
0
0



ブルース・ジョンストンが通っていたLAのユニヴァーシティ高校は、ジャン・ベリー、ディーン・トーレンス、サンディ・ネルソン、ナンシー・シナトラ、キム・フォーリー、ディック&ディー・ディーなどが通っていた芸能校で、ブルースもすぐに音楽活動を開始した。1958年リリースのキップ・テイラー&ザ・フリップス(Kip Tyler And The Flips)のシングルShe’s My Witch/Rumble Rockに参加、両面ともヘヴィなR&Bで、パワフルなサックスが印象に残るがヒット性はない。1959年には高校の同級生でキム・フォーリーのプロデュースで、ブルース、サンディ・ネルソン、リッチー・パドラー、ニック・ベネットらとリネゲイデスを結成、シングルGeronimo/Chargeをリリースする。どちらも快調なエレキインストだが、A面のタイトルは白人に戦いをいどんだ伝説のインディアンのリーダーの事で、インディアン風のホホウ!という掛け声と銃声でスタート、B面の頭は白人側の騎兵隊の突撃ラッパ…これじゃ今はリイシューされないね。映画の『Ghost Of Dragstirip Hollow』で使用された。そしてブルースはジェリー・クーパーという男と組んでブルース&ジェリーというデュオを作り、テリー・メルチャ―の父親が経営してしていたArwinからTake This Pearl I Saw Her Firstで初のオリジナル曲のシングルをリリースする。両面共に古色蒼然とした、そしてポップな要素がないドゥワップのオールディーズ・ナンバーでこれでヒットは無理だ。A面はハモりながら、B面はカウンターで2人が歌う。ただこのシングルがきっかけで息子のテリー・メルチャ―と知り合いになり、ブルースは長年の相棒と知り合うことになる。同年には友人のドラマーのサンディ・ネルソンのシングルTeen Beatに参加。ブルースはピアノで参加し、作曲にも携わったというがクレジットされなかった。ドラマーのシングルなので大ヒットしたA面はドラムの強いビートが印象に残り、エレキのヴォリュームが小さい。1960年には再びブルース、サンディ、キム、ニックのチームでギャンブラーズを結成、シングルMoon Dawg/LSD-25だが、A面は犬の遠吠えをフィーチャーした軽快なエレキインストで、サーフ・インストの名曲として有名だ。B面の重めのリフを使ったいいエレキインスト。ブルースはデル・ファイ・レーベルの創始者のボブ・キーンに見込まれ専属プロデューサーの契約を結び黒人歌手、ロン・ホールデンのシングルLove You Soを担当すると、この低いバリトン歌手の曲を、軽快なタッチのバラードに仕上げ全米7位の大ヒットにする。そしてボブ・キーン・オーケストラのTeen Talk/The Toughest Themeのシングルの作曲を担当、A面はジャズ風、B面はストリングスに添った華やかなインストでB面の方が出来がいい。そして再びロン・ホールデンのシングルを担当するがGee But I’m Lonesomeはブルースのオリジナルだった。ここで初めてブルース持ち前の美しいメロディが生み出され、ピアノを生かしたバッキングで美しいシングルに仕上げた。しかしヒットは記録していない。その他では競演があり、I’m Coming Homeはジャニス・ラドー&ザ・シークインズのシングルが、歌い手がブルースの共作者なので1カ月早くリリース、ドゥワップのバラードだが後半の盛り上げはなかなかいい。もう1枚はメル・カーターのシングルで、出来はほぼ拮抗だが、ファルセットを使った分、前者が上。シングルではスタッズ・ドネガン&ザ・モブのThe Bend/ Rock N' Roll Honky Tonkは両面ともブルース作のインストで、A面はジャズタッチ、B面はカントリータッチというだけで目立つものがない地味なインストだった。ファラオスのThe Tender Touch/ Heads Up, High Hopes Over Youもブルース作で、A面は地味で盛り上がりないR&BB面の方が単純なロックンロールでまだ聴きやすかった。ミラード・ウッズのDon’t Put Me Downもブルース作、フランク・シナトラの線を狙ったというが、それほどの出来ではない。1961年のワークスは少なくリトル・シーザー&ザ・ローマンズのThose Goodies But Goodiesをアレンジだけ担当、甘酸っぱいドゥワップのこの曲は9位にランクされている。1962年にはブルース・ジョンストン名義の2枚のソロシングルをリリースする。Do The Surfer StompPart.1)と(Part.2)で、ライブ仕立ての両面歌入がPart1、歌無しがPart2で、曲は甘いブルースのヴォーカルとブルースが考案したこの当時考えた最新ステップのビートと、マッチはしていない。踊れる感じではないからだ。どちらもテイチクの『Surfer's Pajama Party』に収録されている。もう1枚のシングルほぼ同路線のSoupy Shuffle Stomp/Moon Shotは、歌い方もすこし下品な感じになった。表記はSoupy Shuffle StompPart.1/Soupy Shuffle StompPart.2)とされることが多い。テイチクの『Surfer's Pajama Party』と『One Beach Boys Original Album』『Tough Themes Disc1』に収録されているが、『Tough Themes』ディスク2Soupy Shuffle Stomp [Sessions]3分近く長いまさにセッション風景で、最後はア・カペラでSSSと練習している。もうひとつのSoupy Shuffle Stomp [Instrumental]はベーシックなトラックしか入っていない簡素なもの。その他、ボブ・キーン・ビッグ・バンドのLPTwist Album』収録のThe Twistでピアノを弾いていた。


1963年にはブルースの初のアルバムが、The Bruce Johnston Surfing Band名義で、1963年のUCLAで録音したものが『Surfers Pajama Party』としてリリースされた。ライブ仕立てで半数はインスト、ベストナンバーは文句なしにロン・ホールデンのために書いた『Gee But I’m Lonesome』が、ブルースの甘いヴォーカルではるかにいい出来になっていた。テイチク盤のCDには1962年のブルースの前述のソロ・シングル2枚のAB面にプラス、シングルB面用のPajama Party(=Surfer’s Delight)(Single Version)が収録された。これはインストだが、アルバムと違ってエレキギターが大きくフィチャーされていい出来だ。

同じ録音と思われる未発表3曲を入れたのが1991年のCDで『One Beach Boys Original Album』で、ジャズのきれいなインストチューンの「Blue Moon」や、作者不明のバラード「I Need Your Love」と、同じく作者不明のジャムセッションのようなインスト「Hold It」はこれ盤のみ。『Surfers Pajama Party』の曲順は替えられてなぜか1曲削除されている。

さらに『Tough Themes』だがディスクごと紹介すると初登場曲が8曲収録された。ディスク1のMazatlanはブルースが作ったマリアッチ風のナンバーで、なかなか快調な出来だったがオクラ入りだった。『Surfers Pajama Party』未収録のHide AwaySummertimeEd’s Number OneJohn’s Number TwoBalboa BlueSan-Ho-ZayBruce’s Number One追加。Summertimeはあの気だるい有名曲。インストではSan-Ho-Zayがギターが歯切れがよく出来がいい。Bruce’s Number Oneだけがオリジナルだ。その他にSoupy Shuffle StompMoon Shot(この盤ではこちらの名義)、Do The Surfers Stomp(Single Version)Surfer's Delight(この盤ではPajama Partyの名義ではない。Single Version)もプラスされていた。『Surfers Pajama Party』は全曲入っているものの、こちらも曲順を変えたのでナレーションが切られている。

ディスク2には1961年のブルース作の未発表インスト、Untitled Instrumentalはジャズタチのインストでブルースのピアノの腕が達者なことが分かった。ディスク1MazatlanMazatlanSessions)とMazatlanEarly Instrumental Track)も収録され、短いア・カペラの練習と、ベーシックな練習風景がその内容。その他にディスク2には前述のボブ・キーン・オーケストラ、ジャニス・ラドー&ザ・シークインズ、スタッズ・ドネガン&ザ・モブ、ファラオス、ミラード・ウッズ、ボブ・キーン・ビッグ・バンドが収録されている。

残る1963年の音源ではカバー・ガールスのシングルAction Speaks Louder Than Wordsはキム・フォリーとの共作で、コード進行も歌い方もどこか気だるげで変わった曲だった。さてここからがブルースの本領を発揮する時だ。まずはテリー・メルチャーと共同でホット・ドッガーズの名前でアルバム『Surfin’ USA』をエピックからリリースする。12曲中4曲が歌入りでその3曲がビーチ・ボーイズのカバー。他の8曲はサーフィン系などのエレキ・インスト、個人的にはWalk Don’t RunPipelineとわざと粗削りに弾いたようなエレキがなかなかカッコ良く、気に入っている。

続いてブルースの2枚目のソロ・アルバム『Surfin’ Round The World』がコロムビアからリリースされる。前作がライブ盤仕立てのシンプルな演奏だったが、こちらではテリー・メルチャーがプロデューサーをになり、サックスなどホーンを多く入れ厚みがあるが重めのサンドに作り上げた。全12曲中11曲中がブルースが書いているので、ブルースの才能の開花と意欲が感じられる。そして12曲中7曲がインストというのは当時のサーフ・ミュージックによくある配分だ。歌ものではタイトル曲とDown Underは軽快でいいが、あとは爽やかさに乏しい。インストでは後のブルース&テリーでも使われたMakaha At Midnightが、哀調のあるメロディが魅力の快作。曲の中間にボサ・ノヴァを挟み込んだSurf-A-Novaも意欲的だ。

続いてブルース&テリーは、コロンビアの子役出身のデュオ、リップコーズに取りかかる。ファーストシングルはテリーの単独だったが、セカンドのGoneからブルースが作曲・プロデュース・演奏まで携わる。そしてサードのHey Little Cobraが全米4位と大ヒット、リップコースは元の2人に2人加えて4人でライブに廻り、曲作りとレコーディングはブルース&テリーが担当という「分業」になる。Goneもいいが、キャロル・コナーズ作のHey Little Cobraの出来は素晴らしく、イントロに最も印象的なフック、歌のバックのマイク・ラブばりの低音ハーモニー、一回聴いたら忘れられないキャッチーな曲だ。この4曲を入れたリップ・コーズのファースト・アルバム『Hey Little Cobra And Other Hot Rod Hits』がリリースされる。ここにはブルース&テリーのオリジナルや、ビーチ・ボーイズのカバーなども入ったが、2枚のシングルを超える曲は収録されていない。そしてこの年はウェイン・ニュートンのSomeone's Ahead Of Youの作曲を担当したが、ブルースらしい甘く流麗なバラードで、ブルースの作曲能力の飛躍的向上が分かる。

1964年にはいよいよブルース&テリーの本名のデュオ名のシングルCustom Machine/Makaha At Midnightのシングルをリリースする。A面はもちろんビーチ・ボーイズのカバーで、ほぼ同じアレンジだが、ビーチ・ボーイズはヴォーカルが過ぎるのに比べ、ブルース&テリーの方は演奏もしっかり効かせているのでビートがあり85位とランクインした。B面は『Surfin’ Round The World』からの再録。このシングルを含むブルース&テリーの『The Best Of Bruce & Terry』のCD1998年にリリースされたが、その当時にリリースされたシングルは順に紹介するとしてこのCDの中だけの未発表曲4曲のみ、ここで紹介しておく。1963年録音のHalfwayだが、最も古い録音ながら高揚感があって出来が良く大きな収穫だった。作曲はなんとValiant創始者のバリー・デヴォーゾン作。1964年のHawaiiは冒頭に出てくる印象的なリフレインにファルセットの歌が入っていないので締まらない。Look Who's Laughing Nowは最大の収穫でファルセットのキャッチーなフックからスタート、まさに1963~1964年のビーチボーイズで、未発表が惜しい。Here Comes Summerは快調なハーモニーに乗せた佳曲で、その後にシークレットトラックのCMジングル2曲が出てくる。最後は1965年録音のHelp Me Rhondaで、微妙にメロディの一部を変えていて、Hawaiiと同じくボツで良かったというヴァージョンだった。なおこの前者のジングルはKFAM Radio Jingleで僅かに違う2テイクは、1983年に日本のM&Mがリリースした『Bruce & Terry Rare Masters』の2ndプレスに収録されていた。

さて、1964年の既発表音源へ戻ろう。ブルース&テリーの第2弾シングルはフィル・スローン=スティーブ・バリのSummer Means Fun。数多くカバーされたナンバーだが、サウンドの力強さ、ヴォーカルとコーラスの華やかさは突出していて72位のヒットになる。ブルース&テリーを超えるカバーはない。B面のYeah!はブルース&テリー作の掛け声しかないいかにもB面用のロック・インスト。

リップ・コーズのセカンド・アルバム『Three Window Coupe』はテリーの単独プロデュースで、ブルースは歌の方に回る。曲の多くはフィル・スローン=スティーブ・バリの曲を採用したので、出来のいい曲が並ぶ。ここからカットした3枚目のシングルThree Window Coupeはこのコンビの曲で、ポップなメロディ、爽やかなハーモニーが見事にマッチして28位のヒットになる。カップリングのHot Rod USAはテリーの書いた曲だが、さらにアップテンポでファルセットのバックコーラスが目立つ爽快なナンバーで、こちらをA面にしてもヒットしていただろう。スローン&バリの書いたThis Little WoodieSurfin' CrazeMy Big Gun Boardはみなキャッチーでいい出来。しかしベスト・ナンバーはブルース&テリーが書いた美しいバラードのBeach Girlだ。なお、アルバムでブルース&テリーが書いたOld Car Made In '52のみ、歌がブルース&テリーではない。

次のシングルOne Piece Topless Bathing Suite/Wah-Wahiniはどちらもスローン&バリの作品で、ハーモニーはどちらも十分、ちょっとコミカルなA面は96位に僅かにランキング、アップ・テンポでサビのファルセットの爽快感が素晴らしいB面の方が出来が良かった。

他のグループの仕事で出来がいいのがカスタム・キングスのIn My ’40 Fordだ。ブルース作で歌もブルース、少しメロウなメロディ・ラインが心に残り、展開もいいし、初期のブルースの快作と言えよう。LPは『Kustom City』に収録されたが、作曲の表記はB.Johnsonと間違えており、これがブルースとすると、一緒に収録されていたStick SixSuper Fine 39Hotty 32もブルース作品となる。3曲とも特徴のないシンプルなホット・ホッド・ナンバーだった。カスタム・キングスはスティーブ・ダグラスのプロジェクトだったが、ニック・ヴェネットとスティーブ・ダグラスの依頼のヴェッツというグループの『Rev-Up』というアルバムでは、ブルースは4曲のリード・ヴォーカルを担当している。みなホット・ロッド・ナンバーだが、曲もアレンジもみなダサく、特筆すべきものはない。その後もう1枚スティーブ・ダグラスのプロジェクトに参加し、そのキャタリナズのアルバム『Fun Fun Fun』にはブルース&テリーの自作のQueen Of The Hot Rodsを提供、この曲は過去リップコーズに提供したThe Queenそのもので少し哀調を持つ佳曲。アルバムにはピアノで参加している。ヒットした仕事ではパット・ブーンのシングルLittle Honda/Beach Girlをテリーのプロデュース、ブルース&テリーがバッキングを担当した。A面はご存知ビーチ・ボーイズのカバーだが、やや低いパットの声が合う訳もなく、ドライヴ感も薄かったが72位とランキングした。出来がいいのはB面のBeach Girlの方で、リップ・コーズのヴァージョンと違ってコーラス部にはっきりとしたメロディがあり、よりバラード色が出ている。ブルース&テリーがきっちりバックを担当したのがウェイン・ニュートンのシングルComing On Too Strongで、サビのファルセットのハーモニーなど見事で出来で65位にランクされている。

またブルース&テリーとしてのデュオ・ワークスだが、ロックンロールのカバーはロッグスの名前でリリースすると決めたようで、第1弾のバディ・ホリーのロックンロール全開のカバーEverydayB面もブルース&テリー作のR&BインストRoger’s Reefだった。

1965年に遂にブルース・ジョンストンの完全ソロ・シングル、サイドウォーク・サーファーズ名義のSkate Board/Fun Last Summerがリリースされる。アップテンポでスリリングにファルセットでハモるA面は、これまでのブルースの作品の中で最も進化した姿になった傑作。B面はミディアムの親しみやすいメロディがいいポップ・ナンバー。続いてリップ・コーズの5枚目のシングルDon’t Be Scared/Bunny HillA面はテリー・メルチャー作のナンバーで、歌いだしはロック調だが、サビではファルセットとハーモニーが一気に付くなかなか聴かせるナンバー。B面はブルース&テリーもからんだインスト。

ブルース&テリー3枚目のシングルCarmen/I Love You Model "T"A面はスパニッシュギターがフィーチャーされたちょっとエキゾチックなフォークタッチのニック・デカロ作のナンバー。B面はホットロッドだが、ビートも歌も重いので爽快感はない。ブルースはマイク・クリフォードのDon’t Make Her Cryの作曲も担当する。ストリングスに乗せた甘いバラードで、ブルースの作曲能力の向上がこの曲でも分かる。ロッグスの2枚目のシングルはリッチー・バランスのカバーCome On Let’s Go。ロックンロールだがこちらにはハーモニーも付いた軽快なもの。B面はテリーの書いたRogers Reef Part Twoで、ミディアムの美しいギターインストだった。映画『A Swinging Summer』のサントラ盤にリップ・コーズのLittle Red Roadster(Version 1)が収録された。Version1にしたのは、CDの『The Best Of Bruce & Terry』収録のものと明らかに別テイクだったからだ。このサントラのものはライブ仕立てで拍手から始まりエンディングはコードで終わる。しかしCDは歓声が無く最後はフェイドアウト。しかし何よりも違うのは、最後のリード・ヴォーカルがファルセットになる前のメロディがVersion1では上昇して歌っているのに、CDの方が逆に下降して歌っているので完全な別テイクだった。またいつもプロデュースはテリー・メルチャーにまかせるか、テリーとの共同プロデュースだったのに珍しくブルースが単独プロデュースしたのが、女性歌手マンディ・マーティンのDon't Let Him Get Away From You/This Is Goodbye Foreverで、ガール・ポップを気楽に作っていた。ブルース&テリーの4枚目は、アコースティック・ギターとパーカッションをフィーチャーしたバディ・ホリーで知られるRaining In My Heartのカバーと、ストリングスも入ったボビー・ベアーのFour Strong Windsでよりフォーク色が強くなった。

1966年にブルースはビーチ・ボーイズに加入するため、テリーとのコラボも解消し、ワークスも少ない。しかしこの年のクオリティは、ブルースをなぜビーチ・ボーイズが欲しがったのかよく分かる。まずCome Love/Thank You Babyは、A面はハーモニーがからんでドラマティックに盛り上がっていく快作、ブルースの書下ろしのB面は、流麗な甘いメロディのブルースそのものの名曲だった。そして6枚目の最後のシングルDon’t Run Awayは、この曲を山下達郎がオマージュしてOnly With Youにしたほどの、ブルース作の5本の指に入る傑作中の傑作。流れるようなメロディながら複雑なドラムパターン、サビの見事な転調、文句のつけようがない。B面のGirl,It’s Alright Nowはバリー・マン&シンシア・ワイルの作品で、後半に徐々に盛り上がっていく佳曲だった。自作自演のボブ・スレッド&ザ・トボガンズのHere We Goは進行と共にハーモニーがどんどん増していきキャッチーなリフレインになる快作で3枚どれもが素晴らしかった。(B面のSea And Skiは同曲のチープなインスト)そして同年の『Pet Sounds』ではブルースはビーチ・ボーイズのメンバーとして歌っているのだ。

1967年のものはその前に録音されていた音源だ。グラハム・ボニーが歌ったシングルThank You Babyはブルース&テリーのシングルのカバーだ。テンポチェンジもあるが出来はブルース&テリーが上。他ではサジタリアスのMy World Fell Downのバック・コーラスに参加していたので、ゲイリー・アッシャーがこの年にシングルと『Present Tense』に収録した。シングルとアルバムではヴァージョンが違う。

さてここからはもう基本的に紹介しない。ブルースはビーチ・ボーイズの一員として70年代初頭にDisney Girlsという超名曲を含め傑作をを残し、その後6年間、ビーチ・ボーイズを脱退、テリー・メルチャーとRCA-Equinoxプロダクションを作り、その間には自作のI Write The Songsをバリー・マニロウが歌ってグラミー賞最優秀楽曲賞を獲得するなど栄誉も得るが、ビーチ・ボーイズ復帰後は目立つ仕事をしなくなってしまい、今はマイク・ラブとの2人で「どさまわり」のビーチ・ボーイズを細々続けるだけになってしまった。ビーチ・ボーイズ脱退後の仕事で最良の仕事はバリー・マンとの『Survivor』だと思うが既にソロのバリー・マンで紹介済みだ。ビーチ・ボーイズ脱退後の1972年以降の作品は地味なものが多いがほとんどCD化されている。シングルのみのリリースで終わっていたEquinoxのプロジェクトでブルース本人がメンバーになっていたカリフォルニア・ミュージックは1974年にブルースの絶妙のアレンジのDon’t Worry BabyB面には美しくメランコリックなバラードのTen Years' Harmonyをピアノの弾き語りで収録し、豪華な組み合わせでシングルを作っていた。1975年のセカンド・シングルは、ブライアン・ウィルソンに依頼してまったく新しいアプローチのWhy Do Fools Fall In Loveをリリースしたが、1976年のサード・シングルJamaica Farewellはカート・ベッチャー中心に移り、この前の前回のCurt Boettcher Related Worksで紹介したようにグループ名もカリフォルニアになってここのリストから消えている。ただし1977年にカートがまとめたカリフォルニアのアルバム『Passion Fruits』にはブルースの、堂々としたバラードのBrand New Old Friendsが収録されていて、2002年の25年後のリリースでやっと陽を見ることができた。このEquinoxでは、ビーチ・ボーイズ系のカバーを多く手掛けるPapa Doo Run Runというユニット名でディーン・トーレンス中心に色々なメンバーでアルバムが出ているのに、あえてブルースはこの名前でシングル1枚をリリース、B面にはDisney Girlsの完全ピアノ弾き語りヴァージョンを入れた。こういったシングルはずっとレア盤だったが、『California Music-Disney Girls』のCDでまとめられた。変わったユニットではディーン・トーレンスが主体のLegendary Masked Surfers1972年と1973年に2枚、3曲をシングルでリリースしている。ここにはブルースら仲間がみなコーラスで参加していてGonna Hustle YouSummertime Summertimeは、日本のEMIのコンピ『Golden Summer Vol.3』に収録されたが、Summer Means Funはシングルのままだ。ただし8年前のBruce & Terryのヴァージョンの方がはるかに出来がいいのは皮肉。もう1曲、これは出来がいいのが1976年にブルースやカートなど多くのメンバーがバックに参加して録音されたのがデイブ・エドモンズのLondon’s A Lonely Town、そうトレードウィンズのNew York’s A Lonely Townの舞台をロンドンに変えたものだ。リード・ヴォーカル、華麗なハーモニー、爽やかなサウンドの全てが揃い最高の仕上がりだったが、ボツで終わってしまう。最初、アナログのコンピに入ったがエンディングが短い不完全版で、1996年になってようやくオムニバムのCDPebbles Vol. 4』で完全版を聴く事ができた。デイヴはこのボツはよほど悔しかったようで、後にSwanからオリジナルのNew York’s A Lonely Townの歌詞に戻して再録音し、シングルを切っている。ただし出来はこのLondonの方が上だ。そして1977年にブルースは最後にひと花を咲かす3枚目のソロ・アルバム『Going Public』をリリースしている。ここに収録されたのはバリー・マニロウでグラミー賞を取ったI Write The Songsのブルース・ヴァージョン、ビーチ・ボーイズ時代のDisney GirlsDeirdre、ハドソン・ブラザースに書き下ろしたRendezvous、このアルバムと同年リリースの同年のジャック・ジョーンズの『The Full Life』にも収録したDon’t Be Scared、ブルース&テリー時代のThank You Babyで、書下ろしはRock And Roll Survivorの1曲だけだ。メロウなバラード系ナンバーが集まった甘―いアルバムになったが、6年間のソロ活動期に書いたのはこの中のI Write The SongsRendezvousDon’t Be Scared3曲に、前述のTen Years HarmonyBrand New Old Friends、キャプテン&テニールの『Dreams』用に書いたIf There Were Timesのたった6曲しかない。余りに少ない。賓作もここに極まれりというところ。このIf There Were TimesLet’s Visit To Heaven Tonightとブルースが歌う音の悪いデモを聴いたことがあったが(ブートにはなっていない)、ボツにしたのか、されたのかは分からないままだったが、2002年にキャプテン&テニールの『More Than Dancing & Much More』にこのLet’s Visit To Heaven Tonightがひっそりと収録されていた。デモと同じく明るく弾けるような歌とサウンドで、楽しい出来だった。ビーチ・ボーイズに戻ってからのブルースが書いた曲は、Endless Harmony(Ten Years Harmony,の使いまわし)She Believes In AgainHappy EndingsSlow Summer Dancin‘とバラード系の4曲のみで、かつて『Sunflower』『Surf’s Up』でDisney GirlsDeirdreTears In The Morningとアルバムのハイライトの曲を書いていた時代から比べると寂しい限り。ただこうしてまとめてみると、ブルースがいかにLAでいい仕事をして人脈を築き、実力を一気に上げてブライアン・ウィルソンの目に留まって自分の代わりのメンバーに誘われ加入する訳だが、そこまでのサクセスストーリーをまとめられたのは楽しかった。


Bruce Johnston Related Works

◎プロデュース、〇共同プロデュース(テリー・メルチャー)、◇インストでミュージシャンとして参加。*インスト。無関係のB面曲などはカットした。△リード・ヴォーカル(Bruce JohnstonBruce & Terry名義は当たり前なので△マークは表記せず)、▲バック・コーラス。1990年以降はCDが基本なので「CD化」のクレジットはしない。ブルースが作曲した曲のみ共作者名があればクレジットした。

1958 Kip Tyler And The FlipsShe’s My Witch/Rumble Rock(EBB/154)

1959 RenegadesGeronimo/Charge*(American International/536

1959 Bruce & JerryTake This Pearl B.Johnston/I Saw Her FirstB.Johnston=B.Cooper)(Arwin/1003

1959 Sandy NelsonTeen Beat*…US4/Original/5

1960 GamblersMoon Dawg/LSD-25(World Pacific/815)

1960  Ron Holden:Love You SoUS7/My BabeDonna/1315)※『Love You So』収録。

1960 Bob Keen Orchestra:Teen Talk*(B.Johnston/The Toughest Theme*(B.Johnston=M.Emrich)(Del-Fi/4144)※『Tough Themes』収録

1960 Ron Holden:Gee But I’m Lonesome(B.Johnston)/Susie Jane(B.JohnstonR.Holden)(Donna/1324) ※『Love You So』収録

1960 Janis Rado And The SequinsI’m Coming Home(B.Johnston-J.Rado)/Edsel/45-782)※『Tough Themes』収録

1960  Mel Carter:I’m Coming Home(B.Johnston-J.Rado)/(Arwin/25)

1960 ◎Ron HoldenLove You So』(Donna/2111)※2006年にCollectableからCD

Here I Come(B.JohnstonR.Holden)/Everybody’s Gonna Be Alright(B.JohnstonR.Holden)/ Gee But I’m Lonesome(B.Johnston)/ Suzie Jane(B.JohnstonR.Holden)/ Let No One Tell You(B.JohnstonR.Holden)/Love You So/My Babe/True Love Can Be(B.JohnstonR.Holden)/Seeing Double((B.JohnstonR.HoldenKuhn)/Do I Have The Right(B.JohnstonR.Holden)/Your Line Is Busy(B.JohnstonR.Holden)

※その他アルバムからあと3枚シングルが出たが、みなアルバムの曲。シングルのみのWho Says There Ain’t No Santa ClausThe Big Shoeはブルースは無関係。

1960 Studs Donegan And The MobThe Bend(B.JohnstonG.Quesada)/ Rock N' Roll Honky TonkB.Johnston(Donna/1329) ※『Tough Themes』収録

1960 PharaosThe Tender Touch(B.Johnston)/ Heads Up, High Hopes Over You(B.Johnston=Fowley)Donna/1327)※『Tough Themes』収録

1960 Millard Woods:Don’t Put Me Down(B.JohnstonS.Randolph)/Del-Fi/4150)※『Tough Themes』収録

1961 ◎Little Ceasar And The Romans:Those Goodies But Goodies/(DelFi/4158)※アレンジ担当。プロデュースではない。『All American Hit Del Fi Collection』収録。 

1962 Bruce Johnston:Do The Surfer StompPart.1B.JohnstonJ.Hartnett/ Do The Surfer StompPart.2)*B.JohnstonJ.Hartnett)(Donna/1354)※『Surfer's Pajama Party』収録のものは150秒長く別ヴァージョン。Part.2はインスト。テイチクのCDSurfer's Pajama Party』に収録。

1962 Bruce Johnston:Soupy Shuffle Stomp(B.Johnston-Emrich)/Moon ShotB.Johnston)=Soupy Shuffle StompPart.2)*(Donna/1364)※『Surfer's Pajama Party』『One Beach Boys Original Album』『Tough Themes Disc1』に収録されているが、『Tough Themes Disc2』の「Soupy Shuffle Stomp [Sessions]」は3分近く長いまさにセッション風景で、最後はア・カペラでSSSと練習している。もうひとつの「Soupy Shuffle Stomp [Instrumental]」*はベーシックなトラックしか入っていない簡素なもの。同年のBob Keene Big Bandのアルバム『Twist Album』収録の「The Twist」*(Del-Fi/1222)はピアノ担当で『Tough Themes』に収録

1963  Cover GirlsAction Speaks Louder Than WordsB.JohnstonK.Fowley/(Conte/829)

1963 Bruce Johnston:The Original Surfer Stomp= Do The Surfer StompPart.2)*)Pajama Party(Single Version)

1963 The Bruce Johnston Surfing Band:『Surfers Pajama Party(Del-Fi/1228)1963年にUCLAで録音。1992年にテイチクからCD化の際に5曲のシングル・ヴァージョンがプラスされた。

Rumrod/Last Night/Surfers StompB.Johnston-J.Hartnett)(カウンターにギターが入るAlbum Version。冒頭にLadys & Gentlmen The Original Surfer Stomp 1 2 3 4と入るのはこのオリジナルの曲順のこの盤のみ)/ What’d I Say/Something On Your Mind/Surfer’s DelightPajama Party)*(Album Version/Kansas City/Mashin’ The Popeye/Gee But I’m Lonesone(B.Johnston)/Green Onions//Soupy Shuffle Stomp(Part1) (B.Johnston=Emrich)/ Soupy Shuffle Stomp(Part)=Moon Shot(B.Johnston)/Do The Surfers Stomp(Part1) (B.Johnston-J.Hartnett)/ Do The Surfers Stomp(Part2)(B.Johnston-J.Hartnett)/ Pajama Party(Single Version)

1991 One Beach Boys Original AlbumWoodford Music/5632)※『Surfers Pajama Party』から「Kansas City」が外れ未収録曲3曲とSoupy Shuffle Stomp(Part1)Soupy Shuffle Stomp(Part2) *をプラスしたもの。

Blue Moon/I Need Your Love/Hold It*で、I Need Your Loveだけ歌の入ったバラード。

1999 『Tough Themes-The Del-Fi/Donna Years』(Air Mail/1001/2)※Del-FiDonna時代の録音の決定版。まずはDisc1だが『Surfers Pajama Party』の10曲に、Soupy Shuffle Stomp(Part1)Moon Shot(Soupy Shuffle Stomp(Part)の表記にはしていない)The Original Surfer Stompのシングル、Surfers Delight(Pajama Partyの表記にはしていない。Single Version)がプラスされ、この当時の未発表の8曲がプラスされた。196212月にブルースが書いた軽快なマリアッチ風のナンバーのMazatlanB.Johnston)、『Surfers Pajama Party』未収録のHide Away*、SummertimeEd’s Number One*、John’s Number Two*、Balboa Blue*、San-Ho-Zay*、Bruce’s Number OneB.Johnston)*追加。

ディスク2にはまず1961年に録音した未発表インスト曲Untitled InstrumentalB.Johnston)*と前述のBob Keen OrchestraJanis Rado And The SequinsStuds Donegan And The MobPharaosMillard WoodsBob Keene Big Bandの音源、さらにこれも前述したSoupy Shuffle Stomp(Sessions)(Instrumental) *、さらにディスク1MazatlanSessions)とMazatlanEarly Instrumental Track)*も収録され、短いア・カペラの練習と、ベーシックな練習風景がその内容だった。

1963 Hot Doggers:Surfin’ USA』(Epic/24054)※ブルースとテリー・メルチャーのユニット。2006年にソニーよりCD化済。ソニー盤のみ、テリー・メルチャーがTerry Dayの名前でリリースしていたシングル2枚もボーナストラックで収録。

Surfin’ USA/Let’s Go Trippin’/Balboa Blue/Surfin’/The Original Surfer StompB.Johnston)*/Pipeline/Misirlou/Surfin’ Safari/Surfer’s Stomp/Walk Don’ Run/Peppermint Man/QuasimotoB.Johnston)*

1963 『Surfin’ Round The World』(Columbia/2057)※CD1997年ソニー

Surfin''Round The WorldB.Johnston=T.Melcher/Makaha At Midnight(Maksha At Midnight)B.Johnston)*/Down UnderB.Johnston=H.Blaine/CapetownB.Johnston/BiarritzB.JohnstonJ.Hartnett)*/Jersey Channel Islands - Part 7B.Johnston)*/The Hamptons/Virginia BeachB.Johnston=E.Carter)*/Surf-A-NovaB.Johnston)*/Hot Pastrami, Mashed Potatoes, Come On To Rincon-Yeah!!! B.Johnston/ MalibluB.Johnston)*/Surfin's Here To StayB.Johnston=T.Melcher//Down Under (Unissued Instrumental) B.Johnston=H.Blaine)*/The Hamptons (Unissued Instrumental) /Surfin''Round The World (Unissued Alternate Version) B.Johnston=T.Melcher

1963 〇Rip Chords:Gone(B.JohnstonT.Melcher)US88/She Thinks I Still Care(Columbia/442812)CD1996SundazedHey Little Cobra

1963 〇Rip Chords:Hey Little Cobra…US4/The Queen(B.JohnstonT.Melcher)Columbia/4429221)※CD1996SundazedHey Little Cobra

1963 Wayne Newton:Someone’s Ahead Of You(B.JohnstonLovejoy)(Capitol/5058)1989年『The Capitol Collector's Series: Wayne Newton』でCD

1964 Bruce & Terry:Custom MachineUS85/Makaha At MidnightB.Johnston)*(Columbia/442956)※CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1998 Bruce & Terry:『The Best Of Bruce & Terry』(Sundazed/11052)※1964~1966年のBruce & Terry6枚のシングル(『Surfin’ Round The World』からの使いまわしの「Makaha At Midnight」はダブりなのでカットされた)、Roguesの変名の1964~1965年の2枚のシングル、1963年録音1曲、1964年録音3曲、1965年録音1曲の未発表を収録。シークレットでLittle Deuce Coupe風の1964年のKFAM Radio Jingle 25秒、ファルセットのア・カペラ・ジングル38秒あり。

Hawaii(1964年、未発表)/Summer Means Fun/Come On,Let’s Go/Carmen/Don’t Run Away(B.JohnstonM.Love)/Custom Machine/I Love You Model "T"(B.JohnstonT.Melcher)/Raining In My Heart/Everyday/Roger’s Reef(B.JohnstonT.Melcher)/Yeah! (B.JohnstonT.Melcher)/Thank You Baby/Girl,It’s Alright Now/Roger’s Reef Part Two/Halfway(1963年、未発表)/Come Love/Four Strong Winds/Help Me Rhonda(1965年、未発表)/Look Who’s Laughing Now(1964年、未発表)/Here Comes Summer(1964年、未発表)/

1964 Vettes:Rav-Up』(MGM/4193

△(Little Ford Ragtop/Devil Driver/4.56 Sting Ray/’55 Ford4曲でリード・ヴォーカル)

1964  Kuscom Kings: In My ’40 FordB.Johnston/(Smash/1883)※リード・ヴォーカルと作曲を担当。CD1993年『Bruce & Terry Rare Masters』(M&M)収録

1964 Kustom Kings:『Kustom City』(Smash/271051

In My ’40 FordB.Johnston)収録。LPの表記はB.Johnsonとなっており、これがブルースとするとStick Six(B.JohnsonS.Douglas)Super Fine 39(B.JohnsonS.Douglas)Hotty  32(B.Johnson)もブルース作品になる。

1964 Rip Chords:Hey Little Cobra And Other Hot Rod Hits』(Columbia/2151)…US56CD1996SundazedHey Little Cobra

Hey Little Cobra/Here I Stand/The Queen(B.JohnstonT.Melcher)/409/ Trophy Machine(B.JohnstonT.Melcher)/Gone(B.JohnstonT.Melcher) /Little Deuce Coupe/'40 Ford Time(B.JohnstonT.Melcher) /She Thinks I Still Care /Shut Down/Drag City/Ding Dong//Karen/Bunny Hill(B.JohnstonT.Melcher) /Don’t Be Scared

1964 △「Rip Chords:Three Window CoupeUS28/Hot Rod USA(Columbia/443055) CD1996SundazedThree Window Coupe

1964 Bruce & Terry:Summer Means FunUS72/Yeah! (B.JohnstonT.Melcher) *(Columbia/443055)※CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1964 △Rip Chords:Three Window Coupe』(Columbia/2235)※プロデュースはテリー単独。CD1996SundazedThree Window Coupe

Three Window Coupe/Bonneville Bonnie/Gas Money/This Little Woodie/Hot Rod USA/Old Car Made In '52(B.JohnstonT.Melcher)/Surfin’ Craze/Beach Girl(B.JohnstonT.Melcher)/My Big Gun Board/Surf City/Summer USA(B.JohnstonT.MelcherJ.Lovejoy)/Big Wednesday(B.JohnstonT.MelcherJ.Lovejoy) //One Piece Topless Bathing Suite/Wah-Wahini/Red Hot Roadster(Version 2)

1964 Rip Chords:One Piece Topless Bathing SuiteUS96/Wah-WahiniColumbia/443093)※同上収録

1964 Pat Boone:Little HondaUS72/Beach Girl(B.JohnstonT.Melcher)Dot/16658)※ブルース&テリーがバックアップ。90年代にコンピの『Surfin'& Draggin'』でCD化されていたが2012年にUMEから再発された。

1964 Catalinas:Fun Fun Fun』(RIC/1006)※ブルースはピアノでクレジットされている。

Queen Of The Hot Rods(B.JohnstonT.Melcher)Rip Chordsの「The Queen」と同じ曲。

1964 Wayne Newton:Coming On Too StrongUS65/(Capitol/5338) 1989年『The Capitol Collector's Series: Wayne Newton』でCD

1964  Rogues: Everyday/Roger’s Reef (B.JohnstonT.Melcher) (Columbia/443190)Bruce & Terryの変名。※CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1993 Various:Bruce & Terry Rare Masters』(M&M/1001

2ndプレスには1964年のKFAM Radio Jingle 1、♯2収録

1965 Sidewalk Surfers:Skate Board(B.Johnston)/Fun Last Summer(Bruce Johnston)/Jubilee/455469)※ブルースの自作自演のソロ・シングル。現在では『Warner Surfin'& Hot Rod Nuggets』のCDで聴ける。

1965 Rip Chords:Don’t Be Scared/Bunny Hill(B.JohnstonT.Melcher=P.Stewart=S.Stuwart) (Columbia/443221) CD1996SundazedHey Little Cobra

1965 Bruce & Terry:〇Carmen/I Love You Model "T"(B.JohnstonT.Melcher)Columbia/443238)※CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1965 Mike Cliford:Don’t Make Her Cry(B.Johnston)/(United Artists/794)CD1993年『Bruce & Terry Rare Masters』(M&M)収録

1965  Mike ClifordFor The Love Of Mike(United Artists/3409)

Don’t Make Her Cry(B.Johnston)CD1993年『Bruce & Terry Rare Masters』(M&M)収録

1965 Rogues: Come On Let's Go/Rogers Reef Part Two(Columbia/423353) CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1965 OSTA Swinging Summer』(Hanna Barbera/8500

Rip Chords:Little Red Roadster(Version 1)収録。節回しも違う別テイク。※CD1993年『Bruce & Terry Rare Masters』(M&M)収録

1965 Mandi Martin: Don't Let Him Get Away From You/This Is Goodbye Forever(Columbia/443254)

1965 Bruce & Terry:Raining In My Heart/Four Strong Wings(Columbia/443479) CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

Paul Revere & The RaidersSteppin’ OutUS46Just Like MeUS11のバックに参加。1966年のアルバム『Just Like Us!』…US5のバックにも参加。

1966  Bruce & Terry:Come Love/ Thank You Baby(B.Johnston=D.Didley)(Columbia/443378) CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1966 Bob Sled & The Toboggans:Here We Go(B.Johnston)/Sea And Ski(B.JohnstonE,Slivers) (Camao/400) ※ブルースの自作自演のソロ・シングル。CDA面のみ1993年『Bruce & Terry Rare Masters』(M&M)収録

1966 Bruce & Terry:Don’t Run Away(B.Johnston=M.Love) /Girl,It’s Alright Now(Columbia/443582) CD1998Sundazedの『Best Of Bruce & Terry

1967 Graham Bonney:Tkank You Baby(B.JohnstonD.Dudley)/Columbia/8111)…UKのみ。CD1992年『Bruce & Terry Rare Masters』(M&M)の1stプレスのみ(M&M)収録

1967 Sagitarrius:My World Fell Down(Single Version)US70(Columbia/444163)※現在は2013年ソニーからCD

1967 SagittariusPresent Tense』(Columbia/9644)※現在は2013年ソニーからCD

My World Fell DownAlbum Version

1971 Cyrus Faryar▲『Cyrus』(Elektra/74105)※2015年ワーナーからCD

1972 Cass Elliot:Cass Elliot(RCA/4619)1988RCAからCD

Disney Girls(B.Johnston)

1972 Legendary Masked Surfers: Gonna Hustle You/Summertime SummertimeUnited Artists/50958)※1990年『Golden Summer Vol. 3(EMIミュージック収録)

1973 Legendary Masked Surfers: Summer Means Fun/Gonna Hustle YouUnited Artists/270)※B面のみ上記に収録。

1973 Roger McGuinnRoger McGuinn(Columbia/31946)2004年にSundazedからCD

Draggin’

1973 Shaun Harris;Shaun Harris(Capitol/11168)2005Rev-OlaからCD

Love Has Gone Away

1973  AmericaHat Trick』(Warner Bros./2728)※1996WEAからCD

Hat Trick

1974 〇California Music:△Don’t Worry Baby/Ten Years Harmony(B.Johnston)(RCA-Equinox/10120)※メンバーはブルース他で、リード・ヴォーカルもブルy、ース。B面は完全なソロ作品。ビーチ・ボーイズ復帰後にEndless Harmonyに歌詞を変えて再度録音している。※2000年に『California Music & Disney Girls RCA-Equinox Productions(BMG)

からCD

1974 〇△Terry MelcherTerry Melcher』(Reprise/2185)※1998WEAからCD

Dr,Horowitz(B.Johnston=T.Melcher)

1974  〇▲Bill HouseGive Me A Break(RCA-Equinox/10786)2000BMGからCD

1975 〇▲Barry MannSurvivor』(RCA/)※2005年のBMGジャパンのCD化では、シングルのみ、US2ndプレス違いで収録曲が違っていたI’m A SurvivorNothing But Comes EasyWoman Woman Womanを全て収録

1975 ▲Hudson BrothersBA-FA』(Rocket/2169)US165

Randezvous(B.Johnston)アレンジも担当。▲Bernie Was A Friend Of Ours、▲Gabriel

1975 Terry Melcher And Bruce JohnstonTake It To Mexico/RebeccaRCA-Equinox/10238)※翌年Terry MelcherRoyal Flash』に収録

1975 California Music:Why Do Fools Fall In Love/〇△Don’t Worry Baby(RCA-Equinox/10120)B面は前述と同じ曲。A面のプロデュースはブライアン・ウィルソン。※2000年に『California Music & Disney Girls RCA-Equinox Productions(BMG)

からCD

1975 Papa Doo Run Run:◎▲Be True To Your School/◎△Disney Girls(B.Johnston) RCA-Equinox/10404)※B面はブルースのピアノ弾き語り。2000年に『California Music & Disney Girls RCA-Equinox Productions(BMG)からCD

1975 David CassidyThe Higher They Climb,The Harder They Fall』(RCA/11066)※2003BMGCD

〇(Get It Up For LoveLove In BloomWhen I’m A Rock And Roll StarI Write The Songs(B.Johnston)Darlin’This Could Be The Night

1975 Barry Manilow:I Write The Songs-US1(Arista/0157)CD化済

1975 Art GarfunkelBreak Away』(Columbia/33770)※1989ColumbiaからCD

Break Away、▲Disney Girls(B.Johnston)

1976 California Music:Jamaica Farewell/California Music(RCA-Equinox/1057) 2000年に『California Music & Disney Girls RCA-Equinox Productions(BMG)

1976 David CassidyHome Is Where The Heart Is(RCA/11309)2009BMGCD

〇▲(TomorrowBreaking Down AgainOn FireBedtime

1976 Terry Melcher▲『Royal Flash(RCA-Equinox/10948)2012年にSMJCD販売

1976 Elton JohnBlue Moves』(MCA-Rocket/211004)※CD化済

▲(ChameleonCrazy WaterBetween Seventeen And TwentySomeone’s Final Song

1992 VariousPebbles Vol.4』(AIP/5021)※デイブ・エドモンズが1976年に録音して未発表に終わったNew York’s A Lonely Townの替え歌でブルースも参加した。素晴らしい出来栄え。CD

London’s A Lonely TownDave Edmunds

1977 Jack Jones▲『The Full Life(RCA-Equinox/120679)2000年にBMGからCD

Don’t Be Scared(B.Johnston)/ Disney Girls(B.Johnston)

1977  Bruce JohnstonGoing Public』(Columbia/34459)※ブルース通算3枚目のソロ・アルバム。プロデュースはゲイリー・アッシャー。2012年ソニーCDは完全版

I Write The Songs)B.Johnston)/Deirdre(B.Wilson=B.Johnston)/Thank You Baby(B.Johnston)/Rendezvour(The Hudson Brothers=B.Johnston)/Won’t Somebody Dance With Me/Disney Girls(B.Johnston)/Rock And Roll Survivor(B.Johnston)/Don’t Be Scared(B.Johnston)/Pipeline//Pipeline(Single Version) /Pipeline(12inch Disco Mix)

1977 Eric CarmenBoat Against The Current』(Ariata/4124)※『Boat Against The Current/Change Of Heart/Eric Carmen』の3in12010年にCD

▲(Love Is All That Matters/She Did It/I Think I Found Myself)プラス1977年のシングルで翌年のアルバム『Change Of Heart』に収録された▲Somedayも収録

1977 Bill QuatemanNight After Night(RCA/12027) 2014CD BabyからCD

▲(Au Claire/Dance Baby Dance

1978 Captain & TennilleDreams』(A&M/2027)※1995年ポリドールからCD

If There Were Times(B.Johnston)、▲I’m On My Way、▲Love Is Spreading Over The World、▲Back To The Island

1979 Pink FloydThe Wall』…US1(Columbia/236183)CD化済

Another Brick In The Wall Part2US1、▲One Of My Turns

1979 Nigel Olsson▲『Nigel』…US140(Bang/35792)2002年ソニーからCD

1980 Elton21 At 33(MCA/5121) CD化済

Dear God

1980 TremblersTwice Nightly』(Johnston/36572)※エクゼクティブ・プロデューサー

1981 Dean Torrence▲『Music Phase2 1977-1981』(JVC/6786      

1983 VariousRock’n’Roll City』(Realistic/513009)※カセットのみだが日本のみLPで『Listen To The Air(ビクター/5004)で発売。

Sealed With A KissBruce & Terry名義

1997 Kings Singers◎『Sprit Voices(RCA-Victor/090266843692)

Life The Wing、△Please Let Me Wonder(Mike Loveと共同リード・ヴォーカル)、△Kokomo、△She Moved Through The Fair/The Lord’s Prayer

1998 ◎VariousSymphonic Sounds:Music Of The Beach Boys』(Platinum Entertainment/9343)※オーケストラのみ3曲、マイク、ブルースの歌入り6

Overture/Kokomo/God Only Knows/Wouldn’t It Be Nice/Disney Girls※ブルースがリード・ヴォーカル/Darlin’/All Surf/The Warmth Of The Sun/The Water Planet Suite

2001 CaliforniaPassion Fruit』(TYO/0046

1977年リリース予定でボツになった同名のアルバムからBrand New Old Friends(B.Johnston)収録。歌もブルース。

2002 Captain & TennilleMore Than Dancing & Much More(Raven/146)

Let’s Visit Heaven TonightB.Johnston

2011 Doris DayMy Heart』(Sony/888697927752

Disney GirlsB.Johnston)、Heaven TonightB.Johnston)、Happy EndingsB.Johnston=T.Melcher)、The Way I Dreamed It、(B.Johnston=T.Melcher)、My HeartB.Johnston=T.Melcher


(作成:佐野邦彦)







『Best Of The Pen Friend Club 2012-2017』(サザナミ・レーベル/SZDW1040) 平川雄一インタビュー

$
0
0


















2月8日に4thアルバム『Wonderful World Of The Pen Friend Club』をリリースしたばかりのペンフレンドクラブが、初のベストアルバムを9月6日にリリースする。
幾度かのメンバー・チェンジを経たバンド・ストーリーのメモリアルというばかりではなく、リーダーの平川によるリミックスへの飽くなき拘りによりブラッシュアップされた全20曲が収録された、希なベストアルバムと評価したい。選曲的にもWebVANDA読者にはお馴染みのソフトロック・クラシックが多く収められているので強くお勧め出来るのだ。
ここでは通算4回目(またかと言われそうだが)となる平川氏へのインタビューを掲載したい。

   

 【収 録 曲】
1. 8月の雨の日 ※4
2. Do I Love You ※1
3. Tell Me (Do You Really Love Me?) ※2
4. 街のアンサンブル※3
5. 微笑んで ※4
6. Don't Run Away ※1
7. How Does It Feel? ※2
8. What A Summer ※3
9. Sherry She Needs Me ※4
10. I Sing A Song For You ※1
11. I Like You ※2
12. Summertime Girl ※3
13. Love's Lines, Angles and Rhymes ※4
14. I Fell In Love ※1
15. His Silhouette ※3
16. The Monkey's Uncle ※2
17. Newyork's A Lonely Town ※1
18. 土曜日の恋人※3
19. Wichita Lineman ※2
20. ふたりの夕日ライン ※4

【オリジナル収録アルバム】
『Sound Of The Pen Friend Club』※1 
『Spirit Of The Pen Friend Club』※2 
『Season Of The Pen Friend Club』※3
『Wonderful World Of The Pen Friend Club』※4



●今年2月の『Wonderful World Of The Pen Friend Club』が記憶に新しい訳ですが、この時期にベスト・アルバムをリリースしようとした動機を教えて下さい。
また選曲にはメンバーの意見も反映しましたか?バンド内投票とか? 

平川:動機は過去の音源をリミックスしたかったからです。それだけと言っていいです。選曲は僕一人の判断です。
活動が5周年とキリがいいのと、今回はメンバーが入れ替わることなく次に進めそうなので、これまでの4枚のアルバム(4人のボーカル)を「初期のペンクラ」として一区切りにできるかなと。
でも、とにかく「リミックスしたかった」の一言に尽きます。

●拘りが凄いよね(笑)。リミックスということでマルチトラックから全てやり直す訳ですが、作業時期と作業状況はどんな感じでしたか?
時間が経過しているとはいえ、オリジナル・ミックスの固定観念があるから頭を切り換えるのが大変だったのでは?
基本的に平川さん一人で担当したんですか?

平川:リミックスの作業時期は今年の4thアルバム発売後くらいから少しずつ進めていました。
1stアルバムの曲を全曲やり直そうと思ってなんとなく進めていたんですが、そのうちベスト盤として出すことにしたので全アルバムから選抜された曲のリミックス作業に移行しました。
オリジナル・ミックスへの固定観念というのは全然無くて、むしろ「もっと良くしたい」という気持ちで一杯だったので楽しんでやれました。
作業は僕一人で行いました。

●これまでのアルバムを振り返って、それぞれについて平川さんの思い入れを聞かせて下さい。

1)『Sound Of The Pen Friend Club』
平川:当時は全然知識が無くて、まさか自分のバンドで全国流通のアルバムが作れるとは思っていなかったので、最初に声をかけてくれたサザナミ・レーベルには本当に感謝ですね。
当時はこの1枚で終わる(アルバムを2枚も3枚も発売させてもらえるわけがない)と思っていました。なのでジャケットは見る人が見ればどういうバンドか一発でわかるデザインにせねば、と思いこのような感じに。音もジャケも、あの当時の僕の全力を投入して制作にあたりましたが・・・今聴くとやり直したいところだらけですね(笑)。
今回のベスト盤でのリミックスで一番恩恵受けているのはこの1st収録曲です。完全に生まれ変わりました。ベスト盤に入らなかった曲もいつか全部やり直したいですね。

●当時の心情が伺えますが、そもそもペンクラを結成した時は活動の中心はライブと考えていたのですか?
またサザナミ・レーベルから声が掛からなければ、自主制作でリリースする予定はあったのですか?

平川:結成当初は軽い遊びのバンドのつもりだったので、たまにライブが出来る程度でいいと思っていましたが、ボーカルに夕暮コウが加入すると自分が思っていた以上にいいバンドになると確信するようになりました。 活動が始まってからすぐに自主製作EP(CD-R)を作ったので、盤を残そうという意識は当初からあったと言えます。
最初に声をかけてもらったのがサザナミ・レーベルでした。それがなければ未だに手刷りCD-Rだったかもしれませんね。


2)『Spirit Of The Pen Friend Club』
平川:僕の気持ち的には「ペンクラのアルバム1枚目」、という感じです。
現メンバー(楽器隊)が参加したアルバムですし、非常に思い入れがあります。選曲的にもペンフレンドクラブというバンドを1stアルバム以上に象徴したものになっていると思います。
ただクオリティは1stより進化しましたが、やっぱり今聴くといろいろ自分のミックスが許せないので・・・。

●初めて推薦文を書かせて頂いたアルバムなので私も印象に残っています。ファーストでカバーしていたブルース&テリーの「Don't Run Away」やトレイドウィンズの「New york's A Lonely Town」は、マニアックな選曲とはいえ熱心な山下達郎ファンの間ではよく知られていましたが、このアルバムではジミー・ウェッブ作でグレン・キャンベルの「Wichita Lineman」を取り上げていて、平川さんの趣味の良さを確信しましたね。
各アルバムにおけるカバー曲の選択基準は、どんな尺度で選んでいたのですか?

平川:カバー曲の選択基準はもうただ単に「好きな曲」に尽きます。
あとは「こんな曲やるバンド、今どこにもおらんやろう」というのもありますね。ラグドールズの『Dusty』然り。
そういうところに命を懸けたいです(笑)。

●「命を懸けたい」とは拘りを超えて、悟りを開いたような境地に近いね(笑)。
繰り返しになるけど、各アルバムで取り上げるカバー曲は既にリストアップしていて、アルバム全体の構成を考えながらタイミングを計っているということですか?

平川:最初の頃はリストアップしていましたが、最近はその時のバンドの状況や、前作との比較を考えて決めるようにしてます。


3)『Season Of The Pen Friend Club』
平川:自主レコーディング、自主レーベルでの発売、と全部自分たちで作ったアルバムですね。
オリジナルとカバーの比率も5:5にし、日本語曲もこのアルバムから。 いろいろ挑戦した一枚ですね。新規ファン開拓、業界人との繋がり、等、いろいろな切っ掛けを作ってくれたアルバムになりましたが、やはり今聴くとダメなポイントが多すぎますね。
今回ベスト盤のリミックスで満足できる出来になりました。 

●このアルバムがリリースされたのは、ゾンビーズやジェフリー・フォスケットの来日公演で共演するなど、バンドとしてかなり充実していた時期ですが、今のところこのアルバムだけが自主レーベルからのリリースですね。
自主レーベルに拘った理由はなんでしょうか?

平川:このころになると盤を作って売ることのイロハが分かってきたので「これは自分でできるな」と思い自主レーベルでやることにしました。
自分で録って、自分で売る方が儲けが多いですからね。その分リスクは伴いますが、そこまで大きいビジネスにもなってないんで(笑)。分かる人にだけ伝わればいいと。
面倒くさい事務作業もありますが、メンバーが手伝ってくれるので助かっています。

●またボーカリストが、ファーストの夕暮コウさんからセカンドで向井はるかさんへ交代して、このアルバムでも高野ジュンさんへ代わっています。
各メンバーの方向性などシビアな事情があったと思いますが、バンドの看板であるボーカリストを定着させるというのは、この時期ペンクラにとって永遠のテーマになりつつありましたか?

平川:ボーカルが変わるとライブの全レパートリーのキーが変わるので、打楽器奏者以外がいつも大変な思いをします。もう三回もキーを総変えしていますからね、ペンクラは(笑)。
あと個人的なことですがボーカルの交代はとにかく精神的な重圧がすさまじいです。ペンクラの場合、ボーカルが抜けるだけで一気にバンド存亡の危機に陥ります。一番の肝のパートですし、一番後任が見つかりにくくもあります。ボーカルの違いでバンドの色がハッキリと変わりますから後任探しも慎重にならざるを得ません。
そんな中、いつもいいボーカルに巡り合えたなあと幸運に感謝しています。今回のベスト盤でも4人のボーカルが入れ代わり立ち代わり聴けるので、それが伝わるだろうと思っています。結果オーライですかね。

●同じバンドなのにレパートリーのキーを三回も変えるってなかなか無いよね(笑)。でもそれは歴代ボーカリストのベストな声域を綿密に計算していることの現れであって、今回のベスト盤を聴いて感じたのは違和感無くペンクラ・サウンドとして受け止められたことですね。

平川:ありがとうございます。今回のベスト盤のライナーノーツでもカンケさんが「初めて聴いた人は4人の女性ボーカルがいると思うだろう」といった趣旨の文を寄せられていました。
確かにそうかもしれませんね。


 4)『Wonderful World Of The Pen Friend Club』
平川:近作ですが、これは褒めるところの多い一枚です。
これまでのペンクラ作品の中で一番まともに聴けますね。「Sherry She Needs Me」のサウンド作りでは、やりたいことが100%実現できました。もちろん新メンバー藤本有華(Vo)と大谷英紗子(Sax)の好演も理由の一つです。
実は今年の11/3(レコードの日)に、この4thアルバムがアナログLP化されるんですが、ここぞとばかりに全曲リミックスしました。CDよりも更に、遥かに良くなったのでその4thLPも是非聴いていただきたいです。

●私もこれまでの最高傑作だと感じています。
「最新作が最高傑作」と言ったのは、ミック・ジャガー(ローリング・ストーンズ)の口癖だったと思いますが、リリース毎に前作を超えるアルバムを制作するというプレッシャーをリーダー、そしてプロデューサーという立場で常に感じていたと思います。
その辺りの苦労話を聞かせて下さい。

平川:そういうプレッシャーは感じたことはないです。
ただその時の自分が合格点を出せることが大事なので、そこに至らないことのほうが恐ろしいです。誰もがそうだと思いますが、完成時点で自分が100%納得できないとだめですね。
後から聴いたら後悔ばかりなんですけどね。


●過去多くのバンドは、ベスト・アルバムを一区切りに新たなステップを踏んでいく訳ですが、今後のペンクラについて新たなトピックスはありませんか?

平川:現メンバーで次の5thアルバムを作るということです。
同じメンバーで続けてアルバムを作ることは未知の経験であり、同時に悲願でもありました。既にジャケットがいい感じに完成しているので、それに見合った音楽を作ります。

●ペンクラみたいにマニアック(個人的には音楽界の「ガールズ&パンツァー」的なギャップの美学を感じている)なバンドのニューアルバムのコンセプトが、ジャケ先行というのは珍しいですが、収録曲やカバー曲の選曲などのアイディアは既に固まっていますか?

平川:収録曲は全部決まっていて、現在少しずつ録音を進めています。
本当は音楽のコンセプトのほうが先に決まって、それに合わせてジャケを撮るという順番なんですが、ジャケデザインのほうが先に出来てしまう、というだけなんです。
でもジャケができるとやる気が沸きますね。



●リリースに合わせたライブ・イベントをお知らせ下さい。

平川:9月30日にdues新宿でディスクユニオン購入者限定ライブ&サイン会があります。その他にも増える可能性がありますのでザ・ペンフレンドクラブ公式サイトをチェックして頂ければ幸いです。
ザ・ペンフレンドクラブ公式サイト

●では最後にこのベスト・アルバムのピーアルをお願いします。

平川:とにかくリミックスによって格段に音が良くなったので是非お聴きいただきたいですね。
これから初めてペンクラを聴く人にこそお勧めです。あとカンケさんのライナーノーツが絶品でバンド5年の統括と20曲分の解説は圧巻です。 紙ジャケもA式セミダブルと豪華な仕様ですので是非!
(インタビュー設問作成:ウチタカヒデ)




☆Rolling Stones:『Sticky Fingers Live At Fonda Theatre 2015(From The Vault)』(Ward/GQXS90284-5)Blu-ray+CD

$
0
0

ローリング・ストーンズは大規模ツアーの前に、小規模な会場で密かにウォームアップギグを開催してきたが(古くは1977年の『Love You Live』のエル・モガンボが皮切り)、2015年の北米ツアーの前の2015520日に、席数が1200人というごく小規模のフォンダシアターでこのライブが行われた。今までのスモール・ギグとは全く違うのは、今回は名盤『Sticky Fingers』を全曲披露するというコンセプトライブで、全16曲という曲数も絞り込んだものであること、そしてこのギグを4Kで撮影して初めてその全貌が我々ストーズファンに届けられたことにある。解説は寺田正典さんが主で、知りたいことが全て分かる。例えばストーンズのアルバムで全曲がライブで披露されたものは何枚あったのかなと思ったら『Let It Bleed』『Sticky Fingers』『Black And Blue』『Some Girls』の4枚だけだそうで『Exile On Main St.』も強く望まれたが、チャーリーいわく「今、あんな叩き方はできないよ」と。さすが名盤が並ぶ。ミックはコンサートの冒頭付近で「今度は『Their Satanic Majesties Request』を全曲やるかな」と言っていたが、もちろんこれは冗談、先日、キースは『Their Satanic Majesties Request』を最低のクズと言っていたので、100%やるわけがなく、ミックのブラックジョークだ。コンセプトのあるギグなので、アルバム10曲とその他6曲の計16曲という短いコンサートだ。まず全体的に言えるのはやはりこういう取り組みはストーンズも楽しいようで、始終笑顔のキースが忘れられない。Blu-rayCDは曲順が違い、正しいのはCDだが、『Sticky Fingers』の曲をプレイすると何度もメンバーの想い出のインタビューが挿入され、そこが面白いので、その内容を交えながら紹介していきたい。冒頭は「Start Me Up」だ。「Jumpin’ Jack Flash」と並ぶストーンズのオープニング・アクトの定番から始まる。やはりいくら『Sticky Fingers』といえども、頭に「Brown Sugar」を持ってきては、「ライブでアルバムを楽しませる」ことには直結しないので「Sway」からスタートする。この粘っこいR&Bナンバーを、かなりテンポアップしてプレイする。キースも通常のギターなのでなんとなく歯切れがいい。そして「Dead Flowers」だ。シンプルなC&Wナンバーだが、人気がある。そしてキースがミックとの自慢の共作だと誇らしくインタビューで語る「Wild Horses」。キースはアコギではなくエレキを弾き、若干テンポアップしてウェットな感じにはしていない。そしてミックが本作はドラッグの隠語満載と言い、キースはインタビューでバレたかと笑う本アルバムの中でも最問題作「Sister Morphine」。久しぶりにプレイしたら不気味で70年代にタイムスリップしたよ、我に返ったら胡麻塩頭の頭の自分がいた(笑)と語る笑顔のキースはそれでも嬉しそう。冒頭は確かに不気味な滑り出しだが、中間以降のロンのボトルネックギターの迫力は素晴らしく、ロンの名演だ。そして1970年当時にこのアルバムを買った時には、なぜこんなメチャクチャシンプルで酔っぱらいのざれ歌のようにも聞こえたアルバム唯一のカバー曲、フレッド・マクダニエル作の「You Gotta Move」の登場だ。カッコいい事にキースのアコギのブルースギターに乗せてミックら全員で歌う。単純なブルースの繰り返しだが、会場全員で「You Gotta Move」を全力で歌うようになるのは感動的。発売当時は分からなかったが、今はこの曲の魅力にハマるなあ。そしてアルバムの中でもハイライト級に人気がある「Bitch」の登場だ。ボビー・キーズ、ジム・プライスのホーンが最高のこの曲、キースは2014年に急死してしまったボビーが最高だと忘れられず、いつも右横にはボビーがいる気がすると、全幅の信頼を置いていたことが伝わってくる。ライブではあのリフをロンにまかせ、キースがリード・ギターを自在に弾いている。ホーンが弱く聴こえるのが残念だ。そしてアルバムの中である意味、一番斬新な「Can’t Hear Me Knocking」。ザックリとしたギターのリフに乗せたロックナンバーが途中からのコンガからラテン・ジャズに変わって演奏が続いていくフリーキーな曲でカッコいい。ボビー・キーズの後釜のカール・デンソンがサックスで頑張っている。ミックもその当時、プレイしていてストーンズの新しい面が見られてやっていて楽しかったそうだ。そしてメンバーがストーンズで最もスローなナンバーと口を揃える「I Got A Blues」。最もスローといいながらミックの熱唱によるスロー・バラードで、テンポは特に遅いわけではない。そして『Sticky Fingers』の最後はオリエンタルな「Moonlight Mile」。聴いていて何か違和感があると思っていたら、見事寺田さんの解説でミックのオリジナルはGだが、ライブでは5度上のDで歌っていて色々と歌い方も違っているのだそうだ。そして最後はいよいよお待ちかね、「Brown Sugar」。ミックは無人島へ持っていく1曲なら「Brown Sugar」と断言していて、傑作を書いたという自信に満ちていた。さらにキースもレコーディングは感動的だった、究極のロックンロールを仕上げた気分だった、そして何よりも熱があったんだと語る。キースのリフも当時のレコードと同じ跳ね上がらない弾き方でこういう小さいところも嬉しい。そしてアンコールはB.B.キングのカバーの「Rock Me Baby」。徐々に盛り上がりエンディングでロンのギターソロ、キースのギターソロ、ミックのブルースハーブで終わるところが最高だ。そしてオオトリは「Jumpin’ Jack Flash」。昔から自分が力説しているようにこの史上最強のロックナンバーをここでは一切崩さず、But it’s alright nowの部分もレコードと同じハーモニー、ミックの歌い方もレコードと同じで崩さず、こういうライブ・ヴァージョンが一番好きだ。この会場の人はこういう部分も幸せだな。ボーナストラックは実は「Start Me Up」の後に続いて演奏された「All Down The Line」と「When The Whip Comes Down」で、なかなか熱いライブだ。そして3曲目の「I Can’t Turn You Loose」は、実際には「Jumpin’ Jack Flash」の続いての本当のラストナンバーだった。オーティス・レディングで知られるこのナンバーだが、最も親しまれているのはブルース・ブラザースがデビュー・アルバムのオープニングに使われていたからで、このこの繰り返すホーンのフレーズを聴いたことがない人間などいないだろう。みんなが明るく笑顔で終わる最高のエンディングだ。このライブ、なんとたったの$29.5だったそうで、なんと幸せなファンなのだろうか。ただ会場にいたオーディエンスにはそうそうたる有名人が並び、一般人じゃとても入り込むすきなどなさそう。(佐野邦彦)

☆Jigsaw:『Letherslade Farm+11』(Solid/CDSOL1799)☆Jigsaw:『Broken Hearted & Aurora Borealis+1』(Solid/CDSOL1800)☆Jigsaw:『Sky High & Rare Tracks 40th Anniversary Collection』(Solid/CDSOL 1797~8)

$
0
0



UKロックバンドのジグソーだが、私は『ソフトロック A to Z』でバンドを発掘していく中、ジグソーは美しいメロディとハーモニーを兼ね備え、転調や対位法も取り入れながら、ファルセット中心のリード・ヴォーカルというまさにソフト・ロックの理想の形でアルバムを作っていたので強くプッシュすると、1998年にテイチク、2006年にビクターより、それぞれ彼らの19731977年の中核アルバム4枚にベスト盤1枚という5枚編成で、選曲をまかせてくれたので目いっぱいシングルオンリーや未発表曲を収録時間内に押し込んで計10枚のCDをリリースできた。しかし密かに押し込んだ中核は、彼らが1970年と1972年にPhilipsからリリースしていたプログレッシヴな2枚のアルバム『Letherslade Farm』と『Aurora Borealis』をファンに聴いて欲しくて、前者は寸劇混じりなのでセレクトだが、後者は全てばらして入れた。今Discogsで見るとどちらも100ポンド以上の値が付き、ジグソーではこの2枚だけが高額取引盤になっていた。またシングルの中でもB面曲がサイケデリック色の濃い「Tumblin’」だと120ポンドという高額だったりと、11年前に睨んだ見方は間違いなかったなと。それで今回のウルトラヴァイヴでは『Letherslade Farm+11』は初期音源集付きで完全収録、『Aurora Borealis』は従来の3枚目のアルバムとの2in1として表に出て、ジャケットがリバーシブルになっているので、写真のように「表ジャケット」にも出来る。テイチクの声かけより19年、ようやく希望がかなった訳だ。今回のリイシューで、以前購入した人はまたジグソーかよ…と思わずに、成功はしなかったもののジグソーはプログレ系バンドとデビューして、「Sky High」とは違う世界観のサウンドで、一部のプログレファンには高く評価されていたことを知っていただきたい。この2枚にはそれぞれ1968年、1972年というその当時の未発表トラックを見つけたのでプラスしてあり価値がある。9月リイシューの3枚のもう1枚は、日本で「Sky High」がヒットして今年で40年という記念盤。1枚は「Sky High」が2000年代のリミックスを含めて12テイクも入っているがシングルと、映画用のMain TitleEnd Titleの3曲は価値がある。「Sky High」が1975年に全米3位、全英9位と大ヒット、その後全米では30位、66位、93位というヒットはあったものの、英米ではワン・ヒット・ワンダーだ。しかし日本では大人気覆面レスラーのミル・マスカラスのテーマ曲に使われたため1977年のオリコン洋楽チャート年間1位など、全世界の中で日本はでのジグソーは飛び切り人気が高く、英米で発売が見送くられた2枚のアルバムが日本のみでリリースされたほど。もちろん未CD化である。その1978年の『Journey Into Space』と1980年の『12 Chapters Of Love』が初めてCD化された。このディスク2は価値がある。


今回のリイシューの話は中村俊夫さんから夏過ぎに緩く話が来たものの、8月になって締め切りまで10日間くらいの超タイトなスケジュールでウルトラヴァイヴから依頼された。内容はこの9月発売の3枚と、11月発売の3枚で、9月発売の方は、『Sky High 40th Annerversary』は当時のミル・マスカラス人気を熟知している鈴木英之さんに依頼、11月には残り3枚がリリースされるが、そこには今までのテイチク、ビクター以降に発見された21テイクのCMジングル集や、未発表曲や未発表サントラ曲などが待ち構えていて、この「3シリーズ」でなんと膨大なジグソーの全音源のリリースが実現できる。こちらも林哲司さんの「If I Have To Go Away」が収録されている『Pieces Of Magic』は、林哲司さんの本の作った実績がある鈴木さんにおまかせすることにした。選曲はコンプリートにするので、11月発売の3枚もお待ちいただきたい。今回のリイシューは「Sky High」がヒット40周年(これは日本での大ブレイクが1977年なのでそこが起点のようだ…)で、その記念がメインである。中村さんはイギリスまで行って立ち合い、その番組は910日にBSTBSの番組『SONG TO SOUL「スカイ・ハイ」ジグソー』で放送された。曲のほとんどを共作で書いていたクライヴ・スコットが亡くなっていたのが残念だったが、もう一人の曲作者でリード・ヴォーカリストでもあったデス・ダイヤーほかの3名のメンバーが揃いデビュー時からの想い出を語り、長くマネージメントとエクゼクティヴ・プロデューサーを担当したチャス・ピートという最重要人物がみな中心になってコメントした。そして「Sky High」が生まれるまでだが、香港映画「The Man from Hong Kong」のサントラ盤候補のミュージシャンにフォートップス、トム・ジョーンズ、エンゲルベルト・フンパーディンクと片端から断られ、万策尽き、たった3日で仕上げられるかということでジグソーに白羽の矢が回ってくる。まだヒットのないジグソーはこのチャンスを逃さず、見事、この傑作「Sky High」を書いて採用され、すぐにイギリスの腕利きアレンジャー、ハワード・ヒューソンに最終アレンジが回る。彼は信頼を置くイギリスのレッキング・クルーであるジャズ・ミュージシャン達に翌日にはスコアを回し、ほぼワンテイクでバックのオーケストレーションを仕上げ、ジグソーのメンバーもワンテイクで同時演奏する緊張感に満ちたレコーディングに臨むが、さすがプロ集団、完璧で驚嘆した…などという映画『レッキング・クルー』と同じ光景はイギリスでも同じなんだなと楽しく見ていた。なおハワード・ヒューソンはビートルズの「The Long And Winding Road」のアレンジをするなどまさに超一流アレンジャーである。

まず『Letherslade Farm+11』の紹介だが、この当時のメンバーは5人である。この当時、作曲を一手に受け持っていたキーボードのクライヴ・スコット、後に作曲・作詞を開始、クライヴ・スコットの共作者になり、リード・ヴォーカルも担当するようになるドラムのデス・ダイヤー、そして初期のリード・ヴォーカリストでギタリストのトニー・キャンベル、そしてベースのバーニー・バーナード、サックスのトニー・ブリネルである。そしてこのアルバムからずっと彼らのマネージャーとエグゼクティブ・プロデューサーを務めるチャス・ピートが参加したことも大きい。それまではアマチュアだったジグソーにプロとしての自覚を与えた。メンバーはTVの中で、「モンティ・パイソン以前に寸劇仕立てのさまざまなジャンルの曲をアルバムに収めた。今でもエッジが効いていて面白いね」となかなか自信を持った反応だ。曲目は非常に多いがたくさん挿入されているInterviewとかTap Danceは曲ではなく、読んで字のごとしである。曲になっている部分だけ追っていくとまずはJim Whitney作の「Weavers Answers」だ。スコットのキーボードによって盛り上がるブルージーな曲で間奏のサックスからオルガンのソロ、そこにギターが被り事に堂々たる演奏で聴きどころ十分。 外部ライター作で女性の喘ぎ声がフィーチャーされた変わった曲が「Je T’aime/If You Were The Only Girl In The World」 、スコットの自作の「Can I Have This Dance」はピアノの弾き語りの小品、スコット作の「Blow Blow Thou' Winter Wind」は、キーボードを全面に出したこれもブルージーな曲で、「Weavers Answers」と同じく間奏のオルガンとギター、サックスのからみが聴きもの。そしてスコットはバッハの「主よ人の望みの喜びよ」をモチーフにしてEL&Pばりのキーボードを効かせた「Jesu Joy Of Man's Desiring」としてアレンジ、中間部には2種類のギターソロを入れ込むなどEL&Pにはないサウンドであり、全体的にビートがあって浮き浮きするようなこのインストはアルバムのハイライトになった。B面にはおふざけの外部ライター作のオールディーズ「Danny」を挟んで、アルバムのハイライトのもう1曲、これは外部ライターのMartin Hallの作品だが「Say Hello To Mrs. Jones」はスコットのピアノとキーボードをバックに歌い上げるノスタルジックな美しいバラードで、レイ・デーヴィスが書きそうな雰囲気も漂う。 「Diesel Dream」は曲ではない部分のクレジットと同じYettey作とあるが、メンバーの共作の意味だ。曲は堂々たるR&Bで、ブルース・ハーブも入り、ギターソロもブルージーで、ヴォーカルも及第点。こんな黒いジグソーを聴ける貴重なヴァージョンだ。この後はスコット作の「Morning」。少し緊張感を漂わせた曲だが、サビでは緊張を解くような工夫が施されている佳作。そしてアルバム最後の「曲」は、スコットの「Seven Fishes」。この曲も哀調が漂うバラード系のロック・ナンバーで、泣くようなギターがいい味を出している。サビは一転して明るめに作られギターの音色など少しサイケデリック。こうして作られたジグソーのファースト・アルバム『Letherslade Farm』は、プログレ&サイケファンに評価された。

このファースト・アルバムより前にジグソーは4枚のシングルをリリースしており、さらにファーストとセカンド・アルバムの間にも3枚のシングルがリリースされ、どのシングルもレア盤ばかりだ。作曲はこの時代は基本的にメンバーのクライヴ・スコット単独なので、スコット以外の時のみ記述する。まず19683枚リリースしているが、デビューはMGMからリリースした「One Way Street」で、このA面はホーンを効かせたAmen Cornerを思わせるラテン風のロック・ナンバーで、中間にアコースティック・ギターを作った美しいブレイク部分を入れ込んできたところにセンスの良さが感じられる。B面の「Then I Found You」は、オルガンとホーンのバッキングによるポップなロック・ナンバーだ。続くシングルはミュージック・ファクトリーからの「Mr.Job」で、サックスをフィーチャーした軽快なロック・ナンバーで、牧歌的な味わいもあった。作曲はBown-Bannisterという外部ライターを起用している。B面の「A Great Idea」はストレートなEquals風のロック・ナンバーだ。続く「Let Me Go Homeも同じレーベルからのリリースで、A面はさらにホーンを効かせたパワフルなビート・ナンバーだったが、B面の「Tumblin’はジェットマシーンを使い、ギターもシタール風でサイケデリック色が強く、サイケファンの間では名作として大人気のナンバーになった。中古市場でもジグソーのシングルでは最も高い120ポンドで取引されているほど。その次の1968年と最初期のBaby Jump Back’」はどのリストを捜してもリリースされた形跡がないので未発表曲とみて間違いない。ファルセットのコーラスを少し入れるなどこの当時の曲としてはポップなナンバーだ。1970年に『Letherslade Farm』がフィリップスからリリースされるが、同年にフォンタナから「Lollipop Goody Man」のシングルをリリース、ホーンのリフをさらに強調してフィーチャーしたビート・ナンバーで、歌い方もEqualsを意識したかのようなブラック風にしていた。このシングルのB面は「Seven Fishes」でLetherslade Farm』からのカットである。この「Lollipop And Goody Man」のシングルもNear Mint100ポンドと高額だ。翌1971年には、前述のMGMからの1968年のデビュー・シングル「One Way Street」をフィリップスから再リリースしているが、B面を「Confucious Confusion」に差替えている。このオリエンタルなムードの曲は、何か日本のお祭りの曲を聴いているような不思議な感覚を持ち、オルガンの間奏部分など顕著。このシングルも相当レアのようで、コンディションが悪くて80ポンド、いいと200ポンドという超高額盤である。その次がLetherslade Farm』からインストの「Jesu Joy Of Man's Desiring」をシングル・カット、そのB面が「No Question Asked」だ。1971年になりと、それまでのオルガンとホーン、ギターのロック、サイケデリックのロックバンドから脱却しようと、試行錯誤した時期なので、軽快なサウンドでポップなメロディが印象に残る佳曲に仕上げている。そしてこの年のリリースのシングルのラストが『Aurora Borealis』からの先行シングル「Keeping My Head Above Water」のシングルだが、UK盤のカップリングのみ違っていてアルバム未収録曲の「It’s Nice But It’s Wrong」が収録された。セカンド・アルバムではスコット単独作はなくなりクライヴ・スコット=デス・ダイヤーの共作になるのだが、この曲はまだスコット単独だ。しかしサウンドは明らかに進歩していてポップで浮き浮きするようなメロディとサウンド、バックにはハープシコードも聴こえ、セカンド・アルバムへ至る変化が感じられる。なおこのA面曲はフィリップスから移籍したBASFからもシングル・カットされているが、確認されたドイツ盤、ポルトガル盤のB面はセカンド・アルバムの「Seven Fishes」に差替えられていて、「It’s Nice But It’s Wrong」を聴くことはできない。

そして1年置いた1972年にフィリップスからのセカンド・アルバム『Aurora Borealis』をリリースする。クレジットはクライヴ・スコット&デス・ダイヤー共作のスコット=ダイヤーにこのアルバムから統一される。冒頭の「Keeping My Head Above Water」はヘヴィなロックンロールで、それまでのジグソーサウンドの延長線上に作られた感がある。シングルのリリースは前年の1971年で、イギリスでは前述のアルバム未収録の「It’s Nice But It’s Wrong」とカップリングでリリースされている。中間部にはきれいなハーモニーを響かせる部分があり、単純なロックナンバーではない。次の「Autumn」は前作とつながるパワフルなイントロと、目いっぱいのファルセットでハモるロックナンバー。「Come With Me」はミディアムのシンプルなポップナンバーだが、コーラス、オーケストラのバックも入り、転調も使って単純な進行では作っていない。「Life Insurance」は1曲丸ごとファルセットのシャウト・ヴォーカルで歌うロックナンバーで、ちょっと声に無理がありハード・ロックにもなっていない。「Sitting On A Bomb」はやタイトルそのものに、タイマーのように刻まれるドラムに合わせてシンプルに歌われるナンバーだが、サビはコーラスも入ってゴージャスに。でもその後に爆発音でおしまい。「When The Sun Is In Your Eyes」は哀調を帯びたミディアムのロックナンバーだが、ハーモニーがあるもののリード・ヴォーカルがファルセットのシャウト・ヴォーカル、しかしハード・ロック的な迫力を感じさせる皆無なので、不思議な印象の曲だ。そしてB面のトップを飾る「What’s My Name」こそ、新生ジグソーを代表する名曲。オーケストラに載せて、巧みな転調で作られた美しいミディアムのバラードで、アルバムのハイライトになった。ジグソーのベスト盤を作っても必ず選ばれる名曲だ。続く「See Me Flying」、この洒落たコード進行とアコースティック・ギターのカッティングが印象に残る佳曲は、開放感があり、従来のジグソーにはない新しい世界を感じさせてくれた。「Freud Fish」はイントロのSE、バッキングの叫び声、電気処理されたリード・ヴォーカルと、サイケデリック・バンドのジグソーの面影を残す曲。しかし基本は哀調を帯びたロックナンバー。「Hanging Around」は明るいホーンからスタートするこの曲は、ハッピーな雰囲気に満ちていて、わくわくさせられる曲だ。今までのジグソーにはなかったサウンドが楽しい。「P-R-R-R Blues」はガヤガヤしたSEをバックに入れ、ホンキートンク風のピアノやボトルネックのギターで愉快に歌われるブルースナンバー。「Ready To Ride」はパワフルなホーンのビートに載せて歌われるソウル風のナンバー。サビに一瞬、静寂のような変化を入れるのがジグソーらしい。この曲が『Aurora Borealis』のラスト・ナンバーだ。そして今回、世界初登場となる1972年の未発表曲が「Standing On My Hand」。収録年からいってBASF用ではなくフィリップスの『Aurora Borealis』用に録音された曲だろう。マイナーのスタートがメジャーに展開、ハーモニーも十分だし、後半の抒情的なピアノソロなど洗練されている。お蔵入りにしたのが惜しい1曲だ。このアルバムのカップリングの2in1BASFと契約した1973年の『Broken Hearted』で、この中にはThis is Soft Rockというべき「Summertime Wintertime」や「Have You Heard The News」という、フィリップス時代には無かった流麗なソフトロックナンバーが登場、クオリティは11月発売の後半の3枚へ毎年上がっていくのだが、もう何度も紹介しているのでパス。

Sky High & Rare Tracks 40th Anniversary Collection』は先に紹介したようにディスク1は「Sky High12テイク(価値ありは3テイク)と6曲のシングルオンリーなどはテイチク、ビクターで聴ける。最後の1989年に作られた「Who Do You Think You Are(PWL Mix)」は洋盤コンピにはよく入っていたが、まだ持っていない人にはお得。目玉はディスク278年に日本のみリリースの『Journey Into Space』の10曲は、オリジナルが3曲しかなく、金を前払いしていたリック・ジェラルドが怒ったと伝えられるが、聴いてみるとオリジナルの3曲は焼き直しで出来が悪く、外部ライターの7曲がアコースティックで新鮮で、これはジグソーの狙いの方が上だったが、英米で発売を拒否されこうして日本のみの発売になった。もう1枚の80年リリースの日本のみのアルバム『12 Chapters Of Love』の11曲は2曲がリレコだが他はオリジナル、クオリティは保っており、当時のディスコの影響を受けた曲もあった。このディスク2の曲はテイチク、ビクターでは未収録のものも多いので、このディスク2のために買うべきだ。では11月の未発表トラック満載の3タイトル『I've Seen The Film,I've Read The BookCM Tracks』『Sky HighUnreleased』『Pieces Of Magic+Home Before Midnight』をお待ちください。(佐野邦彦)



今年2回目の地球最後の秘境ギアナ高地を取材したTV番組「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」」を見る。ギアナ高地に惚れ込み30年間特番を見続けている。前にも書いたが詳しい資料と共に徹底紹介しよう。

$
0
0

今年になって「ここ3年、取材がなかった私の永遠の憧れの地、ギアナ高地の取材番組が先日NHKBSプレミアムで、「桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む」として放送された。」と視聴記を書いたが、917日に今度はBSテレビ朝日で「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」が写真家の寺沢孝毅の取材で2時間枠でたっぷり放送された。本放送は2016年だったので見逃していたとい大失策、取材の舞台はアウヤンテプイである。世界最高の高さ979mの滝のエンジェル・フォールは、どのテーブル・マウンテンの滝も同じだが、台地の上の川があってそこから落ちているではなく、台地の下の地下水脈が切れているところから落ちて入るので、エンジェル・フォールも台地の数メートル下の穴から出ており、寺沢はカメラマンであることから命がけでロープで宙づりになって落ち口が見えるように写していた。ただその写真は特に絶景とは言えず、この手はTV放送の中でも何度も登場していたドローン空撮の方が向いているのでは?と一瞬考えたが、ヘリコプターを年何機も墜落させるというギアナ高地を隔絶させる回りを取り囲む1000mの断崖の外へ出たらドローンなどあっという間に気流で墜落してしまうのだろう。個人的にアウヤンテプイが楽しいのは、ここは台地の上が東京23区以上と飛び切り広いだけあって、テーブル・マウンテンの上が緑で覆われ、チュルン川という川も流れていることから、多くの生物に出会えることだ。以前もオポッサムという哺乳類、シギタチョウという鳥がいて驚いたものだが、今回はヘビに出会った。45回も登っているというガイドがヘビを見たのはこれで3回目と言っていたから、昆虫、両生類以外はあまり出会えないようだ。今回はアウヤンテプイ固有種のカエルのテプイラ・エレルカイを発見後、さらに台地の上のカエルはみな茶褐色だが水かきのない緑色のカエルを見つけ新種ではないがクリスタルカエルという珍しい種類で、さらに背中にまだら、褐色の2種のカエルはアウヤンテプイの固有種で、標本見本もないという激レアものだった。TV2013年のロライマ、2015年のサリサリニャーマの映像が挿入され、画質もいいことから、この2回も特番で放送したのではと惜しまれる。最後はアウヤンテプイ上だが、全テーブル・マウンテン上で最も深い383mというシマ・アオンダという穴()の中腹から流れ出すアオンダの滝の水源調査へ行くのだが、これが困難を極める。崖の上からロープで懸垂下降していくしかないのだが崖に僅かに飛び出た幅1mの第一キャンプで1泊が必要だが、突然の雷雨で全員到着は夜中の2時。そこからさらに下降して高さようやく180mのアオンダの滝の落ち口へ到着する。水が流れ出す横穴の珪岩洞窟の奥へたどっていくが、100m奥で崩落があり水源調査はそこで終わる。洞窟の奥には水の底の藻を食べるために水中でも暮らもるようになったコロギスという昆虫や、不気味なウデムシが見つかった。ガイドはこのアオンダの滝に来た日本人はあなたが初めてだと言っていたが、実は1991年の「ビーグル号探検記」で谷の下まで一気に懸垂下降していた。今回は絶景には特に出会えなかったが、植物も含め生物に多くスポットを当てたのはそれなりに満足できた。次回のギアナ高地の特集にまた期待したい。次は出来る限り初めて行くテーブル・マウンテンの景色を見てみたいものだ。

※ギアナ高地の魅力とは

さてギアナ高地とは何か。こうやってパソコンに文字を入力するだけで胸が躍ってしまう、私の終生、憧れの地、ギアナ高地。地球最後の秘境である。ギアナ高地は、南米ベネズエラ、ブラジルを中心に6各国にまたがる高地帯なのだが、ベネズエラのカナイマ国立公園を中核とするテーブル・マウンテンが林立する地域、いやテーブル・マウンテンそのものをギアナ高地と指すと言っていいだろう。そう、ギアナ高地の魅力はここに100以上点在するテーブル・マウンテンと呼ばれる2000m級の高山群の卓状台地にある。テーブル・マウンテンの名前の由来は、これらの山の四方が切り立った1000m近い断崖に囲まれ、その多くの頂上は平坦で、まるでテーブルのように見えるからなのだが、あまりの高低差に植物や動物が地上と隔絶され、生物の75%以上がここでしか見られない固有種になってしまった。その数は4000を超えるという。しかしこれらのテーブル・マウンテンはそれぞれが地表とは別の生物世界を持っているため、テーブル・マウンテンごと固有種がいる。みなジャングルの奥地にあり、地上から辿りつくのが困難なため、ヘリコプターで卓状台地(テプイ)の上に降りるしかないのだが、平坦に見える台地も実際は亀裂だらけで、探索は困難を極める。そのため、未だ大半が人跡未踏で、実際の固有種の数は想像もつかないという。

2億年前の地殻変動で湖底にあった台地が隆起し、その後雨によって削られ、固い岩盤のみが残ってこの独特の地形が生まれた。この地はゴンドワナ大陸の分裂の中心軸であり、赤道付近からまったく動いていないため、その当時からの生物がそのまま奇跡的に残ったのである。ゴンドワナ大陸分裂の存在を裏付けるものとして、ギアナ高地特有のステゴレプスという植物がある。この植物が存在するのは他ではアフリカだけで、南米とアフリカが地続きだったことを証明しているのだ。

ただ、卓状台地は赤道直下なので紫外線が強烈で、さらに北東から常に吹きつける貿易風がギアナ高地にぶつかることによって生まれる年間4000mm以上という激しい雨により台地の堆積物は押し流され、生物が生きる環境としては非常に過酷だ。そのため卓状台地では高い樹木がほとんどなく、少ない養分を吸収するため食虫植物が極めて多い。テプイごとに固有種があるというヘリアンフォラというギアナ高地独特の食虫植物が知られているが、モウセンゴケやミミカキグサも多いし、パイナップル科のブロッキニアは葉を筒状にし、中心に貯まる水を酸性にして食虫植物に進化をしていた。ハウァでは卓状台地を黄色に染めるほどの大群落を作る。全体的に多いのは原始的なパイナップル科やランの仲間で、現在の地上を覆う進化した植物であるキク科、イネ科、マメ科の植物は少ない。キク科の植物など、草に進化する前の樹木の姿に留まっている

動物類では昆虫と爬虫類、両生類、ほかは僅かな鳥類と哺乳類がいる程度。(鳥類・哺乳類はエサが少ないので緑がある部分にしかいない。シギタチョウとオポッサム、ハナグマは撮影されている)天敵がいないためカエルは跳ねることができなかったり、水かきがなかったり、原始のまま取り残された。オレオフリネラという小さな跳ねることができない原始カエルが有名だが、ロライマ、クケナン、アウヤンテプイといったテーブル・マウンテンで見つかったこのカエルは、山によって腹の模様が違い、進化から取り残された中でも、気の遠くなるほどの長い時間の中で、微妙な違いが生まれていた。生物が多いアウヤンテプイには、固有種のカエルのテプイラ・エレルカイや、他では見れらない緑のクリスタルカエル、さらに別の模様が違う固有種など4種類が同時に見つかるが、みな水かきがないなど、原始的なカエルだった。サリサリニャーマという巨大穴の中のカエルは、水場がないため。水かきがない代わりに吸盤の付いた長い指があり、水たまりのない中生い茂る植物に張り付くため、独自の進化をしていた。チマンタのカエルも水かきがないが、こちらは背中に卵を産み付け背負って歩く。こういったカエルは他の場所にもいるが、チマンタのカエルは9つほどしか卵がなく、エサが少ないから育つ分だけ生んでいるようだ。卓状台地上では餌が極端に少ないため、バッタの仲間は水中で餌を探すようになり、エラらしきものが作られたカマドウマの仲間、腹に気泡を抱えて水中を歩くコオロギの仲間もいて、こちらは水棲に進化したようだ。アウヤンテプイのコロギス(コオロギとキリギリスのあいの子)は、水中の藻を主食にするため水生に進化してしまった。そして紫外線対策か、体が透明になってしまったゴキブリもいて、まさにワンダーランド。

テーブル・マウンテンが地下水脈によって浸食され大陥没した350m四方の大きな穴が8つも陥没でできた山、サリサリニャーマもあり、穴の底は卓状台地とも隔絶されてしまってさらなる固有種が生まれるという迷宮のような場所もある。

コナン・ドイルはギアナ高地を見て、この頂上台地には恐竜が生き延びているのではと想像し、「ロストワールド」を書いた。真偽の程はかなり怪しいが、ギアナ高地に50年以上住む探険家、アレクサンドロ・ライメは、アウヤンテプイで、1m程度のプレシオザウルスの仲間を見たと証言している。日本ではNHKTBS、テレビ朝日という、娯楽志向でないテレビ局がギアナ高地を何度も取材して放送しているので、是非エアーチェックしてギアナ高地を見て欲しい。一度見たら、中毒になること間違いなしだ。

●取材したテーブル・マウンテン

・アウヤンテプイ(2500m)…卓状台地が東京23区よりも広いギアナ高地で最大のテプイ。その崖の端から一気に地上まで落ちる滝が有名なエンジェルの滝(現地名はアンヘルの滝)で、落差979mは世界一。あまりの高さに水は途中で霧になり、よって滝つぼがない。エンジェルの滝の空撮、また水量の少ない乾季の時の滝の下からの映像は、ギアナ高地映像の定番だ。このアウヤンテプイを下から歩いて登り、さらに台地を横切ってエンジェルの滝まで縦走したのはNHKの「グレートサミッツ:アウヤンテプイ」だけ。ガイドの話でもまだ3組くらいしか縦走を果たしたチームはないとか。アウヤンテプイは台地の上にもある程度の高低差があり、台地を流れるチュルン川の周りには、頭よりも高い樹木が生い茂り、他のテーブル・マウンテンとは違って緑も水もあるので生物の発見が多い。先のNHKの映像でこの森の中で飛べない鳥、シギダチョウを発見するが、こういった地面を歩く恒温動物を見たのはギアナ高地上で初めてで、嬉しくなった。そして「桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む」ではチュルン川回りの森林で、南米唯一の有袋類である哺乳類のオポッサムが発見される。待望の、初の哺乳類の発見に興奮。かわいい顔の小動物だった。「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」でカエルは他のテーブル・マウンテンで見つかるオリオフリネラという原始カエルではなく、緑色など4種のカエルも発見できた。みな水かきがなく、ジャンプもできないような原始的なカエルばかりだ。そして45回も登頂したガイドが3回しか見たことがないというヘビもこの番組で発見している。さらにこの番組では途中、エンジェルの滝の発見者であるジミー・エンジェルが自分の乗っていた小型機で台地の上に着陸した場所、そこはギアナ高地に人間が初めて降り立った場所になるため、それを記念してベネズエラ空軍が置いたという石碑を、台地の上で探し出した。ちなみに飛行機はもちろん大破したが、ジミー・エンジェルは一緒に乗っていた妻と共に歩いて生還を果たしている。エンジェルの滝は雨季には水量が増して何本もの滝になるが、その雨季の取材がテレビ朝日の「新ビーグル号探検記」だ。この番組では水量があるのでチュルン川もゴムボートで下流へ向かい、迫力がある。さらにシーマ・アオンダと呼ばれる383mというギアナ高地で最大の大きさの穴(谷?)にロープ1本で下降していったのはこの番組で、その命知らずぶりには脱帽される。穴の底では白い(他ではみな赤)ミミカキグサが発見された。シーマ・アオンダの途中から180mの落差のアオンダの滝が出てくるが、横穴の水源調査は「秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ」で100m奥の崩落個所まで行きついている。奥には水生昆虫になってしまったコロギス(コオロギとキリギリスのあいの子)や、ウデムシが生息していた。外観では、アウヤンテプイ台地には100mもの巨石が垂直にピョコンと4つ飛び出ているのだが、その通称「見張り番」や、「摩天楼」と呼ばれる巨石の空撮も見所である。

・ロライマ(2810m)…四方がきれいな垂直な崖、頂上の台地は空撮では見事に平坦なので、そのチーズケーキのような印象的な全景がまさにテーブル・マウンテンなのがこのロライマ。一般の観光客も麓から12日のトレッキング(もちろん相当な体力が必要)で登ることができる。アウヤンテプイと並びギアナ高地取材の定番だ。平坦なので登らずともヘリコプターで直接台地に降り立つこともできる。取材で登山過程を見せないのはヘリを使用。ただし卓状台地は常に雲が沸き立ち、突然の豪雨があるのだが、当然、台地の縁の気流は上昇気流が常にあって悪く、しばしばこれらテーブル・マウンテンの回りでヘリが墜落しているので、完全に安全とは言えない。このロライマを完全縦走したのは「ニュースステーション」のみ。着陸点、登山の到着点とも一面岩で、風雨で浸食され残った岩が奇妙な造形となり地球外の惑星のように見えるのだが、それがまずロライマの見どころのひとつ。そして水晶が地上一面に露出した「水晶の谷」、「The Pit」(穴)とか「EL FOSO」(窪み)とか呼ばれる穴があり、穴の縁の崖を降りると下には水が流れ、水によって侵食された穴の縁がコロッセウムのように残り、上からの光が注ぐと水面の水に反射して実に幻想的な光景となるのだが、この3箇所がロライマの3点セットと言えるだろう。そして必ず岩の上の植物コロニーで、原始カエルのオレオフリネラを見つけている。縦走ではロライマの先の方は崖だらけで、踏破は崖を降り再び登るというザイルを使った登山となっていく。ロライマの本当の見どころは、崖の縁に立ち、遠く他のテーブル・マウンテンを望むというギアナ高地ならでは絶景だ。特に姿形がそっくりなクケナンが見える場所がベストポイントだろう。なお、海外制作でエンターテイメント的色彩も交じっている「探検ロストワールドの世界」では、ロライマ山の洞窟の探検があり、かなりの生物を発見するが、ハナグマの骨があったのには驚かされた。いつの骨なのかは分からないが、哺乳類がいたというのはこの放送を見た時はギアナ高地上での初めての発見だった。

・サリサリニャーマ(1350m)…ギアナ高地取材の主要テーブル・マウンテンのひとつ。ここの台地には大小8個の大穴が開いていて最大のものは穴の直径、深さとも350mもある。この最大の穴に最初に下りたのはNHKの「ギアナ高地巨大穴の謎に迫る」。この時と後の「世界ふしぎ発見」は、ヘリで穴の底のギリギリまで降りてヘリから直接穴の底へと降りられたが、大沢たかおは「天空のロストワールド」で、ヘリの下にロープ1本で吊り下げられ、降りていった。穴の底に着いた時、満面の笑顔で楽しかったという大沢たかおの度胸には脱帽だ。穴の底にはナビア・ヤウアナという花が咲くとその回りの葉も白くなり、花を目立たせるように進化したパイナップル科の草が面白い。穴の中だけの固有種だ。不気味なのはウデムシ。サソリのようだが異常に手が大きく、体もまだらでまさにエイリアン。こんなのが歩いているのだから自分だったらおちおち寝てはいられない。他ではザトウグモと思いきや、ミズカマキリの仲間という足だらけの昆虫もいた。この穴の取材の定番は、穴の縁にあり膨大な種の山を登り、その奥にある洞窟に生息するアブラヨタカのコロニーを見つけること。実はこの種は夜行性のアブラヨタカが夜、飛び立って地上で得た果実の種をここで吐き出しているので、長い年月の間にこんな膨大な数の山になっていたのだ。NHKと「世界ふしぎ発見」ではその近くにある深さ100m、直径150mの穴にも下降するが、NHKはロープで下降、「世界ふしぎ発見」ではヘリを使いロープ1本で吊り下げられ下降する。レポーターの女性、竹内海南江は凄い!ただしこちらの穴には見所はない。

・ネブリナ(3000m)…ギアナ高地の最深部にあり3000mと最高の高度を持つネブリナ山は、ーナ)と呼ばれている。ベネズエラとブラジルの国境の真ん中にあり、貴金属が採れるというので入山が制限され、放送はNHKの「霧の山ネブリナ」のみ。オリノコ川を進み、ジャングルを踏破しながら徐々にネブリナの姿が近づいてきたある日の夜、山で雷鳴が響く。すると昨日渡ったばかりの小川が轟々と流れる大きな濁流になっていた。上流で豪雨があったようだ。このままではまずいと撤退を決めるが戻るに戻れない。途方に暮れていた時に、ダイヤの盗掘人が残したボートを見つけた。木を切って即席のオールを作り、みんなでボートに乗り込んで濁流を下っていく。目の前に次々と現れる倒れた木を乗り越え、あるいはかがんで通り凄し、小さい木はマテチェで切り捨てる。この8時間の川くだりは、全てのギアナ高地取材で最も緊張感があり、まるで映画を見ているかのようだった。その後、3日間の豪雨が続いたことから、取材陣は九死に一生を得たのだった。この後、たどり着いた村にたまたま滞在していたベネズエラ空軍に交渉して、2日間のみという予定でネブリナまでヘリを出してもらう。標高2600m付近に平原を見つけそこに降ろしてもらった関野吉晴はネブリナを精力的に歩き回る。そこはパイナップル科の植物の群落と、様々なラン、食虫植物にびっしりと覆われた緑の台地だった。一見は日本の山と変わらないが、植物相がまったく違う。まさにギアナ高地だ。驚くべきはヤシが群生していたこと。3000mの高山にヤシの木が生えていることは驚くべきことだ。映像では雲の上にヤシの木の群落が映る。目を疑う光景だ。そして常に95%近い湿度があるためヤシの木に苔が生えているのだが、そんなヤシの木は他にはないそうだ。しかし映像はそこで終わる。時間の関係でネブリナの頂上には行けなかったので、これから上にどんな植物や動物がいるのかは分からない。色々海外のサイトでも探してみたが、ネブリナ登頂の映像はなかった。サリサリニャーマ以外、日本人が取材したほとんどのテーブル・マウンテンに登った関野吉晴。是非、彼をチーフに、ネブリナ登頂の番組を作って欲しいものだ。

・チマンタ(2693m)…ここを取材したのは「新世界紀行」だけ。本文中に書いた背中に卵を背負ったカエルの発見と、チマンタヤいうチマンタにしかない巨大な松ぼっくりのような草が印象に残る。このチマンタヤ、昼の強烈な日差しで水分を奪われ、火を点けるとあっと言う間に燃えてしまった。

・クケナン(2650m)…ロライマと一緒にヘリ観光ではこの隣のクケナンにも降りてくれる場合があるようだが、取材したのは「新ビーグル号探検記」。台地の光景もロライマと瓜二つだが、水晶がむき出しの穴があり印象的。オレオフリネラもやはりいた。フジの「グレートジャーニーZ・秘境ギアナ高地聖なる山クケナン」で関野吉晴がクケナンを麓から登頂、初め南北の縦断を目指すが途中に深い亀裂が走り分断されているため、東西の縦断に変更し、初の縦断を果たす。DVDは抜粋版なので出てこないが、本放送ではハナグマの群れの撮影に成功している。

・ワチャマカリ(1700m)…「ニュースステーション」の2回目の放送のみ取材。食虫植物だらけの台地だった。NHKの「地球アドベンチャー冒険者たち 南米ギアナ高地謎の山未知の民」で、関野吉晴が麓から初登頂を果たす。頂上は他のテーブル・マウンテンのようにフラットではなく、緑が茂り川が流れ、その中で一番高い丘を目指して初登頂を果たす。新種と見られるトカゲやカエルを発見した。

・マラワカ(2700m)…ここも「ニュースステーション」の2回目の放送のみ取材。テーブル・マウンテンというより、山塊のようになっている。山の中腹で探索した5mという世界最大の長さ(茎というより蔓)を持つカトレア・マキシムというランが見所。

・ハウァ(?m)…「世界ふしぎ発見!地球最後の秘境!南米ギアナ高地大紀行」のみ取材。ヘリから黄色の花畑に見えたが、着陸すると食虫植物ブロッキニア・ヘクトイデスの大群落だった。黄色く見えたのは葉の色だった。

・イルテプイ(2600m)…「THE世界遺産カナイマ国立公園Ⅱ」のみ取材。岩が多い台地で、植物が生えている台地はモウセンゴケやヘリアンフォラなど食虫植物が散見されたが、あっと言う間に終わってしまった。ナレーションでは3日間の撮影と言っていたが、放送は5分だけ。

・アウタナテプイ(1400m)…木の切り株のような特異な形をしたアウタナは古くから地元民にとって「生命の樹」として崇められた神の山だった。冒険登山家のレオ・ホールディング達はDVDAutana』で「初登頂の東岸壁を初登攀する。オーバーハングもありロック・クライミングの連続。途中に大きな横穴のアウタナ洞窟があり、そこをベース・キャンプにする。登攀がメインなので頂上は何の調査もない。背の高い食虫植物が群生する頂上だった。

・チュリテプイ(2600m)…チマンタ山塊を構成するテーブル・マウンテンで、空撮では大地の亀裂が多い。大地の下に大きな珪岩洞窟があり、NHKの「桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む」で洞窟探察を行う。硬い珪岩に洞窟ができるのは世界でも珍しく、その原因として洞窟内で新陳代謝で有機酸を出すバチルスというバクテリアを発見、このバクテリアの長い作用で珪岩の隙間に入った水の隙間が大きくなり落下を起こし、洞窟ができたのではいう推測が生まれた。

ギアナ高地映像リスト
1987
・新世界紀行:魔の山チマンタ
TBS/ロケ地:チマンタ/キャスター恵谷治) 映像ソフト
1987

・世界の秘境:霧の山ネブリナ
NHK/ロケ地:ネブリナ/キャスター関野吉晴) 映像ソフト
1988

・ニュースステーション4週連続放送
(テレビ朝日/ロケ地:アウヤンテプイマラワカ、ワチャマカリロライマ完全縦走/キャスター関野吉晴) 映像ソフト③④⑤
1991

・新ビーグル号探検記:失われた進化の世界ギアナ高地
TBS/ロケ地:アウヤンテプイ、クケナン)
1997

・そそり立つ太古の世界・南米ギアナ高地
NHK/ロライマ、アウヤンテプイ) 映像ソフト/
1997

GUAYANA-The Lost World-
(パイオニアLDCソフト/ロケ地:ロライマ。アウヤンテプイは空撮) 映像ソフト

1997

・グレートジャーニーZ・秘境ギアナ高地聖なる山クケナン

(フジ/ロケ地:クケナン縦走/キャスター関野吉晴)映像ソフト⑩(抜粋)
1999

・世界遺産:カナイマ国立公園及び
TBS/ロケ地:...アウヤンテプイは長いが空撮のみ、...ロライマ) 映像ソフト/※Ⅰ...B、...
2002

・NHKスペシャル:ギアナ高地巨大穴の謎に迫る
NHK/ロケ地:サリサリニャーマ)

2006
・天空から降る巨大瀑布:ギアナ高地カナイマ国立公園
NHK/ロケ地:ロライマ、アウヤンテプイ) 
2007

・世界ふしぎ発見:地球最後の秘境ギアナ高地巨大な穴の謎
TBS/ロケ地:サリサリニャーマ/キャスター竹内海南江)
2007

・世界ふしぎ発見:南米ギアナ高地大紀行
TBS/ロケ地:アウヤンテプイ、ロライマ、ハウァ/キャスター竹内海南江)
2008

・天空のロストワールド
(テレビ朝日/ロケ地:ロライマ、サリサリニャーマ/キャスター大沢たかお) 
2009

・グレートサミッツ:アウヤンテプイ
(NHK/ロケ地:アウヤンテプイ完全縦走) 映像ソフト
2009

THE世界遺産:カナイマ国立公園及び
(TBS/...ロライマ、...サリサリニャーマ、イルテプイ)
2010

・探検ロストワールドの舞台
(ディスカバリーチャンネル/ロケ地:ロライマ):
2010

・世界遺産ものがたり:カナイマ国立公園5152
(旅チャンネル/ロケ地:アウヤンテプイ) F

2012

Autana

Berghaus/ロケ地:アウタナ・テプイ) 映像ソフト⑪

※イギリスを代表する冒険家のレオ・ホールディングによるアウタナ・テプイの登頂の映画。崖のぼりが中心で頂上は少しだけ。

2014

・地球アドベンチャー冒険者たち 南米ギアナ高地謎の山未知の民

(NHK/ロケ地:ワチャマカリ(初登頂)/キャスター関野吉晴)

2016

・秘境ギアナ高地魔の山アウヤンテプイ 

BSテレビ朝日/ロケ地:アウヤンテプイ、ロライマ(2013)、サリサリニャーマ(2015)/キャスター寺沢孝毅)

2017

・桐谷健太 天空の秘境ギアナ高地に挑む

(NHK/ロケ地:アウヤンテプイ、チュリテプイ) ※G

空撮等で一瞬映ったテーブル・マウンテン
...アコバンテプイ、カスティーヨ、B...ユルアニテプイ、C...アコバンテプイ、アンガシマテプイ、D..ウェイテプイ、E..アウタナ・テプイ、F..クサリテプイ、G...アコバンテプイ
その他、NHKで食虫植物だけをターゲットにした『神々の詩:食虫植物南米ギアナ高地』もあり。

参考文献

●写真集

・「ギアナ高地THE LOST WORLD」(関野吉晴)(講談社)…ため息が出るほど素晴らしい写真ばかりで、バイブル的存在。ギアナ高地の山々から、植物、生物まで充実している。エンゼルフォール、アウヤンテプイ、ロライマ、ネブリナの4章で構成されている。

・「Lost Worlds of the Guiana Highlands(Stewart McPherson)(Redfern)…唯一の洋書だが、頂上大地の景色が素晴らしく、そこの植物、生物の写真、特に群生する食虫植などはファンはたまらない。、アウヤンテプイ、ロライマ、クケナンの写真が多く、ネブリナや遠景では珍しいテプイの写真が多い。上記の本と合わせて必携。

・「ギアナ高地巨大穴の謎に迫る」(早川正宏、チャールズ・ブリュワー=カリアス)(NHK出版)…同名のNHK番組の写真集版。サリサリニャーマは上記本にはないのでこの2冊でほぼ完璧。写真は映像からおこしたものは少し荒い。

  書籍

・「ネブリナ山探検紀行」(関野吉晴、NHK取材班)(日本放送出版協会)…NHK「霧の山ネブリナ」で語りきれなかった詳細が分かり読み応えがある。

・「ギアナ高地を行く」(恵谷治)(徳間書店)…ギアナ高地に憧れ続けた本人の思いとテレビ取材の裏側が面白い。チマンタ行きは不本意だったとは。

・「とにかく、しつこくアマゾンネブリナ」(敷島悦郎)(講談社)…ネブリナに憧れて単身ブラジルに向かい、現地の人間と格闘する。取材じゃないとかくも大変。

(作成:佐野邦彦)


 


The Bookmarcs:『BOOKMARC MUSIC』  (FLY HIGH RECORDS/ VSCF-1763)      リリース・インタビュー

$
0
0

昨年紹介した小林しの『Looking for a key』(16年2月)のレーベル・プロデュースやWebVANDAの対談でもお馴染みのミュージシャンの近藤健太郎と、歌謡曲の楽曲提供をはじめ映画やTV番組の劇伴、リラクシングギターのアルバム・リリースなど幅広いフィールドで活躍する作編曲家の洞澤徹によるユニット、
The Bookmarcs(ブックマークス)が、10月11日に記念すべきファースト・フルアルバム『BOOKMARC MUSIC』をリリースする。
2011年の結成から昨年6月のシングル『追憶の君』までに4タイトルをマイペースに配信リリースしている彼等の魅力が詰まった初のフル・アルバムだけに興味は尽きない。
因みにThe Bookmarcsは、作編曲とサウンド・プロデュース全般、ギターの演奏を洞澤、作詞とヴォーカルを近藤がそれぞれ担当している。
ここでは昨年の『追憶の君』に続いて、メンバー二人にこのアルバムについて聞いてみた。


●満を持してのフル・アルバムのリリースですが、これまでの活動を振り返ってみてどうでしたか?

洞澤(以下・洞):配信リリースを中心に着々と積み上げてきた ものがやっとCDというカタチになって、まずは嬉しい気持ちでいっぱいです。 マイペースでしたが濃厚な制作活動だったなと感じます。
最近ではだんだんと手伝っていただける敏腕ミュージシャンも増えてきて、そのぶん音楽の幅も広がってきたように思います。

●手練れのサポート・ミュージシャンが増えてきたのは良い状況ですよね。洞澤君自身も過去にスーツケースローズやダリヤなどにギタリストとしてサポートしていた訳で、自分が依頼する際にも経験が活かされているんじゃないですか?

洞:まさにおっしゃる通りです。自分が要望を伝える側になって、伝え方、表現方法、などサポートをやってきたからこその経験がとても役に立っていることがわかりました。

近藤(以下:近):今までデジタル配信オンリーでリリースを 重ねてきたわけですが、大事に作ってきた楽曲達をより多くの人に届けたいという欲が出てきました。
なんとなく2人の中で、「やっぱりCDを作りたいね」みたいな空気が具現化し、今回無事リリースできたことを嬉しく思っています。

●配信でのリリースが普及してきたとはいえ、やはりCDを持つという所有感は捨てがたいですよね。日本人特有の拘りかも知れませんが。

洞:確かに日本人特有かもしれませんが、個人的には大事にしたい感性だなと思います。



●フル・アルバムに用意した新曲3曲のソングライティングやアレンジについて、これまでの楽曲と意図的に変えた手法やアイデアを聞かせて下さい。

1)「I Can Feel It」
洞:これは僕の鼻歌弾き語りが原型なんですが、サビ頭の部分ができた時点でかなり手応えを感じました。とにかくアルバムのリード曲になるようにリスナー層を幅広く想定してアレンジを考えました。
リズムアレンジはギターのミュートカッティング含めて今までにないテイストになっていると思います。作曲当時、Thundercatやエヂ・モッタをよく聴いていたのでアレンジにはニュアンスがどこかに出ているかもしれません。 

●初めてラフミックスを聴かせてもらった時からイントロのギターがスタックス・ソウル(スティーヴ・クロッパー)していて、挙げてもらったミュージシャン以外にも結構リスペクトされているサウンドだと思います。UKギタポ好きにはスクィーズの「Hourglass」(『Babylon &  On』収録 87年)を彷彿させますよ。
冒頭からThe Bookmarcsの新境地だなと思いました。

洞:ありがとうございます。とても光栄です。変化はこれからも常に続けていくつもりです。

2)「Let Me Love You」
洞:よりAOR感の強いアレンジになりましたが、作曲しているときはそんなに意識はしていなかったです。歌を録音したあたりから猛烈にAOR感を欲するようになって、いろいろ参考音源を聴いているうちにこのアレンジに固まりました。
北村規夫さんの落ち着いたどっしりとしたベースに伊勢賢治さんの甘いサックスセクションが曲のカラーを強めています。

●個人的にも趣味なシカゴ・ソウルを源流とするAORだと思いました。フルートのリフはボズ・スキャッグスのあの曲かとか(笑)。
サポート・ミュージシャンのプレイも的確で完成度が高いです。山下達郎ファンにもアピールしそうですよ。この曲も新境地の域に入りそうです。 

洞:かなり寄せた感はありますが(笑)、個人的にとっても気に入っているアレンジです。達郎さんファンの方々は耳が良いですから、どういうふうに聴こえるか気になるところですね。

3)「Oh Wonder」
近:穏やかなメロディが印象的な曲ですが、サビはわりとキャッチーなので、言葉(歌詞)で曲の流れを明確に変えることが出来ないかなと試行錯誤しました。
「Oh Wonder」というフレーズが頭に浮かんだ瞬間、一気にイメージがまとまり歌詞を書きあげました。大サビは夢の中にいるような少し不思議な世界観ですが、洞澤さんが見事にアレンジしてくれて、曲がドラマチックに仕上がったと思います。

●言われるように穏やかなメロに対してパートの展開が多いからドラマチックに仕上がっています。サウンドの肝はフェンダーローズ系のエレピですかね。従来のThe Bookmarcsサウンドを発展させたというか、スティーヴィー・ワンダーの匂いもするという。

洞:そうですね、フェイザーのかかったフェンダーローズの音が好きでこの曲でもポイントになっていると思います。
たまに、”スティービーを感じる”と言っていただけるのですが、自分の血肉部分になっているのかなと嬉しくなります。


●既存曲の中でもリアレンジ、リミックスされていますが、オリジナル・ヴァージョンの固定観念に悩みませんでしたか?

洞:自分の過去作品を何回か聴いているうちに、やり残したこと、改良すべき点が明白になっていたので方向性という意味ではそんなに苦労はしなかったです。より聴きやすくという方向性でした。
「消えない道」はリズムをもっと強調するバンド路線か、ソフトロック路線で行くのかで悩みましたが後者を選びました。結果、とても満足のいく出来となりました。

●「より聴きやすく」というのは、やはり職業作家である洞澤君の姿勢が出ていると思います。
挙げられた「消えない道」ではコーラス・パートの追加やサウンドに厚みを持たせたことでより黄昏感が出ていますね。その他の曲でリアレンジして成功したなと満足している曲はありますか?

洞:「遥かな場所」はベースとドラムを生に差し替え、それに伴いミックスもやり直したのですが、配信リリースのバージョンより曲の推進力が増して、スムーズに各パートが繋がる感じが出て気に入っています。

●「遥かな場所」はファーストEP『Transparent』(12年)収録の作品なので5年経っている訳ですが、リアレンジとリズム隊が生に差し替わったことですごく新鮮に聴けました。
では今回のレコーディング中で何か特質すべきエピソードを聞かせて下さい。

洞:「I Can Feel It」ではコーラスが多用されていますが、近藤くんと相談しながらいろいろ試しつつ、Bメロのオクターブ重ねは今回初めての試みでハマって楽しかったですね。近藤くんのコーラス・ワークの音色は凄いです。手持ち音源のプリセットにしたいくらい(笑)。

サックスの伊勢賢治さんとは、ネットのやり取りで譜面と、どういう風に演奏して欲しいかのリクエストを伝えて伊勢さんのプライベートスタジオでの録音をお願いしたのですが、あまりに素晴らしくて データが届いたとき小躍りしました。
特に「Transparent」のオブリガートは気持ちよくて聴いてもらいたいポイントの一つです。また伊勢さんは、「Let Me Love You」では当初僕のリクエストになかったフルートとパーカッションまでダビングで入れていただいて感激でした。彼はユーミンのツアー・メンバーでパーカッションから鍵盤までこなすマルチ・プレーヤーです。

ドラムの足立浩さんとベースの北村規夫さんは、前回のシングル「追憶の君」から レコーディングをお願いしているのですが、今回も素晴らしいコンビネーションで楽曲の屋台骨と潤滑油になってもらっています。
お二人のリズムが入ると楽曲がより滑らかに進行するというか。このコンビなしで今回のアルバムは 成り立たなかったと思います。
そして、レコーディングは1年以上前なのですが、アルバムラストを飾る「真紅の魔法」でイントロから響く和田充弘さんの甘いトロンボーンの音色は録音中、まるで他人の曲を聴いているようで酔いしれてしまいました。 

近:今回、既存曲のヴォーカル再録がいくつかあるのですが、これは自ら洞澤さんにもう一度歌いたいと希望を出しました。より曲を理解した上で、今のテンションで、当時自分で書いた歌詞を噛みしめながら歌うことが出来たのは嬉しい経験でした。 コーラスに関しては、いつもお互いアイデアを出しあい歌入れする作業が毎回楽しいです。 

●エピソードに出てきた近藤君のコーラス・ワークやサポート・ミュージシャンによる数々の名演はこのアルバムを聴いてのお楽しみですね。

洞:そうですね、ぜひ実際に聴いていただいて感じ取ってもらえたらと思います。 


●リリースに合わせたライブ・イベントがあればお知らせ下さい。

洞:11/11に北参道ストロボカフェで開催される、philia records presents 「11月のフィリアパーティー」という イベントにオープニングアクトとして出演しますのでぜひ遊びに来て下さい。
http://philiarecords.com/event/ 

近:10/1に東京八重洲にあるとっても素敵なスペース、「ギブソンショールーム」にて、「BOOKMARC MUSIC」レコ発 イベントをおこなう予定です。 極上の音響システムでアルバムの先行試聴、 トークやミニライブを交えた楽しいイベントです。観覧無料なので、日曜の昼下がりふらっと遊びに来ていただけたら嬉しいです。
http://gibsonsr.jp/ 


●では最後にこのファースト・フルアルバム『BOOKMARC MUSIC』のピーアルをお願いします。

洞:ファースト・アルバムにしてベスト・アルバムのような「BOOKMARC MUSIC」ですが、僕的には何と言っても新曲3曲に特に注目してもらいたいです。
全体的には6年間の活動のエキスをぎゅっと凝縮した内容になっていますので、AORやソフトロック・ファンのみならず幅広い方々に聴いてもらいたいです。

近:懐かしくも新しい、透明感溢れる大人のサウンドプロダクションというキャッチーを掲げ、約6年間活動してまいりました。
まさにその言葉がしっくりくるような作品に仕上がったと自負しております。 こだわり丁寧に作り上げた僕達の作品を是非聴いてください。
(インタビュー設問作成/文:ウチタカヒデ)
 

島全体が極上ビーチで覆われ、外国人観光客も押し寄せていない手付かずの唯一の楽園が「与論島」だ。息子が行って撮影してきた写真を見ながら紹介しよう。

$
0
0

下の息子が職場の夏休みを使って与論島から帰ってきた。45日、内23日は与論である。与論島は、聖域だった八重山・宮古が外国人観光客の急増などで今までの特別な地位を失いつつある中、残された最後の楽園だ。2年前に奇跡的に自分は車椅子で与論へ行けたのだが、12日では行きたい場所の半分も回れず、行けなかった場所を中心に息子に撮影してもらってきた。さっそくその写真をご覧いただきたい。「ウドノスビーチ」でのシュノーケリングでウミガメ2匹に出会ったという。リーフ内のこういう美しいビーチではウミガメが現れることは経験になく、自分も数えられないほど、深さがないリーフ内でシュノーケリングしたが一度も見たことがない。有名なのは大潮に近い干潮時に海の中に砂浜は現れる「百合が浜」だ。ここは与論一の観光スポットで、カップルや家族連れが多かったとか。自分が行った時は見られなかったが、渡し船の道中でもウミガメが泳いでいるのが見えたそう。そして息子がいわく一番美しいビーチは「アイギビーチ」で、B&Gというダイビングショップの間の前の海なので挨拶しながら行く方がいいらしい。息子が話したショップの店員さんは、神奈川で営業の仕事をしていたが、与論のここへきて、あまりの美しさに移住を決めて4月から働いているとか。朝方はこのビーチでもウミガメが泳いでいるそうで、この環境では移住を決める気持ちが分かるな。寺崎海岸、そして黒花海岸へ行ってどちらかでシュノーケリングをしてきたそうだが、どちらも極上のビーチで、みな言葉を失うほどの美しさらしい。ただし魚は少ないそうだ。他にも「プリシラリゾートヨロン」下の兼母海岸、島の東下からの赤崎海岸も行ってきてくれこれらもみな美しく、2年前にはウミガメの産卵跡を見つけ、沖に沖縄本島が見える「パラダイス・ビーチ」、百合が浜を沖に抱く長い白浜のビーチの一部の「シーマンズ・ビーチ」を見たが、こんな美しいビーチに囲まれた島は他にはない。今の自分はベッドの上でテレビとパソコンを見るだけで、24時間を過ごしているが、息子達に行ってもらって写真とビデオで見せてもらえば十分。自分は動けなくても家族はどこにでも行けてこうしてビジュアルで見せてもらえる。これで自分は幸せである。自分は光熱水費から通販などクレジットカードで払えるものは全てカード払いしてJALのマイルを貯めている。貯めたマイルを、今月に長男が二男に続いて公務員になったのでそのお祝いに、二男には夏休みなど好きに使えということで、長男は二男とすれ違いに今日から函館へ行った。幕末ファンなので五稜郭メイン。2週前は私と同じで花輪和一の「刑務所の中」にハマったので網走へ行って網走監獄見学、そして昔、長男とは大学卒業祝いに一緒に鹿児島・熊本と、薩摩の史跡は一緒に行ったので、3週前はまだ行っていない長州へ行きたいと山口へ行って萩を回り、下関戦争の砲台跡へ行ってきた。長州はかなりショボかったそう。そうして今回、二男が沖縄本島へ渡ってその日に目的の「ポケモンGO!」沖縄限定出現のサニーゴをゲット、安心して自分が徹底的に勧めた与論へ向かう。与論島へ行くには方法は2つ。那覇空港からプロペラ機が1日一往復飛ぶが、フライトは40分と短いが那覇発が13時、与論発145分は真昼間に着くだけ。それでも往復で29000円もかかる。その点、フェリーがあって那覇港から与論港まで沖縄本島を縦断していくので5時間かかるが、2等で片道2820円と安い。一日1便で朝7時発11時半に与論着、帰りは14時発で19時那覇港着なので発着時刻は飛行機と変わらず、値段は1/6だからこれは船が得。到着したらレンタカー、常に軽自動車を借りる。急坂がある場合はリッターカーの場合もあるが、レンタカーで無駄なでかい車を借りる人間の気が知れない。ホテルは常にビジネスクラス。高級リゾートは大金を捨てるバカの筆頭だと思っているし、だいたいホテルや旅館の夕食が嫌い。外食の方が好きなものが美味しく安く食べられるのに、本当に無駄。ただし民宿は生理的にダメ。与論島には全てがコテージで、複数人で借りればリーズナブルな「プリシラリゾートヨロン」があるが、一人で借りると高いので、民宿ではないホテルを捜すと「トイレ風呂共同」が多く、室内についているのは2か所しかなくそこを借りる。朝食付きで6000円くらいなので安いのだが。ここまで書いた息子達にプレゼントした旅行は、往復航空券はマイルなのでタダ、レンタカー、ホテルなどはヒマな自分が予約して代金は親の自分持ちで、まあ本当に「旅行プレゼント」だ。場合によっては分刻みのスケジュール表も付ける。家族旅行・夫婦旅行と30回は計画してきたので、もうツアー・コンダクターみたいになってしまっている。事実、今、お世話になっている訪問リハビリのPTさんのカップルに、先日八重山の最適スケジュールを考えて大成功、月末には私の勧めで八重山へ行ったら宮古へ行かないと話にならないと…という私の勧めに乗ってくれて吉野海岸など重要拠点を回って堪能してもらうことにした。「良かったです。最高でした」と言われればもう至福の喜びだ。息子達にはマイルで10月の3連休に土曜・最終便、月曜・始発便しかマイルの空きがなく、日曜に家族でまだ唯一軍艦島へ行ったことがない二男に「軍艦島上陸プラン」をプレゼントして、9月~10月の5つのJALマイル旅行はひと段落となる。まだ2回分くらいマイル旅行ができるので後は申請待ち。ちなみに軍艦島は、世界遺産登録以降大人気で、飛行機も取れなければ土日の軍艦島の船の予約も取れず、波高が0.5m以上で上陸禁止などの条件が付いているので、払い捨てで無駄でも午前・午後でひとりずつ空いていた別会社の予約を入れた。軍艦島(端島)は、平均月収がサラリーマンの倍、光熱水費に家賃はタダで、本土の炭鉱や、西表島のタコ部屋炭鉱と違って楽園で、住人はずっと住んでいたかったと誰もが語る炭鉱だったのに、隣のやっかいな国は強制労働だけでなく、映画では日本軍が炭坑内を水責めで殺すなどという嘘八百の映画を作っているのだから本当にひどいものだ。2年前に行った対馬じゃ盗んだ仏像を返さないし…。まあ気分の悪い話はここらでやめておこう。

まず川がある八重山の石垣島や西表島には土砂のためこういうビーチは川のない場所に2か所くらいしか存在しない。人気No1の波照間島のニシハマだが、逆にここひとつのみ。竹富島のコンドイビーチも人気があるが、ここも隣のカイジ浜までしかない。黒島、新城島、小浜島もメインは1か所ずつ。これが実は八重山の美しいビーチの数なのだ。その点、川のない宮古島は美しいビーチが多いが、三つの巨大な大橋で5つの島が結ばれたので一体とものとして計算しても、与論級のビーチは9つである。(ただリーフ内まで珊瑚が密集している吉野海岸、新城海岸は宮古島にしかない)私が昔から強くプッシュしている宮古島と石垣島の間に浮かぶ多良間島は、観光客が来ない点では与論以上、ただし極上ビーチは2か所しかない…。一つの島で宮古諸島5島のビーチ以上の極上ビーチを持つ与論島は最強の離島と言っていいだろう。1999年から子供達とは小学生から大学生まで沖縄の八重山に6回、宮古に6回、計12回行って、両諸島の全19の有人島を制覇できた。ところが八重山に最初に行った時の入域観光客数は61万が今は127万、宮古は34万が今は70万。海もイマイチ、観光客だけ多い沖縄本島が嫌で、さらにはるか南西のこの両諸島に通っていたのに、最近は外国人観光客が激増、もう静かな環境が保てなくなったよう。本土からは嫌いな「星野リゾート」など高級リゾートが開発しはじめ目障りでしょうがない。残った最後のパラダイスが、本島の東22㎞に浮かぶ与論島だった。この島の凄さは島に川がないので珊瑚礁が発達し、島の6割がリーフに覆われなんと60ものビーチがある。与論島は、本島が目の前に見えるほどの近さなのに行政区分では鹿児島県の奄美諸島で、一般的な沖縄観光コースから外れているところが幸いだ。年間の観光客数は6万人でプライベート感は十分、しかし島は港区くらいのコンパクトな島ながら人口は6000人と結構多いので、八重山の島々のように300人くらいしか住んでいないと食べるところも限られ、日帰りでないと不便極まりないが、与論島に不便さはない。沖縄返還前までは日本の最南端は「ヨロン」で、子供の頃、「ヨロンへ行こう!」というCMを何度も見た。しかし沖縄が返還され、与論島の観光客数は減り続け、廃墟になってしまったホテルが散見されるのが侘しい。ただ、与論島はこのまま、目を付けないでそっとしておいてほしいものだ。(佐野邦彦)



 


Viewing all 628 articles
Browse latest View live